化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律

# 平成七年法律第六十五号 #
略称 : 化学兵器禁止法 

第三章 特定物質の製造等の規制

分類 法律
カテゴリ   工業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 00時29分


1項

特定物質の製造(抽出を含む。以下この章第三十一条第一項第三十四条第一項第四十三条第一号 及び第四十四条第二号において同じ。)をしようとする者は、事業所ごとに、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
氏名 又は名称 及び住所 並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 号
製造をしようとする事業所の所在地
三 号
製造をしようとする特定物質
四 号
製造の方法 及びこれに用いる器具、機械 又は装置
五 号
その他経済産業省令で定める事項
1項

次の各号いずれかに該当する者は、前条第一項の許可を受けることができない。

一 号

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者

二 号

第九条第一項の規定により許可を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者

三 号

他の法令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者で、その情状が特定物質の製造をする者として不適当なもの

四 号
心身の故障により特定物質の製造を適正に行うことができない者として経済産業省令で定める者
五 号

法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号いずれかに該当する者があるもの

1項

経済産業大臣は、第四条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
その者の特定物質の製造をする能力が化学兵器禁止条約の規定に即して経済産業省令で定める限度を超えないこと。
二 号
その許可をすることによって、我が国全体の特定物質の製造をする能力が化学兵器禁止条約で定める限度を超えることとならないこと。
三 号
その他化学兵器禁止条約の適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
1項

第四条第一項の許可を受けた者(以下「許可製造者」という。)は、同条第二項第三号 又は第四号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。


ただし同号に掲げる事項の変更であって、経済産業省令で定める軽微なものをしようとするときは、この限りでない。

2項

許可製造者は、第四条第二項第二号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3項
許可製造者は、次に掲げる場合には、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
一 号

第四条第二項第一号に掲げる事項に変更があったとき。

二 号

第一項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたとき。

4項

前条の規定は、第一項の許可に準用する。

1項
許可製造者は、特定物質の製造を廃止したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
2項

前項の規定による届出があったときは、第四条第一項の許可は、その効力を失う。

1項

経済産業大臣は、許可製造者が次の各号の一に該当するときは、その許可を取り消し、又は期間を定めてその製造の停止を命ずることができる。

一 号

第五条第一号 又は第三号から第五号までの一に該当するに至ったとき。

二 号

不正の手段により第四条第一項 又は第七条第一項の許可を受けたとき。

三 号

第七条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を同項の許可を受けないで変更したとき。

四 号

第十四条第一項の規定に違反して特定物質の製造をしたとき。

五 号

第十九条第一項の規定により第四条第一項の許可に付された条件に違反したとき。

2項

経済産業大臣は、許可製造者が二年以上引き続き特定物質の製造をしないときは、その許可を取り消すことができる。

1項
特定物質の使用をしようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
氏名 又は名称 及び住所 並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 号

使用をしようとする特定物質 及びその数量

三 号
使用の目的 及び方法
四 号
使用の時期 及び場所
五 号
その他経済産業省令で定める事項
3項

経済産業大臣は、第一項の許可をしたときは、その許可に係る特定物質 及びその数量を記載した使用許可証を交付しなければならない。

4項
使用許可証の再交付 及び返納 その他使用許可証に関する手続的事項は、経済産業省令で定める。
1項

経済産業大臣は、前条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
特定物質が化学兵器禁止条約で認められた目的に使用されることが確実であること。
二 号
その数量の特定物質が製造 又は輸入されることにより、我が国全体の当該年における製造 又は輸入に係る特定物質の総量 及び我が国に存する特定物質の総量が化学兵器禁止条約で定める限度を超えることとならないこと。
三 号
その他化学兵器禁止条約の適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
2項

第五条の規定は、前条第一項の許可に準用する。


この場合において、

第五条第二号
第九条第一項」とあるのは、
第十二条」と

読み替えるものとする。

1項

経済産業大臣は、第十条第一項の許可を受けた者(以下「許可使用者」という。)が次の各号の一に該当する場合において、その許可に係る特定物質の使用を終えていないときは、その許可を取り消すことができる。

一 号

前条第二項において準用する第五条第一号 又は第三号から第五号までの一に該当するに至ったとき。

二 号

不正の手段により第十条第一項の許可を受けたとき。

三 号

第十九条第一項の規定により第十条第一項の許可に付された条件に違反したとき。

1項

特定物質を輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易法昭和二十四年法律第二百二十八号第五十二条の規定により、輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。

1項

許可製造者は、許可使用者に譲り渡すためにその使用の許可に係る特定物質(その使用の許可に係る数量の範囲内のものに限る。以下同じ。)の製造をする場合(自らが許可使用者である場合において、その使用の許可に係る特定物質の製造をする場合を含む。)でなければ、特定物質の製造をしてはならない。


ただし、経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2項

前条の輸入の承認は、許可使用者に譲り渡すために、又は許可使用者自らが、その使用の許可に係る特定物質を輸入する場合でなければ、これを行わないものとする。

3項
許可使用者に譲り渡すために特定物質の製造 又は輸入をしようとする者は、その使用の許可に係る特定物質を使用許可証によって確認するものとする。
1項

何人も、次の各号の一に該当する場合のほか、特定物質を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

一 号
許可製造者が、許可使用者にその使用の許可に係る特定物質を譲り渡す場合
二 号

第十三条の輸入の承認を受けた者(以下「承認輸入者」という。)が、許可使用者にその使用の許可に係る特定物質を譲り渡す場合

三 号
許可使用者が、その使用の許可に係る特定物質を許可製造者 又は承認輸入者から譲り受ける場合
2項
許可製造者 又は承認輸入者は、その製造 又は輸入に係る特定物質を許可使用者に譲り渡した場合には、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
1項

何人も、法令に基づく場合 又は次の各号の一に該当する場合のほか、特定物質を所持してはならない。

一 号
許可製造者が、その製造した特定物質を許可使用者に譲り渡すまでの間所持する場合
二 号
承認輸入者が、その輸入した特定物質を許可使用者に譲り渡すまでの間所持する場合
三 号
許可使用者が、特定物質を使用するまでの間所持する場合
四 号

第十八条第一項の規定により特定物質を廃棄しなければならない者が、廃棄するまでの間所持する場合

五 号

前各号に掲げる者から運搬 又は廃棄を委託された者が、その委託に係る特定物質を当該運搬 又は廃棄のために所持する場合

六 号

前各号に掲げる者の従業者が、その職務上特定物質を所持する場合

2項

前項各号に掲げる者は、その所持する特定物質を、かぎをかけた堅固な設備内に保管しなければならない。

1項

許可製造者、承認輸入者、許可使用者 又は次条第一項の規定により特定物質を廃棄しなければならない者は、特定物質を運搬しようとする場合(他に委託して運搬する場合を含み、船舶 又は航空機により運搬する場合を除く)は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その旨を都道府県公安委員会に届け出て、届出を証明する文書(以下「運搬証明書」という。)の交付を受けなければならない。

2項

都道府県公安委員会は、前項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る運搬において特定物質が盗取され、又は所在不明となることを防ぐため必要があると認めるときは、運搬の日時、経路 その他国家公安委員会規則で定める事項について、必要な指示をすることができる。

3項

都道府県公安委員会は、前項の指示をしたときは、その指示の内容を運搬証明書に記載しなければならない。

4項

特定物質を運搬する者は、運搬証明書を携帯し、かつ、当該運搬証明書に記載された内容に従って運搬しなければならない。

5項

運搬証明書の書換え、再交付 及び不要となった場合における返納 並びに運搬が二以上の都道府県にわたることとなる場合における第一項の届出、第二項の指示 並びに運搬証明書の交付、書換え、再交付 及び返納に関し必要な都道府県公安委員会の間の連絡については、政令で定める。

1項

次の各号の一に該当する場合において、当該各号に掲げる者が特定物質を所持しているときは、その者は、遅滞なく、その特定物質(第三号に該当する場合にあっては、同号に規定する数量を超える部分に限る)を廃棄しなければならない。

一 号

許可製造者が、第八条第一項の規定による届出をしたとき。

二 号

許可製造者が、第九条の規定によりその許可を取り消されたとき。

三 号

許可製造者が、第十条第一項の許可に係る数量を超えて特定物質の製造をしたとき。

四 号

許可使用者が、第十二条の規定によりその許可を取り消されたとき。

五 号
許可使用者が、その許可に係る特定物質を使用することを要しなくなったとき。
六 号

許可製造者 又は承認輸入者が、許可使用者に譲り渡すために特定物質の製造 又は輸入をした場合において、その許可使用者がその特定物質を譲り受ける前に、第十二条の規定によりその許可を取り消されたとき。

2項

前項の規定により特定物質を廃棄しなければならない者(以下「廃棄義務者」という。)は、経済産業省令で定めるところにより、廃棄すべき特定物質 及びその数量 並びにその廃棄の方法を経済産業大臣に届け出なければならない。

3項

経済産業大臣は、前項の規定による届出に係る廃棄の方法が適当でないと認めるときは、その変更をすべきこと(廃棄を他の者に委託することを含む。)を命ずることができる。

1項

第四条第一項 又は第十条第一項の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

2項

前項の条件は、化学兵器禁止条約の適確な実施を確保し、又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。

1項

許可製造者 又は許可使用者について相続 又は合併があったときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人 若しくは合併により設立した法人は、許可製造者 又は許可使用者の地位を承継する。

2項

前項の規定により許可製造者 又は許可使用者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

1項
許可製造者は、その製造に係る特定物質に関し、経済産業省令で定めるところにより、毎年、前年において製造をした数量、前年における最大保有量 その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。
2項
許可使用者は、その許可に係る特定物質の使用をした場合には、経済産業省令で定めるところにより、使用をした数量 その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。
1項

許可製造者は、日誌を備え、その製造に係る特定物質に関し次に掲げる事項を記録しなければならない。

一 号
製造をした数量
二 号
他の者に譲り渡した場合にあっては、譲り渡した者 及び数量
三 号
自ら使用した場合にあっては、使用した数量 及び用途
四 号
保有量
五 号
その他経済産業省令で定める事項
2項

前項の日誌は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

1項

許可製造者、承認輸入者、許可使用者 若しくは廃棄義務者 又はこれらの者から運搬 若しくは廃棄を委託された者は、その所持する特定物質が盗取され、又は所在不明となったときは、遅滞なく、その旨を警察官 又は海上保安官に届け出なければならない。