少年鑑別所法

# 平成二十六年法律第五十九号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和四年十一月一日 ( 2022年 11月1日 )
@ 最終更新 : 令和二年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2023年 05月14日 16時45分


第一節 目的等

1項
この法律は、少年鑑別所の適正な管理運営を図るとともに、鑑別対象者の鑑別を適切に行うほか、在所者の人権を尊重しつつ、その者の状況に応じた適切な観護処遇を行い、並びに非行 及び犯罪の防止に関する援助を適切に行うことを目的とする。
1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 号

鑑別対象者

第十七条第一項 又は第十八条第一項の規定による鑑別の対象となる者をいう。

二 号

在所者

少年鑑別所に収容されている者をいう。

三 号

被観護在所者

少年法昭和二十三年法律第百六十八号第十七条第一項第二号の観護の措置(同条第七項の規定により同号の観護の措置とみなされる場合を含む。以下単に「観護の措置」という。)が執られて少年鑑別所に収容されている者 又は同法第十四条第二項において準用する刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号第百六十七条第一項の規定により少年鑑別所に留置されている者をいう。

四 号

未決在所者

刑事訴訟法の規定により少年鑑別所に勾留(少年法第四十五条第四号の規定により勾留とみなされる場合を含む。第百二十五条第一号 及び第三号において同じ。)されている者 又は刑事訴訟法第百六十七条第一項同法第二百二十四条第二項において準ずる場合を含む。)の規定により少年鑑別所に留置されている者をいう。

五 号

在院中在所者

少年院法平成二十六年法律第五十八号第三十六条第二項 又は第百三十三条第一項 若しくは第二項の規定により少年鑑別所に収容されている者をいう。

六 号

各種在所者

在所者であって、被観護在所者、未決在所者 及び在院中在所者以外のものをいう。

七 号

保護者

少年法第二条第二項に規定する保護者をいう。

八 号

保護者等

次の 又はいずれかに該当する者(在所者に対し虐待、悪意の遺棄 その他これらに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をした者であって、その在所者の健全な育成を著しく妨げると認められるものを除く)をいう。

在所者の保護者

在所者の親族(に掲げる者を除き、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。

第二節 少年鑑別所の運営

1項
少年鑑別所は、次に掲げる事務を行う施設とする。
一 号
鑑別対象者の鑑別を行うこと。
二 号
観護の措置が執られて少年鑑別所に収容される者 その他法令の規定により少年鑑別所に収容すべきこととされる者 及び収容することができることとされる者を収容し、これらの者に対し必要な観護処遇を行うこと。
三 号
この法律の定めるところにより、非行 及び犯罪の防止に関する援助を行うこと。
1項
在所者は、次に掲げる別に従い、それぞれ互いに分離するものとする。
一 号
性別
二 号

被観護在所者(未決在所者としての地位を有するものを除く)、未決在所者(被観護在所者としての地位を有するものを除く)、未決在所者としての地位を有する被観護在所者、在院中在所者 及び各種在所者の別

2項

前項の規定にかかわらず、適当と認めるときは、居室(在所者が主として休息 及び就寝のために使用する場所として少年鑑別所の長が指定する室をいう。以下同じ。)外に限り、同項第二号に掲げる別による分離をしないことができる。

1項

法務大臣は、この法律の適正な施行を期するため、その職員のうちから監査官を指名し、各少年鑑別所について、毎年一回以上、これに実地監査を行わせなければならない。

1項
少年鑑別所の長は、その少年鑑別所の適正な運営に資するため必要な意見を関係する公務所 及び公私の団体の職員 並びに学識経験のある者から聴くことに努めなければならない。
1項

少年鑑別所に、少年鑑別所視察委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2項
委員会は、その置かれた少年鑑別所を視察し、その運営に関し、少年鑑別所の長に対して意見を述べるものとする。
1項

委員会は、委員七人以内で組織する。

2項
委員は、人格が高潔であって、少年の健全な育成に関する識見を有し、かつ、少年鑑別所の運営の改善向上に熱意を有する者のうちから、法務大臣が任命する。
3項

委員の任期は、一年とする。


ただし、再任を妨げない。

4項
委員は、非常勤とする。
5項

前各項に定めるもののほか、委員会の組織 及び運営に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項
少年鑑別所の長は、少年鑑別所の運営の状況について、法務省令で定めるところにより、定期的に、又は必要に応じて、委員会に対し、情報を提供するものとする。
2項

委員会は、少年鑑別所の運営の状況を把握するため、委員による少年鑑別所の視察をすることができる。


この場合において、委員会は、必要があると認めるときは、少年鑑別所の長に対し、委員による在所者との面接の実施について協力を求めることができる。

3項

少年鑑別所の長は、前項の視察 及び在所者との面接について、必要な協力をしなければならない。

4項

第九十三条第九十九条において準用する場合を含む。)及び第百一条第百四条において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、在所者が委員会に対して提出する書面は、検査をしてはならない。

1項
法務大臣は、毎年、委員会が少年鑑別所の長に対して述べた意見 及びこれを受けて少年鑑別所の長が講じた措置の内容を取りまとめ、その概要を公表するものとする。
1項
裁判官 及び検察官は、少年鑑別所を巡視することができる。
1項
少年鑑別所の長は、その少年鑑別所の参観を申し出る者がある場合において相当と認めるときは、これを許すことができる。
1項
少年鑑別所の職員には、在所者の人権に関する理解を深めさせ、並びに鑑別対象者の鑑別、在所者の観護処遇 その他の少年鑑別所の業務を適正かつ効果的に行うために必要な知識 及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修 及び訓練を行うものとする。

第三節 関係機関等との連携

1項

少年鑑別所の長は、第三条各号に掲げる事務を適切に実施するため必要があると認めるときは、家庭裁判所、少年院、地方更生保護委員会 又は保護観察所 その他の関係行政機関、学校、病院、児童の福祉に関する機関、民間の篤志家 その他の者に対し、協力を求めるものとする。

2項

前項の協力をした者は、その協力を行うに当たって知り得た鑑別対象者 又は在所者に関する秘密を漏らしてはならない。

1項
少年鑑別所の長は、鑑別対象者の鑑別 及び在所者の観護処遇の適切な実施のため必要があるときは、公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。