制定に関する表明
警察法施行令(昭和二十九年政令第百五十一号)第十三条第一項の規定に基づき、この規則を制定する。
第一章 総則
この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
警護対象者
内閣総理大臣、国賓 その他その生命 及び身体に危害が及ぶことが国の公安に係ることとなるおそれがある者として警察庁長官(以下「長官」という。)が定める者をいう。
警護計画
警護を適切かつ確実に実施するための計画をいう。
警護員
警護計画に基づき警護に従事する警察官をいう。
現場指揮官
警護の現場において警護員に対する指揮を行う警察官をいう。
第二章 警護の基本
警護は、一元的な指揮の下、第一号 及び第二号に掲げる警護員のほか、必要に応じて第三号に掲げる警護員を配置するとともに、これらの警護員の間での適切な任務の分担の下、重層的に行わなければならない。
警護計画の作成 及び警護の実施に当たっては、警護対象者 及びその関係者と緊密な連絡を保ち、警護に関し必要な事項を適切に説明し、その理解と協力を得て、これを行うようにしなければならない。
第三章 警護員
警護員は、警護対象者 及びその関係者との意思の疎通を図り、その信頼を得るように努めなければならない。
第四章 情報の収集等
長官は、国内外のテロリズム等警護において想定すべき事態 その他の警護を的確に実施するために必要な情報の収集 並びに当該情報 及び次条第二項の規定による報告の内容の分析 及び整理を行い、その結果を管区警察局長 並びに警視総監、道府県警察本部長 及び方面本部長(以下「警察本部長」という。)に通報するものとする。
警察本部長は、管轄区域内における治安情勢 及び警護対象者に関連する情勢 並びに警護対象者の日程 その他の警護を的確に実施するために必要な情報(第十五条において「警護実施情報」という。)の収集 及び分析を行わなければならない。
警察本部長は、前項の規定による情報の分析の結果のうち重要なものについては、速やかに、長官が定めるところにより、長官 及び管区警察局長(以下「長官等」という。)に報告するとともに、関係警察本部長に通報しなければならない。
第五章 警護計画
長官は、第七条の規定による分析 及び整理の結果に基づき、次に掲げる事項について、警護計画の基準を定めるものとする。
前三号に掲げるもののほか、警護の態勢を決定するために重要な事項
警察本部長は、警護の実施に当たっては、長官が定めるところにより、あらかじめ、次に掲げる事項を内容とする警護計画を作成しなければならない。
警察法(昭和二十九年法律第百六十二号。以下「法」という。)第六十一条の二第一項の規定に基づき、関係都道府県警察の一の警察官に指揮を行わせる場合は、同項の規定により相互に協議して定める事項 並びに当該警察官の氏名 及び階級 並びに当該警察官が行う指揮の内容に関すること。
前各号に掲げるもののほか、警護の実施に関し必要な事項
警護計画は、第九条の警護計画の基準に適合するものでなければならない。
警護計画は、第七条 及び第八条第二項の規定による通報の内容 並びに同条第一項の規定による情報の分析の結果に基づき、警護対象者の意向、警護に伴う警備実施 その他の警護に関連する事項を考慮して作成しなければならない。
警察本部長は、警護計画の作成に当たっては、第七条 及び第八条第二項の規定による通報の内容 並びに同条第一項の規定による情報の分析の結果を踏まえ、警護対象者に対する危害を想定し、警護対象者の生命 及び身体の安全を確保するために必要な態勢を確保しなければならない。
警察本部長は、警護計画の作成 及び警護の実施に当たっては、長官が定めるところにより、警護対象者の日程に関係のある場所の実地踏査を行い、警護上の問題点を的確に把握しなければならない。
警察本部長は、長官が定めるところにより、警護計画の案を長官等に報告しなければならない。
長官等は、前項の規定による報告を受けた場合において必要があると認めるときは、警護計画の案を修正するよう指示し、又は警護の実施において留意すべき事項を指示するものとする。
第六章 警護の実施
警察本部長は、警護計画に基づき、警護を実施しなければならない。
警察本部長は、長官が定めるところにより、現場指揮官を指名するとともに、警護の現場における指揮に必要な権限を当該現場指揮官に付与しなければならない。
警護を実施する場所の状況 その他の事情によって警護計画により難い場合は、第三条の警護の基本にのっとり、現場指揮官が必要な指揮を行わなければならない。
警察本部長は、警護の実施に当たっては、あらかじめ、警護員に、当該警護員の任務に係る警護実施情報 及び警護措置 その他必要な事項を、周知徹底させなければならない。
警察本部長は、警護の実施に当たっては、長官が定めるところにより、警護本部を設置しなければならない。
都道府県警察は、警護対象者の日程が二以上の都道府県警察の管轄区域にわたるときは、当該警護対象者に係る警護の態勢、関係都道府県警察の管轄区域の境界における警護の引継ぎに係る支障 その他の事項を考慮して長官が定める基準に従い、法第六十一条の規定に基づき、その管轄区域外に、権限を及ぼすものとする。
前項の場合において、警護計画には、警護の実施に係る関係都道府県警察の任務の分担に係る事項を定めるものとする。
第一項の場合において、突発事案の発生に伴う混乱を回避し、その他警護員の活動の一体性を確保することが必要であると認められるときは、関係都道府県警察の警視総監 又は道府県警察本部長は、法第六十一条の二第一項の規定に基づき、関係都道府県警察の一の警察官に指揮を行わせるものとする。
前項の一の警察官の任務 その他同項の指揮に関し必要な事項は、法第六十一条の二第一項の規定により相互に協議して定めるものとする。
関係警察本部長は、第一項の場合に係る警護計画を作成するときは、あらかじめ、長官が定める事項を長官等に報告するものとする。
この場合において、長官等は、警護計画の作成に関し所要の調整を行うものとする。
関係都道府県警察は、第一項の場合に係る警護の実施に当たっては、相互に緊密な連携を図らなければならない。
第七章 警護の実施に関する報告等
警察本部長は、警護に関し突発事案 その他の特異事案が発生したときは、当該事案 及びこれに対し執った措置の概要 その他参考事項を速やかに長官等に報告するとともに、関係警察本部長に通報しなければならない。
警察本部長は、警護対象者の日程が二以上の都道府県警察の管轄区域にわたる警護を実施したときは、当該警護の状況 及び当該警護に係る参考事項を関係警察本部長に通報しなければならない。
警察本部長は、警護を実施したときは、長官が定めるところにより、当該警護の状況を確認した上で、今後の警護において留意すべき事項 その他参考事項を長官等に報告しなければならない。
第八章 教養訓練
警察本部長は、前項の計画に基づき、平素から、所属の警察官に対し、その職務、経験 及び技能の別に応じ、警護に関し必要な実践的教養訓練を行わなければならない。
長官は、前二項の規定による教養訓練が円滑かつ効果的に行われるよう、所要の調整を行うものとする。