株主は、その有する株式を譲渡することができる。
会社法
第三節 株式の譲渡等
⤏ 第一款 株式の譲渡
株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。
ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。
株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。
株券発行会社は、自己株式を処分した日以後 遅滞なく、当該自己株式を取得した者に対し、株券を交付しなければならない。
前項の規定にかかわらず、公開会社でない株券発行会社は、同項の者から請求がある時までは、同項の株券を交付しないことができる。
株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
株券発行会社における前項の規定の適用については、
同項中
「株式会社 その他の第三者」とあるのは、
「株式会社」と
する。
株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定する。
株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得する。
ただし、その者に悪意 又は重大な過失があるときは、この限りでない。
株式会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
当該株式会社の株式を取得した場合
株式会社は、株式の併合をした場合には、併合した株式について、その株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式会社は、株式の分割をした場合には、分割した株式について、その株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者(当該株式会社を除く。以下 この節において「株式取得者」という。)は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。
前条の規定は、株式取得者が取得した株式が譲渡制限株式である場合には、適用しない。
ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得することについて第百三十六条の承認を受けていること。
当該株式取得者が当該譲渡制限株式を取得したことについて第百三十七条第一項の承認を受けていること。
当該株式取得者が第百四十条第四項に規定する指定買取人であること。
当該株式取得者が相続 その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者であること。
子会社は、その親会社である株式会社の株式(以下 この条において「親会社株式」という。)を取得してはならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
他の会社(外国会社を含む。)の事業の全部を譲り受ける場合において当該他の会社の有する親会社株式を譲り受ける場合
合併後消滅する会社から親会社株式を承継する場合
吸収分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
新設分割により他の会社から親会社株式を承継する場合
前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める場合
子会社は、相当の時期にその有する親会社株式を処分しなければならない。
⤏ 第二款 株式の譲渡に係る承認手続
譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。
次の各号に掲げる請求(以下 この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。
第百三十六条の規定による請求
次に掲げる事項
当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類 及び種類ごとの数)
イの譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名 又は名称
株式会社が第百三十六条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社 又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
前条第一項の規定による請求
次に掲げる事項
当該請求をする株式取得者の取得した譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類 及び種類ごとの数)
イの株式取得者の氏名 又は名称
株式会社が前条第一項の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社 又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がイの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨
株式会社が第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下 この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
株式会社は、第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求を受けた場合において、第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下 この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。
この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類 及び種類ごとの数)
前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。
譲渡等承認請求者は、前項の株主総会において議決権を行使することができない。
ただし、当該譲渡等承認請求者以外の株主の全部が同項の株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。
第一項の規定にかかわらず、同項に規定する場合には、株式会社は、対象株式の全部 又は一部を買い取る者(以下 この款において「指定買取人」という。)を指定することができる。
前項の規定による指定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。
ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。
株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額(一株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、前条第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。
この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。
指定買取人は、第百四十条第四項の規定による指定を受けたときは、譲渡等承認請求者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
指定買取人が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類 及び種類ごとの数)
指定買取人は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額に同項第二号の対象株式の数を乗じて得た額を株式会社の本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。
対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。
この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、指定買取人に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。
前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、指定買取人は、第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。
第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知を受けた後は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、前条第一項の規定による通知を受けた後は、指定買取人の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。
第百四十一条第一項の規定による通知があった場合には、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格は、株式会社と譲渡等承認請求者との協議によって定める。
株式会社 又は譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知があった日から二十日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。
裁判所は、前項の決定をするには、譲渡等承認請求の時における株式会社の資産状態 その他一切の事情を考慮しなければならない。
第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格とする。
第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項の協議が調った場合を除く。)は、一株当たり純資産額に第百四十条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をもって当該対象株式の売買価格とする。
第百四十一条第二項の規定による供託をした場合において、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格が確定したときは、株式会社は、供託した金銭に相当する額を限度として、売買代金の全部 又は一部を支払ったものとみなす。
前各項の規定は、
第百四十二条第一項の規定による通知があった場合について準用する。
この場合において、
第一項中
「第百四十条第一項第二号」とあるのは
「第百四十二条第一項第二号」と、
「株式会社」とあるのは
「指定買取人」と、
第二項中
「株式会社」とあるのは
「指定買取人」と、
第四項 及び第五項中
「第百四十条第一項第二号」とあるのは
「第百四十二条第一項第二号」と、
前項中
「第百四十一条第二項」とあるのは
「第百四十二条第二項」と、
「第百四十条第一項第二号」とあるのは
「同条第一項第二号」と、
「株式会社」とあるのは
「指定買取人」と
読み替えるものとする。
次に掲げる場合には、株式会社は、第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。
ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
株式会社が第百三十六条 又は第百三十七条第一項の規定による請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百三十九条第二項の規定による通知をしなかった場合
株式会社が第百三十九条第二項の規定による通知の日から四十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十一条第一項の規定による通知をしなかった場合(指定買取人が第百三十九条第二項の規定による通知の日から十日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に第百四十二条第一項の規定による通知をした場合を除く。)
前二号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合
⤏ 第三款 株式の質入れ
株主は、その有する株式に質権を設定することができる。
株券発行会社の株式の質入れは、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。
株式の質入れは、その質権者の氏名 又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
前項の規定にかかわらず、株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって株券発行会社 その他の第三者に対抗することができない。
民法第三百六十四条の規定は、株式については、適用しない。
株式に質権を設定した者は、株式会社に対し、次に掲げる事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
前条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録株式質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録株式質権者についての株主名簿に記載され、若しくは記録された同条各号に掲げる事項を記載した書面の交付 又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。
前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。
第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。
株式会社が登録株式質権者に対してする通知 又は催告は、株主名簿に記載し、又は記録した当該登録株式質権者の住所(当該登録株式質権者が別に通知 又は催告を受ける場所 又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所 又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
前項の通知 又は催告は、その通知 又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
株式会社が次に掲げる行為をした場合には、株式を目的とする質権は、当該行為によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等(金銭 その他の財産をいう。以下同じ。)について存在する。
第百六十七条第一項の規定による取得請求権付株式の取得
第百七十条第一項の規定による取得条項付株式の取得
第百七十三条第一項の規定による第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得
第百八十五条に規定する株式無償割当て
第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
株式の取得(第一号から第三号までに掲げる行為を除く。)
特別支配株主(第百七十九条第一項に規定する特別支配株主をいう。第百五十四条第三項において同じ。)が株式売渡請求(第百七十九条第二項に規定する株式売渡請求をいう。)により売渡株式(第百七十九条の二第一項第二号に規定する売渡株式をいう。以下 この項において同じ。)の取得をした場合には、売渡株式を目的とする質権は、当該取得によって当該売渡株式の株主が受けることのできる金銭について存在する。
株式会社(株券発行会社を除く。以下 この条において同じ。)は、前条第一項第一号から第三号までに掲げる行為をした場合(これらの行為に際して当該株式会社が株式を交付する場合に限る。)又は同項第六号に掲げる行為をした場合において、同項の質権の質権者が登録株式質権者(第二百十八条第五項の規定による請求により第百四十八条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録されたものを除く。以下 この款において同じ。)であるときは、前条第一項の株主が受けることができる株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式会社は、株式の併合をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、併合した株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株式会社は、株式の分割をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、分割した株式について、その質権者の氏名 又は名称 及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
株券発行会社は、前条第一項に規定する場合には、第百五十一条第一項の株主が受ける株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
株券発行会社は、前条第二項に規定する場合には、併合した株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
株券発行会社は、前条第三項に規定する場合には、分割した株式について新たに発行する株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る。)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該各号に定める者に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。
この場合において、質権は、その供託金について存在する。
第百五十一条第一項第一号から第六号まで、第八号、第九号 又は第十四号に掲げる行為
当該株式会社
組織変更
第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社 又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
株式交換
第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社
株式移転
第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
第百五十一条第二項に規定する場合において、第一項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該特別支配株主に同条第二項の金銭に相当する金額を供託させることができる。
この場合において、質権は、その供託金について存在する。
⤏ 第四款 信託財産に属する株式についての対抗要件等
株式については、当該株式が信託財産に属する旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、当該株式が信託財産に属することを株式会社 その他の第三者に対抗することができない。
第百二十一条第一号の株主は、その有する株式が信託財産に属するときは、株式会社に対し、その旨を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
株主名簿に前項の規定による記載 又は記録がされた場合における第百二十二条第一項 及び第百三十二条の規定の適用については、
第百二十二条第一項中
「記録された株主名簿記載事項」とあるのは
「記録された株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」と、
第百三十二条中
「株主名簿記載事項」とあるのは
「株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」と
する。
前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。