公害に係る被害について、損害賠償に関する紛争が生じた場合においては、その賠償を請求する者は、公害等調整委員会規則で定めるところにより、書面をもつて、中央委員会に対し、損害賠償の責任に関する裁定(以下「責任裁定」という。)を申請することができる。
公害紛争処理法
第二款 責任裁定
裁定委員会は、不適法な責任裁定の申請で、その欠陥を補正することができないものについては、決定をもつてこれを却下しなければならない。
この場合においては、審問を経ないことができる。
第四十二条の十九の規定は、前項の決定について準用する。
審問は、公開して行なう。
ただし、裁定委員会が個人の秘密 若しくは事業者の事業上の秘密を保つため必要があると認めるとき、又は手続の公正が害されるおそれがあると認めるときその他公益上必要があると認めるときは、この限りでない。
裁定委員会は、申立てにより、又は職権で、次の各号に掲げる証拠調べをすることができる。
当事者は、審問の期日以外の期日における証拠調べに立ち会うことができる。
裁定委員会が第一項第一号 又は第二号の規定により参考人に陳述させ、又は鑑定人に鑑定させるときは、これらの者に宣誓をさせなければならない。
裁定委員会が第一項第一号の規定により当事者に陳述させるときは、その当事者に宣誓をさせることができる。
裁定委員会は、第一項第四号の規定による立入検査について、専門委員をして補助させることができる。
中央委員会は、責任裁定の申請前において、あらかじめ証拠調べをしなければその証拠を使用するのに困難な事情があると認めるときは、責任裁定の申請をしようとする者の申立てにより、証拠保全をすることができる。
前項の申立てがあつたときは、中央委員会の委員長は、中央委員会の委員長 及び委員のうちから、証拠保全に関与すべき者を指名する。
裁定委員会が前項の事実の調査をする場合において必要があると認めるときは、裁定委員会 又はその命を受けた中央委員会の事務局の職員は、当事者の占有する工場、事業場 その他事件に関係のある場所に立ち入つて、事件に関係のある文書 又は物件を検査することができる。
裁定委員会は、第二項の規定による立入検査について、専門委員をして補助させることができる。
責任裁定は、文書をもつて行ない、裁定書には次の各号に掲げる事項を記載し、裁定委員がこれに署名押印しなければならない。
裁定委員会は、責任裁定をしたときは、裁定書の正本を当事者に送達しなければならない。
責任裁定があつた場合において、裁定書の正本が当事者に送達された日から三十日以内に当該責任裁定に係る損害賠償に関する訴えが提起されないとき、又はその訴えが取り下げられたときは、その損害賠償に関し、当事者間に当該責任裁定と同一の内容の合意が成立したものとみなす。
前項の訴えの取下げは、被告の同意を得なければ、その効力を生じない。
責任裁定 及び その手続に関してされた処分については、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)による訴えを提起することができない。
申請の全部 又は一部を認容する責任裁定がされた場合において、裁判所が当該責任裁定に係る債権の全部 若しくは一部につき仮差押えを命じ、又は仮処分をもつてその全部 若しくは一部を支払うべきことを命ずるときは、担保を立てさせないものとする。
ただし、必要があると認めるときは、担保を立てさせることができる。
裁定委員会は、相当と認めるときは、職権で事件を調停に付したうえ、当事者の同意を得て管轄審査会等に処理させ、又は第二十四条第一項 及び第二項 並びに第三十一条第一項の規定にかかわらず、自ら処理することができる。
前項の規定により事件を調停に付した場合において、当事者間に合意が成立したときは、責任裁定の申請は、取り下げられたものとみなす。
責任裁定の申請が第四十二条の十二第二項の規定により受理されなかつた場合において、当該責任裁定の申請をした者がその旨の通知を受けた日から三十日以内に申請の目的となつた請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予 及び出訴期間の遵守に関しては、責任裁定の申請の時に、訴えの提起があつたものとみなす。
前項の場合において、訴訟手続が中止されないときは、裁定委員会は、責任裁定の手続を中止することができる。
第三十三条の二の規定は、裁定委員会の行う責任裁定について準用する。