総務省に、電気通信紛争処理委員会(以下「委員会」という。)を置く。
電気通信事業法
第四章 電気通信紛争処理委員会
第一節 設置及び組織
委員会は、この法律、電波法 及び放送法の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
委員会は、委員五人をもつて組織する。
委員は、非常勤とする。
ただし、そのうち二人以内は、常勤とすることができる。
委員会は、あらかじめ、委員長に事故があるときにその職務を代理する委員を定めておかなければならない。
委員の任期が満了し、又は欠員が生じた場合において、国会の閉会 又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、総務大臣は、前項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。
前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。
この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、総務大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。
委員の任期は、三年とする。
ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。
その職を退いた後も同様とする。
常勤の委員は、在任中、総務大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行つてはならない。
この節に規定するもののほか、委員会に関し必要な事項は、政令で定める。
第二節 あつせん及び仲裁
電気通信事業者間において、その一方が電気通信設備の接続に関する協定の締結を申し入れたにもかかわらず他の一方がその協議に応じず、若しくは当該協議が調わないとき、又は電気通信設備の接続に関する協定の締結に関し、当事者が取得し、若しくは負担すべき金額 若しくは接続条件 その他協定の細目について当事者間の協議が調わないときは、当事者は、委員会に対し、あつせんを申請することができる。
ただし、当事者が第三十五条第一項 若しくは第二項の申立て、同条第三項の規定による裁定の申請 又は次条第一項の規定による仲裁の申請をした後は、この限りでない。
委員会は、事件がその性質上あつせんをするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりにあつせんの申請をしたと認めるときを除き、あつせんを行うものとする。
委員会によるあつせんは、委員会の委員 その他の職員(委員会があらかじめ指定する者に限る。次条第三項において同じ。)のうちから委員会が事件ごとに指名するあつせん委員が行う。
あつせん委員は、あつせん中の事件について、当事者が第三十五条第一項 若しくは第二項の申立て、同条第三項の規定による裁定の申請 又は次条第一項の規定による仲裁の申請をしたときは、当該あつせんを打ち切るものとする。
電気通信事業者間において、電気通信設備の接続に関する協定の締結に関し、当事者が取得し、若しくは負担すべき金額 又は接続条件 その他協定の細目について当事者間の協議が調わないときは、当事者の双方は、委員会に対し、仲裁を申請することができる。
ただし、当事者が第三十五条第一項 若しくは第二項の申立て又は同条第三項の規定による裁定の申請をした後は、この限りでない。
委員会による仲裁は、三人の仲裁委員が行う。
仲裁委員は、委員会の委員 その他の職員のうちから当事者が合意によつて選定した者につき、委員会が指名する。
ただし、当事者の合意による選定がなされなかつたときは、委員会の委員 その他の職員のうちから委員会が指名する。
仲裁については、この条に別段の定めがある場合を除いて、仲裁委員を仲裁人とみなして、仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)の規定を準用する。
前二条の規定は、電気通信設備 又は電気通信設備設置用工作物の共用に関する協定について準用する。
この場合において、
第百五十四条第一項 及び前条第一項中
「接続条件」とあるのは
「共用の条件」と、
第百五十四条第一項ただし書 及び第六項 並びに前条第一項ただし書中
「第三十五条第一項 若しくは第二項」とあるのは
「第三十八条第一項」と、
「同条第三項」とあるのは
「同条第二項において準用する第三十五条第三項」と
読み替えるものとする。
前二条の規定は、卸電気通信役務の提供に関する契約について準用する。
この場合において、
第百五十四条第一項 及び前条第一項中
「接続条件」とあるのは
「提供の条件」と、
「協定の細目」とあるのは
「契約の細目」と、
第百五十四条第一項ただし書 及び第六項 並びに前条第一項ただし書中
「第三十五条第一項 若しくは第二項」とあるのは
「第三十九条において準用する第三十五条第一項 若しくは第三十八条第一項」と、
「同条第三項」とあるのは
「第三十九条において準用する第三十五条第三項」と
読み替えるものとする。
電気通信事業者間において、電気通信役務の円滑な提供の確保のためにその締結が必要なものとして政令で定める協定 又は契約(第三項において「協定等」という。)の締結に関し、当事者が取得し、若しくは負担すべき金額 又は条件 その他その細目について当事者間の協議が調わないときは、当事者は、委員会に対し、あつせんを申請することができる。
ただし、当事者が同項の規定による仲裁の申請をした後は、この限りでない。
第百五十四条第二項から第六項までの規定は、前項のあつせんについて準用する。
この場合において、
同条第六項中
「第三十五条第一項 若しくは第二項の申立て、同条第三項の規定による裁定の申請 又は次条第一項」とあるのは、
「第百五十七条第三項」と
読み替えるものとする。
第百五十五条第二項から第四項までの規定は、前項の仲裁について準用する。
電気通信事業者と第三号事業を営む者との間において、当該第三号事業を営む者が申し入れた当該第三号事業を営むに当たつて利用すべき電気通信役務の提供に関する契約(第三項において単に「契約」という。)の締結に関し、当事者が取得し、若しくは負担すべき金額 又は条件 その他その細目について当事者間の協議が調わないときは、当事者は、委員会に対し、あつせんを申請することができる。
ただし、当事者が同項の規定による仲裁の申請をした後は、この限りでない。
第百五十四条第二項から第六項までの規定は、前項のあつせんについて準用する。
この場合において、
同条第六項中
「第三十五条第一項 若しくは第二項の申立て、同条第三項の規定による裁定の申請 又は次条第一項」とあるのは、
「第百五十七条の二第三項」と
読み替えるものとする。
電気通信事業者と第三号事業を営む者との間において、当該第三号事業を営む者が申し入れた契約の締結に関し、当事者が取得し、若しくは負担すべき金額 又は条件 その他その細目について当事者間の協議が調わないときは、当事者の双方は、委員会に対し、仲裁を申請することができる。
第百五十五条第二項から第四項までの規定は、前項の仲裁について準用する。
この節の規定により委員会に対してするあつせん 又は仲裁の申請は、総務大臣を経由してしなければならない。
この節に規定するもののほか、あつせん 及び仲裁の手続に関し必要な事項は、政令で定める。
第三節 諮問等
総務大臣は、次に掲げる事項については、委員会に諮問しなければならない。
ただし、委員会が軽微な事項と認めたものについては、この限りでない。
第三十五条第一項 若しくは第二項の規定による電気通信設備の接続に関する命令、同条第三項 若しくは第四項の規定による電気通信設備の接続に関する裁定、第三十八条第一項の規定による電気通信設備 若しくは電気通信設備設置用工作物の共用に関する命令、同条第二項において準用する第三十五条第三項 若しくは第四項の規定による電気通信設備 若しくは電気通信設備設置用工作物の共用に関する裁定、第三十九条において準用する第三十五条第一項の規定による特定卸電気通信役務の提供に関する命令、第三十九条において準用する第三十五条第三項 若しくは第四項の規定による卸電気通信役務の提供に関する裁定、第三十九条において準用する第三十八条第一項の規定による特定卸電気通信役務以外の卸電気通信役務の提供に関する命令、第百二十八条第一項の規定による土地等の使用に関する認可、第百二十九条第一項の規定による土地等の使用に関する裁定 又は第百三十八条第三項の規定による支障の除去に必要な措置に関する裁定
第十九条第二項の規定による届出契約約款の変更の命令、第二十条第三項の規定による保障契約約款の変更の命令、第二十一条第四項の規定による特定電気通信役務の料金の変更の命令、第二十九条第一項の規定による業務の改善命令、第三十条第五項の規定による同条第三項 若しくは第四項の規定に違反する行為の停止 若しくは変更の命令、第三十一条第四項の規定による同条第二項各号に掲げる行為の停止 若しくは変更の命令 若しくは第三十条第四項各号 若しくは第三十一条第二項各号に掲げる行為を停止させ 若しくは変更させるために必要な措置をとるべきことの命令、第三十三条第六項の規定による接続約款の変更の認可の申請の命令、同条第八項の規定による接続約款の変更の命令、第三十四条第三項の規定による接続約款の変更の命令、第三十六条第三項の規定による計画の変更の勧告、第三十八条の二第四項の規定による業務の改善命令、第三十九条の三第二項の規定による業務の改善命令、第四十四条の五の規定による電気通信設備統括管理者の解任命令 又は第百二十一条第二項の規定による業務の改善命令
総務大臣は、第十九条第二項、第二十条第三項、第二十一条第四項、第二十七条の七、第二十九条、第三十条第五項、第三十一条第四項、第三十三条第六項 若しくは第八項、第三十四条第三項、第三十五条第一項(第三十九条において準用する場合を含む。)若しくは第二項、第三十八条第一項(第三十九条において準用する場合を含む。)、第三十八条の二第四項、第三十九条の三第二項、第四十四条の二、第五十一条、第七十三条の四 又は第百二十一条第二項の規定による処分をしようとするときは、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十三条第一項の規定による意見の陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
前項に規定する処分 又は第四十四条の五の規定による処分に係る聴聞を行う場合において、当該処分が前条の規定により委員会に諮問すべきこととされている処分であるときは、当該処分に係る聴聞の主宰者は、委員会の委員のうちから、委員会の推薦により指名するものとする。
第一項に規定する処分 又は第四十四条の五の規定による処分に係る聴聞の主宰者は、行政手続法第十七条第一項の規定により当該処分に係る利害関係人が当該聴聞に関する手続に参加することを求めたときは、これを許可しなければならない。
総務大臣は、前項の勧告を受けたときは、その内容を公表しなければならない。