公証人法

# 明治四十一年法律第五十三号 #

第四章 公正証書の作成等

分類 法律
カテゴリ   司法
@ 施行日 : 令和七年十月一日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号
最終編集日 : 2025年 11月24日 13時06分


第一節 総則

1項

公証人は、法令に違反する事項、無効な行為 及び行為能力の制限によって取り消すことができる行為について、公正証書を作成することができない。

1項

公証人は、日本語で公正証書を作成しなければならない。

第二節 公正証書の作成

1項

嘱託人は、公正証書の作成を嘱託する場合には、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、官公署の作成した印鑑に関する証明書 又は署名用電子証明書等(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律平成十四年法律第百五十三号第三条第一項に規定する署名用電子証明書 その他の電磁的記録であって法務省令で定めるものをいう。第三十二条第三項において同じ。)を提供する方法 その他の法務省令で定める方法により、嘱託人が本人であることを明らかにしなければならない。

1項

公証人は、嘱託人が日本語に通じない場合 又は嘱託人が聴覚、言語機能 若しくは音声機能の障害のため、音声言語により意思疎通を図ることが困難であり、かつ、当該嘱託人が視覚障害 その他の障害により視覚により表現を認識することが困難である場合 若しくは当該嘱託人が文字を理解することが困難である場合において、公正証書を作成するときは、通訳人に通訳をさせなければならない。

1項

公証人は、嘱託人が視覚障害 その他の障害により視覚により表現を認識することが困難である場合 又は嘱託人が文字を理解することが困難である場合において、公正証書を作成するときは、証人立ち会わせなければならない。

1項

前二条の場合において、公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、公証人 並びに嘱託人 及び通訳人 又は証人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、通訳人に通訳をさせ、又は証人を公正証書の作成に立ち会わせることができる。

1項

公正証書の作成の嘱託は、代理人によってすることができる。

○2項

前項の規定による嘱託は、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、代理人の権限を証する書面 又は電磁的記録を提供してしなければならない。

○3項

前項の書面 又は電磁的記録が第五十二条第一項の規定による認証を受けていない私署証書 又は第五十九条第一項の規定による認証を受けていない電磁的記録であるときは、公証人は、当該書面 又は電磁的記録のほか、官公署の作成した印鑑 若しくは署名に関する証明書 又は署名用電子証明書等を提供させなければならない。


ただし、当該書面 又は電磁的記録が真正であることが公証人の保存する書面 又は電磁的記録から明らかであるときは、この限りでない。

1項

第二十九条から第三十一条までの規定は、前条第一項の規定による嘱託をした代理人について準用する。

1項

公証人は、第三者の許可 又は同意を得なければならない行為について公正証書を作成するには、法務省令で定めるところにより、その許可 又は同意があったことを証する書面 又は電磁的記録を提供させなければならない。

○2項

第三十二条第三項の規定は、前項の書面 又は電磁的記録について準用する。

1項

通訳人 及び証人は、嘱託人(代理人によって嘱託された場合にあっては、その代理人。第三十七条第二項第四十条第三項 及び第五十二条第二項において同じ。)が選定しなければならない。

2項
証人は、通訳人を兼ねることができる。
○3項

第三十二条第三項の規定は、前項の書面 又は電磁的記録について準用する。

一 号
未成年者
二 号

第十四条各号に掲げる者

三 号
嘱託事項について利害関係を有する者
四 号
嘱託事項について代理人である者 又は代理人であった者
五 号

嘱託人 又はその代理人の配偶者、四親等内の親族、法定代理人、保佐人、補助人、被用者 又は同居人

六 号

公証人の配偶者、四親等内の親族、被用者、同居人 又は書記

1項

公証人は、第二十八条 又は第三十二条の規定による嘱託があった場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものをもって公正証書を作成するものとする。

一 号

次号に掲げる場合以外の場合

電磁的記録

二 号

電磁的記録をもって公正証書を作成することにつき困難な事情がある場合

書面

1項

公証人は、公正証書を作成するには、その聴取した陳述、その目撃した状況 その他の自己の実験した事実 及びその実験の方法を記載し、又は記録しなければならない。

○2項

公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、公証人 及び列席者(嘱託人(公証人が通訳人に通訳をさせ、又は証人を立ち会わせた場合にあっては、嘱託人 及び当該通訳人 又は当該証人)をいう。第四十条第一項第三項 及び第五項第五十二条第二項 並びに第五十三条第四項において同じ。)が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、前項の事実の実験を行うことができる。
ただし、当該申出をした嘱託人以外に他の嘱託人がある場合にあっては、当該他の嘱託人に異議がないときに限る。

○3項

前項の規定は、民法明治二十九年法律第八十九号第四百六十五条の六第一項同法第四百六十五条の八第一項において準用する場合を含む。)の公正証書を作成する場合については、適用しない。

1項

公正証書には、前条第一項の規定により記載し、又は記録すべき事項のほか、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。

一 号
公正証書の番号
二 号

嘱託人の住所 及び氏名(嘱託人が法人であるときにあっては、その名称

三 号
代理人によって嘱託されたときは、その旨 及び当該代理人の氏名 又は名称
四 号

公正証書の作成に当たり通訳人に通訳をさせ、又は証人を立ち会わせたときは、その旨 及びその事由(第三十一条に規定する方法により通訳人に通訳をさせ、又は証人を立ち会わせたときにあっては、その旨 及びその事由を含む。)並びにこれらの者の氏名

五 号
作成の年月日
六 号
その他法務省令で定める事項
1項

公証人は、法務省令で定めるところにより、公正証書に他の書面 又は電磁的記録を引用し、かつ、これを添付することができる。

1項

公証人は、その作成した公正証書を、列席者に読み聞かせ、又は閲覧させ、列席者からその記載 又は記録の正確なことの承認を得なければならない。

○2項

公証人は、公正証書の作成に当たり通訳人に通訳をさせたときは、当該通訳人に公正証書の趣旨を通訳させて、前項の承認を得なければならない。

○3項

公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、公証人 及び列席者が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、前二項に規定する行為をし、又はこれをさせることができる。


ただし、当該申出をした嘱託人以外に他の嘱託人がある場合にあっては、当該他の嘱託人に異議がないときに限る。

4項

公証人は、第一項の承認を得たときは、その旨(第二項の規定により通訳人に通訳をさせた場合にあっては、その旨を含む。)を公正証書に記載し、又は記録し、かつ、当該公正証書について、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。

一 号

電磁的記録をもって公正証書を作成する場合

当該公正証書が指定公証人の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であって、当該公正証書が改変されているかどうかを確認することができる等当該指定公証人の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして法務省令で定めるもの

二 号

書面をもって公正証書を作成する場合

署名 及び第二十一条第一項の印鑑による押印

5項

列席者は、第一項の承認をしたときは、前項の公正証書について、署名 又はこれに代わる措置として法務省令で定めるものを講じなければならない。

1項

公証人は、嘱託人に対し、印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定により公正証書(書面をもって作成されたものに限る)に印紙を貼用させなければならない。

第三節 公正証書に記載され、又は記録された事項の証明等

1項

嘱託人、その承継人 又は利害関係を有する第三者は、公証人に対し、当該公証人の保存する公正証書 又はその附属書類(これらが電磁的記録をもって作成された場合にあっては、その電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。

○2項

第二十八条 並びに第三十二条第一項 及び第二項の規定は、前項の規定による請求について準用する。

3項

嘱託人の承継人は、第一項の規定による請求をする場合には、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、承継の事実を証する書面 又は電磁的記録を提供しなければならない。

4項

利害関係を有する第三者は、第一項の規定による請求をする場合には、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、利害関係を有することを証する書面 又は電磁的記録を提供しなければならない。

5項

公証人は、公正証書 又はその附属書類に記載され、又は記録されている者(自然人である者に限る)の住所が明らかにされることにより、人の生命 若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合 又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、当該公正証書 又はその附属書類に当該住所が明らかにされない措置を講じた上で、第一項の閲覧をさせなければならない。

1項
嘱託人、その承継人 又は利害関係を有する第三者は、公証人に対し、当該公証人の保存する公正証書 又はその附属書類について、次に掲げる請求をすることができる。
一 号

公正証書(書面をもって作成されたものに限る。次条第一項第一号において同じ。) 又は公正証書の附属書類(書面をもって作成されたものに限る)の謄本 又は抄本の交付の請求

二 号

公正証書(電磁的記録をもって作成されたものに限る。次号 並びに次条第一項第二号 及び第三号において同じ。) 又は公正証書の附属書類(電磁的記録をもって作成されたものに限る。次号において同じ。)に記録されている事項の全部 又は一部を出力した書面の交付の請求

三 号
公正証書 又は公正証書の附属書類に記録されている事項の全部 又は一部を記録した電磁的記録の提供の請求
2項

第二十八条第三十二条第一項 及び第二項 並びに前条第三項から第五項までの規定は、前項の請求について準用する。

3項

第一項各号の書面 又は電磁的記録の作成 及び交付 又は提供に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項

嘱託人 又はその承継人は、公証人に対し、当該公証人の保存する公正証書について、次に掲げる請求をすることができる。

一 号
公正証書の正本の交付の請求
二 号
公正証書に記録されている事項を記載した書面であって、公証人が法務省令で定める方法により当該書面の内容が当該公正証書に記録されている事項と同一であることを証明したものの交付の請求
三 号
公正証書に記録されている事項を記録した電磁的記録であって、公証人が法務省令で定める方法により当該電磁的記録の内容が当該公正証書に記録されている事項と同一であることを証明したものの提供の請求
○2項

第二十八条第三十二条 並びに第四十二条第三項 及び第五項の規定は、前項の請求について準用する。

○3項

第三十二条第三項の規定は、嘱託人の承継人が前項において準用する第四十二条第三項の規定により提供すべき書面 又は電磁的記録について準用する。

○4項

第一項各号の書面 又は電磁的記録の作成 及び交付 又は提供に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項

公証人は、第四十三条第一項第三号 又は前条第一項第三号の電磁的記録を提供する場合においては、当該電磁的記録に、次に掲げる措置を講じなければならない。

一 号
当該電磁的記録が指定公証人の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であって、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等当該指定公証人の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして法務省令で定めるもの
二 号

指定公証人が前号に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証明する情報を電磁的方式により付すこと。

2項

前項第二号の情報は、法務大臣 又は法務大臣の指定する法務局 若しくは地方法務局の長が作成する。

3項

前項の規定による指定は、告示により行う。

第四節 雑則

1項

公正証書 又はその附属書類の全部 又は一部が滅失したときは、公証人の所属する法務局 又は地方法務局のは、公証人に対し、一定の期間を定めて、当該公正証書 又はその附属書類の回復に必要な処分を命ずることができる。

1項
公証人は、公正証書原簿を調製しなければならない。
○2項
公正証書原簿には、次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 号
公正証書の番号 及び種類
二 号
嘱託人の氏名 又は名称
三 号
作成の年月日
四 号
その他法務省令で定める事項
1項

民事執行法昭和五十四年法律第四号第二十二条第五号に掲げる債務名義については、同法第二十九条前段の債務名義の正本 若しくは謄本 若しくはその債務名義に係る電磁的記録 又は同条後段の執行文の謄本 若しくはその執行文に係る電磁的記録 及び債権者が提出した文書の謄本 若しくは電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録の送達は、郵便 又は最高裁判所規則で定める方法による。

○2項

前項の規定による郵便による送達は、申立てにより、公証人がこれを行う。

3項

民事訴訟法平成八年法律第百九号第九十九条第百条第一項、第百一条第二項、第百二条の二、第百三条第百五条第百六条 並びに第百七条第一項 及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。

1項

公証人は、第十八条第二項本文の規定にかかわらず、その役場以外の場所において、民法第九百六十九条から第九百七十条まで 及び第九百七十二条に規定する遺言に係る職務を行うことができる。

1項

第二十八条から第三十三条までの規定は、公証人が拒絶証書を作成する場合については、適用しない。

1項

公証人は、任意後見契約に関する法律平成十一年法律第百五十号第三条に規定する公正証書を作成したときは、後見登記等に関する法律平成十一年法律第百五十二号第二条第一項の登記所に任意後見契約の登記を嘱託しなければならない。

○2項

前項の登記の嘱託は、第四十三条第一項第一号の公正証書の謄本、同項第二号の書面(公正証書に記録されている事項の全部を出力したものに限る。) 又は同項第三号の電磁的記録(公正証書に記録されている事項の全部を記録したものに限る。)を提供してしなければならない。