地すべり等防止法
第二章 地すべり防止区域に関する管理
都道府県知事は、第三条第三項の規定による地すべり防止区域の指定の通知を受けたときは、主務省令で定めるところにより、その地すべり防止区域内にこれを表示する標識を設置しなければならない。
都道府県知事は、第三条第三項の規定による地すべり防止区域の指定の通知を受けたときは、主務省令で定めるところにより、関係市町村(特別区を含む。以下同じ。)の長の意見をきいて、当該地すべり防止区域に係る地すべり防止工事に関する基本計画を作成し、これを主務大臣に提出するものとする。
これを変更するときも、同様とする。
主務大臣は、次の各号の一に該当する場合において、当該地すべり防止工事が国土の保全上特に重要なものであると認められるときは、都道府県知事に代つて自ら当該地すべり防止工事を施行することができる。
この場合においては、主務大臣は、あらかじめ当該都道府県知事の意見をきかなければならない。
主務大臣は、前項の規定により地すべり防止工事を施行する場合においては、政令で定めるところにより、都道府県知事に代つてその権限を行うものとする。
主務大臣は、第一項の規定により地すべり防止工事を施行する場合においては、主務省令で定めるところにより、その旨を告示しなければならない。
主務大臣 又は都道府県知事以外の者が地すべり防止工事を施行しようとするときは、あらかじめ当該地すべり防止工事に関する設計 及び実施計画について都道府県知事の承認を受けなければならない。
国 又は地方公共団体は、前項の規定にかかわらず、地すべり防止工事に関する設計 及び実施計画について都道府県知事に協議することをもつて足りる。
都道府県知事は、第一項の承認に、地すべりを防止するため必要な条件を附することができる。
地すべり防止施設の種類、配置、構造 及び規模 並びに水流の付替、地すべり地塊の除去 その他地すべりの防止のための工事は、当該地すべり防止区域における地すべりの原因、機構 及び規模に応じて、有効かつ適切なものとしなければならない。
地すべり防止施設は、次の各号に定めるところにより築造しなければならない。
都道府県知事は、その管理する地すべり防止施設が砂防法(明治三十年法律第二十九号)第一条に規定する砂防設備、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第四十一条第三項に規定する保安施設事業に係る施設、かんがい排水施設 その他の施設 又は工作物(以下これらを「他の工作物」と総称する。)の効用を兼ねるときは、当該他の工作物の管理者との協議により、その者に当該地すべり防止施設に関する工事を施行させ、又は当該地すべり防止施設を維持させることができる。
都道府県知事は、その施行する地すべり防止工事以外の工事(以下「他の工事」という。)又は地すべり防止工事の必要を生じさせた行為(以下「他の行為」という。)により自ら施行する必要を生じた地すべり防止工事を当該他の工事の施行者 又は他の行為者に施行させることができる。
前項の場合において、他の工事が河川工事(河川法(昭和三十九年法律第百六十七号)が適用され、又は準用される河川の河川工事をいう。以下同じ。)又は道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)による道路をいう。以下同じ。)に関する工事であるときは、当該地すべり防止工事については、河川法第十九条 又は道路法第二十三条第一項の規定を適用する。
前項の場合において、他の工事が河川工事、道路に関する工事 又は砂防工事(砂防法による砂防工事をいう。以下同じ。)であるときは、当該他の工事の施行については、河川法第十八条、道路法第二十二条第一項 又は砂防法第八条の規定を適用する。
第六条第二項から第十一項までの規定は、前項の規定により他人の占有する土地に立ち入り、又は他人の土地を一時使用する場合について準用する。
この場合において、
同条第八項から第十項まで中
「国」とあるのは、
「都道府県知事の統括する都道府県」と
読み替えるものとする。
土地収用法第九十三条第一項の規定による場合を除き、都道府県知事が地すべり防止工事を施行したことにより、当該地すべり防止工事を施行した土地に面する土地について、通路、みぞ、かき、さく その他の施設 若しくは工作物を新築し、増築し、修繕し、若しくは移転し、又は盛土 若しくは切土をするやむを得ない必要があると認められる場合においては、当該都道府県知事の統括する都道府県は、これらの工事をすることを必要とする者(以下この条において「損失を受けた者」という。)の請求により、これに要する費用の全部 又は一部を補償しなければならない。
この場合において、当該都道府県知事の統括する都道府県 又は損失を受けた者は、補償金の全部 又は一部に代えて、当該都道府県知事が当該工事を施行することを要求することができる。
前項の規定による損失の補償は、当該地すべり防止工事の完了の日から一年を経過した後においては、請求することができない。
第一項の規定による損失の補償については、当該都道府県知事の統括する都道府県と損失を受けた者とが協議しなければならない。
前項の規定による協議が成立しない場合においては、当該都道府県知事の統括する都道府県 又は損失を受けた者は、政令で定めるところにより、収用委員会に土地収用法第九十四条の規定による裁決を申請することができる。
地すべり防止区域内において、次の各号の一に該当する行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
地下水を誘致し、又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの、地下水の排水施設の機能を阻害する行為 その他地下水の排除を阻害する行為(政令で定める軽微な行為を除く。)
地表水を放流し、又は停滞させる行為 その他地表水のしん透を助長する行為(政令で定める軽微な行為を除く。)
ため池、用排水路 その他の地すべり防止施設以外の施設 又は工作物で政令で定めるもの(以下「他の施設等」という。)の新築 又は改良
前各号に掲げるもののほか、地すべりの防止を阻害し、又は地すべりを助長し、若しくは誘発する行為で政令で定めるもの
都道府県知事は、前項の許可の申請があつた場合において、当該許可の申請に係る行為が地すべりの防止を著しく阻害し、又は地すべりを著しく助長するものであると認めるときは、これを許可してはならない。
都道府県知事は、第一項の許可に、地すべりを防止するため必要な条件を附することができる。
第三条の規定による地すべり防止区域の指定の際現に当該地すべり防止区域内において権原に基き他の施設等を設置(工事中の場合を含む。)している者は、従前と同様の条件により、当該他の施設等の設置について前条第一項の許可を受けたものとみなす。
第三条の規定による地すべり防止区域の指定の際現に当該地すべり防止区域内において権原に基き前条第一項第一号から第三号まで 及び第五号に規定する行為を行つている者についても、同様とする。
森林法第三十四条第二項(同法第四十四条において準用する場合を含む。)又は砂防法第四条(同法第三条において準用する場合を含む。)の規定による許可を受けた者は、当該許可に係る行為については、第十八条第一項の許可を受けることを要しない。
国 又は地方公共団体が第十八条第一項各号に規定する行為をしようとするときは、あらかじめ都道府県知事に協議することをもつて足りる。
都道府県知事は、次の各号の一に該当する者に対して、その許可を取り消し、若しくはその条件を変更し、又はその行為の中止、他の施設等の改築、移転 若しくは除却、他の施設等により生ずべき地すべりを防止するために必要な施設をすること 若しくは原状回復を命ずることができる。
第十八条第一項の規定に違反した者
第十八条第一項の許可に附した条件に違反した者
偽りその他不正な手段により第十八条第一項の許可を受けた者
都道府県知事は、次の各号の一に該当する場合においては、第十八条第一項の許可を受けた者に対し、前項に規定する処分をし、又は同項に規定する必要な措置を命ずることができる。
地すべり防止工事のためやむを得ない必要が生じたとき。
地すべりの防止上著しい支障が生じたとき。
地すべりの防止上の理由以外の理由に基く公益上やむを得ない必要が生じたとき。
都道府県知事の統括する都道府県は、前項の規定による処分 又は命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。
第六条第九項 及び第十項の規定は、前項の補償について準用する。
この場合において、
同条第九項 及び第十項中
「国」とあるのは、
「都道府県知事の統括する都道府県」と
読み替えるものとする。
都道府県知事の統括する都道府県は、第三項の規定による補償の原因となつた損失が、第二項第三号の規定による処分 又は命令によるものであるときは、当該補償金額を当該理由を生じさせた者に負担させることができる。
都道府県知事は、その職務の執行に関し必要があると認めるときは、都道府県知事以外の地すべり防止施設の管理者に対し報告 若しくは資料の提出を求め、又はその命じた職員に当該地すべり防止施設に立ち入り、これを検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
第一項の立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
第二項の証明書の様式 その他証明書に関し必要な事項は、主務省令で定める。
都道府県知事は、都道府県知事以外の者の管理する地すべり防止施設が次の各号の一に該当する場合において、当該地すべり防止施設が第十二条の規定に適合しないときは、その管理者に対し改良、補修 その他当該地すべり防止施設の管理につき必要な措置を命ずることができる。
第十一条第一項の規定に違反して工事が施行されたとき。
第十一条第一項の承認に附した条件に違反して工事が施行されたとき。
偽りその他不正な手段により第十一条第一項の承認を受けて工事が施行されたとき。
都道府県知事は、都道府県知事以外の者の管理する地すべり防止施設が前項各号のいずれにも該当しない場合において、当該地すべり防止施設が第十二条の規定に適合しなくなり、かつ、地すべりの防止上著しい支障があると認められるときは、その管理者に対し前項に規定する措置を命ずることができる。
都道府県知事の統括する都道府県は、前項の規定による命令により損失を受けた者に対し通常生ずべき損失を補償しなければならない。
第六条第九項 及び第十項の規定は、前項の補償について準用する。
この場合において、
同条第九項 及び第十項中
「国」とあるのは、
「都道府県知事の統括する都道府県」と
読み替えるものとする。
前三項の規定は、国 又は地方公共団体の管理する地すべり防止施設については、適用しない。
都道府県知事は、地すべりによる被害を除却し、又は軽減するため必要があると認めるときは、地すべり防止工事基本計画を勘案して、主務省令で定めるところにより、次の各号に掲げる事項を記載した計画(以下「関連事業計画」という。)の概要を作成し、地すべり防止区域の存する市町村の長にこれを提示して、当該市町村における関連事業計画を作成するよう勧告することができる。
前三号に掲げる事項に直接関連して地すべり防止区域外において特に必要とされるこれらの号に掲げる事項
前項の勧告に応じて関連事業計画を作成しようとするときは、市町村長は、主務省令で定めるところにより、あらかじめ当該計画に係る事項について利害関係を有する者 又はこれらの者の組織する団体の意見をきかなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
都道府県知事 又はその命じた職員は、地すべりにより著しい危険が切迫していると認められるときは、必要と認める区域内の居住者に対し避難のために立ち退くべきことを指示することができる。
この場合においては、都道府県知事 又はその命じた職員は、直ちに、当該区域を管轄する警察署長にその旨を通知しなければならない。
都道府県知事は、地すべり防止区域台帳を調製し、これを保管しなければならない。
都道府県知事は、地すべり防止区域台帳の閲覧を求められたときは、正当な理由がなければこれを拒むことができない。