公証人ハ当事者 其ノ他ノ関係人ノ嘱託ニ因リ左ノ事務ヲ行フ権限ヲ有ス
公証人法
第一章 総則
法律行為 其ノ他私権ニ関スル事実ニ付公正証書ヲ作成スルコト
会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項 及其ノ準用規定 並一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第十三条 及第百五十五条ノ規定ニ依リ定款ニ認証ヲ与フルコト
電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 其ノ他人ノ知覚ヲ以テ認識スルコト能ハザル方式(以下電磁的方式ト称ス)ニ依リ作ラルル記録ニシテ電子計算機ニ依ル情報処理ノ用ニ供セラルルモノヲ謂フ以下之ニ同ジ)ニ認証ヲ与フルコト
但シ公務員ガ職務上作成シタル電磁的記録以外ノモノニ与フル場合ニ限ル
公証人ノ作成シタル文書 又ハ電磁的記録ハ本法 及他ノ法律ノ定ムル要件ヲ具備スルニ非サレハ公正ノ効力ヲ有セス
公証人ハ正当ノ理由アルニ非サレハ嘱託ヲ拒ムコトヲ得ス
公証人ハ法律ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外其ノ取扱ヒタル事件ヲ漏泄スルコトヲ得ス
但シ嘱託人ノ同意ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
公証人ハ他ノ公務ヲ兼ネ、商業ヲ営ミ 又ハ商事会社 若ハ営利ヲ目的トスル社団法人ノ代表者 若ハ使用人ト為ルコトヲ得ス
但シ法務大臣ノ許可ヲ得タルトキハ此ノ限ニ在ラス
公証人ハ嘱託人ヨリ手数料、送達ニ要スル料金、第五十一条ノ登記ノ手数料相当額(第三項ニ於テ登記手数料ト称ス)、日当及旅費ヲ受ク
公証人ハ前項ニ記載シタルモノヲ除クノ外何等ノ名義ヲ以テスルモ其ノ取扱ヒタル事件ニ関シテ報酬ヲ受クルコトヲ得ス
手数料、送達ニ要スル料金、登記手数料、日当 及旅費ニ関スル規程ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
本法 及他ノ法令ニ依リ公証人ガ行フコトトセラレタル電磁的記録ニ関スル事務ハ法務大臣ノ指定シタル公証人(以下指定公証人ト称ス)之ヲ取扱フ
前項ノ指定ハ告示シテ之ヲ為ス
第六章ノ規定ハ本法 及他ノ法令ノ定ムルトコロニ依リ指定公証人ガ行フ電磁的記録ニ関スル事務ニ付テハ之ヲ適用セズ
本法ニ規定スルモノノ外指定公証人ガ行フ電磁的記録ニ関スル事務ニ付テハ法務省令ヲ以テ之ヲ定ム
法務局 若ハ地方法務局 又ハ其ノ支局ノ管轄区域内ニ公証人ナキ場合 又ハ公証人 其ノ職務ヲ行フコト能ハサル場合ニ於テハ法務大臣ハ当該法務局 若ハ地方法務局 又ハ其ノ支局ニ勤務スル法務事務官ヲシテ管轄区域内ニ於テ公証人ノ職務ヲ行ハシムルコトヲ得
本法 及他ノ法令中公証人ノ職務ニ関スル規定ハ公証人ノ職務ヲ行フ法務事務官ニ之ヲ準用ス
但シ第七条ニ依ル手数料、日当 及旅費ハ国庫ノ収入トス
第二章 任免及所属
公証人ハ法務局 又ハ地方法務局ノ所属トス
各法務局 又ハ地方法務局ニ所属スル公証人ノ員数ハ法務局 若ハ地方法務局 又ハ其ノ支局ノ管轄区域毎ニ法務大臣之ヲ定ム
公証人ハ法務大臣之ヲ任シ 及其ノ属スヘキ法務局 又ハ地方法務局ヲ指定ス
左ノ条件ヲ具備スル者ニ非サレハ公証人ニ任セラルルコトヲ得ス
一定ノ試験ニ合格シタル後六月以上公証人見習トシテ実地修習ヲ為シタルコト
試験 及実地修習ニ関スル規程ハ法務大臣之ヲ定ム
裁判官(簡易裁判所判事ヲ除ク)、検察官(副検事ヲ除ク) 又ハ弁護士タルノ資格ヲ有スル者ハ試験 及実地修習ヲ経スシテ公証人ニ任セラルルコトヲ得
法務大臣ハ当分ノ間多年法務ニ携ハリ前条ノ者ニ準スル学識経験ヲ有スル者ニシテ政令ヲ以テ定ムル審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条ニ定ムル機関ヲ謂フ)ノ選考ヲ経タル者ヲ試験 及実地修習ヲ経スシテ公証人ニ任スルコトヲ得
但シ第八条ニ規定スル場合ニ限ル
左ニ掲クル者ハ公証人ニ任セラルルコトヲ得ス
拘禁刑以上ノ刑ニ処セラレタル者
但シ二年以下ノ拘禁刑ニ処セラレタル者ニシテ刑ノ執行ヲ終リ 又ハ其ノ執行ヲ受クルコトナキニ至リタルトキハ此ノ限ニ在ラス
罷免ノ裁判ヲ受ケタル者、懲戒ノ処分ニ因リ免官 若ハ免職セラレタル者 又ハ弁護士法ニ依リ除名セラレタル者ニシテ罷免、免官、免職 又ハ除名後二年ヲ経過セサル者
法務大臣ハ左ノ場合ニ於テ公証人ヲ免スルコトヲ得
公証人期間内ニ身元保証金 又ハ其ノ補充額ヲ納メサルトキ
公証人年齢七十歳ニ達シタルトキ
公証人身体 又ハ精神ノ衰弱ニ因リ其ノ職務ヲ執ルコト能ハサルニ至リタルトキ
前項第四号ノ場合ニ於テハ第十三条ノ二ノ政令ヲ以テ定ムル審議会等ノ議決ヲ経ヘシ
公証人第十四条第一号 又ハ第二号ニ該当スルニ至リタルトキハ当然其ノ職ヲ失フ
第三章 職務執行ニ関スル通則
公証人ノ職務執行ノ区域ハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ管轄区域ニ依ル
公証人ハ法務大臣ノ指定シタル地ニ其ノ役場ヲ設クヘシ
公証人ハ役場ニ於テ其ノ職務ヲ行フコトヲ要ス
但シ事件ノ性質カ之ヲ許ササル場合 又ハ法令ニ別段ノ定アル場合ハ此ノ限ニ在ラス
公証人ハ任命ノ辞令書ヲ受ケタル日ヨリ十五日以内ニ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ニ身元保証金ヲ納ムヘシ
身元保証金ノ額ニ不足ヲ生シ補充ノ命令ヲ受ケタルトキハ其ノ命令ヲ受ケタル日ヨリ三十日以内ニ其ノ不足額ヲ補充スヘシ
公証人身元保証金ヲ納メサル間ハ其ノ職務ヲ行フコトヲ得ス
身元保証金ヲ還付スヘキ場合ニ於テハ其ノ身元保証金ノ上ニ権利ヲ有スル者ニ対シ六月ヲ下ラサル期間内ニ申出ツヘキ旨ヲ公告スヘシ
身元保証金ハ前項ノ期間ヲ経過スルニ非サレハ之ヲ還付セス
身元保証金ハ他ノ公課 及債権ニ先チテ之ヲ第一項ノ公告費用ニ充ツ
公証人ハ其ノ職印ノ印鑑ニ氏名ヲ自署シ之ヲ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ニ差出スヘシ
公証人前項ノ印鑑ヲ差出ササル間ハ其ノ職務ヲ行フコトヲ得ス
公証人ハ左ノ場合ニ於テ其ノ職務ヲ行フコトヲ得ス
嘱託人、其ノ代理人 又ハ嘱託セラレタル事項ニ付利害ノ関係ヲ有スル者ノ配偶者、四親等内ノ親族 又ハ同居ノ親族タルトキ親族関係カ止ミタル後亦同シ
嘱託人 又ハ其ノ代理人ノ法定代理人、保佐人 又ハ補助人タルトキ
嘱託セラレタル事項ニ付代理人 若ハ輔佐人タルトキ 又ハ代理人 若ハ輔佐人タリシトキ
公証人職務上署名スルトキハ其ノ職名、所属 及役場所在地ヲ記載スヘシ
公証人ハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ノ認可ヲ受ケテ書記ヲ置キ執務ノ補助ヲ為サシムルコトヲ得
前項ノ認可ハ必要ナル場合ニ於テハ何時ニテモ之ヲ取消スコトヲ得
公正証書 及其ノ附属書類(官公署ノ証明書、代理人ノ権限ヲ証スベキ証書、第三者ノ許可 又ハ同意ヲ証スベキ証書 其ノ他公証人ノ取扱ヒタル事件ニ付公証人ガ取得シタル書面 又ハ電磁的記録ニシテ法務省令ニ定ムルモノヲ謂フ以下之ニ同ジ)、第五十三条第五項ノ規定ニ依リ公証人ノ保存スル証書 及其ノ附属書類、第五十八条第三項ノ規定ニ依リ公証人ノ保存スル定款 及其ノ附属書類 並法令ニ依リ公証人ノ調製シタル帳簿ノ保存 及廃棄ニ関スル規程ハ法務大臣之ヲ定ム
第四章 公正証書の作成等
第一節 総則
公証人は、法令に違反する事項、無効な行為 及び行為能力の制限によって取り消すことができる行為について、公正証書を作成することができない。
公証人は、日本語で公正証書を作成しなければならない。
第二節 公正証書の作成
嘱託人は、公正証書の作成を嘱託する場合には、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、官公署の作成した印鑑に関する証明書 又は署名用電子証明書等(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第三条第一項に規定する署名用電子証明書 その他の電磁的記録であって法務省令で定めるものをいう。第三十二条第三項において同じ。)を提供する方法 その他の法務省令で定める方法により、嘱託人が本人であることを明らかにしなければならない。
公証人は、嘱託人が日本語に通じない場合 又は嘱託人が聴覚、言語機能 若しくは音声機能の障害のため、音声言語により意思疎通を図ることが困難であり、かつ、当該嘱託人が視覚障害 その他の障害により視覚により表現を認識することが困難である場合 若しくは当該嘱託人が文字を理解することが困難である場合において、公正証書を作成するときは、通訳人に通訳をさせなければならない。
公証人は、嘱託人が視覚障害 その他の障害により視覚により表現を認識することが困難である場合 又は嘱託人が文字を理解することが困難である場合において、公正証書を作成するときは、証人を立ち会わせなければならない。
前二条の場合において、公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、公証人 並びに嘱託人 及び通訳人 又は証人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、通訳人に通訳をさせ、又は証人を公正証書の作成に立ち会わせることができる。
公正証書の作成の嘱託は、代理人によってすることができる。
前項の規定による嘱託は、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、代理人の権限を証する書面 又は電磁的記録を提供してしなければならない。
前項の書面 又は電磁的記録が第五十二条第一項の規定による認証を受けていない私署証書 又は第五十九条第一項の規定による認証を受けていない電磁的記録であるときは、公証人は、当該書面 又は電磁的記録のほか、官公署の作成した印鑑 若しくは署名に関する証明書 又は署名用電子証明書等を提供させなければならない。
ただし、当該書面 又は電磁的記録が真正であることが公証人の保存する書面 又は電磁的記録から明らかであるときは、この限りでない。
第二十九条から第三十一条までの規定は、前条第一項の規定による嘱託をした代理人について準用する。
公証人は、第三者の許可 又は同意を得なければならない行為について公正証書を作成するには、法務省令で定めるところにより、その許可 又は同意があったことを証する書面 又は電磁的記録を提供させなければならない。
第三十二条第三項の規定は、前項の書面 又は電磁的記録について準用する。
通訳人 及び証人は、嘱託人(代理人によって嘱託された場合にあっては、その代理人。第三十七条第二項、第四十条第三項 及び第五十二条第二項において同じ。)が選定しなければならない。
第三十二条第三項の規定は、前項の書面 又は電磁的記録について準用する。
第十四条各号に掲げる者
嘱託人 又はその代理人の配偶者、四親等内の親族、法定代理人、保佐人、補助人、被用者 又は同居人
公証人の配偶者、四親等内の親族、被用者、同居人 又は書記
公証人は、第二十八条 又は第三十二条の規定による嘱託があった場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定めるものをもって公正証書を作成するものとする。
次号に掲げる場合以外の場合
電磁的記録
電磁的記録をもって公正証書を作成することにつき困難な事情がある場合
書面
公証人は、公正証書を作成するには、その聴取した陳述、その目撃した状況 その他の自己の実験した事実 及びその実験の方法を記載し、又は記録しなければならない。
公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、公証人 及び列席者(嘱託人(公証人が通訳人に通訳をさせ、又は証人を立ち会わせた場合にあっては、嘱託人 及び当該通訳人 又は当該証人)をいう。第四十条第一項、第三項 及び第五項、第五十二条第二項 並びに第五十三条第四項において同じ。)が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、前項の事実の実験を行うことができる。
ただし、当該申出をした嘱託人以外に他の嘱託人がある場合にあっては、当該他の嘱託人に異議がないときに限る。
前項の規定は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第四百六十五条の六第一項(同法第四百六十五条の八第一項において準用する場合を含む。)の公正証書を作成する場合については、適用しない。
公正証書には、前条第一項の規定により記載し、又は記録すべき事項のほか、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
嘱託人の住所 及び氏名(嘱託人が法人であるときにあっては、その名称)
公正証書の作成に当たり通訳人に通訳をさせ、又は証人を立ち会わせたときは、その旨 及びその事由(第三十一条に規定する方法により通訳人に通訳をさせ、又は証人を立ち会わせたときにあっては、その旨 及びその事由を含む。)並びにこれらの者の氏名
公証人は、法務省令で定めるところにより、公正証書に他の書面 又は電磁的記録を引用し、かつ、これを添付することができる。
公証人は、その作成した公正証書を、列席者に読み聞かせ、又は閲覧させ、列席者からその記載 又は記録の正確なことの承認を得なければならない。
公証人は、公正証書の作成に当たり通訳人に通訳をさせたときは、当該通訳人に公正証書の趣旨を通訳させて、前項の承認を得なければならない。
公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、公証人 及び列席者が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、前二項に規定する行為をし、又はこれをさせることができる。
ただし、当該申出をした嘱託人以外に他の嘱託人がある場合にあっては、当該他の嘱託人に異議がないときに限る。
公証人は、第一項の承認を得たときは、その旨(第二項の規定により通訳人に通訳をさせた場合にあっては、その旨を含む。)を公正証書に記載し、又は記録し、かつ、当該公正証書について、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。
電磁的記録をもって公正証書を作成する場合
当該公正証書が指定公証人の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であって、当該公正証書が改変されているかどうかを確認することができる等当該指定公証人の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして法務省令で定めるもの
書面をもって公正証書を作成する場合
署名 及び第二十一条第一項の印鑑による押印
列席者は、第一項の承認をしたときは、前項の公正証書について、署名 又はこれに代わる措置として法務省令で定めるものを講じなければならない。
公証人は、嘱託人に対し、印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定により公正証書(書面をもって作成されたものに限る。)に印紙を貼用させなければならない。
第三節 公正証書に記載され、又は記録された事項の証明等
嘱託人、その承継人 又は利害関係を有する第三者は、公証人に対し、当該公証人の保存する公正証書 又はその附属書類(これらが電磁的記録をもって作成された場合にあっては、その電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。
第二十八条 並びに第三十二条第一項 及び第二項の規定は、前項の規定による請求について準用する。
嘱託人の承継人は、第一項の規定による請求をする場合には、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、承継の事実を証する書面 又は電磁的記録を提供しなければならない。
利害関係を有する第三者は、第一項の規定による請求をする場合には、法務省令で定めるところにより、公証人に対し、利害関係を有することを証する書面 又は電磁的記録を提供しなければならない。
公証人は、公正証書 又はその附属書類に記載され、又は記録されている者(自然人である者に限る。)の住所が明らかにされることにより、人の生命 若しくは身体に危害を及ぼすおそれがある場合 又はこれに準ずる程度に心身に有害な影響を及ぼすおそれがあるものとして法務省令で定める場合において、その者からの申出があったときは、法務省令で定めるところにより、当該公正証書 又はその附属書類に当該住所が明らかにされない措置を講じた上で、第一項の閲覧をさせなければならない。
公正証書(書面をもって作成されたものに限る。次条第一項第一号において同じ。) 又は公正証書の附属書類(書面をもって作成されたものに限る。)の謄本 又は抄本の交付の請求
公正証書(電磁的記録をもって作成されたものに限る。次号 並びに次条第一項第二号 及び第三号において同じ。) 又は公正証書の附属書類(電磁的記録をもって作成されたものに限る。次号において同じ。)に記録されている事項の全部 又は一部を出力した書面の交付の請求
第二十八条、第三十二条第一項 及び第二項 並びに前条第三項から第五項までの規定は、前項の請求について準用する。
第一項各号の書面 又は電磁的記録の作成 及び交付 又は提供に関し必要な事項は、法務省令で定める。
嘱託人 又はその承継人は、公証人に対し、当該公証人の保存する公正証書について、次に掲げる請求をすることができる。
第二十八条、第三十二条 並びに第四十二条第三項 及び第五項の規定は、前項の請求について準用する。
第三十二条第三項の規定は、嘱託人の承継人が前項において準用する第四十二条第三項の規定により提供すべき書面 又は電磁的記録について準用する。
第一項各号の書面 又は電磁的記録の作成 及び交付 又は提供に関し必要な事項は、法務省令で定める。
公証人は、第四十三条第一項第三号 又は前条第一項第三号の電磁的記録を提供する場合においては、当該電磁的記録に、次に掲げる措置を講じなければならない。
指定公証人が前号に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証明する情報を電磁的方式により付すこと。
前項第二号の情報は、法務大臣 又は法務大臣の指定する法務局 若しくは地方法務局の長が作成する。
前項の規定による指定は、告示により行う。
第四節 雑則
公正証書 又はその附属書類の全部 又は一部が滅失したときは、公証人の所属する法務局 又は地方法務局の長は、公証人に対し、一定の期間を定めて、当該公正証書 又はその附属書類の回復に必要な処分を命ずることができる。
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第二十二条第五号に掲げる債務名義については、同法第二十九条前段の債務名義の正本 若しくは謄本 若しくはその債務名義に係る電磁的記録 又は同条後段の執行文の謄本 若しくはその執行文に係る電磁的記録 及び債権者が提出した文書の謄本 若しくは電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録の送達は、郵便 又は最高裁判所規則で定める方法による。
前項の規定による郵便による送達は、申立てにより、公証人がこれを行う。
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第九十九条、第百条第一項、第百一条第二項、第百二条の二、第百三条、第百五条、第百六条 並びに第百七条第一項 及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
公証人は、第十八条第二項本文の規定にかかわらず、その役場以外の場所において、民法第九百六十九条から第九百七十条まで 及び第九百七十二条に規定する遺言に係る職務を行うことができる。
第二十八条から第三十三条までの規定は、公証人が拒絶証書を作成する場合については、適用しない。
公証人は、任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)第三条に規定する公正証書を作成したときは、後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)第二条第一項の登記所に任意後見契約の登記を嘱託しなければならない。
前項の登記の嘱託は、第四十三条第一項第一号の公正証書の謄本、同項第二号の書面(公正証書に記録されている事項の全部を出力したものに限る。) 又は同項第三号の電磁的記録(公正証書に記録されている事項の全部を記録したものに限る。)を提供してしなければならない。
第五章 認証
第一節 私署証書等の認証等
公証人は、私署証書に認証を与えるには、法務省令で定めるところにより、その面前において嘱託人に当該私署証書に署名させ、若しくは押印させ、又は嘱託人が当該私署証書に署名 若しくは押印をしたことを当該嘱託人(代理人によって嘱託された場合にあっては、当該嘱託人 又はその代理人)に確認させ、その旨を当該私署証書に記載してこれをしなければならない。
公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、前項の規定にかかわらず、法務省令で定めるところにより、公証人 及び列席者が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、同項に規定する行為をさせることができる。
公証人は、私署証書の謄本に認証を与えるには、法務省令で定めるところにより、当該私署証書と対照してこれと符合することを確認し、その旨を当該私署証書の謄本に記載してこれをしなければならない。
第一項 及び前項の認証を与える場合において、私署証書に文字の挿入、削除 その他の訂正があるとき 又は破損 若しくは外見上著しく疑わしい点があるときは、公証人は、その状況を当該私署証書 又はその謄本に記載して認証をしなければならない。
前章第一節 、第二十八条、第三十二条 及び第三十四条の規定は第一項 又は第三項の規定により私署証書 又はその謄本に認証を与える場合について、第二十九条から第三十一条まで、第三十三条 及び第三十五条の規定は第一項の規定により私署証書に認証を与える場合について、第四十二条、第四十三条、第四十五条 及び第四十六条の規定は第一項 又は第三項の規定による認証に係る附属書類について、それぞれ準用する。
公証人は、前条第一項の規定により私署証書に認証を与える場合において、法務省令で定めるところにより、その面前において嘱託人に当該私署証書の記載が真実であることを宣誓させた上、当該私署証書に署名させ、若しくは押印させ、又は当該私署証書に署名 若しくは押印をしたことを確認させたときは、その旨を当該私署証書に記載してこれを認証しなければならない。
前項の規定による認証の嘱託は、私署証書二通を提出してしなければならない。
第一項の規定による認証の嘱託は、前条第五項において準用する第三十二条第一項の規定にかかわらず、代理人によってすることができない。
公証人は、嘱託人からの申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、第一項の規定にかかわらず、法務省令で定めるところにより、公証人 及び列席者が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、同項に規定する行為をさせることができる。
公証人は、第一項の規定による記載をした私署証書のうち一通を自ら保存し、他の一通を嘱託人に還付しなければならない。
第四十二条、第四十三条(第一項第二号 及び第三号に係る部分を除く。)及び第四十六条の規定は、前項の規定により公証人の保存する私署証書について準用する。
前二条の規定により認証を与える私署証書 又はその謄本には、公証人が、法務省令で定めるところにより、第五十六条第二項第一号の登簿番号、認証の年月日 及びその場所 その他法務省令で定める事項を記載した上、当該公証人 及び証人が署名押印しなければならない。
この場合において、当該公証人は、当該私署証書 又はその謄本と認証簿とに契印をしなければならない。
私署証書の記載が虚偽であることを知って第五十三条第一項に規定する宣誓をした者は、十万円以下の過料に処する。
公証人は、認証簿を調製しなければならない。
嘱託人の住所 及び氏名(嘱託人が法人であるときにあっては、その名称)
第二節 定款の認証
会社法第三十条第一項(他の法令において準用する場合を含む。)並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第十三条 及び第百五十五条の規定による定款の認証の事務は、法人の本店 又は主たる事務所の所在地を管轄する法務局 又は地方法務局に所属する公証人が取り扱う。
前条の定款(電磁的記録をもって作成されたものを除く。以下この条において同じ。)の認証の嘱託は、定款二通を提出してしなければならない。
公証人は、前項の定款の認証を与えるには、法務省令で定めるところにより、その面前において嘱託人が当該定款に署名 又は記名押印をしたことを当該嘱託人(代理人によって嘱託された場合にあっては、当該嘱託人 又はその代理人)に確認させ、当該定款にその旨を記載しなければならない。
公証人は、前項の規定による記載をした定款のうち一通を自ら保存し、他の一通を嘱託人に還付しなければならない。
前章第一節 、第二十八条から第三十五条まで、第五十二条第二項 及び第四項、第五十四条 並びに第五十六条の規定は第二項の規定による定款の認証について、第四十二条、第四十三条、第四十五条 及び第四十六条の規定は前項の規定により公証人の保存する定款 又はその附属書類について、それぞれ準用する。
第三節 電磁的記録の認証等
指定公証人は、電磁的記録に認証を与えるには、法務省令で定めるところにより、その面前において嘱託人(代理人によって嘱託された場合にあっては、嘱託人 又はその代理人)に嘱託に係る電磁的記録について次の各号のいずれかに該当する行為(第五十七条の定款が電磁的記録をもって作成された場合にあっては、第二号に該当する行為に限る。)をさせ、電磁的方式によりその旨を内容とする情報を電磁的記録に記録された情報に付して認証しなければならない。
嘱託に係る電磁的記録がその者の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であって、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等その者の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして法務省令で定めるもの(嘱託人がするものに限る。)をすること。
前号の措置をしたことを確認すること。
第二十六条、第二十八条から第三十五条まで 及び第五十二条第二項の規定は、前項の規定により電磁的記録に認証を与える場合について準用する。
指定公証人は、第一項の規定により電磁的記録に認証を与える場合において、嘱託人がその面前において嘱託に係る電磁的記録の内容が真実であることを宣誓した上で同項各号のいずれかに該当する行為をしたときは、法務省令で定めるところにより、電磁的方式によりその旨を内容とする情報を電磁的記録に記録された情報に付して認証しなければならない。
この場合においては、第五十三条第三項 及び第四項の規定を準用する。
嘱託に係る電磁的記録の内容が虚偽であることを知って前項の宣誓をした者は、十万円以下の過料に処する。
指定公証人は、法務省令で定めるところにより、前条第一項の規定により認証を受けた電磁的記録に記録された情報の同一性を確認するに足りる情報を保存するものとする。
嘱託人は、前条第一項の規定により認証を受けた電磁的記録に記録された情報と同一の情報を記録した電磁的記録の保存を請求することができる。
嘱託人、その承継人 又は利害関係を有する第三者は、次に掲げる請求をすることができる。
自己の保有する電磁的記録に記録された情報と第一項に規定する電磁的記録に記録された情報とが同一であることの証明の請求
前項の規定により保存された電磁的記録に記録された情報と同一の情報の提供の請求
前項第二号の情報の提供は、法務省令で定めるところにより、同号の電磁的記録の内容を証する書面の交付をもってすることができる。
第二十八条 並びに第三十二条第一項 及び第二項の規定は第二項 及び第三項の請求について、第四十二条第三項 及び第四項の規定は第三項の請求について、同条第五項の規定は第三項第二号に掲げる請求について、それぞれ準用する。
指定公証人は、前二条の規定により認証を与え、又は電磁的方式による証明 若しくは情報の提供を行う場合においては、当該認証を与える電磁的記録(第五十九条第一項 又は第三項の規定によりこれに付すべき情報を含む。) 又は当該証明に係る情報 若しくは当該提供に係る情報を記録した電磁的記録に次に掲げる措置を講じなければならない。
指定公証人が前号に規定する措置を講じたものであることを確認するために必要な事項を証明する情報を電磁的方式により付すこと。
前項第二号の情報は、法務大臣 又は法務大臣の指定する法務局 若しくは地方法務局の長が作成する。
前項の規定による指定は、告示により行う。
第四十二条、第四十三条、第四十五条 及び第四十六条の規定は、第五十九条第一項の規定による認証に係る附属書類について準用する。
第六章 代理兼務及受継
公証人疾病 其ノ他已ムコトヲ得サル事由ニ因リ職務ヲ行フコト能ハサルトキハ同一ノ法務局 又ハ地方法務局ノ管轄区域内ノ公証人ニ代理ヲ嘱託スルコトヲ得
公証人前項ニ依リ代理ヲ嘱託シタルトキハ遅滞ナク其ノ旨ヲ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ニ届出ツヘシ其ノ代理ヲ解キタルトキ亦同シ
公証人前条第一項ニ依リ代理ヲ嘱託セス 又ハ之ヲ嘱託スルコト能ハサルトキハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ハ同一ノ法務局 又ハ地方法務局ノ管轄区域内ノ公証人ニ代理ヲ命スルコトヲ得
公証人其ノ職務ヲ行フコトヲ得ルニ至リタルトキハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ハ前項ノ代理ヲ解クヘシ
公証人ノ代理者前二条ニ依リ其ノ職務ヲ行フノ役場ハ代理セラルル公証人ノ役場トス
公証人ノ代理者職務上署名スルトキハ代理セラルル公証人ノ職 氏名、所属、役場所在地 及其ノ代理者タルコトヲ記載スヘシ
第二十二条ノ規定ハ代理セラルル公証人ノ外其ノ代理者ニモ之ヲ適用ス
公証人ノ死亡、免職、失職 又ハ転属ノ場合ニ於テ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長必要ト認ムルトキハ其ノ指定シタル官吏ヲシテ遅滞ナク役場ノ書類ニ封印ヲ為サシムヘシ
公証人ノ死亡、免職、失職 又ハ転属ノ場合ニ於テ直ニ後任者ノ任命セラレサルトキハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ハ同一ノ法務局 又ハ地方法務局ノ管轄区域内ノ公証人ニ兼務ヲ命スルコトヲ得
後任者其ノ職務ヲ行フコトヲ得ルニ至リタルトキハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ハ前項ノ兼務ヲ解クヘシ
公証人ノ免職、失職 又ハ転属ノ場合ニ於テハ後任者 又ハ兼務者ハ前任者ト立会ヒ遅滞ナク書類ノ授受ヲ為スヘシ
死亡其ノ他ノ事由ニ因リ書類ノ授受ヲ為スコト能ハサル場合ニ於テハ後任者 又ハ兼務者ハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ノ指定シタル官吏ノ立会ヲ以テ書類ヲ受取ルヘシ
第六十六条ニ依ル書類ノ封印後ニ命セラレタル後任者 又ハ兼務者ハ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ノ指定シタル官吏ノ立会ヲ以テ封印ヲ解キ書類ヲ受取ルヘシ
前条ノ規定ハ兼務者カ書類ヲ更ニ他ノ公証人ニ引渡スヘキ場合ニ之ヲ準用ス
兼務者職務上署名スルトキハ兼務者タルコトヲ記載スヘシ
前任者 又ハ兼務者ノ作成シタル証書ニ依リ後任者カ其ノ正本 又ハ謄本ヲ作成スル場合ニ於テ署名スルトキハ後任者タルコトヲ記載スヘシ
公証人ノ死亡、免職、失職 又ハ転属ノ場合ニ於テ定員ノ改正ニ因リ後任者ヲ要セサルトキハ法務大臣ハ同一ノ法務局 若ハ地方法務局 又ハ其ノ支局ノ管轄区域内ノ公証人ニ書類ノ引継ヲ命スヘシ
第六十八条 及前条第二項ノ規定ハ前項ニ依リ書類ノ引継ヲ命セラレタル公証人ニ之ヲ準用ス
第六十六条、第六十七条、第六十八条第三項 及第七十条第一項ノ規定ハ公証人ノ停職ノ場合ニ之ヲ準用ス
兼務者前項ニ依リ其ノ職務ヲ行フノ役場ハ停職者ノ役場トス
第六十八条 及第六十九条ノ規定ハ法務事務官カ第八条ニ依リ公証人ノ職務ヲ行フ場合ニ之ヲ準用ス
第七章 監督及懲戒
公証人ハ法務大臣ノ監督ヲ受ク
法務大臣ハ其ノ定ムルトコロニ依リ法務局 又ハ地方法務局ノ長ヲシテ其ノ管轄区域内ノ公証人ニ対スル監督事務ヲ取扱ハシム
第七十四条ノ監督権ハ左ノ事項ヲ包含ス
公証人ノ不適当ニ取扱ヒタル職務ニ付其ノ注意ヲ促シ 及適当ニ其ノ職務ヲ取扱フヘキコトヲ之ニ訓令スルコト
職務ノ内外ヲ問ハス公証人ノ地位ニ不相応ナル行状ニ付之ニ諭告スルコト
但シ諭告ヲ為ス前其ノ公証人ヲシテ弁明ヲ為スコトヲ得セシムヘシ
監督官ハ公証人ノ保存スル書類ヲ検閲シ 又ハ其ノ指定シタル官吏ヲシテ之ヲ検閲セシムルコトヲ得
前項ノ規定ハ指定公証人ノ保存スル電磁的記録ニ之ヲ準用ス
嘱託人 又ハ利害関係人ハ公証人ノ事務取扱ニ対シ其ノ所属スル法務局 又ハ地方法務局ノ長ニ異議ヲ申出ルコトヲ得
前項ノ異議ニ付為シタル処分ニ対シ不服アル者ハ更ニ法務大臣ニ異議ヲ申出ルコトヲ得
公証人職務上ノ義務ニ違反シタルトキ 又ハ品位ヲ失墜スヘキ行為アリタルトキハ懲戒ニ付ス
懲戒ハ左ノ五種トス
十万円以下ノ過料
一年以下ノ停職
過料、停職、転属 及免職ハ第十三条ノ二ノ政令ヲ以テ定ムル審議会等ノ議決ニ依リ法務大臣之ヲ行フ
譴責ハ法務大臣之ヲ行フ
公証人勾留セラレ 又ハ拘留ノ刑ニ処セラレタルトキハ釈放ニ至ルマテ当然其ノ職務ヲ停止セラル
法務大臣ハ懲戒事件停職、転属 又ハ免職ニ該当スルモノト思料スルトキハ懲戒手続結了ニ至ルマテ公証人ノ職務ヲ停止スルコトヲ得
公証人ノ停職ニ関スル規定ハ其ノ職務停止ノ場合ニ之ヲ準用ス
過料ヲ完納セサルトキハ検察官ノ命令ヲ以テ之ヲ執行ス
前項ノ執行ニ付テハ非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)第百二十一条ノ規定ヲ準用ス
公証人ノ納メタル身元保証金ハ第二十条第三項ノ場合ヲ除クノ外他ノ公課 及債権ニ先チテ之ヲ過料ニ充ツ