この法律は、中部圏の開発 及び整備に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、東海地方、北陸地方等相互間の産業経済等の関係の緊密化を促進するとともに、首都圏と近畿圏の中間に位する地域としての機能を高め、わが国の産業経済等において重要な地位を占めるにふさわしい中部圏の建設と その均衡ある発展を図り、あわせて社会福祉の向上に寄与することを目的とする。
中部圏開発整備法
第一章 総則
この法律で「中部圏」とは、富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県 及び滋賀県の区域を一体とした広域をいう。
この法律で「中部圏開発整備計画」とは、中部圏の建設とその均衡ある発展を図るため必要な中部圏の開発 及び整備に関する計画をいう。
この法律で「都市整備区域」とは、中部圏の地域のうち第十三条第一項の規定により指定された区域をいう。
この法律で「都市開発区域」とは、都市整備区域以外の中部圏の地域のうち第十四条第一項の規定により指定された区域をいう。
この法律で「保全区域」とは、中部圏の地域内において観光資源を保全し、若しくは開発し、緑地を保全し、又は文化財を保存する必要がある区域で、第十六条第一項の規定により指定された区域をいう。
第三章 国土審議会の調査審議等
国土審議会(以下「審議会」という。)は、国土交通大臣の諮問に応じ、中部圏開発整備計画の策定 及び実施に関する重要事項について調査審議する。
審議会は、前項に規定する事項について国土交通大臣に意見を述べることができる。
第四章 中部圏開発整備地方協議会
中部圏の開発 及び整備に関する重要事項を調査審議するため、関係県は、その協議により規約を定め、共同して、中部圏開発整備地方協議会を設置する。
前項の規定による関係県の協議については、当該県の議会の議決を経なければならない。
中部圏開発整備地方協議会は、次に掲げる者をもつて組織する。
関係県の知事 及び関係指定都市(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市をいう。以下この項において同じ。)の市長
関係県 及び関係指定都市の議会の議長
関係市の市長(関係指定都市の市長を除く。)を代表する者として関係県の知事が協議して指名する者
関係市の議会の議長(関係指定都市の議会の議長を除く。)を代表する者として関係県の知事が協議して指名する者
関係町村の町村長を代表する者として関係県の知事が協議して指名する者
関係町村の議会の議長を代表する者として関係県の知事が協議して指名する者
学識経験のある者のうちから関係県の知事が協議して指名する者
この法律に定めるもののほか、中部圏開発整備地方協議会の組織 及び運営に関し必要な事項は、規約で定めるものとする。
第五章 中部圏開発整備計画
中部圏開発整備計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
中部圏内の人口規模、土地利用の基本的方向 その他中部圏の開発 及び整備に関して基本となるべき事項
都市整備区域、都市開発区域 及び保全区域の指定に関する事項
次に掲げる事項で根幹となるべきものとして政令で定めるもの
道路、鉄道、港湾、空港、運河等の交通施設 及び通信施設の整備に関する事項
水資源の開発 及び利用に関する事項
国土保全施設の整備に関する事項
公害の発生の防止に関する施設 その他公害の防止に関する事項
中部圏開発整備計画は、国土形成計画法(昭和二十五年法律第二百五号)第二条第一項に規定する国土形成計画との調和が保たれたものでなければならない。
関係県は、その協議により、中部圏開発整備地方協議会の調査審議を経て中部圏開発整備計画の案を作成し、これを国土交通大臣に提出しなければならない。
中部圏開発整備計画は、前条の規定により提出された案に基づいて作成するものとする。
国土交通大臣は、中部圏開発整備計画を作成するについて必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体 及び関係のある事業を営む者(以下「関係事業者」という。)に対し、資料の提出、意見の開陳、説明 その他の必要な協力を求めることができる。
中部圏開発整備計画は、国土交通大臣が、審議会の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議して、決定するものとする。
この場合において、国土交通大臣は、関係県から意見の申出を受けたときは、遅滞なくこれに回答するものとする。
国土交通大臣は、中部圏開発整備計画の決定をするに当たつて、中部圏開発整備計画が前条の規定により提出された案と著しく異なるものである場合 その他特別の必要があると認める場合には、関係県の意見を聴くものとする。
この場合において、国土交通大臣は、関係県から意見の申出を受けたときは、遅滞なくこれに回答するものとする。
国土交通大臣は、中部圏開発整備計画を決定したときは、これを関係行政機関の長 及び関係地方公共団体に送付するとともに、国土交通省令の定めるところにより公表しなければならない。
前項の規定により公表された事項に関し利害関係を有する者は、公表の日から三十日以内に、国土交通省令の定めるところにより国土交通大臣に意見を申し出ることができる。
前項の規定による申出があつたときは、国土交通大臣は、その申出を考慮して必要な措置を講じなければならない。
中部圏開発整備計画は、情勢の推移により適当でなくなつたとき、その他これを変更することが適当であると認められるときは、変更することができる。
関係県は、前項に規定する事由に該当すると認めるときは、その協議により、国土交通大臣に対し、中部圏開発整備計画の変更の申出をすることができる。
前条第二項、第三項 及び第五項から第七項までの規定は、第一項の中部圏開発整備計画の変更について準用する。
この場合において、
同条第三項中
「審議会」とあるのは、
「審議会 及び関係県」と
読み替えるものとする。
第六章 中部圏開発整備計画の実施
国土交通大臣は、中部圏の地域内において、産業の開発の程度が高く、さらに経済の発展が予想される地域で当該地域の発展の進度に応じ都市の機能が十分に発揮されるよう計画的に基盤整備を行なう必要がある区域を都市整備区域として指定することができる。
国土交通大臣は、都市整備区域を指定しようとするときは、関係地方公共団体 及び審議会の意見を聴くとともに、関係行政機関の長に協議しなければならない。
この場合において、国土交通大臣は、関係地方公共団体から意見の申出を受けたときは、遅滞なくこれに回答するものとする。
都市整備区域の指定は、国土交通大臣が国土交通省令の定めるところにより告示することによつて、その効力を生ずる。
国土交通大臣は、中部圏の均衡ある発展を図るため、都市整備区域以外の中部圏の地域のうち、工業等の産業都市 その他当該地域の発展の中心的な都市として開発整備することを必要とする区域を都市開発区域として指定することができる。
前条第二項 及び第三項の規定は、前項の都市開発区域の指定について準用する。
前二条に定めるもののほか、都市整備区域内 及び都市開発区域内における宅地の造成 その他都市整備区域 及び都市開発区域の整備 及び開発に関し必要な事項は、別に法律で定める。
国土交通大臣は、中部圏の地域内において観光資源を保全し、若しくは開発し、緑地を保全し、又は文化財を保存する必要があると認める区域を保全区域として指定することができる。
第十三条第二項 及び第三項の規定は、前項の保全区域の指定について準用する。
保全区域の整備に関し特別の措置を必要とするときは、別に法律で定めるものとする。
中部圏開発整備計画に基づく事業は、この法律に定めるもののほか、当該事業に関する法律(これに基づく命令を含む。)の規定に従い、国、地方公共団体 又は関係事業者が実施するものとする。
関係行政機関の長、関係地方公共団体 及び関係事業者は、中部圏開発整備計画の実施に関し、できる限り協力しなければならない。
国土交通大臣は、必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体 又は関係事業者に対し、中部圏開発整備計画の実施に関し勧告し、及びその勧告によつてとられた措置 その他中部圏開発整備計画の実施に関する状況について報告を求めることができる。
国土交通大臣は、毎年度、前年度における中部圏開発整備計画の実施に関する状況を公表しなければならない。
国土交通大臣は、中部圏の建設と その均衡ある発展を図るため特に必要があると認めるときは、審議会の意見を聴いて中部圏開発整備計画に関する総合的な施策を立案し、これに基づいて関係行政機関の長 及び関係地方公共団体に対し、勧告し、及びその勧告によつてとられた措置について報告を求めることができる。
国は、中部圏開発整備計画に基づく事業の用に供するため必要があると認めるときは、その事業の執行に要する費用を負担する地方公共団体に対し、普通財産を譲渡することができる。
政府は、中部圏開発整備計画を実施するため必要な資金の確保を図り、かつ、国の財政の許す範囲内において、その実施を促進することに努めなければならない。
地方公共団体が中部圏開発整備計画を達成するために行なう事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情 及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。