警察官は、別に定がある場合のほか、この節の規定するところに従い、捜査に関し、相互に協力しなければならない。
犯罪捜査規範
第3節 手配および共助
捜査のため必要があるときは、他の警察に対し、共助の依頼(被疑者の逮捕、呼出し 若しくは取調べ、盗品等(盗品 その他財産に対する罪に当たる行為によつて領得された物をいう。以下同じ。)その他の証拠物の手配、押収、捜索 若しくは検証、参考人の呼出し 若しくは取調べ、職員の派遣 その他の措置を依頼することをいう。以下同じ。)をすることができる。
他の警察から、共助の依頼を受けたときは、誠実かつ速やかにこれに当たらなければならない。
共助の依頼をするに当たつては、依頼の趣旨、内容 その他の必要な事項を明確にし、及び依頼を受けた警察の事務の遂行に支障を及ぼさないようにしなければならない。
犯罪の捜査につき、他の警察に対して緊急の措置を依頼する必要があるときは、直ちに、緊急事件手配書(別記様式第1号)により、緊急配備 その他の必要な措置を求めるものとする。
容疑者 および捜査資料 その他参考事項について通報を求める手配を、事件手配とする。
逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する手配を、指名手配とする。
指名手配は、指名手配書(別記様式第2号)により行わなければならない。
急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、指名手配書による手配を行つた後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報しなければならない。
第29条(緊急事件手配)の規定による緊急事件手配により、氏名等の明らかな被疑者の逮捕を依頼した場合には、当該緊急事件手配を指名手配とみなす。
この場合においては、逮捕状の発付を得た後、改めて第1項の規定による手続をとるものとする。
指名手配を行うに当つては、被疑者を逮捕した場合における身柄の処置につき、次のいずれであるかを明らかにしなければならない。
第1種手配(身柄の護送を求める場合の手配をいう。)
第2種手配(身柄を引取に行く場合の手配をいう。)
指名手配をした場合においては、常に逮捕状の有効期間に注意し、有効期間経過後もなお手配継続の必要があるものについては、逮捕状の再発付を受け、その有効期間を通報しなければならない。
被疑者が発見された場合に身柄の引渡を求めず、かつ、その事件の処理を当該警察にゆだねる旨の手配を、指名通報とする。
指名通報は、被疑者の氏名等が明らかであり、かつ、犯罪事実が確実なものについて、指名通報書(別記様式第2号)により行わなければならない。
指名通報のあつた事件については、あらかじめ、通報を発した警察に、逮捕状の有無、容疑事実の内容、関係書類 その他の捜査資料の有無等を照会して処理するものとする。
指名通報を行つた被疑者については、事件処理に必要な証拠資料、関係書類等を完全に整備しておき、被疑者を発見した警察から要求があつたときは、すみやかに、第78条(事件の移送および引継)第2項の規定による事件引継書とともに証拠資料、関係書類等を、その警察に送付しなければならない。
警察が、その捜査中の事件の盗品等につき、他の警察に対してその発見を求める手配を、盗品等手配とする。
盗品等手配を行うに当たつては、発見すべき盗品等の名称、銘柄、品種、特徴等を明らかにすることに努め、必要があるときは、写真を添付する等有効適切な措置を講じなければならない。
古物営業法(昭和24年法律第108号)第19条第1項 又は質屋営業法(昭和25年法律第158号)第20条第1項に規定する品触れ(以下「品触れ」という。)は、これを次の3種に区分するものとする。
特別重要品触れ(捜査本部に係る事件について発する品触れをいう。)
重要品触れ(前号の事件以外の重要な事件について発する品触れをいう。)
普通品触れ(その他の事件について発する品触れをいう。)
品触れは、前項の区分を明らかにして発しなければならない。
前条第2項の規定は、品触れについて準用する。
品触れを発したときは、品触原簿(別記様式第3号)及び品触取扱簿(別記様式第4号)により、それぞれ、その状況を明確にしておかなければならない。
第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)に規定する手配 又は通報については、その実効を期するため、犯罪の種別、軽重、緊急の度合い等に応じ、手配の範囲、種別 及び方法を合理的に定め、いやしくも、濫用にわたることのないように注意しなければならない。
第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)に規定する手配 又は通報に係る事件について、被疑者を逮捕し、又は事件を解決したときは、速やかに、かつ、確実に、その手配 又は通報の解除を行わなければならない。
逮捕状の有効期間が経過し、逮捕状の再発付を受けない場合も、また、前項と同様とする。
前2項のほか、共助の依頼をし、又は品触を発した場合において、その必要がなくなつたときは、第1項の規定に準じ、必要な手続をとらなければならない。
警察署長は、他の警察に関連する犯罪事件について、その被疑者、証拠物 その他捜査上参考となるべき事項を発見したときは、直ちに、適当な措置をとるとともに、その旨を当該警察に通報しなければならない。
警察署長は、前項の通報のほか、重要事件、他に波及するおそれのある事件 その他犯罪の捜査 または予防上参考となるべき事件について、関係警察に通報するものとする。
警察署長は、第29条(緊急事件手配)、第30条(事件手配)、第31条(指名手配)、第34条(指名通報)及び第35条(盗品等手配)の規定による手配 又は通報をする場合においては、原則として、あらかじめ警察本部長に報告した後、直接に、又は警察本部長を通じて行わなければならない。
指名手配のあつた被疑者を逮捕した警察(以下「逮捕警察」という。)は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、被疑者の身柄をその指名手配をした警察(以下「手配警察」という。)に引渡さなければならない。
逮捕警察が、手配を受けた犯罪より法定刑が重い別の犯罪をその管轄区域において犯した被疑者を逮捕したとき。
逮捕警察が、手配被疑者に関連する犯罪で、既にその正犯 又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕しているとき。
同一被疑者について、2以上の手配警察がある場合には、次の各号に定める手配警察にその身柄を引き渡さなければならない。
手配を受けた犯罪について、その法定刑に軽重があるとき(次号に規定する場合に該当する場合を除く。)は、重い犯罪を手配した警察
手配を受けた犯罪で、既にその正犯 又は共同正犯である被疑者の一部を逮捕している警察があるときはその警察
前2号に規定する場合のほかは、先に手配をした警察
前2項に規定する身柄引渡しの原則により難い事情があるときは、警察本部長の決するところによる。
指名手配により逮捕した被疑者の身柄を引き渡すに当たつては、被疑者引渡書(別記様式第5号)を作成しなければならない。
被疑者の護送 その他犯罪の捜査のため必要があるときは、他の警察に対し、被疑者の留置の依頼をすることができる。
警察官は、他の警察の管轄区域において犯罪の捜査を行うに当たつては、所轄警察に連絡するようにしなければならない。