日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。
この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在 及び将来の国民に与へられる。
この憲法が国民に保障する自由 及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。
又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
すべて国民は、個人として尊重される。
生命、自由 及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法 その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分 又は門地により、政治的、経済的 又は社会的関係において、差別されない。
華族 その他の貴族の制度は、これを認めない。
栄誉、勲章 その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。
栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。
選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令 又は規則の制定、廃止 又は改正 その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。
何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国 又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。
又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
思想 及び良心の自由は、これを侵してはならない。
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。
いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式 又は行事に参加することを強制されない。
国 及びその機関は、宗教教育 その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
集会、結社 及び言論、出版 その他一切の表現の自由は、これを保障する。
検閲は、これをしてはならない。
通信の秘密は、これを侵してはならない。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転 及び職業選択の自由を有する。
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
学問の自由は、これを保障する。
婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚 並びに婚姻 及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障 及び公衆衛生の向上 及び増進に努めなければならない。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。
義務教育は、これを無償とする。
すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
賃金、就業時間、休息 その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
児童は、これを酷使してはならない。
勤労者の団結する権利 及び団体交渉 その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
財産権は、これを侵してはならない。
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命 若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。
何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留 又は拘禁されない。
又、何人も、正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人 及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。
何人も、その住居、書類 及び所持品について、侵入、捜索 及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所 及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
捜索 又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。
公務員による拷問 及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁ずる。
すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。
刑事被告人は、すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。
刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。
被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。
何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
強制、拷問 若しくは脅迫による自白 又は不当に長く抑留 若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。
何人も、実行の時に適法であつた行為 又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。
又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。
何人も、抑留 又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、国にその補償を求めることができる。