災害対策基本法

# 昭和三十六年法律第二百二十三号 #

第五節 被災者の保護

分類 法律
カテゴリ   災害対策
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 10月07日 15時19分


第一款 生活環境の整備

1項

災害応急対策責任者は、災害が発生したときは、法令 又は防災計画の定めるところにより、遅滞なく、避難所を供与するとともに、当該避難所に係る必要な安全性 及び良好な居住性の確保、当該避難所における食糧、衣料、医薬品 その他の生活関連物資の配布 及び保健医療サービスの提供 その他避難所に滞在する被災者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

1項

災害応急対策責任者は、やむを得ない理由により避難所に滞在することができない被災者に対しても、必要な生活関連物資の配布、保健医療サービスの提供、情報の提供 その他これらの者の生活環境の整備に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

第二款 広域一時滞在

1項

市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について同一都道府県内の他の市町村の区域における一時的な滞在(以下「広域一時滞在」という。)の必要があると認めるときは、当該被災住民の受入れについて、当該 他の市町村の市町村長に協議することができる。

2項

市町村長は、前項の規定により協議しようとするときは、あらかじめ、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。


ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。

3項

第一項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「協議先市町村長」という。)は、被災住民を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、被災住民を受け入れるものとする。


この場合において、協議先市町村長は、広域一時滞在の用に供するため、受け入れた被災住民に対し避難所を提供しなければならない。

4項

第一項の場合において、協議先市町村長は、当該市町村の区域において被災住民を受け入れるべき避難所を決定し、直ちに、その内容を当該避難所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

5項

協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議した市町村長(以下この条において「協議元市町村長」という。)に通知しなければならない。

6項

協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示し、及び内閣府令で定める者に通知するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

7項

第一項の場合において、協議元市町村長は、広域一時滞在の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議先市町村長 及び前項の内閣府令で定める者に通知し、並びに公示するとともに、都道府県知事に報告しなければならない。

8項

協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第四項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

1項

前条第一項に規定する場合において、市町村長は、都道府県知事と協議を行い、被災住民について他の都道府県の区域における一時的な滞在(以下「都道府県外広域一時滞在」という。)の必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、当該他の都道府県の知事と当該被災住民の受入れについて協議することを求めることができる。

2項

前項の規定による要求があつたときは、都道府県知事は、被災住民の受入れについて、当該他の都道府県の知事に協議しなければならない。

3項

都道府県知事は、前項の規定により協議しようとするときは、あらかじめ、その旨を内閣総理大臣に報告しなければならない。


ただし、あらかじめ報告することが困難なときは、協議の開始の後、遅滞なく、報告することをもつて足りる。

4項

第二項の場合において、協議を受けた都道府県知事(以下この条において「協議先都道府県知事」という。)は、被災住民の受入れについて、関係市町村長と協議しなければならない。

5項

前項の場合において、協議を受けた市町村長(以下この条において「都道府県外協議先市町村長」という。)は、被災住民を受け入れないことについて正当な理由がある場合を除き、被災住民を受け入れるものとする。


この場合において、都道府県外協議先市町村長は、都道府県外広域一時滞在の用に供するため、受け入れた被災住民に対し避難所を提供しなければならない。

6項

第四項の場合において、都道府県外協議先市町村長は、当該市町村の区域において被災住民を受け入れるべき避難所を決定し、直ちに、その内容を当該避難所を管理する者 その他の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

7項

都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による決定をしたときは、速やかに、その内容を協議先都道府県知事に報告しなければならない。

8項

協議先都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その内容を第二項の規定により協議した都道府県知事(以下この条において「協議元都道府県知事」という。)に通知しなければならない。

9項

協議元都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を第一項の規定により協議することを求めた市町村長(以下この条において「都道府県外協議元市町村長」という。)に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。

10項

都道府県外協議元市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その内容を公示するとともに、内閣府令で定める者に通知しなければならない。

11項

第一項の場合において、都道府県外協議元市町村長は、都道府県外広域一時滞在の必要がなくなつたと認めるときは、速やかに、その旨を協議元都道府県知事に報告し、及び公示するとともに、前項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

12項

協議元都道府県知事は、前項の規定による報告を受けたときは、速やかに、その旨を協議先都道府県知事に通知するとともに、内閣総理大臣に報告しなければならない。

13項

協議先都道府県知事は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を都道府県外協議先市町村長に通知しなければならない。

14項

都道府県外協議先市町村長は、前項の規定による通知を受けたときは、速やかに、その旨を第六項の内閣府令で定める者に通知しなければならない。

1項

都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、当該災害の発生により市町村がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつた場合であつて、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について広域一時滞在の必要があると認めるときは、当該市町村の市町村長が第八十六条の八第一項 及び第五項から第七項までの規定により実施すべき措置(同条第六項 及び第七項の規定による報告を除く)の全部 又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。

3項

第一項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生し、当該災害の発生により市町村がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつた場合であつて、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について都道府県外広域一時滞在の必要があると認めるときは、第八十六条の九第一項の規定による要求がない場合であつても、同条第二項の規定による協議をすることができる。


この場合において、

同条第九項
第一項の規定により協議することを求めた市町村長(以下この条において「都道府県外協議元市町村長」という。)」とあるのは
「公示し、及び内閣府令で定める者」と、

同条第十一項
第一項」とあるのは
第八十六条の十一前段」と、

都道府県外協議元市町村長」とあるのは
「協議元都道府県知事」と、

協議元都道府県知事に報告し、及び」とあるのは
「協議先都道府県知事 及び同条後段の規定により読み替えて適用する第九項の内閣府令で定める者に通知し、並びに」と、

前項の内閣府令で定める者に通知しなければ」とあるのは
「内閣総理大臣に報告しなければ」と、

同条第十三項
前項」とあるのは
第八十六条の十一後段の規定により読み替えて適用する第十一項」とし、

同条第十項 及び第十二項の規定は、適用しない

1項

都道府県知事は、市町村長から求められたときは、第八十六条の八第一項の規定による協議の相手方 その他広域一時滞在に関する事項について助言をしなければならない。

2項

内閣総理大臣は、都道府県知事から求められたときは、第八十六条の九第二項の規定による協議の相手方 その他都道府県外広域一時滞在に関する事項 又は広域一時滞在に関する事項について助言をしなければならない。

1項

内閣総理大臣は、災害の発生により市町村 及び当該市町村を包括する都道府県がその全部 又は大部分の事務を行うことができなくなつた場合であつて、被災住民の生命 若しくは身体を災害から保護し、又は居住の場所を確保することが困難な場合において、当該被災住民について広域一時滞在 又は都道府県外広域一時滞在の必要があると認めるときは、当該市町村の市町村長が第八十六条の八第一項 及び第五項から第七項までの規定により実施すべき措置の全部 若しくは一部を当該市町村長に代わつて実施し、又は当該都道府県の知事が第八十六条の十一前段 並びに第八十六条の九第八項 並びに第八十六条の十一後段の規定により読み替えて適用する第八十六条の九第九項 及び第十一項の規定により実施すべき措置(第八十六条の十一後段の規定により読み替えて適用する第八十六条の九第九項 及び第十一項の規定による報告を除く)の全部 若しくは一部を当該都道府県知事に代わつて実施しなければならない。

2項

内閣総理大臣は、前項の規定により市町村長 又は都道府県知事の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を告示しなければならない。

3項

第一項の規定による内閣総理大臣の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

第三款 被災者の運送

1項

都道府県知事は、被災者の保護の実施のため緊急の必要があると認めるときは、運送事業者である指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人 並びに運送すべき場所 及び期日を示して、被災者の運送を要請することができる。

2項

指定公共機関 又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、都道府県知事は、被災者の保護の実施のため特に必要があると認めるときに限り、当該指定公共機関 又は指定地方公共機関に対し、被災者の運送を行うべきことを指示することができる。


この場合においては、同項の事項を書面で示さなければならない。

第四款 安否情報の提供等

1項

都道府県知事 又は市町村長は、当該都道府県 又は市町村の地域に係る災害が発生した場合において、内閣府令で定めるところにより、当該災害の被災者の安否に関する情報(次項において「安否情報」という。)について照会があつたときは、回答することができる。

2項

都道府県知事 又は市町村長は、前項の規定により安否情報を回答するときは、当該安否情報に係る被災者 又は第三者の権利利益を不当に侵害することのないよう配慮するものとする。

3項

都道府県知事 又は市町村長は、第一項の規定による回答を適切に行い、又は当該回答の適切な実施に備えるために必要な限度で、その保有する被災者の氏名 その他の被災者に関する情報を、その保有に当たつて特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。

4項

都道府県知事 又は市町村長は、第一項の規定による回答を適切に行い、又は当該回答の適切な実施に備えるため必要があると認めるときは、関係地方公共団体の長、消防機関、都道府県警察 その他の者に対して、被災者に関する情報の提供を求めることができる。