この法律は、国際情勢の複雑化に伴い我が国 及び国民の安全の確保に係る情報の重要性が増大するとともに、デジタル社会の発展に伴いその漏えいの危険性が懸念される中で、我が国の安全保障(国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家 及び国民の安全を保障することをいう。以下同じ。)に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護に関し、特定秘密の指定 及び取扱者の制限 その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国 及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
特定秘密の保護に関する法律
第一章 総則
この法律において「行政機関」とは、次に掲げる機関をいう。
法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関
内閣府、宮内庁 並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項 及び第二項に規定する機関(これらの機関のうち、国家公安委員会にあっては警察庁を、第四号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては当該政令で定める機関を除く。)
国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(第五号の政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)
内閣府設置法第三十九条 及び第五十五条 並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関 並びに内閣府設置法第四十条 及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、警察庁 その他政令で定めるもの
国家行政組織法第八条の二の施設等機関 及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの
第二章 特定秘密の指定等
行政機関の長(当該行政機関が合議制の機関である場合にあっては当該行政機関をいい、前条第四号 及び第五号の政令で定める機関(合議制の機関を除く。)にあってはその機関ごとに政令で定める者をいう。第十一条第一号を除き、以下同じ。)は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるもの(日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法(昭和二十九年法律第百六十六号)第一条第三項に規定する特別防衛秘密に該当するものを除く。)を特定秘密として指定するものとする。
ただし、内閣総理大臣が第十八条第二項に規定する者の意見を聴いて政令で定める行政機関の長については、この限りでない。
行政機関の長は、前項の規定による指定(附則第五条を除き、以下単に「指定」という。)をしたときは、政令で定めるところにより指定に関する記録を作成するとともに、当該指定に係る特定秘密の範囲を明らかにするため、特定秘密である情報について、次の各号のいずれかに掲げる措置を講ずるものとする。
政令で定めるところにより、特定秘密である情報を記録する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下 この号において同じ。)若しくは物件 又は当該情報を化体する物件に特定秘密の表示(電磁的記録にあっては、当該表示の記録を含む。)をすること。
特定秘密である情報の性質上前号に掲げる措置によることが困難である場合において、政令で定めるところにより、当該情報が前項の規定の適用を受ける旨を当該情報を取り扱う者に通知すること。
行政機関の長は、特定秘密である情報について前項第二号に掲げる措置を講じた場合において、当該情報について同項第一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。
行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。
行政機関の長は、指定の有効期間(この項の規定により延長した有効期間を含む。)が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、 政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。
指定の有効期間は、通じて三十年を超えることができない。
前項の規定にかかわらず、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にしないことが現に我が国 及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得た場合(行政機関が会計検査院であるときを除く。)は、行政機関の長は、当該指定の有効期間を、通じて三十年を超えて延長することができる。
ただし、次の各号に掲げる事項に関する情報を除き、指定の有効期間は、通じて六十年を超えることができない。
武器、弾薬、航空機 その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。別表第一号において同じ。)
現に行われている外国(本邦の域外にある国 又は地域をいう。以下同じ。)の政府 又は国際機関との交渉に不利益を及ぼすおそれのある情報
外国の政府 又は国際機関から六十年を超えて指定を行うことを条件に提供された情報
前各号に掲げる事項に関する情報に準ずるもので政令で定める重要な情報
行政機関の長は、前項の内閣の承認を得ようとする場合においては、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提示することができる。
行政機関の長は、第四項の内閣の承認が得られなかったときは、公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)第八条第一項の規定にかかわらず、当該指定に係る情報が記録された行政文書ファイル等(同法第五条第五項に規定する行政文書ファイル等をいう。)の保存期間の満了とともに、これを国立公文書館等(同法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。)に移管しなければならない。
行政機関の長は、指定をした情報が前条第一項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより、速やかにその指定を解除するものとする。
行政機関の長は、指定をしたときは、第三条第二項に規定する措置のほか、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、当該行政機関において当該指定に係る特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めること その他の当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講ずるものとする。
警察庁長官は、指定をした場合において、当該指定に係る特定秘密(第七条第一項の規定により提供するものを除く。)で都道府県警察が保有するものがあるときは、当該都道府県警察に対し当該指定をした旨を通知するものとする。
前項の場合において、警察庁長官は、都道府県警察が保有する特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲 その他の当該都道府県警察による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、当該都道府県警察に指示するものとする。
この場合において、当該都道府県警察の警視総監 又は道府県警察本部長(以下「警察本部長」という。)は、当該指示に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
行政機関の長は、指定をした場合において、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために特段の必要があると認めたときは、物件の製造 又は役務の提供を業とする者で、特定秘密の保護のために必要な施設設備を設置していること その他政令で定める基準に適合するもの(以下「適合事業者」という。)との契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該指定をした旨を通知した上で、当該指定に係る特定秘密(第八条第一項の規定により提供するものを除く。)を保有させることができる。
前項の契約には、第十一条の規定により特定秘密の取扱いの業務を行うことができることとされる者のうちから、同項の規定により特定秘密を保有する適合事業者が指名して当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる代表者、代理人、使用人 その他の従業者(以下単に「従業者」という。)の範囲 その他の当該適合事業者による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について定めるものとする。
第四項の規定により特定秘密を保有する適合事業者は、同項の契約に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその従業者に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
第三章 特定秘密の提供
特定秘密を保有する行政機関の長は、他の行政機関が我が国の安全保障に関する事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために当該特定秘密を利用する必要があると認めたときは、当該他の行政機関に当該特定秘密を提供することができる。
ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、この項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
前項の規定により他の行政機関に特定秘密を提供する行政機関の長は、当該特定秘密の取扱いの業務を行わせる職員の範囲 その他の当該他の行政機関による当該特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める事項について、あらかじめ、当該他の行政機関の長と協議するものとする。
第一項の規定により特定秘密の提供を受ける他の行政機関の長は、前項の規定による協議に従い、当該特定秘密の適切な保護のために必要な措置を講じ、及びその職員に当該特定秘密の取扱いの業務を行わせるものとする。
警察庁長官は、警察庁が保有する特定秘密について、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために都道府県警察にこれを利用させる必要があると認めたときは、当該都道府県警察に当該特定秘密を提供することができる。
前項の規定により都道府県警察に特定秘密を提供する場合については、第五条第三項の規定を準用する。
警察庁長官は、警察本部長に対し、当該都道府県警察が保有する特定秘密で第五条第二項の規定による通知に係るものの提供を求めることができる。
特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために、適合事業者に当該特定秘密を利用させる特段の必要があると認めたときは、当該適合事業者との契約に基づき、当該適合事業者に当該特定秘密を提供することができる。
ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
前項の契約については第五条第五項の規定を、前項の規定により特定秘密の提供を受ける適合事業者については同条第六項の規定を、それぞれ準用する。
この場合において、
同条第五項中
「前項」とあるのは
「第八条第一項」と、
「を保有する」とあるのは
「の提供を受ける」と
読み替えるものとする。
第五条第四項の規定により適合事業者に特定秘密を保有させている行政機関の長は、同項の契約に基づき、当該適合事業者に対し、当該特定秘密の提供を求めることができる。
特定秘密を保有する行政機関の長は、その所掌事務のうち別表に掲げる事項に係るものを遂行するために必要があると認めたときは、外国の政府 又は国際機関であって、この法律の規定により行政機関が当該特定秘密を保護するために講ずることとされる措置に相当する措置を講じているものに当該特定秘密を提供することができる。
ただし、当該特定秘密を保有する行政機関以外の行政機関の長が当該特定秘密について指定をしているとき(当該特定秘密が、第六条第一項の規定により当該保有する行政機関の長から提供されたものである場合を除く。)は、当該指定をしている行政機関の長の同意を得なければならない。
第四条第五項、第六条から前条まで 及び第十八条第四項後段に規定するもののほか、行政機関の長は、次に掲げる場合に限り、特定秘密を提供するものとする。
特定秘密の提供を受ける者が次に掲げる業務 又は公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務において当該特定秘密を利用する場合(次号から第四号までに掲げる場合を除く。)であって、当該特定秘密を利用し、又は知る者の範囲を制限すること、当該業務以外に当該特定秘密が利用されないようにすること その他の当該特定秘密を利用し、又は知る者がこれを保護するために必要なものとして、イに掲げる業務にあっては附則第十条の規定に基づいて
国会において定める措置、イに掲げる業務以外の業務にあっては政令で定める措置を講じ、かつ、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。
各議院 又は各議院の委員会 若しくは参議院の調査会が国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百四条第一項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律(昭和二十二年法律第二百二十五号)第一条の規定により行う審査 又は調査であって、国会法第五十二条第二項(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)又は第六十二条の規定により公開しないこととされたもの
刑事事件の捜査 又は公訴の維持であって、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十六条の二十七第一項(同条第三項 及び同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定により裁判所に提示する場合のほか、 当該捜査 又は公訴の維持に必要な業務に従事する者以外の者に当該特定秘密を提供することがないと認められるもの
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百二十三条第六項の規定により裁判所に提示する場合
情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成十五年法律第六十号)第九条第一項の規定により情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
会計検査院法(昭和二十二年法律第七十三号)第十九条の四において読み替えて準用する情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定により会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に提示する場合
警察本部長は、第七条第三項の規定による求めに応じて警察庁に提供する場合のほか、前項第一号に掲げる場合(当該警察本部長が提供しようとする特定秘密が同号ロに掲げる業務において利用するものとして提供を受けたものである場合以外の場合にあっては、同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、警察庁長官の同意を得た場合に限る。)、同項第二号に掲げる場合 又は都道府県の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該都道府県の条例(当該条例の規定による諮問に応じて審議を行う都道府県の機関の設置について定める都道府県の条例を含む。)の規定で情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条第一項の規定に相当するものにより当該機関に提示する場合に限り、特定秘密を提供することができる。
適合事業者は、第八条第三項の規定による求めに応じて行政機関に提供する場合のほか、第一項第一号に掲げる場合(同号に規定する我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めることについて、当該適合事業者が提供しようとする特定秘密について指定をした行政機関の長の同意を得た場合に限る。)又は同項第二号 若しくは第三号に掲げる場合に限り、特定秘密を提供することができる。
第四章 特定秘密の取扱者の制限
特定秘密の取扱いの業務は、当該業務を行わせる行政機関の長 若しくは当該業務を行わせる適合事業者に当該特定秘密を保有させ、若しくは提供する行政機関の長 又は当該業務を行わせる警察本部長が直近に実施した次条第一項 又は第十五条第一項の適性評価(第十三条第一項(第十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知があった日から五年を経過していないものに限る。)において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者(次条第一項第三号 又は第十五条第一項第三号に掲げる者として次条第三項 又は第十五条第二項において読み替えて準用する次条第三項の規定による告知があった者を除く。)でなければ、行ってはならない。
ただし、次に掲げる者については、次条第一項 又は第十五条第一項の適性評価を受けることを要しない。
国務大臣(前号に掲げる者を除く。)
前各号に掲げるもののほか、職務の特性 その他の事情を勘案し、次条第一項 又は第十五条第一項の適性評価を受けることなく特定秘密の取扱いの業務を行うことができるものとして政令で定める者
第五章 適性評価
行政機関の長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価(以下「適性評価」という。)を実施するものとする。
当該行政機関の職員(当該行政機関が警察庁である場合にあっては、警察本部長を含む。次号において同じ。)又は当該行政機関との第五条第四項 若しくは第八条第一項の契約(次号において単に「契約」という。)に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該行政機関の長がその者について直近に実施して次条第一項の規定による通知をした日から 五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
当該行政機関の職員 又は当該行政機関との契約に基づき特定秘密を保有し、若しくは特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業者として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該行政機関の長がその者について直近に実施した適性評価に係る次条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後 特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
当該行政機関の長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
適性評価は、適性評価の対象となる者(以下「評価対象者」という。)について、次に掲げる事項についての調査を行い、その結果に基づき実施するものとする。
特定有害活動(公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤 若しくは細菌製剤 若しくはこれらの散布のための装置 若しくはこれらを運搬することができるロケット 若しくは無人航空機 又はこれらの開発、製造、使用 若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動 その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国 及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう。別表第三号において同じ。)及びテロリズム(政治上 その他の主義主張に基づき、国家 若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安 若しくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設 その他の物を破壊するための活動をいう。同表第四号において同じ。)との関係に関する事項(評価対象者の家族(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下 この号において同じ。)、父母、子 及び兄弟姉妹 並びにこれらの者以外の配偶者の父母 及び子をいう。以下 この号において同じ。)及び同居人(家族を除く。)の氏名、生年月日、国籍(過去に有していた国籍を含む。)及び住所を含む。)
情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項
適性評価は、あらかじめ、政令で定めるところにより、次に掲げる事項を評価対象者に対し告知した上で、その同意を得て実施するものとする。
前項各号に掲げる事項について調査を行う旨
前項の調査を行うため必要な範囲内において、次項の規定により質問させ、若しくは資料の提出を求めさせ、又は照会して報告を求めることがある旨
評価対象者が第一項第三号に掲げる者であるときは、その旨
行政機関の長は、第二項の調査を行うため必要な範囲内において、当該行政機関の職員に評価対象者 若しくは評価対象者の知人 その他の関係者に質問させ、若しくは評価対象者に対し資料の提出を求めさせ、又は公務所 若しくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
行政機関の長は、適性評価を実施したときは、その結果を評価対象者に対し通知するものとする。
行政機関の長は、適合事業者の従業者について適性評価を実施したときは その結果を、当該従業者が前条第三項の同意をしなかったことにより適性評価が実施されなかったときは その旨を、それぞれ当該適合事業者に対し通知するものとする。
前項の規定による通知を受けた適合事業者は、当該評価対象者が当該適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。第十六条第二項において同じ。)であるときは、当該通知の内容を当該評価対象者を雇用する事業主に対し通知するものとする。
行政機関の長は、第一項の規定により評価対象者に対し特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められなかった旨を通知するときは、適性評価の円滑な実施の確保を妨げない範囲内において、当該おそれがないと認められなかった理由を通知するものとする。
ただし、当該評価対象者があらかじめ当該理由の通知を希望しない旨を申し出た場合は、この限りでない。
評価対象者は、前条第一項の規定により通知された適性評価の結果 その他当該評価対象者について実施された適性評価について、書面で、行政機関の長に対し、苦情の申出をすることができる。
行政機関の長は、前項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を苦情の申出をした者に通知するものとする。
評価対象者は、第一項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。
警察本部長は、政令で定めるところにより、次に掲げる者について、適性評価を実施するものとする。
当該都道府県警察の職員(警察本部長を除く。次号において同じ。)として特定秘密の取扱いの業務を新たに行うことが見込まれることとなった者(当該警察本部長がその者について直近に実施して次項において準用する第十三条第一項の規定による通知をした日から五年を経過していない適性評価において、特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認められるものを除く。)
当該都道府県警察の職員として、特定秘密の取扱いの業務を現に行い、かつ、当該警察本部長がその者について直近に実施した適性評価に係る次項において準用する第十三条第一項の規定による通知があった日から五年を経過した日以後 特定秘密の取扱いの業務を引き続き行うことが見込まれる者
当該警察本部長が直近に実施した適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者であって、引き続き当該おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情があるもの
前三条(第十二条第一項 並びに第十三条第二項 及び第三項を除く。)の規定は、前項の規定により警察本部長が実施する適性評価について準用する。
この場合において、
第十二条第三項第三号中
「第一項第三号」とあるのは、
「第十五条第一項第三号」と
読み替えるものとする。
行政機関の長 及び警察本部長は、特定秘密の保護以外の目的のために、評価対象者が第十二条第三項(前条第二項において読み替えて準用する場合を含む。)の同意をしなかったこと、評価対象者についての適性評価の結果 その他適性評価の実施に当たって取得する個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日 その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。以下 この項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。
ただし、適性評価の実施によって、当該個人情報に係る特定の個人が国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第三十八条各号、同法第七十五条第二項に規定する人事院規則で定める事由、同法第七十八条各号、第七十九条各号 若しくは第八十二条第一項各号、検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第二十条第一項各号、外務公務員法(昭和二十七年法律第四十一号)第七条第一項に規定する者、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第三十八条第一項各号、第四十二条各号、第四十三条各号 若しくは第四十六条第一項各号、同法第四十八条第一項に規定する場合 若しくは同条第二項各号 若しくは第三項各号 若しくは地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第十六条各号、第二十八条第一項各号 若しくは第二項各号 若しくは第二十九条第一項各号 又はこれらに準ずるものとして政令で定める事由のいずれかに該当する疑いが生じたときは、この限りでない。
適合事業者 及び適合事業者の指揮命令の下に労働する派遣労働者を雇用する事業主は、特定秘密の保護以外の目的のために、第十三条第二項 又は第三項の規定により通知された内容を自ら利用し、又は提供してはならない。
行政機関の長は、政令(内閣の所轄の下に置かれる機関 及び会計検査院にあっては、当該機関の命令)で定めるところにより、この章に定める権限 又は事務を当該行政機関の職員に委任することができる。
第六章 雑則
政府は、特定秘密の指定 及びその解除 並びに適性評価の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする。
内閣総理大臣は、前項の基準を定め、又はこれを変更しようとするときは、我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴いた上で、その案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。
内閣総理大臣は、毎年、第一項の基準に基づく特定秘密の指定 及びその解除 並びに適性評価の実施の状況を前項に規定する者に報告し、その意見を聴かなければならない。
内閣総理大臣は、特定秘密の指定 及びその解除 並びに適性評価の実施の状況に関し、その適正を確保するため、第一項の基準に基づいて、内閣を代表して行政各部を指揮監督するものとする。
この場合において、内閣総理大臣は、特定秘密の指定 及びその解除 並びに適性評価の実施が当該基準に従って行われていることを確保するため、必要があると認めるときは、行政機関の長(会計検査院を除く。)に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出 及び説明を求め、並びに特定秘密の指定 及びその解除 並びに適性評価の実施について改善すべき旨の指示をすることができる。
政府は、毎年、前条第三項の意見を付して、特定秘密の指定 及びその解除 並びに適性評価の実施の状況について国会に報告するとともに、公表するものとする。
関係行政機関の長は、特定秘密の指定、適性評価の実施 その他この法律の規定により講ずることとされる措置に関し、我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものの漏えいを防止するため、相互に協力するものとする。
この法律に定めるもののほか、この法律の実施のための手続 その他 この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。
この法律の適用に当たっては、これを拡張して解釈して、国民の基本的人権を不当に侵害するようなことがあってはならず、国民の知る権利の保障に資する報道 又は取材の自由に十分に配慮しなければならない。
出版 又は報道の業務に従事する者の取材行為については、専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反 又は著しく不当な方法によるものと認められない限りは、これを正当な業務による行為とするものとする。
第七章 罰則
特定秘密の取扱いの業務に従事する者がその業務により知得した特定秘密を漏らしたときは、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役 及び千万円以下の罰金に処する。
特定秘密の取扱いの業務に従事しなくなった後においても、同様とする。
第四条第五項、第九条、第十条 又は第十八条第四項後段の規定により提供された特定秘密について、当該提供の目的である業務により当該特定秘密を知得した者がこれを漏らしたときは、五年以下の懲役に処し、又は情状により五年以下の懲役 及び五百万円以下の罰金に処する。
第十条第一項第一号ロに規定する場合において提示された特定秘密について、当該特定秘密の提示を受けた者がこれを漏らしたときも、同様とする。
前二項の罪の未遂は、罰する。
過失により第一項の罪を犯した者は、二年以下の禁錮 又は五十万円以下の罰金に処する。
過失により第二項の罪を犯した者は、一年以下の禁錮 又は三十万円以下の罰金に処する。
外国の利益 若しくは自己の不正の利益を図り、又は我が国の安全 若しくは国民の生命 若しくは身体を害すべき用途に供する目的で、人を欺き、人に暴行を加え、若しくは人を脅迫する行為により、又は財物の窃取 若しくは損壊、施設への侵入、有線電気通信の傍受、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の特定秘密を保有する者の管理を害する行為により、特定秘密を取得した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役 及び千万円以下の罰金に処する。
前項の罪の未遂は、罰する。
前二項の規定は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用を妨げない。
第二十三条第一項 又は前条第一項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、五年以下の懲役に処する。
第二十三条第二項に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、又は煽動した者は、三年以下の懲役に処する。
第二十三条第三項 若しくは第二十四条第二項の罪を犯した者 又は前条の罪を犯した者のうち第二十三条第一項 若しくは第二項 若しくは第二十四条第一項に規定する行為の遂行を共謀したものが自首したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
第二十三条の罪は、日本国外において同条の罪を犯した者にも適用する。
第二十四条 及び第二十五条の罪は、刑法第二条の例に従う。