特許法

# 昭和三十四年法律第百二十一号 #

第五章 特許異議の申立て

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 01月09日 10時49分


1項

何人も、特許掲載公報の発行の日から六月以内に限り、特許庁長官に、特許が次の各号いずれかに該当することを理由として特許異議の申立てをすることができる。


この場合において、二以上の請求項に係る特許については、請求項ごとに特許異議の申立てをすることができる。

一 号

その特許が第十七条の二第三項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願(外国語書面出願を除く)に対してされたこと。

二 号

その特許が第二十五条第二十九条第二十九条の二第三十二条 又は第三十九条第一項から 第四項までの規定に違反してされたこと。

三 号

その特許が条約に違反してされたこと。

四 号

その特許が第三十六条第四項第一号 又は第六項第四号除く)に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたこと。

五 号

外国語書面出願に係る特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面に記載した事項が外国語書面に記載した事項の範囲内にないこと。

1項

特許異議の申立てについての審理 及び決定は、三人 又は五人の審判官の合議体が行う。

2項

審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号いずれかに該当すると認めるときは、その特許を取り消すべき旨の決定(以下「取消決定」という。)をしなければならない。

3項

取消決定が確定したときは、その特許権は、初めから存在しなかつたものとみなす。

4項

審判官は、特許異議の申立てに係る特許が前条各号いずれかに該当すると認めないときは、その特許を維持すべき旨の決定をしなければならない。

5項

前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない

1項

特許異議の申立てをする者は、次に掲げる事項を記載した特許異議申立書を特許庁長官に提出しなければならない。

一 号

特許異議申立人 及び代理人の氏名 又は名称 及び住所 又は居所

二 号

特許異議の申立てに係る特許の表示

三 号

特許異議の申立ての理由 及び必要な証拠の表示

2項

前項の規定により提出した特許異議申立書の補正は、その要旨を変更するものであつてはならない。


ただし第百十三条に規定する期間が経過する時 又は第百二十条の五第一項の規定による通知がある時のいずれか早い時までにした前項第三号に掲げる事項についてする補正は、この限りでない。

3項

審判長は、特許異議申立書の副本を特許権者に送付しなければならない。

4項

第百二十三条第四項の規定は、特許異議の申立てがあつた場合に準用する。

1項

第百三十六条第二項 及び第百三十七条から 第百四十四条までの規定は、第百十四条第一項の合議体 及びこれを構成する審判官に準用する。

1項

特許庁長官は、各特許異議申立事件について審判書記官を指定しなければならない。

2項

第百四十四条の二第三項から 第五項までの規定は、前項の審判書記官に準用する。

1項

特許異議の申立てについての審理は、書面審理による。

2項

共有に係る特許権の特許権者の一人について、特許異議の申立てについての審理 及び決定の手続の中断 又は中止の原因があるときは、その中断 又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。

1項

特許権についての権利を有する者 その他特許権に関し利害関係を有する者は、特許異議の申立てについての決定があるまでは、特許権者を補助するため、その審理に参加することができる。

2項

第百四十八条第四項 及び第五項 並びに第百四十九条の規定は、前項の規定による参加人に準用する。

1項

第百五十条 及び第百五十一条の規定は、特許異議の申立てについての審理における証拠調べ 及び証拠保全に準用する。

1項

特許異議の申立てについての審理においては、特許権者、特許異議申立人 又は参加人が申し立てない理由についても、審理することができる。

2項

特許異議の申立てについての審理においては、特許異議の申立てがされていない請求項については、審理することができない

1項

同一の特許権に係る二以上の特許異議の申立てについては、その審理は、特別の事情がある場合を除き、併合するものとする。

2項

前項の規定により審理を併合したときは、更にその審理の分離をすることができる。

1項

特許異議の申立ては、次条第一項の規定による通知があつた後は、取り下げることができない

2項

第百五十五条第三項の規定は、特許異議の申立ての取下げに準用する。

1項

審判長は、取消決定をしようとするときは、特許権者 及び参加人に対し、特許の取消しの理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

2項

特許権者は、前項の規定により指定された期間内に限り、願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正を請求することができる。


ただし、その訂正は、次に掲げる事項を目的とするものに限る

一 号

特許請求の範囲の減縮

二 号

誤記 又は誤訳の訂正

三 号
明瞭でない記載の釈明
四 号

他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること。

3項

二以上の請求項に係る願書に添付した特許請求の範囲の訂正をする場合には、請求項ごとに前項の訂正の請求をすることができる。


ただし、特許異議の申立てが請求項ごとにされた場合にあつては、請求項ごとに同項の訂正の請求をしなければならない。

4項

前項の場合において、当該請求項の中に一の請求項の記載を他の請求項が引用する関係 その他経済産業省令で定める関係を有する一群の請求項(以下「一群の請求項」という。)があるときは、当該一群の請求項ごとに当該請求をしなければならない。

5項

審判長は、第一項の規定により指定した期間内に第二項の訂正の請求があつたときは、第一項の規定により通知した特許の取消しの理由を記載した書面 並びに訂正の請求書 及びこれに添付された訂正した明細書、特許請求の範囲 又は図面の副本を特許異議申立人に送付し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。


ただし、特許異議申立人から意見書の提出を希望しない旨の申出があるとき、又は特許異議申立人に意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるときは、この限りでない。

6項

審判長は、第二項の訂正の請求が同項ただし書各号に掲げる事項を目的とせず、又は第九項において読み替えて準用する第百二十六条第五項から 第七項までの規定に適合しないときは、特許権者 及び参加人にその理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

7項

第二項の訂正の請求がされた場合において、その特許異議申立事件において先にした訂正の請求があるときは、当該先の請求は、取り下げられたものとみなす。

8項

第二項の訂正の請求は、同項の訂正の請求書に添付された訂正した明細書、特許請求の範囲 又は図面について第十七条の五第一項の補正をすることができる期間内に限り、取り下げることができる。


この場合において、第二項の訂正の請求を第三項 又は第四項の規定により請求項ごとに又は一群の請求項ごとにしたときは、その全ての請求を取り下げなければならない。

9項

第百二十六条第四項から 第七項まで第百二十七条第百二十八条第百三十一条第一項第三項 及び第四項第百三十一条の二第一項第百三十二条第三項 及び第四項 並びに第百三十三条第一項第三項 及び第四項の規定は、第二項の場合に準用する。


この場合において、

第百二十六条第七項
第一項ただし書第一号 又は第二号」とあるのは、
「特許異議の申立てがされていない請求項に係る第一項ただし書第一号 又は第二号」と

読み替えるものとする。

1項

特許異議の申立てについての決定は、次に掲げる事項を記載した文書をもつて行わなければならない。

一 号
特許異議申立事件の番号
二 号

特許権者、特許異議申立人 及び参加人 並びに代理人の氏名 又は名称 及び住所 又は居所

三 号
決定に係る特許の表示
四 号
決定の結論 及び理由
五 号
決定の年月日
2項

特許庁長官は、決定があつたときは、決定の謄本を特許権者、特許異議申立人、参加人 及び特許異議の申立てについての審理に参加を申請してその申請を拒否された者に送達しなければならない。

1項

特許異議の申立てについての決定は、特許異議申立事件ごとに確定する。


ただし次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に定めるところにより確定する。

一 号

請求項ごとに特許異議の申立てがされた場合であつて、一群の請求項ごとに第百二十条の五第二項の訂正の請求がされた場合

当該一群の請求項ごと

二 号

請求項ごとに特許異議の申立てがされた場合であつて、前号に掲げる場合以外の場合

当該請求項ごと

1項

第百三十三条第百三十三条の二第百三十四条第四項第百三十五条第百五十二条第百六十八条第百六十九条第三項から 第六項まで 及び第百七十条の規定は、特許異議の申立てについての審理 及び決定に準用する。

2項

第百十四条第五項の規定は、前項において準用する第百三十五条の規定による決定に準用する。