津波防災地域づくりに関する法律

# 平成二十三年法律第百二十三号 #

第九章 津波災害特別警戒区域

分類 法律
カテゴリ   都市計画
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十八号
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、警戒区域のうち、津波が発生した場合には建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命 又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、一定の開発行為(に規定する開発行為をいう。 及びにおいて同じ。)及び一定の建築物(居室(に規定する居室をいう。以下同じ。)を有するものに限る。以下同じ。)の建築(に規定する建築をいう。以下同じ。)又は用途の変更の制限をすべき土地の区域を、津波災害特別警戒区域(以下「特別警戒区域」という。)として指定することができる。

2項

前項の規定による指定は、当該指定の区域を明らかにしてするものとする。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該指定の案を、当該指定をしようとする理由を記載した書面を添えて、当該公告から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。

4項

前項の規定による公告があったときは、住民 及び利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、縦覧に供された指定の案について、都道府県知事に意見書を提出することができる。

5項

都道府県知事は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ前項の規定により提出された意見書の写しを添えて、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

6項

都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨 及び当該指定の区域を公示しなければならない。

7項

都道府県知事は、前項の規定による公示をしたときは、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、関係市町村長に、同項の規定により公示された事項を記載した図書を送付しなければならない。

8項

第一項の規定による指定は、第六項の規定による公示によってその効力を生ずる。

9項

関係市町村長は、第七項の図書を当該市町村の事務所において、公衆の縦覧に供しなければならない。

10項

都道府県知事は、海岸保全施設 又は津波防護施設の整備の実施 その他の事由により、特別警戒区域の全部 又は一部について第一項の規定による指定の事由がなくなったと認めるときは、当該特別警戒区域の全部 又は一部について当該指定を解除するものとする。

11項

第二項から第九項までの規定は、第一項の規定による指定の変更 又は前項の規定による当該指定の解除について準用する。

1項

特別警戒区域内において、政令で定める土地の形質の変更を伴う開発行為で当該開発行為をする土地の区域内において建築が予定されている建築物(以下「予定建築物」という。)の用途が制限用途であるもの(以下「特定開発行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(地方自治法昭和二十二年法律第六十七号に規定する指定都市(第三項 及びにおいて「指定都市」という。)又はに規定する中核市(第三項において「中核市」という。)の区域内にあっては、それぞれの長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。

2項

前項の制限用途とは、予定建築物の用途で、次に掲げる用途以外の用途でないものをいう。

一 号

高齢者、障害者、乳幼児 その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する社会福祉施設、学校 及び医療施設(政令で定めるものに限る

二 号

前号に掲げるもののほか、津波の発生時における利用者の円滑かつ迅速な避難を確保することができないおそれが大きいものとして特別警戒区域内の区域であって市町村の条例で定めるものごとに市町村の条例で定める用途

3項

市町村(指定都市 及び中核市を除く)は、前項第二号の条例を定めようとするときは、あらかじめ、都道府県知事と協議し、その同意を得なければならない。

4項

第一項の規定は、次に掲げる行為については、適用しない

一 号

特定開発行為をする土地の区域(以下「開発区域- 」という。)が特別警戒区域の内外にわたる場合における、特別警戒区域外においてのみ第一項の制限用途の建築物の建築がされる予定の特定開発行為

二 号

開発区域が第二項第二号の条例で定める区域の内外にわたる場合における、当該区域外においてのみ第一項の制限用途(同号の条例で定める用途に限る)の建築物の建築がされる予定の特定開発行為

三 号

非常災害のために必要な応急措置として行う行為 その他の政令で定める行為

1項

の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。

一 号

開発区域の位置、区域 及び規模

二 号

予定建築物(の制限用途のものに限る)の用途 及びその敷地の位置

三 号

特定開発行為に関する工事の計画

四 号

その他国土交通省令で定める事項

2項

前項の申請書には、国土交通省令で定める図書を添付しなければならない。

1項

都道府県知事等は、の許可の申請があったときは、特定開発行為に関する工事の計画が、擁壁の設置 その他の津波が発生した場合における開発区域内の土地の安全上必要な措置を国土交通省令で定める技術的基準に従い講じるものであり、かつ、その申請の手続がこの法律 及びこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。

1項

国 又は地方公共団体が行う特定開発行為については、国 又は地方公共団体と都道府県知事等との協議が成立することをもっての許可を受けたものとみなす。

2項

又はの許可を受けた特定開発行為は、の許可を受けたものとみなす。

1項

都道府県知事等は、の許可の申請があったときは、遅滞なく、許可 又は不許可の処分をしなければならない。

2項

前項の処分をするには、文書をもって当該申請をした者に通知しなければならない。

1項

の許可(この項の規定による許可を含む。)を受けた者は、に掲げる事項の変更をしようとする場合においては、都道府県知事等の許可を受けなければならない。


ただし、変更後の予定建築物の用途がの制限用途以外のものであるとき、又は国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定める事項を記載した申請書を都道府県知事等に提出しなければならない。

3項

の許可を受けた者は、第一項ただし書に該当する変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。

4項

の規定は、第一項の許可について準用する。

5項

第一項の許可 又は第三項の規定による届出の場合におけるの規定の適用については、第一項の許可 又は第三項の規定による届出に係る変更後の内容をの許可の内容とみなす。

6項

の規定によりの許可を受けたものとみなされた特定開発行為に係るの許可 又はの規定による届出は、当該特定開発行為に係る第一項の許可 又は第三項の規定による届出とみなす。

1項

の許可を受けた者は、当該許可に係る特定開発行為(の規定によりの許可を受けたものとみなされた特定開発行為を除く)に関する工事の全てを完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。

2項

都道府県知事等は、前項の規定による届出があったときは、遅滞なく、当該工事がの国土交通省令で定める技術的基準に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該技術的基準に適合していると認めたときは、国土交通省令で定める様式の検査済証を当該届出をした者に交付しなければならない。

3項

都道府県知事等は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨 及び当該工事の完了後において当該工事に係る開発区域(特別警戒区域内のものに限る)に地盤面の高さが基準水位以上である土地の区域があるときはその区域を公告しなければならない。

1項

の許可を受けた開発区域(特別警戒区域内のものに限る)内の土地においては、の規定による公告 又はの規定によりの許可を受けたものとみなされた特定開発行為に係るの規定による公告があるまでの間は、の制限用途の建築物の建築をしてはならない。


ただし、開発行為に関する工事用の仮設建築物の建築をするときその他都道府県知事等が支障がないと認めたときは、この限りでない。

1項

の許可を受けた者は、当該許可に係る特定開発行為に関する工事を廃止したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。

2項

の規定によりの許可を受けたものとみなされた特定開発行為に係るの規定による届出は、当該特定開発行為に係る前項の規定による届出とみなす。

1項

特別警戒区域内において、に掲げる用途の建築物の建築(既存の建築物の用途を変更してに掲げる用途の建築物とすることを含む。以下「特定建築行為」という。)をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事等の許可を受けなければならない。


ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一 号

又は後段の規定により公告されたその地盤面の高さが基準水位以上である土地の区域において行う特定建築行為

二 号

非常災害のために必要な応急措置として行う行為その他の政令で定める行為

1項

に掲げる用途の建築物についての許可を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。

一 号

特定建築行為に係る建築物の敷地の位置 及び区域

二 号

特定建築行為に係る建築物の構造方法

三 号

の政令で定める居室の床面の高さ

四 号

その他国土交通省令で定める事項

2項

前項の申請書には、国土交通省令で定める図書を添付しなければならない。

3項

の条例で定める用途の建築物についての許可を受けようとする者は、市町村の条例で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を提出しなければならない。

一 号

特定建築行為に係る建築物の敷地の位置 及び区域

二 号

特定建築行為に係る建築物の構造方法

三 号

その他市町村の条例で定める事項

4項

前項の申請書には、国土交通省令で定める図書 及び市町村の条例で定める図書を添付しなければならない。

5項

の規定は、前二項の条例を定める場合について準用する。

1項

都道府県知事等は、に掲げる用途の建築物についての許可の申請があったときは、当該建築物が次に掲げる基準に適合するものであり、かつ、その申請の手続がこの法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。

一 号

津波に対して安全な構造のものとして国土交通省令で定める技術的基準に適合するものであること。

二 号

の政令で定める用途ごとに政令で定める居室の床面の高さ(当該居室の構造 その他の事由を勘案して都道府県知事等が津波に対して安全であると認める場合にあっては、当該居室の床面の高さに都道府県知事等が当該居室について指定する高さを加えた高さ)が基準水位以上であること。

2項

都道府県知事等は、の条例で定める用途の建築物についての許可の申請があったときは、当該建築物が次に掲げる基準に適合するものであり、かつ、その申請の手続がこの法律 若しくはこの法律に基づく命令の規定 又は 若しくはの条例の規定に違反していないと認めるときは、その許可をしなければならない。

一 号

前項第一号の国土交通省令で定める技術的基準に適合するものであること。

二 号

次のいずれかに 該当するものであることとする基準を参酌して市町村の条例で定める基準に適合するものであること。

居室(共同住宅 その他の各戸ごとに利用される建築物にあっては、各戸ごとの居室)の床面の全部 又は一部の高さが基準水位以上であること。

基準水位以上の高さに避難上有効な屋上 その他の場所が配置され、かつ、当該場所までの避難上有効な階段 その他の経路があること。

3項

の規定は、前項第二号の条例を定める場合について準用する。

4項

建築主事 又は建築副主事を置かない市の市長は、の許可をしようとするときは、都道府県知事に協議しなければならない。

1項

国 又は地方公共団体が行う特定建築行為については、国 又は地方公共団体と都道府県知事等との協議が成立することをもっての許可を受けたものとみなす。

1項

都道府県知事等は、の許可の申請があったときは、遅滞なく、許可 又は不許可の処分をしなければならない。

2項

都道府県知事等は、当該申請をした者に、前項の許可の処分をしたときは許可証を交付し、同項の不許可の処分をしたときは文書をもって通知しなければならない。

3項

前項の許可証の交付を受けた後でなければ、特定建築行為に関する工事(根切り工事 その他の政令で定める工事を除く)は、することができない。

4項

第二項の許可証の様式は、国土交通省令で定める。

1項

の許可(この項の規定による許可を含む。)を受けた者は、次に掲げる場合においては、都道府県知事等の許可を受けなければならない。


ただし、変更後の建築物がに掲げる用途の建築物以外のものとなるとき、又は国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、この限りでない。

一 号

に掲げる用途の建築物についてに掲げる事項の変更をしようとする場合

二 号

の条例で定める用途の建築物についてに掲げる事項の変更をしようとする場合

2項

前項の許可を受けようとする者は、国土交通省令で定める事項(同項第二号に掲げる場合にあっては、市町村の条例で定める事項)を記載した申請書を都道府県知事等に提出しなければならない。

3項

の規定は、前項の条例を定める場合について準用する。

4項

の許可を受けた者は、第一項ただし書に該当する変更をしたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事等に届け出なければならない。

5項

の規定は、第一項の許可について準用する。

1項

都道府県知事等は、次の各号いずれかに該当する者に対して、特定開発行為に係る土地 又は特定建築行為に係る建築物における津波による人的災害を防止するために必要な限度において、 若しくはの許可を取り消し、若しくはその許可に付した条件を変更し、又は工事 その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて必要な措置をとることを命ずることができる。

一 号

又はの規定に違反して、特定開発行為をした者

二 号

又はの規定に違反して、特定建築行為をした者

三 号

又はの許可に付した条件に違反した者

四 号

特別警戒区域で行われる又は行われた特定開発行為(当該特別警戒区域の指定の際当該特別警戒区域内において既に着手している行為を除く)であって、開発区域内の土地の安全上必要な措置をの国土交通省令で定める技術的基準に従って講じていないものに関する工事の注文主 若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者 若しくはした者

五 号

特別警戒区域で行われる又は行われた特定建築行為(当該特別警戒区域の指定の際当該特別警戒区域内において既に着手している行為を除く)であって、に掲げる基準 又はに掲げる基準に従って行われていないものに関する工事の注文主 若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者 若しくはした者

六 号

偽りその他不正な手段により 又はの許可を受けた者

2項

前項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、都道府県知事等は、その者の負担において、当該措置を自ら行い、又はその命じた者 若しくは委任した者にこれを行わせることができる。


この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨 及びその期限までに当該措置を行わないときは、都道府県知事等 又はその命じた者 若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ公告しなければならない。

3項

都道府県知事等は、第一項の規定による命令をした場合においては、標識の設置その他国土交通省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。

4項

前項の標識は、第一項の規定による命令に係る土地 又は建築物 若しくは建築物の敷地内に設置することができる。


この場合においては、同項の規定による命令に係る土地 又は建築物 若しくは建築物の敷地の所有者、管理者 又は占有者は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。

1項

都道府県知事等 又はその命じた者 若しくは委任した者は、 又はの規定による権限を行うため必要がある場合においては、当該土地に立ち入り、当該土地 又は当該土地において行われている特定開発行為 若しくは特定建築行為に関する工事の状況を検査することができる。

2項

の規定は、前項の場合について準用する。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

都道府県知事等は、 又はの許可を受けた者に対し、当該許可に係る土地 若しくは当該許可に係る特定開発行為に関する工事の状況について報告 若しくは資料の提出を求め、又は当該土地における津波による人的災害を防止するために必要な助言 若しくは勧告をすることができる。

2項

都道府県知事等は、 又はの許可を受けた者に対し、当該許可に係る建築物 若しくは当該許可に係る特定建築行為に関する工事の状況について報告 若しくは資料の提出を求め、又は当該建築物における津波による人的災害を防止するために必要な助言 若しくは勧告をすることができる。

1項

都道府県知事等は、 又はの許可には、特定開発行為に係る土地における津波による人的災害を防止するために必要な条件を付することができる。

2項

都道府県知事等は、 又はの許可には、特定建築行為に係る建築物における津波による人的災害を防止するために必要な条件を付することができる。

1項

都道府県知事は、津波が発生した場合には特別警戒区域内に存する建築物が損壊し、又は浸水し、住民等の生命 又は身体に著しい危害が生ずるおそれが大きいと認めるときは、当該建築物の所有者、管理者 又は占有者に対し、当該建築物の移転その他津波による人的災害を防止し、又は軽減するために必要な措置をとることを勧告することができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による勧告をした場合において、必要があると認めるときは、その勧告を受けた者に対し、土地の取得についてのあっせんその他の必要な措置を講ずるよう 努めなければならない。