外務公務員法

昭和二十七年法律第四十一号
分類 法律
カテゴリ   国家公務員
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 09月04日 10時55分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 標準的な官職

  • 第三章 任免

  • 第四章 給与

  • 第五章 人事評価及び能率

  • 第六章 保障

  • 第七章 服務

  • 第八章 名誉総領事及び名誉領事並びに外国人の任用

  • 第九章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、外務公務員の職務と責任の特殊性に基づき、外務公務員の標準的な官職、任免、給与、人事評価、能率、保障、服務等に関し国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号)の特例 その他必要な事項を定め、あわせて名誉総領事 及び名誉領事 並びに外務省に勤務する外国人の任用について規定することを目的とする。

1項

この法律において「外務公務員」とは、左に掲げる者をいう。

一 号

特命全権大使(以下「大使」という。

二 号

特命全権公使(以下「公使」という。

三 号
特派大使
四 号
政府代表
五 号
全権委員
六 号

政府代表 又は全権委員の代理 並びに特派大使、政府代表 又は全権委員の顧問 及び随員

七 号
外務職員
2項

この法律において「特派大使」とは、日本国政府を代表して、外国における重要な儀式への参列 その他臨時の重要な任務を処理するため、外国に派遣される者をいう。

3項

この法律において「政府代表」とは、日本国政府を代表して、特定の目的をもつて外国政府と交渉し、又は国際会議 若しくは国際機関に参加し、若しくはこれにおいて行動する権限を付与された者をいう。

4項

この法律において「全権委員」とは、日本国政府を代表して、特定の目的をもつて外国政府と交渉し、又は国際会議に参加し、且つ、条約に署名調印する権限を付与された者をいう。

5項

この法律において「外務職員」とは、外務省本省に勤務する一般職の国家公務員のうち外交領事事務(これと直接関連する業務を含む。)及びその一般的補助業務に従事する者で外務省令で定めるもの並びに在外公館に勤務するすべての一般職の国家公務員をいう。

1項

国家公務員法 並びにこれに基く法令の規定は、この法律にその特例を定める場合を除く外、外務職員に関して適用があるものとする。

1項

国家公務員法第九十六条第一項第九十八条第一項第九十九条 並びに第百条第一項 及び第二項の規定は、外務職員以外の外務公務員に準用する。


この場合において、

国家公務員法第九十六条第一項第九十八条第一項第九十九条 及び第百条第一項
職員」とあるのは
「外務職員以外の外務公務員」と、

第百条第二項
所轄庁の長(退職者については、その退職した官職 又はこれに相当する官職の所轄庁の長)」とあるのは
「外務大臣」と

読み替えるものとする。

2項

前項に定めるものを除く外、外務職員以外の外務公務員の任免 その他の身分上の事項 及び服務に関する事項については、この法律の定めるところによる。

第二章 標準的な官職

1項

国家公務員法第三十四条第一項第五号に規定する標準職務遂行能力は、外務職員については、外務大臣が定めるものとする。

2項

国家公務員法第三十四条第二項に規定する標準的な官職は、外務職員については、外務省令で定める。

1項

外務職員(外務事務次官を除く)は、組織上の名称の外、公の便宜のために国際慣行に従い用いる公の名称として、参事官、一等書記官、二等書記官、三等書記官 及び外交官補、総領事、領事、副領事 及び領事官補 並びに一等理事官、二等理事官、三等理事官、副理事官 及び外務書記という名称を用いることができる。

2項

外務大臣は、公の便宜のために国際慣行に従い特に必要と認める場合には、外務職員に対し、前項に掲げる公の名称以外の公の名称を用いさせることができる。

3項

前二項に定めるものを除く外、公の名称に関し必要な事項は、外務省令で定める。

第三章 任免

1項

国家公務員法第三十八条の規定に該当する場合のほか、国籍を有しない者 又は外国の国籍を有する者は、外務公務員となることができない

2項

外務公務員は、前項の規定により外務公務員となることができなくなつたときは、当然失職する。

1項

大使 及び公使の任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。

2項

外務大臣は、大使 及び公使に在外公館の長を命ずる場合 又は在外公館の長たる大使 及び公使に在外公館の長であることを免ずる場合には、政令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣 及び内閣官房長官に協議した上で、当該協議に基づいて行うものとする。

3項

内閣総理大臣 又は内閣官房長官は、大使 及び公使について適切な人事管理を確保するために必要があると認めるときは、外務大臣に対し、大使 及び公使に在外公館の長を命ずること 並びに在外公館の長たる大使 及び公使に在外公館の長であることを免ずることについて協議を求めることができる。


この場合において、協議が調つたときは、外務大臣は、当該協議に基づいて在外公館の長を命じ、又は在外公館の長であることを免ずるものとする。

4項

第二条第一項第三号から第六号までに掲げる外務公務員の任免は、外務大臣の申出により内閣が行う。

5項

前項の外務公務員については、国会議員のうちから、任命することができる。

6項

前二項の外務公務員は、その任務を終了したときは、解任されるものとする。

1項

大使 及び公使の信任状 及び解任状、外国における重要な儀式への参列に際し特派大使に携行させる信任状、全権委任状 並びに領事官の委任状は、天皇がこれを認証する。

1項

外務大臣は、もつぱら財務、商務、農務、労働等に関する外交領事事務 又は特別の技術を必要とする外交領事事務に従事させるため その他特に必要がある場合には、外務省令で定めるところにより、選考によつて外務職員を任命することができる。

1項

在外公館の長たる大使 及び公使 その他在外公館に勤務する大使 及び公使は、その在外公館に勤務することを免ぜられたときは、新たに在外公館に勤務することを命ぜられるまでの間、待命となる。

2項

待命の大使 又は公使は、その待命の期間が一年を経過するときは、その職を免ぜられる。

3項

待命の大使 又は公使は、特別の必要がある場合には、臨時に、第二条第一項第三号から第六号までに掲げる者の任務 又はこれらに準ずる任務(以下「特派大使等の任務」という。)その他外務省本省の事務に従事させることができる。

4項

待命の大使 又は公使は、前項の規定により特派大使等の任務に従事している間にその待命の期間が一年を経過するに至つた場合には、第二項の規定にかかわらず、その任務を終了するまでの間は、その職を免ぜられない。

5項

待命の大使 又は公使には、第三項の規定により臨時に特派大使等の任務 その他外務省本省の事務に従事する場合を除くほか、待命の期間中、俸給 及び地域手当のそれぞれ百分の八十を支給するものとする。

6項

第二項から前項までに規定する場合を除くほか、待命の大使 又は公使は、この法律の適用については、待命でない大使 又は公使と異なることはない。

第四章 給与

1項

在外公館に勤務する外務公務員の給与は、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律昭和二十七年法律第九十三号)に基いて支給するものとする。

第五章 人事評価及び能率

1項

外務職員の人事評価の基準 及び方法に関する事項 その他人事評価に関し必要な事項は、外務省令で定める。

1項

外務大臣は、外務省令で定めるところにより、外務職員に、政令で定める文教研修施設 又は外国を含むその他の場所で研修を受ける機会を与えなければならない。

1項

外務大臣は、在外公館の事務が適正に行われているかどうかを査察させるため、外務公務員のうち適当と認める者を査察使として派遣することができる。

2項

査察使は、査察の結果を遅滞なく外務大臣に文書で報告しなければならない。

3項

外務大臣は、前項の報告を受けたときは、その報告に基き必要と認める措置を執らなければならない。

4項

前三項に定めるものを除く外、査察に関し必要な事項は、外務省令で定める。

第六章 保障

1項

外務職員は、勤務条件に関し、外務大臣により適当な行政上の措置が行われることを要求しようとするときは、国家公務員法第八十六条の規定にかかわらず、審議会等(国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるもの(以下「審議会」という。)に対して要求しなければならない。

2項

国家公務員法第八十七条 及び第八十八条の規定は、前項の要求に係る事案の審査 及び判定 並びにその結果執るべき措置に準用する。


この場合において、

同法第八十七条
前条」とあるのは
外務公務員法第十七条第一項」と、

人事院」とあるのは
同項に規定する審議会」と、

職員」とあるのは
「外務職員」と、

同法第八十八条
人事院」とあるのは
外務公務員法第十七条第一項に規定する審議会」と、

その権限に属する事項については、自らこれを実行し、その他の事項については、内閣総理大臣 又はその職員の所轄庁の長に対し、」とあるのは
「外務大臣に対し、」と

読み替えるものとする。

3項

前二項に定めるものを除く外、勤務条件に関する行政措置の要求に関する審査の手続に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

外務職員は、前条の規定による審議会の判定に対し不服があるときは、人事院に対し、再審査を要求することができる。

2項

国家公務員法第八十七条 及び第八十八条の規定は、前項の要求に係る事案の審査 及び判定 並びにその結果執るべき措置に準用する。


この場合において、

同法第八十七条
前条」とあるのは
外務公務員法第十八条第一項」と、

職員」とあるのは
「外務職員」と、

同法第八十八条
その権限に属する事項については、自らこれを実行し、その他の事項については、内閣総理大臣 又はその職員の所轄庁の長に対し、」とあるのは
「外務大臣に対し、」と

読み替えるものとする。

1項

外務職員が外交機密の漏えいによつて国家の重大な利益を毀損したという理由で懲戒処分を受けた場合におけるその処分についての審査請求は、国家公務員法第九十条第一項の規定にかかわらず外務大臣に対してしなければならない。

2項

前項の処分については、

国家公務員法第八十九条第三項
人事院」とあるのは、
「外務大臣」と

読み替えるものとする。

3項

国家公務員法第九十条第三項 及び第九十条の二の規定は、第一項に規定する審査請求について準用する。

1項

外務大臣は、前条第一項の処分についての審査請求がされたときは、これを却下する場合を除き、直ちにその事案を審議会の調査に付さなければならない。

2項

審議会は、前項の規定に基いて事案を調査する場合において、処分を受けた外務職員の請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。

3項

口頭審理は、非公開とする。

4項

処分を受けた外務職員は、すべての口頭審理に出席し、陳述を行い、証人を出席させ、並びに書類、記録 その他のあらゆる適切な事実 及び資料を提出することができる。

5項

前条第一項の処分についての審査請求に対する裁決は、審議会の調査の結果に基づいてしなければならない。

6項

外務大臣は、前条第一項の処分の全部 又は一部を取り消し、又は変更したときは、その処分によつて当該外務職員が失つた給与の弁済をしなければならない。

1項

前二条に定めるものを除くほか、懲戒処分についての審査請求の手続に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

第十九条第一項の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する外務大臣の裁決を経た後でなければ、提起することができない

第七章 服務

1項

外務大臣は、在外公館に勤務する外務公務員のうち 又は二以上の在外公館に引き続き勤務する期間(不健康地 その他これに類する地域で外務大臣が指定するものにある在外公館にあつては、勤務する期間一月につき一月を加算した期間)が三年をこえる者に対し、三年につき一回二月以内の期間(勤務地と本邦との間を往復するに要する期間を除く)の休暇のための帰国(以下「休暇帰国」という。)を許すことができる。

2項

特別の事情がある場合には、休暇帰国の期間は、前項に定める期間に二月以内の期間を加えたものとすることができる。

3項

第一項の休暇は、有給休暇とする。

4項

前三項に定めるものを除く外、休暇帰国に関し必要な事項は、外務省令で定める。

第八章 名誉総領事及び名誉領事並びに外国人の任用

1項

外務大臣は、審議会の意見を聞いて、名誉総領事 又は名誉領事を任命することができる。

1項

外務大臣は、審議会の意見を聞いて、外務省本省に勤務する外国人を採用することができる。

2項

在外公館の長は、外務大臣の許可を得て、当該在外公館に勤務する外国人を採用することができる。

第九章 雑則

1項

外務大臣は、第十七条第三項 及び第二十一条の規定に基づく政令案の立案 並びに第五条第二項第十条第十四条第十五条第十六条第四項 及び第二十三条第四項の規定による外務省令の制定 又は改廃を行うときは、あらかじめ審議会の議に付し、その意見に基づいてこれをしなければならない。

1項

第四条において準用する国家公務員法第百条第一項 又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者 及びこれらの項の規定に違反する行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし、又はそのほう助をした者は、一年以下の懲役 又は三万円以下の罰金に処する。

1項

国家公務員法中外務職員に関して適用される罰則の規定 及び前条の規定は、国外において当該各条に掲げるいずれかの罪を犯した者にも適用する。