次の各号に掲げる行為の無効は、当該各号に定める期間に、訴えをもってのみ主張することができる。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
第二節 訴訟
⤏ 第一款 一般社団法人等の組織に関する訴え
一般社団法人等の設立
一般社団法人等の成立の日から二年以内
一般社団法人等の吸収合併
吸収合併の効力が生じた日から六箇月以内
一般社団法人等の新設合併
新設合併の効力が生じた日から六箇月以内
次の各号に掲げる行為の無効の訴えは、当該各号に定める者に限り、提起することができる。
前項第一号に掲げる行為
設立する一般社団法人等の社員等(社員、評議員、理事、監事 又は清算人をいう。以下この款において同じ。)
前項第二号に掲げる行為
当該行為の効力が生じた日において吸収合併をする一般社団法人等の社員等であった者 又は吸収合併存続法人の社員等、破産管財人 若しくは吸収合併について承認をしなかった債権者
前項第三号に掲げる行為
当該行為の効力が生じた日において新設合併をする一般社団法人等の社員等であった者 又は新設合併設立法人の社員等、破産管財人 若しくは新設合併について承認をしなかった債権者
社員総会 又は評議員会(以下この款 及び第三百十五条第一項第一号ロにおいて「社員総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。
社員総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。
次に掲げる場合には、社員等は、社員総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。
当該決議の取消しにより社員等(第七十五条第一項(第百七十七条 及び第二百十条第四項において準用する場合を含む。)又は第百七十五条第一項の規定により理事、監事、清算人 又は評議員としての権利義務を有する者を含む。)となる者も、同様とする。
社員総会等の招集の手続 又は決議の方法が法令 若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
社員総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
社員総会の決議について特別の利害関係を有する社員が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
前項の訴えの提起があった場合において、社員総会等の招集の手続 又は決議の方法が法令 又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。
次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める者は、一般社団法人等の成立の日から二年以内に、訴えをもって一般社団法人等の設立の取消しを請求することができる。
社員 又は設立者が民法 その他の法律の規定により設立に係る意思表示を取り消すことができるとき
当該社員 又は設立者
設立者がその債権者を害することを知って一般財団法人を設立したとき
当該債権者
次に掲げる場合において、やむを得ない事由があるときは、総社員の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員 又は評議員は、訴えをもって一般社団法人等の解散を請求することができる。
一般社団法人等が業務の執行において著しく困難な状況に至り、当該一般社団法人等に回復することができない損害が生じ、又は生ずるおそれがあるとき。
一般社団法人等の財産の管理 又は処分が著しく失当で、当該一般社団法人等の存立を危うくするとき。
次の各号に掲げる訴え(以下この節において「一般社団法人等の組織に関する訴え」と総称する。)については、当該各号に定める者を被告とする。
一般社団法人等の設立の無効の訴え
設立する一般社団法人等
一般社団法人等の吸収合併の無効の訴え
吸収合併存続法人
一般社団法人等の新設合併の無効の訴え
新設合併設立法人
社員総会等の決議が存在しないこと 又は社員総会等の決議の内容が法令に違反することを理由として当該決議が無効であることの確認の訴え
当該一般社団法人等
社員総会等の決議の取消しの訴え
当該一般社団法人等
第二百六十七条第一号の規定による一般社団法人等の設立の取消しの訴え
当該一般社団法人等
第二百六十七条第二号の規定による一般財団法人の設立の取消しの訴え
当該一般財団法人 及び同号の設立者
一般社団法人等の解散の訴え
当該一般社団法人等
一般社団法人等の組織に関する訴えは、被告となる一般社団法人等の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
一般社団法人等の組織に関する訴えであって、社員が提起することができるものについては、裁判所は、被告の申立てにより、当該一般社団法人等の組織に関する訴えを提起した社員に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
ただし、当該社員が理事、監事 又は清算人であるときは、この限りでない。
前項の規定は、一般社団法人等の組織に関する訴えであって、債権者が提起することができるものについて準用する。
被告は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の申立てをするには、原告の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければならない。
同一の請求を目的とする一般社団法人等の組織に関する訴えに係る二以上の訴訟が同時に係属するときは、その弁論 及び裁判は、併合してしなければならない。
一般社団法人等の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する。
一般社団法人等の組織に関する訴え(第二百六十九条第一号から第三号まで、第六号 及び第七号に掲げる訴えに限る。)に係る請求を認容する判決が確定したときは、当該判決において無効とされ、又は取り消された行為(当該行為によって一般社団法人等が設立された場合にあっては、当該設立を含む。)は、将来に向かってその効力を失う。
次の各号に掲げる行為の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定したときは、当該行為をした一般社団法人等は、当該行為の効力が生じた日後に当該各号に定める一般社団法人等が負担した債務について、連帯して弁済する責任を負う。
一般社団法人等の吸収合併
吸収合併存続法人
一般社団法人等の新設合併
新設合併設立法人
前項に規定する場合には、同項各号に掲げる行為の効力が生じた日後に当該各号に定める一般社団法人等が取得した財産は、当該行為をした一般社団法人等の共有に属する。
前二項に規定する場合には、各一般社団法人等の第一項の債務の負担部分 及び前項の財産の共有持分は、各一般社団法人等の協議によって定める。
各一般社団法人等の第一項の債務の負担部分 又は第二項の財産の共有持分について、前項の協議が調わないときは、裁判所は、各一般社団法人等の申立てにより、第一項各号に掲げる行為の効力が生じた時における各一般社団法人等の財産の額 その他一切の事情を考慮して、これを定める。
一般社団法人の設立の無効 又は取消しの訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合において、その無効 又は取消しの原因が一部の社員のみにあるときは、他の社員の全員の同意によって、当該一般社団法人を継続することができる。
この場合においては、当該原因がある社員は、退社したものとみなす。
前項前段の規定は、一般財団法人の設立の無効 又は取消しの訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合について準用する。
この場合において、
同項中
「社員」とあるのは、
「設立者」と
読み替えるものとする。
一般社団法人等の組織に関する訴えを提起した原告が敗訴した場合において、原告に悪意 又は重大な過失があったときは、原告は、被告に対し、連帯して損害を賠償する責任を負う。
⤏ 第二款 一般社団法人における責任追及の訴え
社員は、一般社団法人に対し、書面 その他の法務省令で定める方法により、設立時社員、設立時理事、役員等(第百十一条第一項に規定する役員等をいう。第三項において同じ。)又は清算人の責任を追及する訴え(以下この款において「責任追及の訴え」という。)の提起を請求することができる。
ただし、責任追及の訴えが当該社員 若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該一般社団法人に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
一般社団法人が前項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及の訴えを提起しないときは、当該請求をした社員は、一般社団法人のために、責任追及の訴えを提起することができる。
一般社団法人は、第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及の訴えを提起しない場合において、当該請求をした社員 又は同項の設立時社員、設立時理事、役員等 若しくは清算人から請求を受けたときは、当該請求をした者に対し、遅滞なく、責任追及の訴えを提起しない理由を書面 その他の法務省令で定める方法により通知しなければならない。
第一項 及び第二項の規定にかかわらず、同項の期間の経過により一般社団法人に回復することができない損害が生ずるおそれがある場合には、第一項の社員は、一般社団法人のために、直ちに責任追及の訴えを提起することができる。
ただし、同項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
第二項 又は前項の責任追及の訴えは、訴訟の目的の価額の算定については、財産権上の請求でない請求に係る訴えとみなす。
社員が責任追及の訴えを提起したときは、裁判所は、被告の申立てにより、当該社員に対し、相当の担保を立てるべきことを命ずることができる。
被告が前項の申立てをするには、責任追及の訴えの提起が悪意によるものであることを疎明しなければならない。
責任追及の訴えは、一般社団法人の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
社員 又は一般社団法人は、共同訴訟人として、又は当事者の一方を補助するため、責任追及の訴えに係る訴訟に参加することができる。
ただし、不当に訴訟手続を遅延させることとなるとき、又は裁判所に対し過大な事務負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
監事設置一般社団法人が、理事 及び清算人 並びにこれらの者であった者を補助するため、責任追及の訴えに係る訴訟に参加するには、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)の同意を得なければならない。
社員は、責任追及の訴えを提起したときは、遅滞なく、一般社団法人に対し、訴訟告知をしなければならない。
一般社団法人は、責任追及の訴えを提起したとき、又は前項の訴訟告知を受けたときは、遅滞なく、その旨を社員に通知しなければならない。
監事設置一般社団法人が、当該監事設置一般社団法人の理事 及び清算人 並びにこれらの者であった者の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解をするには、監事(監事が二人以上ある場合にあっては、各監事)の同意を得なければならない。
民事訴訟法第二百六十七条の規定は、一般社団法人が責任追及の訴えに係る訴訟における和解の当事者でない場合には、当該訴訟における訴訟の目的については、適用しない。
ただし、当該一般社団法人の承認がある場合は、この限りでない。
前項に規定する場合において、裁判所は、一般社団法人に対し、和解の内容を通知し、かつ、当該和解に異議があるときは二週間以内に異議を述べるべき旨を催告しなければならない。
一般社団法人が前項の期間内に書面により異議を述べなかったときは、同項の規定による通知の内容で社員が和解をすることを承認したものとみなす。
第二十五条、第百十二条(第二百十七条第四項において準用する場合を含む。)及び第百四十一条第五項(同項ただし書に規定する超過額を超えない部分について負う責任に係る部分に限る。)の規定は、責任追及の訴えに係る訴訟における和解をする場合には、適用しない。
責任追及の訴えを提起した社員が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、当該責任追及の訴えに係る訴訟に関し、必要な費用(訴訟費用を除く。)を支出したとき 又は弁護士、弁護士法人 若しくは弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該一般社団法人に対し、その費用の額の範囲内 又はその報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
責任追及の訴えを提起した社員が敗訴した場合であっても、悪意があったときを除き、当該社員は、当該一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する義務を負わない。
前二項の規定は、第二百八十条第一項の規定により同項の訴訟に参加した社員について準用する。
責任追及の訴えが提起された場合において、原告 及び被告が共謀して責任追及の訴えに係る訴訟の目的である一般社団法人の権利を害する目的をもって判決をさせたときは、一般社団法人 又は社員は、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。
前条の規定は、前項の再審の訴えについて準用する。
⤏ 第三款 一般社団法人等の役員等の解任の訴え
理事、監事 又は評議員(以下この款において「役員等」という。)の職務の執行に関し不正の行為 又は法令 若しくは定款に違反する重大な事実があったにもかかわらず、当該役員等を解任する旨の議案が社員総会 又は評議員会において否決されたときは、次に掲げる者は、当該社員総会 又は評議員会の日から三十日以内に、訴えをもって当該役員等の解任を請求することができる。
総社員(当該請求に係る理事 又は監事である社員を除く。)の議決権の十分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する社員(当該請求に係る理事 又は監事である社員を除く。)
前条の訴え(次条 及び第三百十五条第一項第一号ニにおいて「一般社団法人等の役員等の解任の訴え」という。)については、当該一般社団法人等 及び前条の役員等を被告とする。
一般社団法人等の役員等の解任の訴えは、当該一般社団法人等の主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。