外国為替及び外国貿易法

# 昭和二十四年法律第二百二十八号 #

第三章 支払等

分類 法律
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十七号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 20時50分


1項

主務大臣は、我が国が締結した条約 その他の国際約束を誠実に履行するため必要があると認めるとき、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため特に必要があると認めるとき、又は第十条第一項の閣議決定が行われたときは、支払等が、これらと同一の見地から許可 又は承認を受ける義務を課した取引 又は行為に係る支払等である場合を除き、政令で定めるところにより、本邦から外国へ向けた支払をしようとする居住者 若しくは非居住者 又は非居住者との間で支払等をしようとする居住者に対し、当該支払 又は支払等について、許可を受ける義務を課することができる。

2項

前項に定める場合のほか、主務大臣は、我が国の国際収支の均衡を維持するため特に必要があると認めるときは、支払が、次章から第六章までの規定により許可を受け、若しくは届出をする義務が課され、又は許可 若しくは承認を受ける義務を課することができることとされている取引 又は行為に係る支払である場合を除き、政令で定めるところにより、本邦から外国へ向けた支払をしようとする居住者 若しくは非居住者 又は非居住者に対して支払をしようとする居住者に対し、これらの支払について、許可を受ける義務を課することができる。

3項

前二項に定める場合のほか、主務大臣は、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、支払等が、次章から第六章までの規定により許可を受け、若しくは届出をする義務が課され、又は許可 若しくは承認を受ける義務を課することができることとされている取引 又は行為に係る支払等である場合を除き、政令で定めるところにより、本邦から外国へ向けた支払をしようとする居住者 若しくは非居住者 又は非居住者との間で支払等をしようとする居住者に対し、当該支払 又は支払等について、許可を受ける義務を課することができる。

4項

前三項の規定により許可を受ける義務を課することができることとされる支払等についてこれらの規定の二以上の規定により許可を受ける義務が課された場合には、当該支払等をしようとする者は、政令で定めるところにより、当該二以上の規定による許可の申請を併せて行うことができる。


この場合において、主務大臣は、当該申請に係る支払等について許可を受ける義務を課することとなつた事情を併せ考慮して、許可をするかどうかを判断するものとする。

5項

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定により、取引 又は行為を行うことにつき許可 若しくは承認を受け、又は届出をする義務が課されているときは、政令で定める場合を除き、当該許可 若しくは承認を受けないで、又は当該届出をしないで当該取引 又は行為に係る支払等をしてはならない。

1項

主務大臣は、前条第一項の規定により許可を受ける義務を課した場合において、当該許可を受ける義務が課された支払等を当該許可を受けないで行つた者が再び同項の規定により許可を受ける義務が課された支払等を当該許可を受けないで行うおそれがあると認めるときは、その者に対し、一年以内の期間を限り、本邦から外国へ向けた支払(銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行をいう。第二十一条第三項において同じ。)その他の政令で定める金融機関(以下「銀行等」という。)又は資金移動業者(資金決済に関する法律第二条第三項に規定する資金移動業者をいい、同法第三十七条の二第二項の規定により資金移動業者とみなされる者を含む。以下同じ。)がその顧客の支払に係る為替取引を行う場合における当該為替取引によつてされるもの及び電子決済手段等取引業者等(次の表の上欄に掲げる者をいう。以下同じ。)がその顧客の支払に係る電子決済手段等の移転等(同表の上欄に掲げる者の区分に応じそれぞれ同表の下欄に定める行為をいう。以下同じ。)を行う場合における当該電子決済手段等の移転等によつてされるものを除く)及び居住者と非居住者との間でする支払等(銀行等 又は資金移動業者がその顧客の支払等に係る為替取引を行う場合における当該為替取引によつてされるもの及び電子決済手段等取引業者等がその顧客の支払等に係る電子決済手段等の移転等を行う場合における当該電子決済手段等の移転等によつてされるものその他政令で定めるものを除く)について、その全部 若しくは一部を禁止し、又は政令で定めるところにより許可を受ける義務を課することができる。

電子決済手段等取引業者(資金決済に関する法律第二条第十二項に規定する電子決済手段等取引業者をいい、同法第六十二条の八第二項の規定により電子決済手段等取引業者とみなされる者を含む。以下 この条、第五十五条の三第二項 及び第五十五条の九の二第一項第一号において同じ。
電子決済手段の移転(当該電子決済手段の移転が 次に掲げる支払等のいずれかに係るものである場合 その他政令で定める場合に限る。)又は資金決済に関する法律第二条第十項第四号に掲げる行為
当該電子決済手段等取引業者の顧客が 次に掲げる者のいずれかとの間で行う支払等(本邦から 外国へ向けた支払を除く。
当該電子決済手段等取引業者に電子決済手段の管理を委託している当該電子決済手段等取引業者の 他の顧客
他の電子決済手段等取引業者に電子決済手段の管理を委託している当該 他の電子決済手段等取引業者の顧客
当該電子決済手段等取引業者の顧客が資金決済に関する法律第二条第十三項に規定する外国電子決済手段等取引業者に電子決済手段の管理を委託している当該外国電子決済手段等取引業者の顧客との間で行う支払等
電子決済等取扱業者(銀行法第二条第十八項に規定する電子決済等取扱業者をいう。第五十五条の九の二第一項第二号において同じ。
銀行法第二条第十七項第一号に掲げる行為
信用金庫電子決済等取扱業者(信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第八十五条の三の二第一項に規定する信用金庫電子決済等取扱業者をいう。第五十五条の九の二第一項第三号において同じ。
信用金庫法第八十五条の三第二項第一号に掲げる行為
信用協同組合電子決済等取扱業者(協同組合による金融事業に関する法律(昭和二十四年法律第百八十三号)第六条の四の四第一項に規定する信用協同組合電子決済等取扱業者をいう。第五十五条の九の二第一項第四号において同じ。
協同組合による金融事業に関する法律第六条の四の三第二項第一号に掲げる行為
暗号資産交換業者(資金決済に関する法律第二条第十六項に規定する暗号資産交換業者をいう。以下 この条 及び第五十五条の三第二項において同じ。
暗号資産の移転(当該暗号資産の移転が 次に掲げる支払等のいずれかに係るものである場合 その他政令で定める場合に限る。
当該暗号資産交換業者の顧客が 次に掲げる者のいずれかとの間で行う支払等(本邦から 外国へ向けた支払を除く。
当該暗号資産交換業者に暗号資産の管理を委託している当該暗号資産交換業者の 他の顧客
他の暗号資産交換業者に暗号資産の管理を委託している当該 他の暗号資産交換業者の顧客
当該暗号資産交換業者の顧客が資金決済に関する法律第二条第十七項に規定する外国暗号資産交換業者に暗号資産の管理を委託している当該外国暗号資産交換業者の顧客との間で行う支払等
1項

銀行等は、その顧客の支払等が、次の各号に掲げる支払等のいずれにも該当しないこと、又は次の各号に掲げる支払等に該当すると認められる場合には当該各号に定める要件を備えていることを確認した後でなければ、当該顧客と当該支払等に係る為替取引を行つてはならない。

一 号

第十六条第一項から第三項までの規定により許可を受ける義務が課された支払等

当該許可を受けていること。

二 号

第二十一条第一項 又は第二項の規定により許可を受ける義務が課された第二十条に規定する資本取引に係る支払等

当該許可を受けていること。

三 号

その他この法律 又はこの法律に基づく命令の規定により許可 若しくは承認を受け、又は届出をする義務が課された取引 又は行為のうち政令で定めるものに係る支払等

当該許可 若しくは承認を受け、又は当該届出後の所要の手続を完了していること。

1項

財務大臣は、銀行等が前条の規定に違反して その顧客の支払等に係る為替取引を行い、又は当該為替取引(第五十五条の九の二第二項第三号に掲げるものを除く)を行うおそれがあると認めるときは、当該銀行等に対し、前条の確認が適切に行われるための措置をとることを命ずることができる。

2項

財務大臣は、前項の規定による命令を銀行等に対してする場合において必要があると認めるときは、同項の措置がとられるまでの間、当該銀行等に対し外国為替取引に係る業務の全部 若しくは一部の停止を命じ、又は当該銀行等の当該業務の内容を制限することができる。

1項

前二条の規定は、資金移動業者がその顧客の支払等に係る為替取引を行う場合について準用する。

1項

第十七条 及び第十七条の二の規定は、電子決済手段等取引業者等がその顧客の支払等に係る電子決済手段等の移転等を行う場合について準用する。


この場合において、

第十七条
顧客と」とあるのは
「顧客の」と、

為替取引」とあるのは
「電子決済手段等の移転等」と、

第十七条の二第一項
為替取引」とあるのは
「電子決済手段等の移転等」と、

同条第二項
外国為替取引」とあるのは
「電子決済手段等の移転等」と

読み替えるものとする。

2項

電子決済手段等取引業者等がその顧客の支払等に係る電子決済手段等の移転等を行う場合において、銀行等 又は資金移動業者が発行する電子決済手段を移転するとき 及び銀行等 又は資金移動業者の委託を受けてその顧客の支払等に係る第十六条の二の表の一の項から四の項までの下欄に定める行為(電子決済手段の移転を除く第十八条の六第二項において同じ。)を行うときは、当該銀行等 又は資金移動業者に対しては、前三条の規定は、適用しない

1項

銀行等は、次の各号に掲げる顧客と本邦から外国へ向けた支払 又は非居住者との間でする支払等(当該顧客が非居住者である場合を除く)に係る為替取引(政令で定める小規模の支払 又は支払等に係るものを除く。以下「特定為替取引」という。)を行うに際しては、当該顧客について、運転免許証の提示を受ける方法 その他の財務省令で定める方法による当該各号に定める事項(以下「本人特定事項」という。)の確認(以下「本人確認」という。)を行わなければならない。

一 号

自然人 氏名、住所 又は居所(本邦内に住所 又は居所を有しない外国人で政令で定めるものにあつては、財務省令で定める事項)及び生年月日

二 号
法人 名称 及び主たる事務所の所在地
2項

銀行等は、顧客の本人確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために特定為替取引を行うとき その他の当該銀行等との間で現に特定為替取引の任に当たつている自然人が当該顧客と異なるとき(次項に規定する場合を除く)は、当該顧客の本人確認に加え、当該特定為替取引の任に当たつている自然人(以下 この条 及び次条において「代表者等」という。)についても、本人確認を行わなければならない。

3項

顧客が国、地方公共団体、人格のない社団 又は財団 その他の政令で定めるものである場合には、当該国、地方公共団体、人格のない社団 又は財団 その他の政令で定めるもののために当該銀行等との間で現に特定為替取引の任に当たつている自然人を顧客とみなして、第一項の規定を適用する。

4項

顧客(前項の規定により顧客とみなされる自然人を含む。以下 この項から第二十二条の三までにおいて同じ。)及び代表者等は、銀行等が本人確認を行う場合において、当該銀行等に対して、顧客 又は代表者等の本人特定事項を偽つてはならない。

1項

銀行等は、顧客 又は代表者等が特定為替取引を行う際に本人確認に応じないときは、当該顧客 又は代表者等がこれに応ずるまでの間、当該特定為替取引に係る義務の履行を拒むことができる。

1項

銀行等は、本人確認を行つた場合には、直ちに、財務省令で定める方法により、本人特定事項 その他の本人確認に関する事項として財務省令で定める事項に関する記録(次項において「本人確認記録」という。)を作成しなければならない。

2項

銀行等は、本人確認記録を、特定為替取引が終了した日 その他の財務省令で定める日から、七年間保存しなければならない。

1項

財務大臣は、銀行等が特定為替取引に関して第十八条第一項から第三項まで 又は前条第一項 若しくは第二項の規定に違反していると認めるときは、当該銀行等に対し、当該違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

1項

第十八条から前条までの規定は、資金移動業者が特定為替取引を行う場合について準用する。

1項

第十八条から第十八条の四までの規定は、電子決済手段等取引業者等がその顧客の支払等に係る電子決済手段等の移転等を行う場合について準用する。


この場合において、

第十八条第一項
顧客と」とあるのは
「顧客の」と、

係る為替取引」とあるのは
「係る電子決済手段等の移転等」と、

特定為替取引」とあるのは
「電子決済手段等移転等取引」と、

同条第二項 及び第三項第十八条の二第十八条の三第二項 並びに第十八条の四
特定為替取引」とあるのは
「電子決済手段等移転等取引」と

読み替えるものとする。

2項

電子決済手段等取引業者等がその顧客の支払等に係る電子決済手段等の移転等を行う場合において、銀行等 又は資金移動業者が発行する電子決済手段を移転するとき 及び銀行等 又は資金移動業者の委託を受けてその顧客の支払等に係る第十六条の二の表の一の項から四の項までの下欄に定める行為を行うときは、当該銀行等 又は資金移動業者に対しては、第十八条から前条までの規定は、適用しない

1項

財務大臣は、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるときは、支払手段(第六条第一項第七号ハに掲げる支払手段が入力されている証票等を含む。)又は証券を輸出し、又は輸入しようとする居住者 又は非居住者に対し、政令で定めるところにより、許可を受ける義務を課することができる。

2項

財務大臣は、この法律 若しくはこの法律に基づく命令の規定の確実な実施を図るため必要があると認めるとき、又は国際収支の均衡 若しくは通貨の安定を維持するため特に必要があると認めるときは、貴金属を輸出し、又は輸入しようとする居住者 又は非居住者に対し、政令で定めるところにより、許可を受ける義務を課することができる。

3項

居住者 又は非居住者は、第一項に規定する支払手段 又は証券 若しくは貴金属を輸出し、又は輸入しようとするときは、当該支払手段 又は当該証券 若しくは貴金属の輸出 又は輸入が前二項の規定に基づく命令の規定により財務大臣の許可を受けたものである場合 その他政令で定める場合を除き、政令で定めるところにより、あらかじめ、当該輸出 又は輸入の内容、実行の時期 その他の政令で定める事項を財務大臣に届け出なければならない。