工業用水法

昭和三十一年法律第百四十六号
分類 法律
カテゴリ   工業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 01時13分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 井戸

  • 第四章 雑則

  • 第五章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、特定の地域について、工業用水の合理的な供給を確保するとともに、地下水の水源の保全を図り、もつてその地域における工業の健全な発達と地盤の沈下の防止に資することを目的とする。

1項

この法律で「井戸」とは、動力を用いて地下水(温泉法昭和二十三年法律第百二十五号)による温泉を除く。以下同じ。)を採取するための施設であつて、揚水機の吐出口の断面積(吐出口が二以上あるときは、その断面積の合計。以下同じ。)が六平方センチメートルをこえるもの(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、又は準用される河川の河川区域内のものを除く)をいう。

2項

この法律で「工業」とは、製造業(物品の加工修理業を含む。)、電気供給業、ガス供給業 及び熱供給業をいう。

第二章 井戸

1項

政令で定める地域(以下「指定地域」という。)内の井戸により地下水を採取してこれを工業の用に供しようとする者は、井戸ごとに、そのストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積を定めて、都道府県知事(地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)の区域内にあつては、指定都市の長。第三項除き、以下同じ。)の許可を受けなければならない。

2項

前項の政令は、地下水を採取したことにより、地下水の水位が異常に低下し、塩水 若しくは汚水が地下水の水源に混入し、又は地盤が沈下している一定の地域について、その地域において工業の用に供すべき水の量が大であり、地下水の水源の保全を図るためにはその合理的な利用を確保する必要があり、かつ、その地域に工業用水道がすでに布設され、又は一年以内にその布設の工事が開始される見込がある場合に定めるものとする。

3項

経済産業大臣 及び環境大臣は、第一項の政令の制定 又は改廃の立案をしようとするときは、その政令の制定 又は改廃により、指定地域となり、又は指定地域でなくなる地域を管轄する都道府県知事 及び市町村長の意見をきかなければならない。

1項

前条第一項の許可を受けようとする者は、次の事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

一 号

氏名 又は名称 及び住所 並びに法人にあつてはその代表者の氏名 及び住所

二 号
井戸の設置の場所
三 号

井戸のストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積

2項

前項の申請書には、井戸の設置の場所を示す図面 その他経済産業省令、環境省令で定める書類を添附しなければならない。

1項

都道府県知事は、第三条第一項の許可の申請に係る井戸のストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積が経済産業省令、環境省令で定める技術上の基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

2項

都道府県知事は、前項の規定にかかわらず第三条第一項の許可の申請に係る井戸により地下水を採取することがその指定地域における地下水の水源の保全に著しい支障を及ぼすおそれがない場合において、その井戸により採取する地下水をその用に供することがその工業の遂行上必要かつ適当であつて、他の水源をもつて代えることが著しく困難なときは、同項の許可をすることができる。

1項

一の地域が指定地域となつた際現にその地域内の井戸であつてそのストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積が前条第一項の経済産業省令、環境省令で定める技術上の基準に適合するものにより地下水を採取してこれを工業の用に供している者は、その井戸について、そのストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積により、第三条第一項の許可を受けたものとみなす。

2項

一の地域が指定地域となつた際現にその地域内の井戸であつて前項に規定するもの以外のものにより地下水を採取してこれを工業の用に供している者は、その地域における工業用水道の布設の状況、その工業用水道による給水可能量 その他のその地域における工業用水道による工業用水の供給事情を勘案して経済産業省令、環境省令で定める地域ごとに経済産業省令、環境省令で定める日から起算して一年間に限り、その井戸について、そのストレーナーの位置 及び揚水機の吐出口の断面積により、第三条第一項の許可を受けたものとみなす。

3項

前二項の規定により第三条第一項の許可を受けたものとみなされた者は、その地域が指定地域となつた日から起算して一月以内に、第四条第一項各号の事項を記載した届出書を都道府県知事に提出しなければならない。

4項

前項の届出書には、井戸の設置の場所を示す図面 その他経済産業省令、環境省令で定める書類を添附しなければならない。

5項

前条第一項の経済産業省令、環境省令を改正する経済産業省令、環境省令が施行された場合において、その改正に係る指定地域内に、第三条第一項の許可を受けた井戸(以下「許可井戸」といい、第二項の規定による許可井戸を除く)であつて改正後の経済産業省令、環境省令で定める技術上の基準に適合しないこととなるものがあるときは、当該許可井戸に係る同項の許可は、その指定地域における工業用水道の布設の状況、その工業用水道による給水可能量 その他のその指定地域における工業用水道による工業用水の供給事情を勘案して経済産業省令、環境省令で定める地域ごとに経済産業省令、環境省令で定める日から起算して一年を経過した時にその効力を失う。

1項

第三条第一項の許可を受けた者(以下「使用者」という。)は、同項の許可を受けた井戸のストレーナーの位置を許可を受けた位置より浅くし、又はその揚水機の吐出口の断面積を許可を受けた断面積より大きくしようとするときは、都道府県知事の許可を受けなければならない。

2項

第五条第一項 及び第二項の規定は、前項の許可に準用する。

1項

第五条第二項前条第二項において準用する場合を含む。)の規定によつてする第三条第一項 又は前条第一項の許可には、条件を附することができる。

2項

前項の条件は、指定地域における地下水の水源の保全を図り、又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り、かつ、その使用者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。

1項

使用者は、その氏名 又は名称 及び住所に変更があつたときは、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

1項

許可井戸を譲り受け、又は借り受けて、これにより地下水を採取してこれを工業の用に供する者は、その許可井戸に係る使用者の地位を承継する。

2項

使用者について相続、合併 又は分割(当該許可井戸を承継させるものに限る)があつたときは、相続人、合併後存続する法人 若しくは合併により設立した法人 又は分割により当該許可井戸を承継した法人は、使用者の地位を承継する。

3項

前二項の規定により使用者の地位を承継した者は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

1項

使用者は、次の場合は、遅滞なく、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

一 号

許可井戸により地下水を採取すること 又はこれにより採取する地下水を工業の用に供することを廃止したとき。

二 号

許可井戸の揚水機を動力によらないものとし、又はその吐出口の断面積を六平方センチメートル以下としたとき。

三 号

前二号の場合のほか、許可井戸を廃止したとき。

1項

使用者がその許可井戸につき前条各号の一に該当するに至つたときは、その許可井戸に係る第三条第一項の許可は、その効力を失う。

1項

都道府県知事は、使用者が第七条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を許可を受けないでしたとき、又は第八条第一項の条件に違反したときは、第三条第一項の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて許可井戸により地下水を採取してこれを工業の用に供することを停止すべき旨を命ずることができる。

1項

都道府県知事は、予想することができなかつた特別の事情の発生により指定地域における地下水の水源の保全を図るため緊急の必要があると認めるときは、使用者に対し、相当の期間を定めて、許可井戸による地下水の採取を制限すべき旨を命ずることができる。

第四章 雑則

1項

経済産業大臣 及び環境大臣 又は都道府県知事は、この法律を施行するため地下水の水源 又は地盤の状況に関する測量 又は実地調査を行う必要があるときは、その職員に他人の土地に立ち入らせることができる。

2項

経済産業大臣 及び環境大臣 又は都道府県知事は、前項の規定によりその職員に他人の土地に立ち入らせようとするときは、立入りの日の五日前までに、その旨を土地の占有者に通知しなければならない。

3項

第一項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、立入りの際あらかじめその旨を土地の占有者に告げなければならない。

4項

日出前 又は日没後においては、土地の占有者の承諾があつた場合を除き第一項の規定による立入りをしてはならない

5項

第一項の規定により他人の土地に立ち入る職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

6項

国 又は都道府県(指定都市の区域内にあつては、指定都市)は、第一項の規定による立入りによつて損失を生じたときは、損失を受けた者に対し、これを補償しなければならない。

1項

土地の占有者は、正当な理由がなければ、前条第一項の規定による立入を拒み、又は妨げてはならない。

1項

都道府県知事は、この法律を施行するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用者に対し、その許可井戸の構造 及び使用の状況に関し報告をさせることができる。

1項

都道府県知事は、この法律を施行するため必要な限度において、その職員に、許可井戸の設置の場所 又は許可井戸に係る使用者の工場 若しくは事業場に立ち入り、許可井戸 その他の物件を検査させることができる。

2項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人に提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

国 及び地方公共団体は、許可井戸に代えて工業用水道を利用するための施設の設置 又は改善につき必要な資金のあつせん、技術的な助言 その他の援助に努めるものとする。

1項

都道府県知事は、第十三条の規定による命令をしようとするときは、行政手続法平成五年法律第八十八号第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。

2項

第十三条の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。

3項

前項の聴聞の主宰者は、行政手続法第十七条第一項の規定により当該処分に係る利害関係人が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは、これを許可しなければならない。

1項

この法律の規定による処分 又はその不作為についての審査請求に対する裁決は、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第二十四条の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、審査請求人に対し、相当な期間をおいて予告をした上、同法第十一条第二項に規定する審理員が公開による意見の聴取をした後にしなければならない。

2項

前項の意見の聴取に際しては、審査請求人 及び利害関係人に対し、その事案について証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。

3項

第一項に規定する審査請求については、行政不服審査法第三十一条の規定は適用せず、同項の意見の聴取については、同条第二項から第五項までの規定を準用する。

第五章 罰則

1項

次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役 又は十万円以下の罰金に処する。

一 号

第三条第一項の許可を受けないで指定地域内の井戸により地下水を採取してこれを工業の用に供した者

二 号

第十三条 又は第十四条の規定による命令に違反した者

1項

次の各号の一に該当する者は、三万円以下の罰金に処する。

一 号

第六条第三項の届出書を提出せず、又は虚偽の届出書を提出した者

二 号

第九条第十条第三項 又は第十一条の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

三 号

第二十三条の規定に違反して第二十二条第一項の規定による立入を拒み、又は妨げた者

四 号

第二十四条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

五 号

第二十五条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して各本条の罰金刑を科する。