排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律

平成八年法律第七十六号
略称 : 漁業主権法  EEZ漁業法 
分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和二年十二月一日
@ 最終更新 : 平成三十年法律第九十五号による改正
最終編集日 : 2024年 12月17日 10時34分

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1項

この法律は、海洋法に関する国際連合条約に定める権利を的確に行使することにより海洋生物資源の適切な保存 及び管理を図るため、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等について必要な措置を定めるものとする。

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1項

この法律において「漁業」とは、水産動植物の採捕 又は養殖の事業(漁業等付随行為を含む。)をいう。

2項

この法律において「漁業等付随行為」とは、水産動植物の採捕 又は養殖に付随する探索、集魚、漁獲物の保蔵 又は加工、漁獲物 又は その製品の運搬、船舶への補給 その他 これらに準ずる行為で農林水産省令で定めるものをいう。

3項

この法律において「探索」とは、水産動植物の採捕に資する水産動植物の生息状況の調査であって水産動植物の採捕を伴わないものをいい、


探査」とは、探索のうち漁業等付随行為に該当しないものをいう。

4項

この法律において「外国人」とは、次に掲げるものをいう。

一 号

日本の国籍を有しない者。


ただし、適法に我が国に在留する者で農林水産大臣の指定するものを除く

二 号

外国、外国の公共団体 若しくはこれに準ずるもの 又は外国法に基づいて設立された法人 その他の団体

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1項

外国人が我が国の排他的経済水域(以下単に「排他的経済水域」という。)において行う漁業、水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除き、漁業等付随行為を含む。以下同じ。)及び探査(以下この条において「排他的経済水域における外国人の漁業等」という。)に関しては、この法律の定めるところによる。

2項

排他的経済水域における外国人の漁業等に関しては、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律平成八年法律第七十四号の規定にかかわらず昭和二十四年法律第二百六十七号)( 及び除く) その他 政令で定める法律(これらに基づく命令を含む。)の規定は、適用しない

3項

排他的経済水域における外国人の漁業等に関するの規定の適用については、


農林水産大臣 又は都道府県知事」とあるのは
「農林水産大臣」と、

漁業監督官 又は漁業監督吏員」とあるのは
「漁業監督官」と

する。

4項

前項に定めるもののほか、排他的経済水域における外国人の漁業等に関する法令の適用に関する技術的読替えについては、政令で必要な規定を設けることができる。

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1項

外国人は、排他的経済水域のうち次に掲げる海域(その海底を含む。以下「禁止海域」という。)においては、漁業 又は水産動植物の採捕を行ってはならない。


ただし、その水産動植物の採捕が農林水産省令で定める軽易なものであるときは、この限りでない。

一 号

領海及び接続水域に関する法律昭和五十二年法律第三十号に規定する特定海域である海域(我が国の基線(に規定する基線をいう。以下 この号において同じ。)から、いずれの点をとっても我が国の基線上の最も近い点からの距離が十二海里である線までの海域に限る

二 号

海洋生物資源の保護 又は漁業調整のため必要な海域として農林水産大臣の定める海域

2項

外国人は、禁止海域(前項第一号の海域に限る)においては、政令で定める場合を除き、漁獲物 又はその製品を転載し、又は積み込んではならない。

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1項

外国人は、排他的経済水域(禁止海域を除く 及び 並びににおいて同じ。)においては、農林水産省令で定めるところにより、漁業 又は水産動植物の採捕に係る船舶ごとに、農林水産大臣の許可を受けなければ、漁業 又は水産動植物の採捕を行ってはならない。


ただし次の各号の一に該当するときは、この限りでない。

一 号

その水産動植物の採捕がただし書の農林水産省令で定める 軽易なものであるとき。

二 号

その水産動植物の採捕がの承認を受けて行われるものであるとき。

三 号

その漁業等付随行為がの承認を受けて行われるものであるとき。

2項

農林水産大臣は、前項の許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、 その外国人に許可証を交付する。

3項

第一項の許可を受けた外国人は、農林水産省令で定めるところにより、 その行う漁業 又は水産動植物の採捕に係る船舶にその旨を見やすいように表示し、かつ、当該船舶に前項の許可証を備え付けておかなければならない。

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1項

農林水産大臣は、の許可の申請があった場合において、その申請に係る漁業 又は水産動植物の採捕が、国際約束 その他の措置により的確に実施されること、外国人が排他的経済水域において行う漁業 又は水産動植物の採捕につき農林水産省令で定める区分ごとに農林水産大臣の定める漁獲量の限度を超えないこと その他政令で定める基準に適合すると認められるときでなければ、当該申請に係る許可をしてはならない。

2項

前項の規定による漁獲量の限度の決定は、政令で定めるところにより、排他的経済水域における科学的根拠を有する海洋生物資源の動向 及び我が国漁業者の漁獲の実情を基礎とし、排他的経済水域における外国人による漁業の状況、 外国周辺水域における我が国漁業の状況等を総合的に考慮して行われなければならない。

3項

に規定する漁獲可能量を定めるに規定する特定水産資源について第一項の規定による漁獲量の限度の決定を行う場合には、前項に定めるところによるほか、当該漁獲可能量を基礎としなければならない。

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1項

外国人は、の規定により許可証の交付を受けるときに、政令で定める額の入漁料を国に納付しなければならない。

2項

特別の事由がある場合には、政令で定めるところにより、前項の入漁料を減額し、又は免除することができる。

3項

前二項に定めるもののほか、入漁料に関し必要な事項は、政令で定める。

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1項

外国人は、排他的経済水域において、試験研究 その他の農林水産省令で定める目的のために水産動植物の採捕を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、水産動植物の採捕に係る船舶ごとに、農林水産大臣の承認を受けなければならない。


ただし、その水産動植物の採捕がただし書の農林水産省令で定める軽易なものであるとき、又はその漁業等付随行為がの承認を受けて行われるものであるときは、この限りでない。

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1項

外国人は、排他的経済水域において、 外国人以外の者が当該水域において行う漁業又は水産動植物の採捕に係る漁業等付随行為を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、 漁業等付随行為に係る船舶ごとに、農林水産大臣の承認を受けなければならない。

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1項

外国人は、排他的経済水域において、 探査を行おうとするときは、農林水産省令で定めるところにより、 探査に係る船舶ごとに、農林水産大臣の承認を受けなければならない。

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1項

前三条の承認の申請をする外国人は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を国に納付しなければならない。

2項

及びの規定は前三条の承認について、の規定は前項の手数料について準用する。

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1項

の許可 又は第八条から第十条までの承認には、制限 又は条件を付し、及びこれを変更することができる。

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1項

農林水産大臣は、の許可 又はの承認を受けた外国人が法令 又はの制限 若しくは条件に違反したときは、期間を定めて排他的経済水域における漁業 又は水産動植物の採捕の停止を命じ、又はの許可 又はの承認を取り消すことができる。

2項

農林水産大臣は、 又はの承認を受けた外国人が法令 又はの制限 若しくは条件に違反したときは、 又はの承認を取り消すことができる。

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1項

第三条から前条までの規定は、大陸棚(に規定する区域をいう。)であって排他的経済水域でない区域の定着性種族(海洋法に関する国際連合条約第七十七条4に規定する定着性の種族に属する生物をいう。次項において同じ。)に係る漁業、水産動植物の採捕 及び探査について準用する。


この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。

2項

前項において読み替えて準用する 及び第八条から第十条までの定着性種族は、農林水産大臣が告示する。

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1項

我が国は、 排他的経済水域の外側の海域においても我が国の内水面において産卵する溯河性資源について、海洋法に関する国際連合条約 第六十六条1の第一義的利益 及び責任を有する。

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1項

漁業監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、漁場、船舶、事業場、事務所、倉庫等に立ち入り、その状況 若しくは帳簿書類 その他の物件を検査し、又は関係者に対し質問をすることができる。

2項

前項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

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1項

この法律の規定による処分については、行政手続法平成五年法律第八十八号 及びの規定は、適用しない

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1項

この法律の規定に基づき政令 又は農林水産省令を制定し、 又は改廃する場合においては、その政令 又は農林水産省令で、その制定 又は改廃に伴い 合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

2項

この法律に別段の定めがあるものを除くほか、第二十四条から第二十六条までの規定の実施に必要な手続 その他これらの規定の施行に必要な事項については、主務省令で、その他この法律の実施に必要な手続 その他その施行に必要な事項については、農林水産省令で定める。

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1項

において準用する場合を含む。) 又はにおいて準用する場合を含む。において同じ。)の規定に違反した者は、三千万円以下の罰金に処する。

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1項

次の各号いずれかに該当する者は、千万円以下の罰金に処する。

一 号

又はにおいて準用する場合を含む。において同じ。)の規定に違反した者

二 号

において準用する場合を含む。以下 この号 及びにおいて同じ。)の規定によりの許可に付された制限 又は条件(の規定により変更されたものを含む。)に違反した者

三 号

において準用する場合を含む。)の規定による命令に違反した者

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1項

の規定による漁業監督官の検査を拒み、妨げ、 若しくは忌避し、又は その質問に対し答弁をせず、 若しくは虚偽の陳述をした者は、三百万円以下の罰金に処する。

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1項

の規定によりにおいて準用する場合を含む。)、において準用する場合を含む。)又はの承認に付された制限 又は条件(の規定により変更されたものを含む。)に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

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1項

又はの場合においては、犯人が所有し、又は所持する漁獲物 及び その製品、船舶 又は漁具 その他漁業、水産動植物の採捕 若しくは探査の用に供される物は、没収することができる。


ただし、犯人が所有していた これらの物件の全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴することができる。

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1項

において準用する場合を含む。)又はにおいて準用するにおいて準用する場合を含む。)の規定に違反した者は、二十万円以下の罰金に処する。

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1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務 又は財産に関して、第十七条の二から 第十九条まで 又は前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対し、 各本条の刑を科する。

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1項

この法律の規定に違反した罪に係る訴訟の第一審の裁判権は、地方裁判所にも属する。

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1項

この法律の規定に違反した罪 その他の政令で定める罪に当たる事件(以下「事件」という。)に関して拿捕(船舶を押収し、又は船長 その他の乗組員を逮捕することをいう。以下同じ。)が行われた場合には、司法警察員である者であって政令で定めるもの(以下「取締官」という。)は、当該拿捕に係る船舶の船長(船長に代わって その職務を行う者を含む。)及び違反者に対し、遅滞なく、次に掲げる事項を告知しなければならない。


ただし、事件が政令で定める外国人が行う漁業、水産動植物の採捕 又は探査に係るものであるときは、この限りでない。

一 号

担保金 又は その提供を保証する書面がの政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、遅滞なく、違反者は釈放され、及び船舶 その他の押収物(以下「押収物」という。)は返還されること。

二 号
提供すべき担保金の額
2項

前項第二号の担保金の額は、事件の種別 及び態様 その他の情状に応じ、政令で定めるところにより、 主務大臣の定める基準に従って、取締官が決定するものとする。

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1項

の規定により告知した額の担保金 又はその提供を保証する書面が政令で定めるところにより主務大臣に対して提供されたときは、主務大臣は、遅滞なく、その旨を取締官 又は検察官に通知するものとする。

2項

取締官は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、違反者を釈放し、及び押収物を返還しなければならない。

3項

検察官は、第一項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、 違反者の釈放 及び押収物の返還に関し、必要な措置を講じなければならない。

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1項

担保金は、主務大臣が保管する。

2項

担保金は、事件に関する手続において、違反者がその求められた期日 及び場所に出頭せず、又は返還された押収物で提出を求められたものがその求められた期日 及び場所に提出されなかったときは、当該期日の翌日から起算して一月を経過した日に、国庫に帰属する。


ただし、当該期日の翌日から起算して一月を経過する日までに、当該期日の翌日から起算して三月を経過する日以前の特定の日に出頭し 又は当該押収物を提出する旨の申出があったときは、この限りでない。

3項

前項ただし書の場合において、当該申出に係る特定の日に違反者が出頭せず、 又は当該押収物が提出されなかったときは、担保金は、その日の翌日に、 国庫に帰属する。

4項

担保金は、 事件に関する手続が終結した場合等その保管を必要としない事由が生じた場合には、返還する。

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1項

前三条における主務大臣 及びにおける主務省令は、政令で定める。

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