津波防災地域づくりに関する法律

# 平成二十三年法律第百二十三号 #

第八章 津波災害警戒区域

分類 法律
カテゴリ   都市計画
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十八号
最終編集日 : 2024年 09月09日 16時51分


1項

都道府県知事は、基本指針に基づき、かつ、津波浸水想定を踏まえ、津波が発生した場合には住民 その他の者(以下「住民等」という。)の生命 又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、当該区域における津波による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域を、津波災害警戒区域(以下「警戒区域」という。)として指定することができる。

2項

前項の規定による指定は、当該指定の区域 及び基準水位(津波浸水想定に定める水深に係る水位に建築物等への衝突による津波の水位の上昇を考慮して必要と認められる値を加えて定める水位であって、津波の発生時における避難 並びに第七十三条第一項に規定する特定開発行為 及び第八十二条に規定する特定建築行為の制限の基準となるべきものをいう。以下同じ。)を明らかにしてするものとする。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、関係市町村長の意見を聴かなければならない。

4項

都道府県知事は、第一項の規定による指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨 並びに当該指定の区域 及び基準水位を公示しなければならない。

5項

都道府県知事は、前項の規定による公示をしたときは、速やかに、国土交通省令で定めるところにより、関係市町村長に、同項の規定により公示された事項を記載した図書を送付しなければならない。

6項

第二項から前項までの規定は、第一項の規定による指定の変更 又は解除について準用する。

1項

市町村防災会議(災害対策基本法昭和三十六年法律第二百二十三号第十六条第一項の市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。以下同じ。)は、前条第一項の規定による警戒区域の指定があったときは、市町村地域防災計画(同法第四十二条第一項の市町村地域防災計画をいう。以下同じ。)において、当該警戒区域ごとに、次に掲げる事項について定めるものとする。

一 号

人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報の収集 及び伝達 並びに予報 又は警報の発令 及び伝達に関する事項

二 号

避難施設 その他の避難場所 及び避難路 その他の避難経路に関する事項

三 号

災害対策基本法第四十八条第一項の防災訓練として市町村長が行う津波に係る避難訓練(第七十条において「津波避難訓練」という。)の実施に関する事項

四 号

警戒区域内に、地下街等(地下街 その他地下に設けられた不特定かつ多数の者が利用する施設をいう。第七十一条第一項第一号において同じ。)又は社会福祉施設、学校、医療施設 その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設であって、当該施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難を確保する必要があると認められるものがある場合にあっては、これらの施設の名称 及び所在地

五 号

前各号に掲げるもののほか、警戒区域における津波による人的災害を防止するために必要な警戒避難体制に関する事項

2項

市町村防災会議は、前項の規定により市町村地域防災計画において同項第四号に掲げる事項を定めるときは、当該市町村地域防災計画において、同号に規定する施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう、同項第一号に掲げる事項のうち人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報、予報 及び警報の伝達に関する事項を定めるものとする。

1項

警戒区域をその区域に含む市町村の長は、市町村地域防災計画に基づき、国土交通省令で定めるところにより、人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報の伝達方法、避難施設 その他の避難場所 及び避難路 その他の避難経路に関する事項 その他警戒区域における円滑な警戒避難を確保する上で必要な事項を住民等に周知させるため、これらの事項を記載した印刷物の配布 その他の必要な措置を講じなければならない。

1項

市町村長は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内に存する施設(当該市町村が管理する施設を除く)であって次に掲げる基準に適合するものを指定避難施設として指定することができる。

一 号

当該施設が津波に対して安全な構造のものとして国土交通省令で定める技術的基準に適合するものであること。

二 号

基準水位以上の高さに避難上有効な屋上その他の場所が配置され、かつ、当該場所までの避難上有効な階段 その他の経路があること。

三 号

津波の発生時において当該施設が住民等に開放されることその他当該施設の管理方法が内閣府令・国土交通省令で定める基準に適合するものであること。

2項

市町村長は、前項の規定により指定避難施設を指定しようとするときは、当該施設の管理者の同意を得なければならない。

3項

建築主事 又は建築副主事を置かない市町村の市町村長は、建築物 又は建築基準法第八十八条第一項の政令で指定する工作物について第一項の規定による指定をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。

4項

市町村長は、第一項の規定による指定をしたときは、その旨を公示しなければならない。

1項

市町村防災会議は、前条第一項の規定により指定避難施設が指定されたときは、当該指定避難施設に関する事項を、第五十四条第一項第二号の避難施設に関する事項として、同項の規定により市町村地域防災計画において定めるものとする。


この場合においては、当該市町村地域防災計画において、併せて当該指定避難施設の管理者に対する人的災害を生ずるおそれがある津波に関する情報、予報 及び警報の伝達方法を、同項第一号に掲げる事項として定めるものとする。

1項

指定避難施設の管理者は、当該指定避難施設を廃止し、又は改築 その他の事由により当該指定避難施設の現状に政令で定める重要な変更を加えようとするときは、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより市町村長に届け出なければならない。

1項

市町村長は、当該指定避難施設が廃止され、又は第五十六条第一項各号に掲げる基準に適合しなくなったと認めるときは、同項の規定による指定を取り消すものとする。

2項

市町村は、前項の規定により第五十六条第一項の規定による指定を取り消したときは、その旨を公示しなければならない。

1項

市町村は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内に存する施設(当該市町村が管理する施設を除く)であって第五十六条第一項第一号 及び第二号に掲げる基準に適合するものについて、その避難用部分(津波の発生時における避難の用に供する部分をいう。以下同じ。)を自ら管理する必要があると認めるときは、施設所有者等(当該施設の所有者、その敷地である土地の所有者 又は当該土地の使用 及び収益を目的とする権利(臨時設備 その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く次条第一項において同じ。)を有する者をいう。以下同じ。)との間において、管理協定を締結して当該施設の避難用部分の管理を行うことができる。

2項

前項の規定による管理協定については、施設所有者等の全員の合意がなければならない。

1項

市町村は、警戒区域において津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るため、警戒区域内において建設が予定されている施設 又は建設中の施設であって、第五十六条第一項第一号 及び第二号に掲げる基準に適合する見込みのもの(当該市町村が管理することとなる施設を除く)について、その避難用部分を自ら管理する必要があると認めるときは、施設所有者等となろうとする者(当該施設の敷地である土地の所有者 又は当該土地の使用 及び収益を目的とする権利を有する者を含む。次項 及び第六十八条において「予定施設所有者等」という。)との間において、管理協定を締結して建設後の当該施設の避難用部分の管理を行うことができる。

2項

前項の規定による管理協定については、予定施設所有者等の全員の合意がなければならない。

1項

第六十条第一項 又は前条第一項の規定による管理協定(以下「管理協定」という。)には、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 号

管理協定の目的となる避難用部分(以下この条 及び第六十五条において「協定避難用部分」という。

二 号

協定避難用部分の管理の方法に関する事項

三 号
管理協定の有効期間
四 号

管理協定に違反した場合の措置

2項

管理協定の内容は、次に掲げる基準のいずれにも適合するものでなければならない。

一 号

協定避難施設(協定避難用部分の属する施設をいう。以下同じ。)の利用を不当に制限するものでないこと。

二 号

前項第二号から第四号までに掲げる事項について内閣府令・国土交通省令で定める基準に適合するものであること。

1項

市町村は、管理協定を締結しようとするときは、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、当該管理協定を当該公告の日から二週間利害関係人の縦覧に供さなければならない。

2項

前項の規定による公告があったときは、利害関係人は、同項の縦覧期間満了の日までに、当該管理協定について、市町村に意見書を提出することができる。

1項

建築主事 又は建築副主事を置かない市町村は、建築物 又は建築基準法第八十八条第一項の政令で指定する工作物について管理協定を締結しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。

1項

市町村は、管理協定を締結したときは、内閣府令・国土交通省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、当該管理協定の写しを当該市町村の事務所に備えて公衆の縦覧に供するとともに、協定避難施設 又はその敷地である土地の区域内の見やすい場所に、それぞれ協定避難施設である旨 又は協定避難施設が当該区域内に存する旨を明示し、かつ、協定避難用部分の位置を明示しなければならない。

1項

市町村防災会議は、当該市町村が管理協定を締結したときは、当該管理協定に係る協定避難施設に関する事項を、第五十四条第一項第二号の避難施設に関する事項として、同項の規定により市町村地域防災計画において定めるものとする。

1項

第六十条第二項第六十一条第二項第六十二条第二項第六十三条 及び第六十五条の規定は、管理協定において定めた事項の変更について準用する。


この場合において、

第六十一条第二項
予定施設所有者等」とあるのは、
「予定施設所有者等(施設の建設後にあっては、施設所有者等)」と

読み替えるものとする。

1項

第六十五条前条において準用する場合を含む。)の規定による公告のあった管理協定は、その公告のあった後において当該管理協定に係る協定避難施設の施設所有者等 又は予定施設所有者等となった者に対しても、その効力があるものとする。

1項

第五十四条第五十五条第五十七条 及び第六十六条の規定は、災害対策基本法第十七条第一項の規定により津波による人的災害の防止 又は軽減を図るため同項の市町村防災会議の協議会が設置されている場合について準用する。


この場合において、

第五十四条第一項
市町村防災会議(災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第十六条第一項の市町村防災会議をいい、これを設置しない市町村にあっては、当該市町村の長とする。」とあるのは
「市町村防災会議の協議会(災害対策基本法昭和三十六年法律第二百二十三号第十七条第一項の市町村防災会議の協議会をいう。」と、

市町村地域防災計画(同法第四十二条第一項の市町村地域防災計画をいう。」とあるのは
「市町村相互間地域防災計画(同法第四十四条第一項の市町村相互間地域防災計画をいう。」と、

同条第二項第五十七条 及び第六十六条
市町村防災会議」とあるのは
「市町村防災会議の協議会」と、

同項第五十五条第五十七条 及び第六十六条
市町村地域防災計画」とあるのは
「市町村相互間地域防災計画」と

読み替えるものとする。

1項

指定避難施設の管理者は、津波避難訓練が行われるときは、これに協力しなければならない。

1項

次に掲げる施設であって、第五十四条第一項第六十九条において準用する場合を含む。)の規定により市町村地域防災計画 又は災害対策基本法第四十四条第一項の市町村相互間地域防災計画にその名称 及び所在地が定められたもの(以下この条において「避難促進施設」という。)の所有者 又は管理者は、単独で又は共同して、国土交通省令で定めるところにより、避難訓練 その他当該避難促進施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な措置に関する計画(以下この条において「避難確保計画」という。)を作成し、これを市町村長に報告するとともに、公表しなければならない。

一 号
地下街等
二 号

社会福祉施設、学校、医療施設 その他の主として防災上の配慮を要する者が利用する施設のうち、その利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難を確保するための体制を計画的に整備する必要があるものとして政令で定めるもの

2項

避難促進施設の所有者 又は管理者は、避難確保計画の定めるところにより避難訓練を行うとともに、その結果を市町村長に報告しなければならない。

3項

市町村長は、前二項の規定により報告を受けたときは、避難促進施設の所有者 又は管理者に対し、当該避難促進施設の利用者の津波の発生時における円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な助言 又は勧告をすることができる。

4項

避難促進施設の所有者 又は管理者の使用人 その他の従業者は、避難確保計画の定めるところにより、第二項の避難訓練に参加しなければならない。

5項

避難促進施設の所有者 又は管理者は、第二項の避難訓練を行おうとするときは、避難促進施設を利用する者に協力を求めることができる。