母子及び父子並びに寡婦福祉法

# 昭和三十九年法律第百二十九号 #
略称 : 母子父子寡婦法  母子父子寡婦福祉法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十六号による改正
最終編集日 : 2023年 04月04日 09時42分


1項
この法律は、母子家庭等 及び寡婦の福祉に関する原理を明らかにするとともに、母子家庭等 及び寡婦に対し、その生活の安定と向上のために必要な措置を講じ、もつて母子家庭等 及び寡婦の福祉を図ることを目的とする。
1項

全て母子家庭等には、児童が、その置かれている環境にかかわらず、心身ともに健やかに育成されるために必要な諸条件と、その母子家庭の母 及び父子家庭の父の健康で文化的な生活とが保障されるものとする。

2項
寡婦には、母子家庭の母 及び父子家庭の父に準じて健康で文化的な生活が保障されるものとする。
1項
国 及び地方公共団体は、母子家庭等 及び寡婦の福祉を増進する責務を有する。
2項

国 及び地方公共団体は、母子家庭等 又は寡婦の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前条に規定する理念が具現されるように配慮しなければならない。

1項

第八条第一項に規定する母子・父子自立支援員、福祉事務所(社会福祉法昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)その他母子家庭の福祉に関する機関、児童福祉法昭和二十二年法律第百六十四号)に定める児童委員、売春防止法昭和三十一年法律第百十八号第三十五条第一項に規定する婦人相談員、児童福祉法第四十四条の二第一項に規定する児童家庭支援センター、同法第三十八条に規定する母子生活支援施設、第十七条第一項第三十条第三項 又は第三十一条の五第二項の規定により都道府県 又は市(特別区を含む。以下同じ。)町村から委託を受けている者、第三十八条に規定する母子・父子福祉施設、母子・父子福祉団体、公共職業安定所 その他母子家庭の支援を行う関係機関は、母子家庭の母 及び児童の生活の安定と向上のために相互に協力しなければならない。

2項

第八条第一項に規定する母子・父子自立支援員、福祉事務所 その他父子家庭の福祉に関する機関、児童福祉法に定める児童委員、同法第四十四条の二第一項に規定する児童家庭支援センター、第三十一条の七第一項第三十一条の九第三項 又は第三十一条の十一第二項の規定により都道府県 又は市町村から委託を受けている者、第三十八条に規定する母子・父子福祉施設、母子・父子福祉団体、公共職業安定所 その他父子家庭の支援を行う関係機関は、父子家庭の父 及び児童の生活の安定と向上のために相互に協力しなければならない。

3項

第八条第一項に規定する母子・父子自立支援員、福祉事務所 その他寡婦の福祉に関する機関、第三十三条第一項第三十五条第三項 又は第三十五条の二第二項の規定により都道府県 又は市町村から委託を受けている者、第三十八条に規定する母子・父子福祉施設、母子・父子福祉団体、公共職業安定所 その他寡婦の支援を行う関係機関は、寡婦の生活の安定と向上のために相互に協力しなければならない。

1項
母子家庭の母 及び父子家庭の父 並びに寡婦は、自ら進んでその自立を図り、家庭生活 及び職業生活の安定と向上に努めなければならない。
1項
母子家庭等の児童の親は、当該児童が心身ともに健やかに育成されるよう、当該児童の養育に必要な費用の負担 その他当該児童についての扶養義務を履行するように努めなければならない。
2項
母子家庭等の児童の親は、当該児童が心身ともに健やかに育成されるよう、当該児童を監護しない親の当該児童についての扶養義務の履行を確保するように努めなければならない。
3項
国 及び地方公共団体は、母子家庭等の児童が心身ともに健やかに育成されるよう、当該児童を監護しない親の当該児童についての扶養義務の履行を確保するために広報 その他適切な措置を講ずるように努めなければならない。
1項

この法律において「配偶者のない女子」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と死別した女子であつて、現に婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)をしていないもの及びこれに準ずる次に掲げる女子をいう。

一 号
離婚した女子であつて現に婚姻をしていないもの
二 号
配偶者の生死が明らかでない女子
三 号
配偶者から遺棄されている女子
四 号
配偶者が海外にあるためその扶養を受けることができない女子
五 号
配偶者が精神 又は身体の障害により長期にわたつて労働能力を失つている女子
六 号

前各号に掲げる者に準ずる女子であつて政令で定めるもの

2項

この法律において「配偶者のない男子」とは、配偶者と死別した男子であつて、現に婚姻をしていないもの及びこれに準ずる次に掲げる男子をいう。

一 号
離婚した男子であつて現に婚姻をしていないもの
二 号
配偶者の生死が明らかでない男子
三 号
配偶者から遺棄されている男子
四 号
配偶者が海外にあるためその扶養を受けることができない男子
五 号
配偶者が精神 又は身体の障害により長期にわたつて労働能力を失つている男子
六 号

前各号に掲げる者に準ずる男子であつて政令で定めるもの

3項

この法律において「児童」とは、二十歳に満たない者をいう。

4項

この法律において「寡婦」とは、配偶者のない女子であつて、かつて配偶者のない女子として民法明治二十九年法律第八十九号第八百七十七条の規定により児童を扶養していたことのあるものをいう。

5項

この法律において「母子家庭等」とは、母子家庭 及び父子家庭をいう。

6項

この法律において「母子・父子福祉団体」とは、配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの(配偶者のない女子であつて民法第八百七十七条の規定により現に児童を扶養しているもの(以下「配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの」という。)又は配偶者のない男子であつて同条の規定により現に児童を扶養しているもの(以下「配偶者のない男子で現に児童を扶養しているもの」という。)をいう。第八条第二項において同じ。)の福祉 又はこれに併せて寡婦の福祉を増進することを主たる目的とする次の各号に掲げる法人であつて当該各号に定めるその役員の過半数が配偶者のない女子 又は配偶者のない男子であるものをいう。

一 号
社会福祉法人 理事
二 号

前号に掲げるもののほか、営利を目的としない法人であつて内閣府令で定めるもの内閣府令で定める役員

1項

次の各号に掲げる機関は、母子家庭等の福祉に関する事項につき、調査審議するほか、当該各号に定める者の諮問に答え、又は関係行政機関に意見を具申することができる。

一 号

児童福祉法第八条第二項に規定する都道府県児童福祉審議会(同条第一項ただし書に規定する都道府県にあつては、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会)都道府県知事

二 号

児童福祉法第八条第四項に規定する市町村児童福祉審議会 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。

1項

都道府県知事、市長(特別区の区長を含む。)及び福祉事務所を管理する町村長(以下「都道府県知事等」という。)は、社会的信望があり、かつ、次項に規定する職務を行うに必要な熱意と識見を持つている者のうちから、母子・父子自立支援員を委嘱するものとする。

2項
母子・父子自立支援員は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。
一 号

配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの 及び寡婦に対し、相談に応じ、その自立に必要な情報提供 及び指導を行うこと。

二 号

配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの 及び寡婦に対し、職業能力の向上 及び求職活動に関する支援を行うこと。

3項

都道府県、市 及び福祉事務所を設置する町村(以下「都道府県等」という。)は、母子・父子自立支援員の研修の実施 その他の措置を講ずることにより、母子・父子自立支援員 その他の母子家庭の母 及び父子家庭の父 並びに寡婦の自立の支援に係る事務に従事する人材の確保 及び資質の向上を図るよう努めるものとする。

1項

福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。

一 号
母子家庭等 及び寡婦の福祉に関し、母子家庭等 及び寡婦 並びに母子・父子福祉団体の実情 その他必要な実情の把握に努めること。
二 号
母子家庭等 及び寡婦の福祉に関する相談に応じ、必要な調査 及び指導を行うこと、並びにこれらに付随する業務を行うこと。
1項

児童福祉法に定める児童委員は、この法律の施行について、福祉事務所の長 又は母子・父子自立支援員の行う職務に協力するものとする。

1項
都道府県等は、母子家庭等 及び寡婦が母子家庭等 及び寡婦の生活の安定と向上のために最も適切な支援を総合的に受けられるようにするため、地域の実情に応じた母子家庭等 及び寡婦の生活の安定と向上のための措置の積極的かつ計画的な実施 及び周知 並びに母子家庭等 及び寡婦の生活の安定と向上のための支援を行う者の活動の連携 及び調整を図るよう努めなければならない。