都道府県知事は、必要に応じ、消防に関する事項について市町村に対して勧告し、指導し、又は助言を与えることができる。
この場合における勧告、指導 及び助言は、消防庁長官の行う勧告、指導 及び助言の趣旨に沿うものでなければならない。
消防 及び警察は、国民の生命、身体 及び財産の保護のために相互に協力をしなければならない。
消防庁、警察庁、都道府県警察、都道府県知事、市町村長 及び水防法に規定する水防管理者は、相互間において、地震、台風、水火災等の非常事態の場合における災害の防御の措置に関しあらかじめ協定することができる。
これらの災害に際して消防が警察を応援する場合は、運営管理は警察がこれを留保し、消防職員は、警察権を行使してはならない。
これらの災害に際して警察が消防を応援する場合は、災害区域内の消防に関係のある警察の指揮は、消防が行う。
都道府県知事は、地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、緊急の必要があるときは、市町村長、市町村の消防長 又は水防法に規定する水防管理者に対して、前条第二項の規定による協定の実施 その他災害の防御の措置に関し、必要な指示をすることができる。
この場合における指示は、消防庁長官の行う勧告、指導 及び助言の趣旨に沿うものでなければならない。
消防庁長官は、地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、これらの災害が発生した市町村(以下 この条から 第四十四条の三までにおいて「災害発生市町村」という。)の消防の応援 又は支援(以下「消防の応援等」という。)に関し、当該災害発生市町村の属する都道府県の知事から要請があり、かつ、必要があると認めるときは、当該都道府県以外の都道府県の知事に対し、当該災害発生市町村の消防の応援等のため必要な措置をとることを求めることができる。
消防庁長官は、前項に規定する場合において、当該災害の規模等に照らし緊急を要し、同項の要請を待ついとまがないと認められるときは、同項の要請を待たないで、緊急に消防の応援等を必要とすると認められる災害発生市町村のため、当該災害発生市町村の属する都道府県以外の都道府県の知事に対し、当該必要な措置をとることを求めることができる。
この場合において、消防庁長官は、当該災害発生市町村の属する都道府県の知事に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
都道府県知事は、前二項の規定による消防庁長官の求めに応じ当該必要な措置をとる場合において、必要があると認めるときは、その区域内の市町村の長に対し、消防機関(第九条に規定する機関をいう。以下同じ。)の職員の応援出動等の措置をとることを求めることができる。
消防庁長官は、第一項 又は第二項の場合において、人命の救助等のために特に緊急を要し、かつ、広域的に消防機関の職員の応援出動等の措置を的確かつ迅速にとる必要があると認められるときは、緊急に当該応援出動等の措置を必要とすると認められる災害発生市町村のため、当該災害発生市町村以外の市町村の長に対し、当該応援出動等の措置をとることを自ら求めることができる。
この場合において、消防庁長官は、第一項の場合にあつては当該応援出動等の措置をとることを求めた市町村の属する都道府県の知事に対し、第二項の場合にあつては当該都道府県の知事 及び当該災害発生市町村の属する都道府県の知事に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
消防庁長官は、第一項、第二項 又は前項に規定する場合において、大規模地震対策特別措置法第三条第一項に規定する地震防災対策強化地域に係る著しい地震災害 その他の大規模な災害 又は毒性物質の発散 その他の政令で定める原因により生ずる特殊な災害に対処するために特別の必要があると認められるときは、当該特別の必要があると認められる災害発生市町村のため、当該災害発生市町村の属する都道府県以外の都道府県の知事 又は当該都道府県内の市町村の長に対し、第四十五条第一項に規定する緊急消防援助隊(以下 この条から 第四十四条の三までにおいて「緊急消防援助隊」という。)の出動のため必要な措置をとることを指示することができる。
この場合において、消防庁長官は、当該災害発生市町村の属する都道府県の知事 及び当該出動のため必要な措置をとることを指示した市町村の属する都道府県の知事に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
都道府県知事は、前項の規定による消防庁長官の指示に基づき、その区域内の市町村の長に対し、緊急消防援助隊の出動の措置をとることを指示することができる。
前各項の規定は、大規模地震対策特別措置法第二条第十三号の警戒宣言が発せられた場合に準用する。
消防庁長官は、第一項、第二項 若しくは第四項 又は第五項の規定により、災害発生市町村のため、当該災害発生市町村以外の災害発生市町村において既に行動している緊急消防援助隊の出動のため必要な措置をとることを求め又は指示するときは、あらかじめ、当該緊急消防援助隊が行動している災害発生市町村(以下 この項 及び第四十四条の三第一項において「緊急消防援助隊行動市町村」という。)の長 及び当該緊急消防援助隊行動市町村の属する都道府県の知事の意見を聴くものとする。
ただし、当該災害の規模等に照らし緊急を要し、あらかじめ、意見を聴くいとまがないと認められるときは、この限りでない。
一の都道府県の区域内において災害発生市町村が二以上ある場合において、緊急消防援助隊が消防の応援等のため出動したときは、当該都道府県の知事は、消防応援活動調整本部(以下 この条 及び次条第二項において「調整本部」という。)を設置するものとする。
前号に掲げる事務を円滑に実施するための関係機関との連絡に関すること。
調整本部の長は、消防応援活動調整本部長(以下この条において「調整本部長」という。)とし、都道府県知事をもつて充てる。
当該都道府県の知事がその部内の職員のうちから任命する者
当該都道府県の区域内の災害発生市町村に出動した緊急消防援助隊の隊員のうちから都道府県知事が任命する者
調整本部に副本部長を置き、前項の本部員のうちから、都道府県知事が指名する。
都道府県知事は、前条第一項に規定する場合において、緊急消防援助隊行動市町村以外の災害発生市町村の消防の応援等に関し緊急の必要があると認めるときは、当該緊急消防援助隊行動市町村以外の災害発生市町村のため、緊急消防援助隊行動市町村において行動している緊急消防援助隊に対し、出動することを指示することができる。
都道府県知事は、前項の規定による指示をするときは、あらかじめ、調整本部の意見を聴くものとする。
ただし、当該災害の規模等に照らし緊急を要し、あらかじめ、調整本部の意見を聴くいとまがないと認められるときは、この限りでない。
都道府県知事は、第一項の規定による指示をした場合には、消防庁長官に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
前項の規定により通知を受けた消防庁長官は、当該緊急消防援助隊として活動する人員が都道府県に属する場合にあつては当該都道府県の知事に対し、当該緊急消防援助隊として活動する人員が市町村に属する場合にあつては当該市町村の属する都道府県の知事を通じて当該市町村の長に対し、速やかにその旨を通知するものとする。
緊急消防援助隊とは、第四十四条第一項、第二項 若しくは第四項の規定による求めに応じ、又は同条第五項の規定による指示に基づき、消防の応援等を行うことを任務として、都道府県 又は市町村に属する消防に関する人員 及び施設により構成される部隊をいう。
総務大臣は、緊急消防援助隊の出動に関する措置を的確かつ迅速に行うため、緊急消防援助隊の編成 及び施設の整備等に係る基本的な事項に関する計画を策定し、公表するものとする。
これを変更したときも、同様とする。
総務大臣は、前項の計画を策定し、又は変更しようとするときは、あらかじめ財務大臣と協議するものとする。
消防庁長官は、第二項の計画に照らして必要があると認めるときは、都道府県知事 又は市町村長に対し、前項の登録について協力を求めることができる。
消防機関の職員がその属する市町村以外の市町村の消防の応援のため出動した場合においては、当該職員は、応援を受けた市町村の長の指揮の下に行動するものとする。
前項の規定は、緊急消防援助隊の隊員の属する市町村の長が、第四十四条第一項、第二項 若しくは第四項の規定による求めに応じ、又は同条第五項の規定による指示に基づき、当該隊員の属する緊急消防援助隊に対し当該隊員の属する緊急消防援助隊が行動している市町村以外の市町村の消防の応援のため出動を命ずることを妨げるものではない。
第四十四条第五項に基づく指示を受けて出動した緊急消防援助隊の活動(当該緊急消防援助隊が第四十四条の三第一項の規定による指示を受けて出動した場合の活動を含む。)により増加し、又は新たに必要となる消防に要する費用のうち当該緊急消防援助隊の隊員の特殊勤務手当 及び時間外勤務手当 その他の政令で定める経費は、政令で定めるところにより、国が負担する。
緊急消防援助隊に係る第四十五条第二項の計画に基づいて整備される施設であつて政令で定めるものに要する経費は、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、国が補助するものとする。
前項に定めるもののほか、市町村の消防に要する費用に対する補助金に関しては、法律でこれを定める。
総務大臣 又は その委任を受けた者は、緊急消防援助隊の活動に必要があるときは、国有財産法(昭和二十三年法律第七十三号)第十九条において準用する同法第二十二条 及び財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第九条第一項の規定にかかわらず、その所掌事務に支障を生じない限度において、その所管に属する消防用の国有財産(国有財産法第二条第一項に規定する国有財産をいう。)又は国有の物品を、当該緊急消防援助隊として活動する人員の属する都道府県 又は市町村に対し、無償で使用させることができる。
都道府県は、財政上の事情 その他特別の事情のある場合を除くほか、単独に 又は共同して、消防職員 及び消防団員の教育訓練を行うために消防学校を設置しなければならない。
地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)は、単独に 又は都道府県と共同して、消防職員 及び消防団員の教育訓練を行うために消防学校を設置することができる。
前項の規定により消防学校を設置する指定都市以外の市 及び町村は、消防職員 及び消防団員の訓練を行うために訓練機関を設置することができる。