刑事訴訟法

# 昭和二十三年法律第百三十一号 #
略称 : 刑訴法 

第五節 公判の裁判

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十六号による改正
最終編集日 : 2024年 03月12日 02時50分


1項

被告事件が裁判所の管轄に属しないときは、判決で管轄違の言渡をしなければならない。


但し第二百六十六条第二号の規定により地方裁判所の審判に付された事件については、管轄違の言渡をすることはできない

1項

高等裁判所は、その特別権限に属する事件として公訴の提起があつた場合において、その事件が下級の裁判所の管轄に属するものと認めるときは、前条の規定にかかわらず、決定で管轄裁判所にこれを移送しなければならない。

1項

裁判所は、被告人の申立がなければ、土地管轄について、管轄違の言渡をすることができない

○2項

管轄違の申立は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをすることができない

1項

簡易裁判所は、地方裁判所において審判するのを相当と認めるときは、決定で管轄地方裁判所にこれを移送しなければならない。

1項

被告事件について犯罪の証明があつたときは、第三百三十四条の場合を除いては、判決で刑の言渡をしなければならない。

○2項

刑の執行猶予は、刑の言渡しと同時に、判決でその言渡しをしなければならない。


猶予の期間中 保護観察に付する場合も、同様とする。

1項

被告事件について刑を免除するときは、判決でその旨の言渡をしなければならない。

1項

有罪の言渡をするには、罪となるべき事実、証拠の標目 及び法令の適用を示さなければならない。

○2項

法律上犯罪の成立を妨げる理由 又は刑の加重減免の理由となる事実が主張されたときは、これに対する判断を示さなければならない。

1項

被告事件が罪とならないとき、又は被告事件について犯罪の証明がないときは、判決で無罪の言渡をしなければならない。

1項

左の場合には、判決で免訴の言渡をしなければならない。

一 号
確定判決を経たとき。
二 号

犯罪後の法令により刑が廃止されたとき。

三 号
大赦があつたとき。
四 号
時効が完成したとき。
1項

左の場合には、判決で公訴を棄却しなければならない。

一 号
被告人に対して裁判権を有しないとき。
二 号

第三百四十条の規定に違反して公訴が提起されたとき。

三 号

公訴の提起があつた事件について、更に同一裁判所に公訴が提起されたとき。

四 号

公訴提起の手続がその規定に違反したため無効であるとき。

1項

左の場合には、決定で公訴を棄却しなければならない。

一 号

第二百七十一条第二項の規定により公訴の提起がその効力を失つたとき。

二 号

起訴状に記載された事実が真実であつても、何らの罪となるべき事実を包含していないとき。

三 号
公訴が取り消されたとき。
四 号

被告人が死亡し、又は被告人たる法人が存続しなくなつたとき。

五 号

第十条 又は第十一条の規定により審判してはならないとき。

○2項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

公訴の取消による公訴棄却の決定が確定したときは、公訴の取消後犯罪事実につきあらたに重要な証拠を発見した場合に限り、同一事件について更に公訴を提起することができる。

1項

被告人が陳述をせず、許可を受けないで退廷し、又は秩序維持のため裁判長から退廷を命ぜられたときは、その陳述を聴かないで判決をすることができる。

1項

判決は、公判廷において、宣告によりこれを告知する。

1項

禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつたときは、保釈 又は勾留の執行停止は、その効力を失う


この場合には、あらたに保釈 又は勾留の執行停止の決定がないときに限り、第九十八条の規定を準用する。

2項

前項の場合には、新たに保釈 又は勾留の執行停止の決定がないときに限り、第九十八条 及び第二百七十一条の八第五項第三百十二条の二第四項において準用する 場合を含む。以下 この項において同じ。)の規定を準用する。


この場合において、

第二百七十一条の八第五項
第一項(」とあるのは、
第二百七十一条の八第一項(」と

読み替えるものとする。

1項
検察官は、拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告により保釈 又は勾留の執行停止が その効力を失つた場合において、被告人が刑事施設に収容されていないときは、被告人に対し、指定する日時 及び場所に出頭することを命ずることができる。
1項

前条の規定による命令を受けた被告人が、正当な理由がなく、指定された日時 及び場所に出頭しないときは、二年以下の拘禁刑に処する。

1項

禁錮以上の刑に処する判決の宣告があつた後は、第六十条第二項但書 及び第八十九条の規定は、これを適用しない

2項

拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告があつた後は、第九十条の規定による保釈を許すには、同条に規定する不利益 その他の不利益の程度が著しく高い場合でなければならない。


ただし、保釈された場合に被告人が逃亡するおそれの程度が高くないと認めるに足りる相当な理由があるときは、この限りでない。

1項

無罪、免訴、刑の免除、刑の全部の執行猶予、公訴棄却(第三百三十八条第四号による場合を除く)、罰金 又は科料の裁判の告知があつたときは、勾留状は、その効力を失う。

1項

押収した物について、没収の言渡がないときは、押収を解く言渡があつたものとする。

1項

押収した贓物で被害者に還付すべき理由が明らかなものは、これを被害者に還付する言渡をしなければならない。

○2項

贓物の対価として得た物について、被害者から交付の請求があつたときは、前項の例による。

○3項

仮に還付した物について、別段の言渡がないときは、還付の言渡があつたものとする。

○4項

前三項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張することを妨げない。

1項

裁判所は、罰金、科料 又は追徴を言い渡す場合において、判決の確定を待つてはその執行をすることができず、又はその執行をするのに著しい困難を生ずる虞があると認めるときは、検察官の請求により 又は職権で、被告人に対し、仮に罰金、科料 又は追徴に相当する金額を納付すべきことを命ずることができる。

○2項

仮納付の裁判は、刑の言渡と同時に、判決でその言渡をしなければならない。

○3項

仮納付の裁判は、直ちにこれを執行することができる。

1項

刑の執行猶予の言渡を取り消すべき場合には、検察官は、刑の言渡を受けた者の現在地 又は最後の住所地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所に対しその請求をしなければならない。

○2項

刑法第二十六条の二第二号 又は第二十七条の五第二号の規定により刑の執行猶予の言渡しを取り消すべき場合には、前項の請求は、保護観察所の長の申出に基づいてこれをしなければならない。

1項

前条の請求があつたときは、裁判所は、猶予の言渡を受けた者 又はその代理人の意見を聴いて決定をしなければならない。

○2項

前項の場合において、その請求が刑法第二十六条の二第二号 又は第二十七条の五第二号の規定による猶予の言渡しの取消しを求めるものであつて、猶予の言渡しを受けた者の請求があるときは、口頭弁論を経なければならない。

○3項

第一項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、猶予の言渡を受けた者は、弁護人を選任することができる。

○4項

第一項の決定をするについて口頭弁論を経る場合には、検察官は、裁判所の許可を得て、保護観察官に意見を述べさせることができる。

○5項

第一項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

刑法第五十二条の規定により刑を定むべき場合には、検察官は、その犯罪事実について最終の判決をした裁判所にその請求をしなければならない。


この場合には、前条第一項 及び第五項の規定を準用する。