特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法

平成二十四年法律第五十五号
略称 : アジア拠点化推進法 
分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 平成三十一年四月一日
@ 最終更新 : 平成三十年五月三十日公布(平成三十年法律第三十三号)改正
最終編集日 : 2022年 06月29日 16時37分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 研究開発事業等の促進

  • 第三章 雑則

  • 第四章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、我が国を取り巻く国際経済環境の変化等に伴い、我が国がアジア地域 その他の地域における国際的な経済活動の拠点となることが重要となっていることに鑑み、我が国において新たに研究開発事業 及び統括事業を行おうとする特定多国籍企業の活動を促進するための特別の措置を講ずることにより、新たな事業の創出を図るとともに、就業の機会の増大に寄与し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

1項

この法律において「特定多国籍企業」とは、次の各号いずれにも該当する法人をいう。

一 号

法人の本店 又は主たる事務所が所在する国 又は地域(以下 この号 及び第四項において「国等」という。以外の国等に当該法人の子法人等(当該法人がその総株主等の議決権(総株主 又は総出資者の議決権をいう。以下同じ。)の過半数を保有していること その他の当該法人と密接な関係を有する法人として主務省令で定める法人をいう。)を設立している法人であって、国際的規模で事業活動を行っていると認められるものとして主務省令で定める法人

二 号

高度な知識 又は技術を有すると認められるものとして主務省令で定める法人

2項

この法律において「国内関係会社」とは、特定多国籍企業がその総株主等の議決権の過半数を保有していること その他の当該特定多国籍企業と密接な関係を有する国内の会社として主務省令で定める会社をいう。

3項

この法律において「研究開発事業」とは、技術革新の進展に即応した高度な産業技術(以下 この項において「高度技術」という。)の研究開発を行う事業(当該高度技術を用いて製品 又は役務を開発する事業を含む。)のうち、新たな事業の創出 及び就業の機会の増大をもたらすことが見込まれるものとして主務省令で定めるものをいう。

4項

この法律において「統括事業」とは、二以上の法人(これらの法人の本店 又は主たる事務所が所在する国等の数が二以上であるものに限る)のそれぞれの総株主等の議決権の過半数を取得し、又は保有することにより、当該二以上の法人が行う事業の方針を策定するとともに、当該二以上の法人に対する出資 その他の当該方針の実施を確保する事業 その他の当該二以上の法人が行う事業を統括する事業のうち、新たな事業の創出 及び就業の機会の増大をもたらすことが見込まれるものとして主務省令で定めるものをいう。

5項

この法律において「中小企業者」とは、次の各号いずれかに該当する者をいう。

一 号

資本金の額 又は出資の総額が三億円以下の会社 及び常時使用する従業員の数が三百人以下の会社であって、

  • 製造業、
  • 建設業、
  • 運輸業

その他の業種(次号から 第四号までに掲げる業種 及び第五号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

二 号

資本金の額 又は出資の総額が一億円以下の会社 及び常時使用する従業員の数が百人以下の会社であって、卸売業第五号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

三 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社 及び常時使用する従業員の数が百人以下の会社であって、サービス業第五号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

四 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社 及び常時使用する従業員の数が五十人以下の会社であって、小売業次号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

五 号

資本金の額 又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社 及び常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの

1項

主務大臣は、特定多国籍企業による研究開発事業 及び統括事業の促進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。

2項

基本方針には、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号

特定多国籍企業による研究開発事業 及び統括事業の促進の意義 及び基本的な方向に関する事項

二 号

特定多国籍企業による研究開発事業 及び統括事業の内容に関する事項

三 号

我が国事業者の特許発明、技術等の国外流出の防止 その他特定多国籍企業による研究開発事業 及び統括事業の促進に際し配慮すべき事項

3項

主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。

4項

主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

第二章 研究開発事業等の促進

1項

我が国において新たに研究開発事業を行うため、当該研究開発事業を行う国内関係会社を設立しようとする特定多国籍企業(その子法人等(当該特定多国籍企業がその総株主等の議決権の過半数を保有していること その他の当該特定多国籍企業と密接な関係を有する法人として主務省令で定める法人をいう。第六条第一項において同じ。)が既に我が国において当該研究開発事業を行っている場合における当該特定多国籍企業を除く)は、当該研究開発事業に関する計画(以下「研究開発事業計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを主務大臣に提出して、その研究開発事業計画が適当である旨の認定を受けることができる。

2項

研究開発事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
研究開発事業の内容
二 号

研究開発事業に常時使用する従業員の数 その他従業員に関し主務省令で定める事項

三 号
実施期間
四 号

研究開発事業を実施するために必要な資金の額 及び その調達方法

3項

主務大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る研究開発事業計画が次の各号いずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

一 号

前項第一号に掲げる事項が基本方針に照らして適切なものであること。

二 号

前項第二号に掲げる従業員の数が主務省令で定める数以上であること その他 従業員に関し主務省令で定める要件に適合するものであること。

三 号

前項第三号に掲げる実施期間が主務省令で定める期間であること。

四 号

前項各号に掲げる事項が研究開発事業を円滑かつ確実に遂行するために適切なものであること。

1項

前条第一項の認定を受けた者(当該認定に係る研究開発事業計画に従って設立された国内関係会社を含む。以下「認定研究開発事業者」という。)は、当該認定に係る研究開発事業計画を変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認定を受けなければならない。

2項

主務大臣は、認定研究開発事業者が前条第一項の認定に係る研究開発事業計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定研究開発事業計画」という。)に従って研究開発事業を行っていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

3項

主務大臣は、認定研究開発事業計画が前条第三項各号いずれかに適合しないものとなったと認めるときは、認定研究開発事業者に対して、当該認定研究開発事業計画の変更を指示し、又は その認定を取り消すことができる。

4項

前条第三項の規定は、第一項の認定に準用する。

1項

我が国において新たに統括事業を行うため、当該統括事業を行う国内関係会社を設立しようとする特定多国籍企業(その子法人等が既に我が国において当該統括事業を行っている場合における当該特定多国籍企業を除く)は、当該統括事業に関する計画(以下「統括事業計画」という。)を作成し、主務省令で定めるところにより、これを主務大臣に提出して、その統括事業計画が適当である旨の認定を受けることができる。

2項

統括事業計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
統括事業の内容
二 号

統括事業に常時使用する従業員の数 その他従業員に関し主務省令で定める事項

三 号
実施期間
四 号

統括事業を実施するために必要な資金の額 及び その調達方法

3項

主務大臣は、第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る統括事業計画が次の各号いずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

一 号

前項第一号に掲げる事項が基本方針に照らして適切なものであること。

二 号

前項第二号に掲げる従業員の数が主務省令で定める数以上であること その他従業員に関し主務省令で定める要件に適合するものであること。

三 号

前項第三号に掲げる実施期間が主務省令で定める期間であること。

四 号

前項各号に掲げる事項が統括事業を円滑かつ確実に遂行するために適切なものであること。

1項

前条第一項の認定を受けた者(当該認定に係る統括事業計画に従って設立された国内関係会社を含む。以下「認定統括事業者」という。)は、当該認定に係る統括事業計画を変更しようとするときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣の認定を受けなければならない。

2項

主務大臣は、認定統括事業者が前条第一項の認定に係る統括事業計画(前項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。以下「認定統括事業計画」という。)に従って統括事業を行っていないと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

3項

主務大臣は、認定統括事業計画が前条第三項各号いずれかに適合しないものとなったと認めるときは、認定統括事業者に対して、当該認定統括事業計画の変更を指示し、又は その認定を取り消すことができる。

4項

前条第三項の規定は、第一項の認定に準用する。

1項

外国為替及び外国貿易法昭和二十四年法律第二百二十八号)第二十六条第一項に規定する外国投資家が認定研究開発事業計画 又は認定統括事業計画に従って行おうとする国内関係会社の株式 又は持分の取得について同法第二十七条第一項の規定による届出をした場合における同条第二項の規定の適用については、

同項中 「三十日」とあるのは、「二週間」と

する。

1項

中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法昭和三十八年法律第百一号)第五条第一項各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。

一 号

認定研究開発事業者 又は認定統括事業者である中小企業者が認定研究開発事業計画 又は認定統括事業計画に従って研究開発事業 又は統括事業を行うために資本金の額が三億円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け 及び当該引受けに係る株式の保有

二 号
  • 認定研究開発事業者 又は認定統括事業者である中小企業者のうち資本金の額が三億円を超える株式会社が認定研究開発事業計画 又は認定統括事業計画に従って研究開発事業 又は統括事業を行うために必要とする資金の調達を図るために発行する株式、
  • 新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)又は新株予約権付社債等(中小企業投資育成株式会社法第五条第一項第二号に規定する新株予約権付社債等をいう。以下 この号 及び次項において同じ。)の引受け 及び当該引受けに係る株式、

新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。) 又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有

2項
  • 前項第一号の規定による株式の引受け 及び当該引受けに係る株式の保有 並びに同項第二号の規定による株式、
  • 新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)又は新株予約権付社債等の引受け 及び当該引受けに係る株式、

新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用については、それぞれ同法第五条第一項第一号 及び第二号の事業とみなす。

第三章 雑則

1項

国、地方公共団体 及び独立行政法人日本貿易振興機構は、特定多国籍企業による研究開発事業 及び統括事業を促進するため、当該研究開発事業 及び統括事業の円滑な実施のための事業環境の整備 その他必要な施策を総合的に推進するよう努めるものとする。

1項

国は、認定研究開発事業者 又は認定統括事業者に対し、当該認定研究開発事業計画 又は認定統括事業計画に従って行われる研究開発事業 又は統括事業の適確な実施に必要な指導 及び助言を行うものとする。

1項

主務大臣は、認定研究開発事業者に対し、当該認定研究開発事業計画の実施状況について報告を求めることができる。

2項

主務大臣は、認定統括事業者に対し、当該認定統括事業計画の実施状況について報告を求めることができる。

1項

第三条第一項第三項 及び第四項における主務大臣は、経済産業大臣、研究開発事業の成果が直接利用される事業を所管する大臣 及び統括事業に係る事業を所管する大臣とする。

2項
  • 第四条第一項
  • 同条第三項第五条第四項において準用する場合を含む。)、
  • 第五条第一項から 第三項まで

及び前条第一項における主務大臣は、経済産業大臣 及び研究開発事業の成果が直接利用される事業を所管する大臣とする。

3項
  • 第六条第一項
  • 同条第三項第七条第四項において準用する場合を含む。)、
  • 第七条第一項から 第三項まで

及び前条第二項における主務大臣は、経済産業大臣 及び統括事業に係る事業を所管する大臣とする。

4項
  • 第二条第一項第一号 及び第二号 並びに第二項における主務省令は、第一項に規定する主務大臣の共同で発する命令とし、
  • 同条第三項第四条第一項第二項第二号 並びに第三項第二号 及び第三号 並びに第五条第一項における主務省令は、第二項に規定する主務大臣の共同で発する命令とし、

第二条第四項第六条第一項第二項第二号 並びに第三項第二号 及び第三号 並びに第七条第一項における主務省令は、前項に規定する主務大臣の共同で発する命令とする。

第四章 罰則

1項

第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

2項

法人の代表者、代理人、使用人 その他の従業者が、その法人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対しても、同項の刑を科する。