表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律

# 令和元年法律第十五号 #
略称 : 表題部所有者不明土地法 

第二章 表題部所有者不明土地の表題部所有者の登記

分類 法律
カテゴリ   民事
最終編集日 : 2023年 08月30日 09時23分


第一節 登記官による所有者等の探索

1項

登記官は、表題部所有者不明土地(第十五条第一項第四号に定める登記があるものを除く。以下この章において同じ。)について、当該表題部所有者不明土地の利用の現況、当該表題部所有者不明土地の周辺の地域の自然的社会的諸条件 及び当該地域における他の表題部所有者不明土地の分布状況 その他の事情を考慮して、表題部所有者不明土地の登記の適正化を図る必要があると認めるときは、職権で、その所有者等の探索を行うものとする。

2項

登記官は、前項の探索を行おうとするときは、あらかじめ、法務省令で定めるところにより、その旨 その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

1項

前条第二項の規定による公告があったときは、利害関係人は、登記官に対し、表題部所有者不明土地の所有者等について、意見 又は資料を提出することができる。


この場合において、登記官が意見 又は資料を提出すべき相当の期間を定め、かつ、法務省令で定めるところによりその旨を公告したときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

1項

登記官は、第三条第一項の探索のため、表題部所有者不明土地 又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をすること、表題部所有者不明土地の所有者、占有者 その他の関係者からその知っている事実を聴取し 又は資料の提出を求めること その他表題部所有者不明土地の所有者等の探索のために必要な調査をすることができる。

1項

法務局 又は地方法務局の長は、登記官が前条の規定により表題部所有者不明土地 又はその周辺の地域に所在する土地の実地調査をする場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、登記官に、他人の土地に立ち入らせることができる。

2項

法務局 又は地方法務局の長は、前項の規定により登記官を他人の土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめ、その旨 並びにその日時 及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならない。

3項

第一項の規定により宅地 又は垣、柵等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする登記官は、その立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

4項

日出前 及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き前項に規定する土地に立ち入ってはならない。

5項

土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。

6項

第一項の規定による立入りをする場合には、登記官は、その身分を示す 証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

7項

国は、第一項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

1項

登記官は、表題部所有者不明土地の関係者が遠隔の地に居住しているとき、その他相当と認めるときは、他の登記所の登記官に第五条の調査を嘱託することができる。

1項

登記官は、第三条第一項の探索のために必要な限度で、関係地方公共団体の長 その他の者に対し、表題部所有者不明土地の所有者等に関する情報の提供を求めることができる。

第二節 所有者等探索委員による調査

1項

法務局 及び地方法務局に、第三条第一項の探索のために必要な調査をさせ、登記官に意見を提出させるため、所有者等探索委員若干人を置く。

2項

所有者等探索委員は、前項の職務を行うのに必要な知識 及び経験を有する者のうちから、法務局 又は地方法務局の長が任命する。

3項

所有者等探索委員の任期は、二年とする。

4項

所有者等探索委員は、再任されることができる。

5項

所有者等探索委員は、非常勤とする。

1項

法務局 又は地方法務局の長は、所有者等探索委員が次の各号いずれかに該当するときは、その所有者等探索委員を解任することができる。

一 号

心身の故障のため職務の執行に堪えないと認められるとき。

二 号

職務上の義務違反 その他所有者等探索委員たるに適しない非行があると認められるとき。

1項

登記官は、第三条第一項の探索を行う場合において、必要があると認めるときは、所有者等探索委員に必要な調査をさせることができる。

2項

前項の規定により調査を行うべき所有者等探索委員は、法務局 又は地方法務局の長が指定する。

3項

法務局 又は地方法務局の長は、その職員に、第一項の調査を補助させることができる。

1項

第五条 及び第六条の規定は、所有者等探索委員による前条第一項の調査について準用する。


この場合において、

第六条第一項
登記官に」とあるのは
「所有者等探索委員 又は第十一条第三項の職員(以下この条において「所有者等探索委員等」という。)に」と、

同条第二項第三項 及び第六項
登記官」とあるのは
「所有者等探索委員等」と

読み替えるものとする。

1項

所有者等探索委員は、第十一条第一項の調査を終了したときは、遅滞なく、登記官に対し、その意見を提出しなければならない。

第三節 所有者等の特定及び表題部所有者の登記

1項

登記官は、前二節の規定による探索(次節において「所有者等の探索」という。)により得られた情報の内容 その他の事情を総合的に考慮して、当該探索に係る表題部所有者不明土地が第一号から第三号までのいずれに該当するかの判断(第一号 又は第三号にあっては、表題部所有者として登記すべき者(表題部所有者不明土地の所有者等のうち、表題部所有者として登記することが適当である者をいう。以下同じ。)の氏名 又は名称 及び住所の特定を含む。)をするとともに、第四号に掲げる場合には、その事由が同号イ 又はのいずれに該当するかの判断をするものとする。


この場合において、当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属し、かつ、その共有持分の特定をすることができるときは、当該共有持分についても特定をするものとする。

一 号

当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者があるとき(当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合にあっては、全ての共有持分について表題部所有者として登記すべき者があるとき。)。

二 号

当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者がないとき(当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合にあっては、全ての共有持分について表題部所有者として登記すべき者がないとき。)。

三 号

当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合において、表題部所有者として登記すべき者がない共有持分があるとき(前号に掲げる場合を除く)。

四 号

前二号いずれかに 該当する場合において、その事由が次のいずれかに該当するとき。

当該表題部所有者不明土地(当該表題部所有者不明土地が数人の共有に属する場合にあっては、その共有持分。において同じ。)の所有者等を特定することができなかったこと。

当該表題部所有者不明土地の所有者等を特定することができた場合であって、当該表題部所有者不明土地が法人でない社団等に属するとき 又は法人でない社団等に属していたとき(当該法人でない社団等以外の所有者等に属するときを除く)において、表題部所有者として登記すべき者を特定することができないこと。

2項

登記官は、前項の判断(同項の特定を含む。以下この章において「所有者等の特定」という。)をしたときは、その理由 その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。)を作成しなければならない。

1項

登記官は、所有者等の特定をしたときは、当該所有者等の特定に係る表題部所有者不明土地につき、職権で、遅滞なく、表題部所有者の登記を抹消しなければならない。


この場合において、登記官は、不動産登記法第二十七条第三号の規定にかかわらず、当該表題部所有者不明土地の表題部に、次の各号に掲げる所有者等の特定の区分に応じ、当該各号に定める事項を登記するものとする。

一 号

前条第一項第一号に掲げる場合

当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者の氏名 又は名称 及び住所(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。

二 号

前条第一項第二号に掲げる場合

その旨(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。

三 号

前条第一項第三号に掲げる場合

当該表題部所有者不明土地の表題部所有者として登記すべき者がある共有持分についてはその者の氏名 又は名称 及び住所(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。)、表題部所有者として登記すべき者がない共有持分についてはその旨(同項後段の特定をした場合にあっては、その共有持分を含む。

四 号

前条第一項第四号に掲げる場合

次の 又はに掲げる同号の事由の区分に応じ、当該 又はに定める事項

前条第一項第四号イに掲げる場合

その旨

前条第一項第四号ロに掲げる場合

その旨

2項

登記官は、前項の規定による登記をしようとするときは、あらかじめ、法務省令で定めるところにより、その旨 その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

1項

登記官は、前条第一項の規定による登記をしたときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨 その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

第四節 雑則

1項

登記官は、表題部所有者不明土地に関する権利関係について訴訟が係属しているとき、その他相当でないと認めるときは、前三節の規定にかかわらず、表題部所有者不明土地に係る所有者等の探索、所有者等の特定 及び登記に係る手続を中止することができる。


この場合においては、法務省令で定めるところにより、その旨 その他法務省令で定める事項を公告しなければならない。

1項

この章に定めるもののほか、表題部所有者不明土地に係る所有者等の探索、所有者等の特定 及び登記に関し必要な事項は、法務省令で定める。