一般財団法人を設立するには、設立者(設立者が二人以上あるときは、その全員)が定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第一節 設立
⤏ 第一款 定款の作成
設立者は、遺言で、次条第一項各号に掲げる事項 及び第百五十四条に規定する事項を定めて一般財団法人を設立する意思を表示することができる。—この場合においては、遺言執行者は、当該遺言の効力が生じた後、遅滞なく、当該遺言で定めた事項を記載した定款を作成し、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
第十条第二項の規定は、前二項の定款について準用する。
一般財団法人の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
設立に際して設立者(設立者が二人以上あるときは、各設立者)が拠出をする財産 及びその価額
設立時評議員(一般財団法人の設立に際して評議員となる者をいう。以下同じ。)、設立時理事(一般財団法人の設立に際して理事となる者をいう。以下この節 及び第三百十九条第二項において同じ。)及び設立時監事(一般財団法人の設立に際して監事となる者をいう。以下この節、第二百五十四条第七号 及び同項において同じ。)の選任に関する事項
設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人(会計監査人を置く一般財団法人 又はこの法律の規定により会計監査人を置かなければならない一般財団法人をいう。以下同じ。)であるときは、設立時会計監査人(一般財団法人の設立に際して会計監査人となる者をいう。以下この節 及び第三百十九条第二項第六号において同じ。)の選任に関する事項
前項第五号の財産の価額の合計額は、三百万円を下回ってはならない。
次に掲げる定款の定めは、その効力を有しない。
第一項第八号の方法として、理事 又は理事会が評議員を選任し、又は解任する旨の定款の定め
設立者に剰余金 又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め
前条第一項各号に掲げる事項のほか、一般財団法人の定款には、この法律の規定により定款の定めがなければその効力を生じない事項 及びその他の事項でこの法律の規定に違反しないものを記載し、又は記録することができる。
第百五十二条第一項 及び第二項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
設立者(一般財団法人の成立後にあっては、当該一般財団法人)は、定款を設立者が定めた場所(一般財団法人の成立後にあっては、その主たる事務所 及び従たる事務所)に備え置かなければならない。
設立者(一般財団法人の成立後にあっては、その評議員 及び債権者)は、設立者が定めた時間(一般財団法人の成立後にあっては、その業務時間)内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
ただし、債権者が第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、設立者(一般財団法人の成立後にあっては、当該一般財団法人)の定めた費用を支払わなければならない。
定款が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧の請求
前号の書面の謄本 又は抄本の交付の請求
定款が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって設立者(一般財団法人の成立後にあっては、当該一般財団法人)の定めたものにより提供することの請求 又はその事項を記載した書面の交付の請求
定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって、従たる事務所における前項第三号 及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている一般財団法人についての第一項の規定の適用については、
同項中
「主たる事務所 及び従たる事務所」とあるのは、
「主たる事務所」と
する。
⤏ 第二款 財産の拠出
設立者(第百五十二条第二項の場合にあっては、遺言執行者。以下この条、第百六十一条第二項、第百六十六条から第百六十八条まで、第二百条第二項、第三百十九条第三項 及び第七章において同じ。)は、第百五十五条の公証人の認証の後遅滞なく、第百五十三条第一項第五号に規定する拠出に係る金銭の全額を払い込み、又は同号に規定する拠出に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。
ただし、設立者が定めたとき(設立者が二人以上あるときは、その全員の同意があるとき)は、登記、登録 その他権利の設定 又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、一般財団法人の成立後にすることを妨げない。
前項の規定による払込みは、設立者が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。
生前の処分で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の贈与に関する規定を準用する。
遺言で財産の拠出をするときは、その性質に反しない限り、民法の遺贈に関する規定を準用する。
⤏ 第三款 設立時評議員等の選任
定款で設立時評議員、設立時理事 又は設立時監事を定めなかったときは、第百五十七条第一項の規定による払込み 又は給付(以下「財産の拠出の履行」という。)が完了した後、遅滞なく、定款で定めるところにより、これらの者を選任しなければならない。
設立しようとする一般財団法人が会計監査人設置一般財団法人である場合において、定款で設立時会計監査人を定めなかったときは、財産の拠出の履行が完了した後、遅滞なく、定款で定めるところにより、設立時会計監査人を選任しなければならない。
設立時評議員 及び設立時理事は、それぞれ三人以上でなければならない。
第百七十三条第一項において準用する第六十五条第一項の規定 又は第百七十七条において準用する第六十五条第一項 若しくは第六十八条第一項 若しくは第三項の規定により成立後の一般財団法人の評議員、理事、監事 又は会計監査人となることができない者は、それぞれ設立時評議員、設立時理事、設立時監事 又は設立時会計監査人となることができない。
第六十五条の二の規定は、設立時評議員、設立時理事 及び設立時監事について準用する。
⤏ 第四款 設立時理事等による調査
設立時理事 及び設立時監事は、その選任後 遅滞なく、次に掲げる事項を調査しなければならない。
財産の拠出の履行が完了していること。
前号に掲げる事項のほか、一般財団法人の設立の手続が法令 又は定款に違反していないこと。
設立時理事 及び設立時監事は、前項の規定による調査により、同項各号に掲げる事項について法令 若しくは定款に違反し、又は不当な事項があると認めるときは、設立者にその旨を通知しなければならない。
⤏ 第五款 設立時代表理事の選定等
設立時理事は、設立時理事の中から一般財団法人の設立に際して代表理事(一般財団法人を代表する理事をいう。第三百二条第二項第六号において同じ。)となる者(以下この条 及び第三百十九条第二項において「設立時代表理事」という。)を選定しなければならない。
設立時理事は、一般財団法人の成立の時までの間、設立時代表理事を解職することができる。
前二項の規定による設立時代表理事の選定 及び解職は、設立時理事の過半数をもって決定する。
⤏ 第六款 一般財団法人の成立
一般財団法人は、その主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立する。
生前の処分で財産の拠出をしたときは、当該財産は、一般財団法人の成立の時から当該一般財団法人に帰属する。
遺言で財産の拠出をしたときは、当該財産は、遺言が効力を生じた時から一般財団法人に帰属したものとみなす。
設立者(第百五十二条第二項の場合にあっては、その相続人)は、一般財団法人の成立後は、錯誤、詐欺 又は強迫を理由として財産の拠出の取消しをすることができない。
⤏ 第七款 設立者等の責任
設立者、設立時理事 又は設立時監事は、一般財団法人の設立についてその任務を怠ったときは、当該一般財団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
設立者、設立時理事 又は設立時監事がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該設立者、設立時理事 又は設立時監事は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
設立者、設立時理事 又は設立時監事が一般財団法人 又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の設立者、設立時理事 又は設立時監事も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。
第百六十六条第一項の規定により設立者、設立時理事 又は設立時監事の負う責任は、総評議員の同意がなければ、免除することができない。
一般財団法人が成立しなかったときは、第百五十二条第一項の設立者は、連帯して、一般財団法人の設立に関してした行為についてその責任を負い、一般財団法人の設立に関して支出した費用を負担する。