船長は、海員を指揮監督し、且つ、船内にある者に対して自己の職務を行うのに必要な命令をすることができる。
船員法
第二章 船長の職務及び権限
船長は、国土交通省令の定めるところにより、発航前に船舶が航海に支障ないかどうか その他航海に必要な準備が整つているかいないかを検査しなければならない。
船長は、航海の準備が終つたときは、遅滞なく発航し、且つ、必要がある場合を除いて、予定の航路を変更しないで到達港まで航行しなければならない。
船長は、船舶が港を出入するとき、船舶が狭い水路を通過するとき その他船舶に危険の虞があるときは、甲板にあつて自ら船舶を指揮しなければならない。
船長は、やむを得ない場合を除いて、自己に代わつて船舶を指揮すべき者にその職務を委任した後でなければ、荷物の船積 及び旅客の乗込の時から荷物の陸揚 及び旅客の上陸の時まで、自己の指揮する船舶を去つてはならない。
船長は、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、人命の救助 並びに船舶 及び積荷の救助に必要な手段を尽くさなければならない。
船長は、船舶が衝突したときは、互に人命 及び船舶の救助に必要な手段を尽し、且つ船舶の名称、所有者、船籍港、発航港 及び到達港を告げなければならない。
但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険があるときは、この限りでない。
船長は、他の船舶 又は航空機の遭難を知つたときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない。
但し、自己の指揮する船舶に急迫した危険がある場合 及び国土交通省令の定める場合は、この限りでない。
国土交通省令の定める船舶の船長は、暴風雨、流氷 その他の異常な気象、海象 若しくは地象 又は漂流物 若しくは沈没物であつて、船舶の航行に危険を及ぼすおそれのあるものに遭遇したときは、国土交通省令の定めるところにより、その旨を附近にある船舶 及び海上保安機関 その他の関係機関に通報しなければならない。
国土交通省令の定める船舶の船長は、第十二条乃至第十四条に規定する場合 その他非常の場合における海員の作業に関し、国土交通省令の定めるところにより、非常配置表を定め、これを船員室 その他適当な場所に掲示して置かなければならない。
国土交通省令の定める船舶の船長は、国土交通省令の定めるところにより、海員 及び旅客について、防火操練、救命艇操練 その他非常の場合のために必要な操練を実施しなければならない。
第八条から前条までに規定するもののほか、航海当直の実施、船舶の火災の予防、水密の保持 その他航海の安全に関し船長の遵守すべき事項は、国土交通省令でこれを定める。
船長は、船舶の航行中船内にある者が死亡したときは、国土交通省令の定めるところにより、これを水葬に付することができる。
船長は、船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたときは、法令に特別の定がある場合を除いて、船内にある遺留品について、国土交通省令の定めるところにより、保管 その他の必要な処置をしなければならない。
船長は、外国に駐在する日本の領事官が、法令の定めるところにより、日本国民の送還を命じたときは、正当の事由がなければ、これを拒むことができない。
船長は、国土交通省令で定める場合を除いて、次の書類を船内に備え置かなければならない。
船舶国籍証書 又は国土交通省令で定める証書
海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二十六条第三項に規定する証明書
海員名簿 及び航海日誌に関し必要な事項は、国土交通省令でこれを定める。
船長は、左の各号の一に該当する場合には、国土交通省令の定めるところにより、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷 その他の海難が発生したとき。
人命 又は船舶の救助に従事したとき。
無線電信によつて知つたときを除いて、航行中他の船舶の遭難を知つたとき。
船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたとき。
船舶が抑留され、又は捕獲されたとき その他船舶に関し著しい事故があつたとき。
船長が死亡したとき、船舶を去つたとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に従事する海員は、その職掌の順位に従つて船長の職務を行う。