終局決定により権利 又は法律上保護される利益を害された者は、その決定に対し、即時抗告をすることができる。
非訟事件手続法
第四章 不服申立て
第一節 終局決定に対する不服申立て
⤏ 第一款 即時抗告
申立てを却下した終局決定に対しては、申立人に限り、即時抗告をすることができる。
手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない。
終局決定に対する即時抗告は、二週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
即時抗告の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者である場合にあっては、裁判の告知を受けた日から進行する。
前項の期間は、即時抗告をする者が裁判の告知を受ける者でない場合にあっては、申立人(職権で開始した事件においては、裁判を受ける者)が裁判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から進行する。
即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。
抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。
前項の規定による終局決定に対しては、即時抗告をすることができる。
前項の即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
第四十三条第四項から第六項までの規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合 及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。
終局決定に対する即時抗告があったときは、抗告裁判所は、原審における当事者 及び利害関係参加人(抗告人を除く。)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。
ただし、その即時抗告が不適法であるとき、又は即時抗告に理由がないことが明らかなときは、この限りでない。
裁判長は、前項の規定により抗告状の写しを送付するための費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。
前項の命令に対しては、即時抗告をすることができる。
抗告裁判所は、原審における当事者 及びその他の裁判を受ける者(抗告人を除く。)の陳述を聴かなければ、原裁判所の終局決定を取り消すことができない。
原裁判所は、終局決定に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その決定を更正しなければならない。
終局決定に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き、執行停止の効力を有しない。
ただし、抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、即時抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。
前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。
民事訴訟法第七十六条、第七十七条、第七十九条 及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。
終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き、前章の規定(第五十七条第一項ただし書 及び第六十四条の規定を除く。)を準用する。
この場合において、
第五十九条第一項第二号中
「即時抗告」とあるのは、
「第一審裁判所の終局決定であるとした場合に即時抗告」と
読み替えるものとする。
民事訴訟法第二百八十三条、第二百八十四条、第二百九十二条、第二百九十八条第一項、第二百九十九条第一項、第三百二条、第三百三条 及び第三百五条から第三百九条までの規定は、終局決定に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第二百九十二条第二項中
「第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項 及び第二百六十三条」とあるのは
「非訟事件手続法第六十三条第二項 及び第六十四条」と、
同法第三百三条第五項中
「第百八十九条」とあるのは
「非訟事件手続法第百二十一条」と
読み替えるものとする。
抗告裁判所の終局決定(その決定が第一審裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものに限る。)に対しては、次に掲げる事由を理由とするときに限り、更に即時抗告をすることができる。
ただし、第五号に掲げる事由については、手続行為能力、法定代理権 又は手続行為をするのに必要な権限を有するに至った本人、法定代理人 又は手続代理人による追認があったときは、この限りでない。
終局決定に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があること。
法律に従って裁判所を構成しなかったこと。
法律により終局決定に関与することができない裁判官が終局決定に関与したこと。
専属管轄に関する規定に違反したこと。
法定代理権、手続代理人の代理権 又は代理人が手続行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
終局決定にこの法律 又は他の法令で記載すべきものと定められた理由 若しくはその要旨を付せず、又は理由 若しくはその要旨に食い違いがあること。
終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があること。
前項の即時抗告(以下 この条 及び第七十七条第一項において「再抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された再抗告の理由についてのみ調査をする。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十四条、第三百二十五条第一項前段、第三項後段 及び第四項 並びに第三百二十六条の規定は、再抗告 及び その抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第三百十四条第二項中
「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第六十八条第六項」と、
同法第三百十六条第二項中
「対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十四条第二項の規定 及び同条第三項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十四条第一項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
⤏ 第二款 特別抗告
地方裁判所 及び簡易裁判所の終局決定で不服を申し立てることができないもの 並びに高等裁判所の終局決定に対しては、その決定に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
前項の抗告(以下 この項 及び次条において「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。
前款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十九条第三項、第七十一条 及び第七十四条の規定を除く。)は、特別抗告 及び その抗告審に関する手続について準用する。
民事訴訟法第三百十四条第二項、第三百十五条、第三百十六条(第一項第一号を除く。)、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段 及び第四項、第三百二十六条 並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告 及び その抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
同法第三百十四条第二項中
「前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十六条第一項において準用する同法第六十八条第六項」と、
同法第三百十六条第二項中
「対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十五条第二項の規定 及び同法第七十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十五条第一項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
⤏ 第三款 許可抗告
高等裁判所の終局決定(再抗告 及び次項の申立てについての決定を除く。)に対しては、第七十五条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。
ただし、その決定が地方裁判所の決定であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
前項の高等裁判所は、同項の終局決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院 又は上告裁判所 若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合 その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。
前項の申立てにおいては、第七十五条第一項に規定する事由を理由とすることはできない。
第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下 この条 及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。
許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書 又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。
許可抗告が係属する抗告裁判所は、終局決定に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。
第一款の規定(第六十六条、第六十七条第一項、第六十八条第四項 及び第五項、第六十九条第三項、第七十一条 並びに第七十四条の規定を除く。)は、許可抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。
この場合において、
これらの規定中
「抗告状」とあるのは
「第七十七条第二項の規定による許可の申立書」と、
第六十七条第二項 及び第三項、第六十八条第一項、第二項第二号 及び第三項、第六十九条第一項 並びに第七十二条第一項本文中
「即時抗告」とあり、及び第六十八条第六項中
「即時抗告の提起」とあるのは
「第七十七条第二項の申立て」と、
第七十二条第一項ただし書 並びに第七十三条第一項前段 及び第二項中
「即時抗告」とあるのは
「許可抗告」と
読み替えるものとする。
民事訴訟法第三百十五条 及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項、第三百二十二条、第三百二十五条第一項前段、第二項、第三項後段 及び第四項 並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。
この場合において、
同法第三百十八条第四項後段中
「第三百二十条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十七条第五項」と、
同法第三百二十二条中
「前二条」とあるのは
「非訟事件手続法第七十七条第五項の規定 及び同法第七十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、
同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項中
「第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
「非訟事件手続法第七十七条第二項」と、
同条第三項後段中
「この場合」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、
同条第四項中
「前項」とあるのは
「差戻し又は移送を受けた裁判所」と
読み替えるものとする。
第二節 終局決定以外の裁判に対する不服申立て
終局決定以外の裁判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。
受命裁判官 又は受託裁判官の裁判に対して不服がある当事者は、非訟事件が係属している裁判所に異議の申立てをすることができる。
ただし、その裁判が非訟事件が係属している裁判所の裁判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る。
前項の異議の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
最高裁判所 又は高等裁判所に非訟事件が係属している場合における第一項の規定の適用については、
同項ただし書中
「非訟事件が係属している裁判所」とあるのは、
「地方裁判所」と
する。
終局決定以外の裁判に対する即時抗告は、一週間の不変期間内にしなければならない。
ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。
前節の規定(第六十六条第一項 及び第二項、第六十七条第一項 並びに第六十九条 及び第七十条(これらの規定を第七十六条第一項 及び第七十八条第一項において準用する場合を含む。)の規定を除く。)は、裁判所、裁判官 又は裁判長がした終局決定以外の裁判に対する不服申立てについて準用する。