持分会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
会社法
第八章 清算
第一節 清算の開始
解散した場合(第六百四十一条第五号に掲げる事由によって解散した場合 及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
設立の取消しの訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
前条の規定により清算をする持分会社(以下「清算持分会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
第二節 清算人
清算持分会社には、一人 又は二人以上の清算人を置かなければならない。
次に掲げる者は、清算持分会社の清算人となる。
業務を執行する社員(次号 又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
社員(業務を執行する社員を定款で定めた場合にあっては、その社員)の過半数の同意によって定める者
前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
前二項の規定にかかわらず、第六百四十一条第四号 又は第七号に掲げる事由によって解散した清算持分会社については、裁判所は、利害関係人 若しくは法務大臣の申立てにより又は職権で、清算人を選任する。
第一項 及び第二項の規定にかかわらず、第六百四十四条第二号 又は第三号に掲げる場合に該当することとなった清算持分会社については、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
清算人(前条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。)は、いつでも、解任することができる。
前項の規定による解任は、定款に別段の定めがある場合を除き、社員の過半数をもって決定する。
重要な事由があるときは、裁判所は、社員 その他利害関係人の申立てにより、清算人を解任することができる。
清算人は、清算持分会社の業務を執行する。
清算人が二人以上ある場合には、清算持分会社の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、清算人の過半数をもって決定する。
前項の規定にかかわらず、社員が二人以上ある場合には、清算持分会社の事業の全部 又は一部の譲渡は、社員の過半数をもって決定する。
清算持分会社と清算人との関係は、委任に関する規定に従う。
第五百九十三条第二項、第五百九十四条 及び 第五百九十五条の規定は、清算人について準用する。
この場合において、
第五百九十四条第一項 及び 第五百九十五条第一項中
「当該社員以外の社員」とあるのは、
「社員(当該清算人が社員である場合にあっては、当該清算人以外の社員)」と
読み替えるものとする。
清算人は、その任務を怠ったときは、清算持分会社に対し、連帯して、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
清算人がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該清算人は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。
法人が清算人である場合には、当該法人は、当該清算人の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名 及び住所を社員に通知しなければならない。
前三条の規定は、前項の規定により選任された清算人の職務を行うべき者について準用する。
清算人は、清算持分会社を代表する。
ただし、他に清算持分会社を代表する清算人 その他清算持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算持分会社を代表する。
清算持分会社は、定款 又は定款の定めに基づく清算人(第六百四十七条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。以下 この項において同じ。)の互選によって、清算人の中から清算持分会社を代表する清算人を定めることができる。
第六百四十七条第一項第一号の規定により業務を執行する社員が清算人となる場合において、持分会社を代表する社員を定めていたときは、当該持分会社を代表する社員が清算持分会社を代表する清算人となる。
裁判所は、第六百四十七条第二項から第四項までの規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から清算持分会社を代表する清算人を定めることができる。
第五百九十九条第四項 及び第五項の規定は清算持分会社を代表する清算人について、第六百三条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算人 又は清算持分会社を代表する清算人の職務を代行する者について、それぞれ準用する。
清算持分会社の財産がその債務を完済するのに足りないことが明らかになったときは、清算人は、直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。
清算人は、清算持分会社が破産手続開始の決定を受けた場合において、破産管財人にその事務を引き継いだときは、その任務を終了したものとする。
前項に規定する場合において、清算持分会社が既に債権者に支払い、又は社員に分配したものがあるときは、破産管財人は、これを取り戻すことができる。
裁判所は、第六百四十七条第二項から第四項までの規定により清算人を選任した場合には、清算持分会社が当該清算人に対して支払う報酬の額を定めることができる。
第三節 財産目録等
清算人は、その就任後遅滞なく、清算持分会社の財産の現況を調査し、法務省令で定めるところにより、第六百四十四条各号に掲げる場合に該当することとなった日における財産目録 及び貸借対照表(以下 この節において「財産目録等」という。)を作成し、各社員にその内容を通知しなければならない。
清算持分会社は、財産目録等を作成した時からその本店の所在地における清算結了の登記の時までの間、当該財産目録等を保存しなければならない。
清算持分会社は、社員の請求により、毎月清算の状況を報告しなければならない。
裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、財産目録等の全部 又は一部の提出を命ずることができる。
第四節 債務の弁済等
清算持分会社(合同会社に限る。以下 この項 及び次条において同じ。)は、第六百四十四条各号に掲げる場合に該当することとなった後、遅滞なく、当該清算持分会社の債権者に対し、一定の期間内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、当該期間は、二箇月を下ることができない。
前項の規定による公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければならない。
清算持分会社は、前条第一項の期間内は、債務の弁済をすることができない。
この場合において、清算持分会社は、その債務の不履行によって生じた責任を免れることができない。
前項の規定にかかわらず、清算持分会社は、前条第一項の期間内であっても、裁判所の許可を得て、少額の債権、清算持分会社の財産につき存する担保権によって担保される債権 その他これを弁済しても他の債権者を害するおそれがない債権に係る債務について、その弁済をすることができる。
この場合において、当該許可の申立ては、清算人が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。
清算持分会社は、条件付債権、存続期間が不確定な債権 その他その額が不確定な債権に係る債務を弁済することができる。
この場合においては、これらの債権を評価させるため、裁判所に対し、鑑定人の選任の申立てをしなければならない。
前項の場合には、清算持分会社は、同項の鑑定人の評価に従い同項の債権に係る債務を弁済しなければならない。
第一項の鑑定人の選任の手続に関する費用は、清算持分会社の負担とする。
当該鑑定人による鑑定のための呼出し 及び質問に関する費用についても、同様とする。
清算持分会社に現存する財産がその債務を完済するのに足りない場合において、その出資の全部 又は一部を履行していない社員があるときは、当該出資に係る定款の定めにかかわらず、当該清算持分会社は、当該社員に出資させることができる。
清算持分会社は、当該清算持分会社の債務を弁済した後でなければ、その財産を社員に分配することができない。
ただし、その存否 又は額について争いのある債権に係る債務についてその弁済をするために必要と認められる財産を留保した場合は、この限りでない。
清算持分会社(合同会社に限る。以下 この条において同じ。)の債権者(知れている債権者を除く。)であって第六百六十条第一項の期間内にその債権の申出をしなかったものは、清算から除斥される。
前項の規定により清算から除斥された債権者は、分配がされていない残余財産に対してのみ、弁済を請求することができる。
清算持分会社の残余財産を社員の一部に分配した場合には、当該社員の受けた分配と同一の割合の分配を当該社員以外の社員に対してするために必要な財産は、前項の残余財産から控除する。
第五節 残余財産の分配
残余財産の分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。
第六節 清算事務の終了等
清算持分会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、清算に係る計算をして、社員の承認を受けなければならない。
社員が一箇月以内に前項の計算について異議を述べなかったときは、社員は、当該計算の承認をしたものとみなす。
ただし、清算人の職務の執行に不正の行為があったときは、この限りでない。
第七節 任意清算
持分会社(合名会社 及び合資会社に限る。以下 この節において同じ。)は、定款 又は総社員の同意によって、当該持分会社が第六百四十一条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合における当該持分会社の財産の処分の方法を定めることができる。
第二節から前節までの規定は、前項の財産の処分の方法を定めた持分会社については、適用しない。
前条第一項の財産の処分の方法を定めた持分会社が第六百四十一条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合には、清算持分会社(合名会社 及び合資会社に限る。以下 この節において同じ。)は、解散の日から二週間以内に、法務省令で定めるところにより、解散の日における財産目録 及び貸借対照表を作成しなければならない。
前条第一項の財産の処分の方法を定めていない持分会社が第六百四十一条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合において、解散後に同項の財産の処分の方法を定めたときは、清算持分会社は、当該財産の処分の方法を定めた日から二週間以内に、法務省令で定めるところにより、解散の日における財産目録 及び貸借対照表を作成しなければならない。
持分会社が第六百六十八条第一項の財産の処分の方法を定めた場合には、その解散後の清算持分会社の債権者は、当該清算持分会社に対し、当該財産の処分の方法について異議を述べることができる。
前項に規定する場合には、清算持分会社は、解散の日(前条第二項に規定する場合にあっては、当該財産の処分の方法を定めた日)から二週間以内に、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。
ただし、第二号の期間は、一箇月を下ることができない。
第六百六十八条第一項の財産の処分の方法に従い清算をする旨
債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
前項の規定にかかわらず、清算持分会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号 又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該財産の処分の方法について承認をしたものとみなす。
債権者が第二項第二号の期間内に異議を述べたときは、清算持分会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。
持分会社が第六百六十八条第一項の財産の処分の方法を定めた場合において、社員の持分を差し押さえた債権者があるときは、その解散後の清算持分会社がその財産の処分をするには、その債権者の同意を得なければならない。
前項の清算持分会社が同項の規定に違反してその財産の処分をしたときは、社員の持分を差し押さえた債権者は、当該清算持分会社に対し、その持分に相当する金額の支払を請求することができる。
第八節 帳簿資料の保存
清算人(第六百六十八条第一項の財産の処分の方法を定めた場合にあっては、清算持分会社を代表する社員)は、清算持分会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、清算持分会社の帳簿 並びにその事業 及び清算に関する重要な資料(以下 この条において「帳簿資料」という。)を保存しなければならない。
前項の規定にかかわらず、定款で又は社員の過半数をもって帳簿資料を保存する者を定めた場合には、その者は、清算持分会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、帳簿資料を保存しなければならない。
裁判所は、利害関係人の申立てにより、第一項の清算人 又は前項の規定により帳簿資料を保存する者に代わって帳簿資料を保存する者を選任することができる。
この場合においては、前二項の規定は、適用しない。
前項の規定により選任された者は、清算持分会社の本店の所在地における清算結了の登記の時から十年間、帳簿資料を保存しなければならない。
第三項の規定による選任の手続に関する費用は、清算持分会社の負担とする。
第九節 社員の責任の消滅時効
第五百八十条に規定する社員の責任は、清算持分会社の本店の所在地における解散の登記をした後五年以内に請求 又は請求の予告をしない清算持分会社の債権者に対しては、その登記後五年を経過した時に消滅する。
前項の期間の経過後であっても、社員に分配していない残余財産があるときは、清算持分会社の債権者は、清算持分会社に対して弁済を請求することができる。
第十節 適用除外等
次に掲げる規定は、清算持分会社については、適用しない。
第四章第一節
第六百六条、第六百七条第一項(第三号 及び第四号を除く。)及び第六百九条
第五章第三節(第六百十七条第四項、第六百十八条 及び第六百十九条を除く。)から第六節まで 及び第七節第二款
第六百三十八条第一項第三号 及び第二項第二号
清算持分会社の社員が死亡した場合 又は合併により消滅した場合には、第六百八条第一項の定款の定めがないときであっても、当該社員の相続人 その他の一般承継人は、当該社員の持分を承継する。
この場合においては、同条第四項 及び第五項の規定を準用する。