化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律

平成七年法律第六十五号
略称 : 化学兵器禁止法 
分類 法律
カテゴリ   工業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月12日 10時14分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 化学兵器の製造等の禁止

  • 第三章 特定物質の製造等の規制

  • 第四章 指定物質の製造等に係る届出

  • 第五章 国際機関による検査等

  • 第六章 雑則

  • 第七章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止 並びに廃棄に関する条約(以下「化学兵器禁止条約」という。)及びテロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約の適確な実施を確保するため、化学兵器の製造、所持、譲渡し及び譲受けを禁止するとともに、特定物質の製造、使用等を規制する等の措置を講ずることを目的とする。

1項

この法律において「毒性物質」とは、人が吸入し、又は接触した場合に、これを死に至らしめ、又はその身体の機能を一時的 若しくは持続的に著しく害する性質(以下「毒性」という。)を有する物質であって、化学兵器禁止条約の規定に即して政令で定めるものをいう。

2項

この法律において「化学兵器」とは、砲弾、ロケット弾 その他の政令で定める兵器であって、毒性物質 又はこれと同等の毒性を有する物質を充てんしたもの(その他の物質を充てんしたものであって、その内部で化学的変化を生ぜしめ、毒性物質 又はこれと同等の毒性を有する物質を生成させるものを含む。)をいう。

3項

この法律において「特定物質」とは、毒性物質 及び毒性物質の原料となる物質(以下「原料物質」という。)のうち、化学兵器の製造の用に供されるおそれが高いものとして政令で定めるものをいう。

4項

この法律において「指定物質」とは、特定物質以外の毒性物質 及び原料物質のうち、化学兵器の製造の用に供されるおそれがあるものとして政令で定めるものをいう。

5項

この法律において「第一種指定物質」とは、指定物質のうち化学兵器以外の用途に使用されることが少ないものとして政令で定めるものをいい、「第二種指定物質」とは、第一種指定物質以外の指定物質をいう。

6項

前三項の政令は、化学兵器禁止条約の規定に即して定めるものとする。

7項

この法律において特定物質 又は指定物質の製造には、他の物質の製造工程において特定物質 又は指定物質を一時的に生成させることが含まれるものとし、特定物質 又は指定物質の使用には、当該一時的に生成された特定物質 又は指定物質を他の物質に変化させることが含まれるものとする。

8項

この法律において「国際機関」とは、化学兵器禁止条約により設立される化学兵器の禁止のための機関をいう。

第二章 化学兵器の製造等の禁止

1項
何人も、化学兵器を製造してはならない。
2項
何人も、化学兵器を所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。
3項

何人も、化学兵器の製造の用に供する目的をもって、毒性物質 若しくはこれと同等の毒性を有する物質 又はこれらの物質の原料となる物質を製造し、所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

4項
何人も、専ら化学兵器に使用される部品 又は専ら化学兵器を使用する場合に用いられる機械器具であって、政令で定めるものを製造し、所持し、譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

第三章 特定物質の製造等の規制

1項

特定物質の製造(抽出を含む。以下この章第三十一条第一項第三十四条第一項第四十三条第一号 及び第四十四条第二号において同じ。)をしようとする者は、事業所ごとに、経済産業大臣の許可を受けなければならない。

2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
氏名 又は名称 及び住所 並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 号
製造をしようとする事業所の所在地
三 号
製造をしようとする特定物質
四 号
製造の方法 及びこれに用いる器具、機械 又は装置
五 号
その他経済産業省令で定める事項
1項

次の各号いずれかに該当する者は、前条第一項の許可を受けることができない。

一 号

この法律 又はこの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者

二 号

第九条第一項の規定により許可を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者

三 号

他の法令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者で、その情状が特定物質の製造をする者として不適当なもの

四 号
心身の故障により特定物質の製造を適正に行うことができない者として経済産業省令で定める者
五 号

法人であって、その業務を行う役員のうちに前各号いずれかに該当する者があるもの

1項

経済産業大臣は、第四条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
その者の特定物質の製造をする能力が化学兵器禁止条約の規定に即して経済産業省令で定める限度を超えないこと。
二 号
その許可をすることによって、我が国全体の特定物質の製造をする能力が化学兵器禁止条約で定める限度を超えることとならないこと。
三 号
その他化学兵器禁止条約の適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
1項

第四条第一項の許可を受けた者(以下「許可製造者」という。)は、同条第二項第三号 又は第四号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業大臣の許可を受けなければならない。


ただし同号に掲げる事項の変更であって、経済産業省令で定める軽微なものをしようとするときは、この限りでない。

2項

許可製造者は、第四条第二項第二号に掲げる事項を変更しようとするときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

3項
許可製造者は、次に掲げる場合には、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
一 号

第四条第二項第一号に掲げる事項に変更があったとき。

二 号

第一項ただし書の経済産業省令で定める軽微な変更をしたとき。

4項

前条の規定は、第一項の許可に準用する。

1項
許可製造者は、特定物質の製造を廃止したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
2項

前項の規定による届出があったときは、第四条第一項の許可は、その効力を失う。

1項

経済産業大臣は、許可製造者が次の各号の一に該当するときは、その許可を取り消し、又は期間を定めてその製造の停止を命ずることができる。

一 号

第五条第一号 又は第三号から第五号までの一に該当するに至ったとき。

二 号

不正の手段により第四条第一項 又は第七条第一項の許可を受けたとき。

三 号

第七条第一項の規定により許可を受けなければならない事項を同項の許可を受けないで変更したとき。

四 号

第十四条第一項の規定に違反して特定物質の製造をしたとき。

五 号

第十九条第一項の規定により第四条第一項の許可に付された条件に違反したとき。

2項

経済産業大臣は、許可製造者が二年以上引き続き特定物質の製造をしないときは、その許可を取り消すことができる。

1項
特定物質の使用をしようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
2項

前項の許可を受けようとする者は、経済産業省令で定めるところにより、次の事項を記載した申請書を経済産業大臣に提出しなければならない。

一 号
氏名 又は名称 及び住所 並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 号

使用をしようとする特定物質 及びその数量

三 号
使用の目的 及び方法
四 号
使用の時期 及び場所
五 号
その他経済産業省令で定める事項
3項

経済産業大臣は、第一項の許可をしたときは、その許可に係る特定物質 及びその数量を記載した使用許可証を交付しなければならない。

4項
使用許可証の再交付 及び返納 その他使用許可証に関する手続的事項は、経済産業省令で定める。
1項

経済産業大臣は、前条第一項の許可の申請が次の各号いずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。

一 号
特定物質が化学兵器禁止条約で認められた目的に使用されることが確実であること。
二 号
その数量の特定物質が製造 又は輸入されることにより、我が国全体の当該年における製造 又は輸入に係る特定物質の総量 及び我が国に存する特定物質の総量が化学兵器禁止条約で定める限度を超えることとならないこと。
三 号
その他化学兵器禁止条約の適確な実施に支障を及ぼすおそれがないこと。
2項

第五条の規定は、前条第一項の許可に準用する。


この場合において、

第五条第二号
第九条第一項」とあるのは、
第十二条」と

読み替えるものとする。

1項

経済産業大臣は、第十条第一項の許可を受けた者(以下「許可使用者」という。)が次の各号の一に該当する場合において、その許可に係る特定物質の使用を終えていないときは、その許可を取り消すことができる。

一 号

前条第二項において準用する第五条第一号 又は第三号から第五号までの一に該当するに至ったとき。

二 号

不正の手段により第十条第一項の許可を受けたとき。

三 号

第十九条第一項の規定により第十条第一項の許可に付された条件に違反したとき。

1項

特定物質を輸入しようとする者は、外国為替及び外国貿易法昭和二十四年法律第二百二十八号第五十二条の規定により、輸入の承認を受ける義務を課せられるものとする。

1項

許可製造者は、許可使用者に譲り渡すためにその使用の許可に係る特定物質(その使用の許可に係る数量の範囲内のものに限る。以下同じ。)の製造をする場合(自らが許可使用者である場合において、その使用の許可に係る特定物質の製造をする場合を含む。)でなければ、特定物質の製造をしてはならない。


ただし、経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2項

前条の輸入の承認は、許可使用者に譲り渡すために、又は許可使用者自らが、その使用の許可に係る特定物質を輸入する場合でなければ、これを行わないものとする。

3項
許可使用者に譲り渡すために特定物質の製造 又は輸入をしようとする者は、その使用の許可に係る特定物質を使用許可証によって確認するものとする。
1項

何人も、次の各号の一に該当する場合のほか、特定物質を譲り渡し、又は譲り受けてはならない。

一 号
許可製造者が、許可使用者にその使用の許可に係る特定物質を譲り渡す場合
二 号

第十三条の輸入の承認を受けた者(以下「承認輸入者」という。)が、許可使用者にその使用の許可に係る特定物質を譲り渡す場合

三 号
許可使用者が、その使用の許可に係る特定物質を許可製造者 又は承認輸入者から譲り受ける場合
2項
許可製造者 又は承認輸入者は、その製造 又は輸入に係る特定物質を許可使用者に譲り渡した場合には、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。
1項

何人も、法令に基づく場合 又は次の各号の一に該当する場合のほか、特定物質を所持してはならない。

一 号
許可製造者が、その製造した特定物質を許可使用者に譲り渡すまでの間所持する場合
二 号
承認輸入者が、その輸入した特定物質を許可使用者に譲り渡すまでの間所持する場合
三 号
許可使用者が、特定物質を使用するまでの間所持する場合
四 号

第十八条第一項の規定により特定物質を廃棄しなければならない者が、廃棄するまでの間所持する場合

五 号

前各号に掲げる者から運搬 又は廃棄を委託された者が、その委託に係る特定物質を当該運搬 又は廃棄のために所持する場合

六 号

前各号に掲げる者の従業者が、その職務上特定物質を所持する場合

2項

前項各号に掲げる者は、その所持する特定物質を、かぎをかけた堅固な設備内に保管しなければならない。

1項

許可製造者、承認輸入者、許可使用者 又は次条第一項の規定により特定物質を廃棄しなければならない者は、特定物質を運搬しようとする場合(他に委託して運搬する場合を含み、船舶 又は航空機により運搬する場合を除く)は、国家公安委員会規則で定めるところにより、その旨を都道府県公安委員会に届け出て、届出を証明する文書(以下「運搬証明書」という。)の交付を受けなければならない。

2項

都道府県公安委員会は、前項の規定による届出があった場合において、当該届出に係る運搬において特定物質が盗取され、又は所在不明となることを防ぐため必要があると認めるときは、運搬の日時、経路 その他国家公安委員会規則で定める事項について、必要な指示をすることができる。

3項

都道府県公安委員会は、前項の指示をしたときは、その指示の内容を運搬証明書に記載しなければならない。

4項

特定物質を運搬する者は、運搬証明書を携帯し、かつ、当該運搬証明書に記載された内容に従って運搬しなければならない。

5項

運搬証明書の書換え、再交付 及び不要となった場合における返納 並びに運搬が二以上の都道府県にわたることとなる場合における第一項の届出、第二項の指示 並びに運搬証明書の交付、書換え、再交付 及び返納に関し必要な都道府県公安委員会の間の連絡については、政令で定める。

1項

次の各号の一に該当する場合において、当該各号に掲げる者が特定物質を所持しているときは、その者は、遅滞なく、その特定物質(第三号に該当する場合にあっては、同号に規定する数量を超える部分に限る)を廃棄しなければならない。

一 号

許可製造者が、第八条第一項の規定による届出をしたとき。

二 号

許可製造者が、第九条の規定によりその許可を取り消されたとき。

三 号

許可製造者が、第十条第一項の許可に係る数量を超えて特定物質の製造をしたとき。

四 号

許可使用者が、第十二条の規定によりその許可を取り消されたとき。

五 号
許可使用者が、その許可に係る特定物質を使用することを要しなくなったとき。
六 号

許可製造者 又は承認輸入者が、許可使用者に譲り渡すために特定物質の製造 又は輸入をした場合において、その許可使用者がその特定物質を譲り受ける前に、第十二条の規定によりその許可を取り消されたとき。

2項

前項の規定により特定物質を廃棄しなければならない者(以下「廃棄義務者」という。)は、経済産業省令で定めるところにより、廃棄すべき特定物質 及びその数量 並びにその廃棄の方法を経済産業大臣に届け出なければならない。

3項

経済産業大臣は、前項の規定による届出に係る廃棄の方法が適当でないと認めるときは、その変更をすべきこと(廃棄を他の者に委託することを含む。)を命ずることができる。

1項

第四条第一項 又は第十条第一項の許可には、条件を付し、及びこれを変更することができる。

2項

前項の条件は、化学兵器禁止条約の適確な実施を確保し、又は許可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、許可を受ける者に不当な義務を課することとなるものであってはならない。

1項

許可製造者 又は許可使用者について相続 又は合併があったときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により承継すべき相続人を選定したときは、その者)又は合併後存続する法人 若しくは合併により設立した法人は、許可製造者 又は許可使用者の地位を承継する。

2項

前項の規定により許可製造者 又は許可使用者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

1項
許可製造者は、その製造に係る特定物質に関し、経済産業省令で定めるところにより、毎年、前年において製造をした数量、前年における最大保有量 その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。
2項
許可使用者は、その許可に係る特定物質の使用をした場合には、経済産業省令で定めるところにより、使用をした数量 その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。
1項

許可製造者は、日誌を備え、その製造に係る特定物質に関し次に掲げる事項を記録しなければならない。

一 号
製造をした数量
二 号
他の者に譲り渡した場合にあっては、譲り渡した者 及び数量
三 号
自ら使用した場合にあっては、使用した数量 及び用途
四 号
保有量
五 号
その他経済産業省令で定める事項
2項

前項の日誌は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

1項

許可製造者、承認輸入者、許可使用者 若しくは廃棄義務者 又はこれらの者から運搬 若しくは廃棄を委託された者は、その所持する特定物質が盗取され、又は所在不明となったときは、遅滞なく、その旨を警察官 又は海上保安官に届け出なければならない。

第四章 指定物質の製造等に係る届出

1項

第一種指定物質の製造 又は抽出 若しくは精製(以下「製造等」という。)をする者は、翌年において製造等をしようとする第一種指定物質のその事業所ごと 及び物質ごとの数量が経済産業省令で定める数量を超えると見込まれるときは、経済産業省令で定めるところにより、翌年に当該事業所において製造等をしようとする当該第一種指定物質の数量 その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出るものとする。

2項

第一種指定物質の製造等をする者は、その年において製造等をする第一種指定物質のその事業所ごと 及び物質ごとの数量が前項の経済産業省令で定める数量を超えるときは、あらかじめ、経済産業省令で定めるところにより、その旨 並びにその年に当該事業所において製造等をしようとする当該第一種指定物質の数量 及び同項の経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。


ただし、当該年に当該事業所において製造等をしようとする当該第一種指定物質の数量について同項の規定による届出がされている場合は、この限りでない。

3項

前三年のいずれかの年において製造等をした第一種指定物質のその事業所ごと 及び物質ごとの数量が第一項の経済産業省令で定める数量を超えた者 及びその年のその事業所における製造等に係る第一種指定物質の数量について前二項の規定による届出をした者は、経済産業省令で定めるところにより、翌年に当該事業所において製造等をしようとする当該第一種指定物質の数量 及び第一項の経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。


ただし、その数量について同項の規定による届出をする場合は、この限りでない。

4項

前三項の規定による届出をした者は、当該年において製造等をする当該第一種指定物質の数量がその届出に係る数量を著しく上回る場合として経済産業省令で定める場合には、あらかじめ、経済産業省令で定めるところにより、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。


ただし前項の規定による届出をした者がその届出に係る年に当該事業所において製造等をしようとする当該第一種指定物質の数量について第二項の規定による届出をしなければならない場合は、この限りでない。

1項

前条第一項から第三項までの規定による届出をした者は、経済産業省令で定めるところにより、その届出に係る年に当該事業所において製造等をした当該第一種指定物質の数量 その他経済産業省令で定める事項を経済産業大臣に届け出なければならない。

1項

前二条の規定は、第一種指定物質(第一種指定物質を含む物であって、経済産業省令で定めるものを含む。)の使用であって、経済産業省令で定めるものをする者 及びその使用をする第一種指定物質の数量(第一種指定物質を含む物にあっては、これに含まれる第一種指定物質の数量)に準用する。

1項

第二十四条 及び第二十五条の規定は、第二種指定物質の製造をする者 及びその製造をする第二種指定物質の数量に準用する。


この場合において、

第二十四条第三項
前三年のいずれかの年」とあるのは、
「前年」と

読み替えるものとする。

1項

指定物質(指定物質を含む物であって、経済産業省令で定めるものを含む。)の輸出 又は輸入をした者は、経済産業省令で定めるところにより、毎年、前年に輸出 又は輸入をした指定物質の数量(指定物質を含む物にあっては、これに含まれる指定物質の数量)を経済産業大臣に届け出なければならない。

1項

特定物質 及び指定物質以外の有機化学物質であって、政令で定めるもの(以下単に「有機化学物質」という。)の製造(政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)をする者は、前年に製造をした有機化学物質のその事業所ごとの数量が経済産業省令で定める数量を超えたときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨 及び前年に当該事業所において製造をした有機化学物質の数量が経済産業省令で定める区分のいずれに属するかを経済産業大臣に届け出なければならない。

2項

りん、硫黄 又はふっ素を含む有機化学物質であって、政令で定めるもの(以下「特定有機化学物質」という。)の製造をする者は、前年に製造をした特定有機化学物質のその事業所ごとの数量が経済産業省令で定める数量を超えたときは、経済産業省令で定めるところにより、その旨 及び前年に当該事業所において製造をした特定有機化学物質の数量が経済産業省令で定める区分のいずれに属するかを経済産業大臣に届け出なければならない。

第五章 国際機関による検査等

1項

国際機関の指定する者は、経済産業大臣の指定するその職員(政令で定める場合にあっては、経済産業大臣の指定するその職員 及び外務大臣の指定するその職員)の立会いの下に、化学兵器禁止条約で定める範囲内で、毒性物質 若しくはこれと同等の毒性を有する物質 又はこれらの物質の原料となる物質を取り扱う場所 その他の場所であって、国際機関が指定するものに立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査し、若しくは撮影し、関係者に質問し、又は試験のために必要な最小限度の分量に限り試料を無償で収去することができる。

2項

化学兵器禁止条約の締約国たる外国の政府(以下「締約国政府」という。)の指定する者は、化学兵器禁止条約で定める範囲内で、前項の規定による検査 若しくは撮影、質問 又は収去(以下「検査等」という。)に立ち会うことができる。

3項

第一項の規定により検査等に立ち会う職員は、当該検査等が化学兵器禁止条約の範囲内で、適確かつ円滑に行われることを確保するよう努めなければならない。

4項

第一項の規定により検査等に立ち会う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

5項

経済産業大臣は、必要があると認めるときは、独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下「機構」という。)に、第一項の規定による検査等に立ち会わせることができる。

6項

経済産業大臣は、前項の規定により機構に検査等に立ち会わせる場合には、機構に対し、当該検査等の場所 その他必要な事項を示してこれを実施すべきことを指示するものとする。

7項

第五項の規定により検査等に立ち会う機構の職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

1項
国際機関の指定する者は、経済産業大臣の指定するその職員の立会いの下に、化学兵器禁止条約で定める範囲内で、許可製造者の工場 その他の事業場内において、特定物質の製造 又は移動を監視するために必要な封印をし、又は装置を取り付けることができる。
2項

前条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定により封印 又は装置の取付けに立ち会う職員に準用する。

3項

何人も、第一項の規定によりされた封印 又は取り付けられた装置を、正当な理由がないのに、取り外し、又はき損してはならない。

4項

許可製造者は、第一項の規定によりされた封印 又は取り付けられた装置について、滅失、破損 その他の事故が生じたときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。

第六章 雑則

1項

経済産業大臣 又は都道府県公安委員会は、この法律(都道府県公安委員会にあっては、第十七条第二項の規定)の施行に必要な限度において、許可製造者、承認輸入者、許可使用者 又は廃棄義務者に対し、その業務に関し報告させることができる。

2項

経済産業大臣は、国際機関 又は締約国政府から化学兵器禁止条約の定めるところにより要請があった場合にあっては、国際機関 又は当該締約国政府に対して説明を行うために必要な限度において、毒性物質 若しくはこれと同等の毒性を有する物質 又はこれらの物質の原料となる物質を取り扱う者 その他の者に対し、その要請に係る事項に関し報告させることができる。

3項

経済産業大臣は、第三十条第一項の規定による検査等が行われた場合にあっては、国際機関に対して説明を行うために必要な限度において、関係者に対し、当該検査等の対象となった活動に関し報告させることができる。

1項
経済産業大臣は、この法律の施行に必要な限度において、その職員に、許可製造者、承認輸入者、許可使用者 又は廃棄義務者の事務所、工場 その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、又は試験のため必要な最小限度の分量に限り試料を無償で収去させることができる。
2項

都道府県公安委員会は、第十七条第二項の規定の施行に必要な限度において、警察職員に、許可製造者、承認輸入者、許可使用者 又は廃棄義務者の事務所、工場 その他の事業所に立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。

3項

前二項の規定により職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

4項

経済産業大臣は、必要があると認めるときは、機構に、第一項の規定による立入検査、質問 又は収去を行わせることができる。

5項

経済産業大臣は、前項の規定により機構に立入検査、質問 又は収去を行わせる場合には、機構に対し、当該立入検査の場所 その他必要な事項を示してこれを実施すべきことを指示するものとする。

6項

機構は、前項の指示に従って第四項に規定する立入検査、質問 又は収去を行ったときは、その結果を経済産業大臣に報告しなければならない。

7項

第四項の規定により機構の職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

8項

第一項 及び第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

経済産業大臣は、第三十条第五項の規定による立会い 又は前条第四項に規定する立入検査、質問 若しくは収去の業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、機構に対し、当該業務に関し必要な命令をすることができる。

1項

機構が行う収去について不服がある者は、経済産業大臣に対して審査請求をすることができる。


この場合において、経済産業大臣は、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第二十五条第二項 及び第三項 並びに第四十七条の規定の適用については、機構の上級行政庁とみなす。

1項

特定施設(国の施設であって、特定物質の毒性から人の身体を守る方法に関する研究(以下「特定研究」という。)のために特定物質の製造をする施設として、一を限り政令で指定するものをいう。以下同じ。)において国が行う政令で定める数量の範囲内の特定物質の製造は、第三十六条の規定により読み替えられた第四条第一項の承認を受けて行うものとみなし、特定施設において国が行う当該政令で定める数量の範囲内の特定物質の特定研究のための使用は、第三十六条の規定により読み替えられた第十条第一項の承認を受けたものとみなす。

2項

第十八条第一項 並びに第三十二条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定により使用の承認を受けたものとみなされた特定物質 及び当該特定物質に係る事項については、適用しない

3項

国際機関の指定する者が特定施設に立ち入り、検査等を行う場合 及び国際機関の指定する者が特定施設において封印をし、又は装置を取り付ける場合には、

第三十条第一項 及び第三十一条第一項
経済産業大臣」とあるのは、
「特定施設に係る行政機関の長」と

する。

1項

経済産業大臣は、第四条第一項第九条第十条第一項 若しくは第十二条の規定による処分をしたとき、又は第七条第二項 若しくは第三項第二号除く)、第八条第一項第二十条第二項 若しくは第二十一条第二項の規定による届出があったときは、遅滞なく、その旨を国家公安委員会に通知しなければならない。


第十八条第二項の規定による届出があった場合において、廃棄が他の者に委託されるとき、又は同条第三項の規定により廃棄を他の者に委託することを命じたときも、同様とする。

2項

警察官 又は海上保安官は、第二十三条の規定による届出があったときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に通報しなければならない。

3項
経済産業大臣 及び国家公安委員会は、特定物質が盗取され、又は所在不明となることを防ぐことについて、相互に協力するものとする。
1項

この法律の規定は、次章の規定を除き、国に適用があるものとする。


この場合において、

許可」とあるのは、
「承認」と

読み替えるものとする。

1項

この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第七章 罰則

1項

化学兵器を使用して、当該化学兵器に充てんされ、又は当該化学兵器の内部で生成された毒性物質 又はこれと同等の毒性を有する物質を発散させた者は、無期 若しくは二年以上の懲役 又は千万円以下の罰金に処する。

2項

毒性物質 又はこれと同等の毒性を有する物質をみだりに発散させて人の生命、身体 又は財産に危険を生じさせた者は、十年以下の懲役 又は五百万円以下の罰金に処する。

3項

前二項の未遂罪は罰する。

1項

第三条第一項の規定に違反した者は、一年以上の有期懲役 又は七百万円以下の罰金に処する。

2項

第三条第二項の規定に違反した者は、十年以下の懲役 又は五百万円以下の罰金に処する。

3項

第三条第三項 又は第四項の規定に違反した者は、七年以下の懲役 又は三百万円以下の罰金に処する。

4項

前三項の未遂罪は罰する。

1項

第三十八条第一項の罪を犯す目的でその予備をした者は、五年以下の懲役 又は二百万円以下の罰金に処する。

1項

第三十九条第一項の罪を犯す目的でその予備をした者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。

1項

第三十八条第一項 及び第三項同条第一項に係る部分に限る)の罪は刑法明治四十年法律第四十五号第三条 及び第四条の二の例に、第三十八条第二項 及び第三項同条第二項に係る部分に限る)の罪は同法第四条の二の例に、前三条の罪は同法第三条の例に従う。

1項

次の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第四条第一項の許可を受けないで特定物質の製造をした者

二 号

第九条第一項の規定による命令に違反した者

三 号

第十条第一項の許可を受けないで特定物質の使用をした者

1項

次の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役 若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第七条第一項の規定に違反して第四条第二項第三号 又は第四号に掲げる事項を変更した者

二 号

第十四条第一項の規定に違反して特定物質の製造をした者

三 号

第十五条第一項第十六条第一項 又は第十八条第一項の規定に違反した者

四 号

第十八条第三項の規定による命令に違反して特定物質を廃棄した者

1項

次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 号

第七条第二項第十七条第一項第十八条第二項第二十一条第二十三条第二十四条第二項から第四項まで 若しくは第二十五条これらの規定を第二十六条 又は第二十七条において準用する場合を含む。)、第二十八条第二十九条 又は第三十一条第四項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 号

第十六条第二項第十七条第四項 又は第三十一条第三項の規定に違反した者

三 号

第二十二条第一項の規定に違反して日誌を備えず、又は日誌に記録せず、若しくは虚偽の記録をした者

四 号

第二十二条第二項の規定に違反して日誌を保存しなかった者

五 号

第三十条第一項の規定による検査、撮影 若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

六 号

第三十条第二項の規定による立会いを拒み、妨げ、又は忌避した者

七 号

第三十一条第一項の規定による封印 又は装置の取付けを拒み、妨げ、又は忌避した者

八 号

第三十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

九 号

第三十三条第一項の規定による検査 若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

十 号

第三十三条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、第三十八条 若しくは第四十条の罪を犯し、又は第三十九条第四十一条 若しくは前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して各本条の罰金刑を科する。

1項

第七条第三項第八条第一項第十五条第二項 又は第二十条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、二十万円以下の過料に処する。

1項

第三十三条の二の規定による命令に違反した場合には、その違反行為をした機構の役員は、二十万円以下の過料に処する。