少年院法

# 平成二十六年法律第五十八号 #

第十三章 外部交通

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和五年十二月一日 ( 2023年 12月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十七号による改正
最終編集日 : 2024年 04月16日 09時45分


第一節 留意事項

1項

この章の定めるところにより、在院者に対し、外部交通(面会、信書の発受 及び第百六条第一項の通信をいう。以下この条において同じ。)を行うことを許し、又はこれを禁止し、差し止め、若しくは制限するに当たっては、適正な外部交通が在院者の改善更生 及び円滑な社会復帰に資するものであることに留意しなければならない。

第二節 面会

1項

少年院の長は、在院者に対し、次に掲げる者から面会の申出があったときは、第百九条第三項の規定により禁止される場合を除き、これを許すものとする。

一 号
在院者の保護者等
二 号
婚姻関係の調整、訴訟の遂行、修学 又は就業の準備 その他の在院者の身分上、法律上、教育上又は職業上の重大な利害に係る用務の処理のため面会することが必要な者
三 号
在院者の更生保護に関係のある者 その他の面会により在院者の改善更生に資すると認められる者
2項

少年院の長は、在院者に対し、前項各号に掲げる者以外の者から面会の申出があった場合において、健全な社会生活を営むために必要な援助を受けること その他面会することを必要とする事情があり、かつ、面会により、少年院の規律 及び秩序を害する結果を生じ、又は在院者の矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認めるときは、これを許すことができる。

1項

少年院の長は、その指名する職員に、在院者の面会(付添人等(付添人 又は在院者 若しくはその保護者、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹の依頼により付添人となろうとする弁護士をいう。以下同じ。)又は弁護人等との面会を除く)に立ち会わせ、又はその面会の状況を録音させ、若しくは録画させるものとする。


ただし、少年院の規律 及び秩序を害する結果を生じ、又は在院者の矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認める場合には、その立会い並びに録音 及び録画(次項において「立会い等」という。)をさせないことができる。

2項

少年院の長は、前項の規定にかかわらず、在院者の次に掲げる者との面会については、少年院の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合を除き、立会い等をさせてはならない。

一 号
自己に対する少年院の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し調査を行う国 又は地方公共団体の機関の職員
二 号

自己に対する少年院の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し弁護士法昭和二十四年法律第二百五号第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士

1項

少年院の職員は、次の各号のいずれか(付添人等 又は弁護人等との面会の場合にあっては、第一号ロ限る)に該当する場合には、その行為 若しくは発言を制止し、又はその面会を一時停止させることができる。


この場合においては、面会の一時停止のため、在院者 又は面会の相手方に対し面会の場所からの退出を命じ、その他必要な措置を執ることができる。

一 号

在院者 又は面会の相手方が次の 又はいずれかに該当する行為をするとき。

次条第一項の規定による制限に違反する行為

少年院の規律 及び秩序を害する行為
二 号

在院者 又は面会の相手方が次のイからホまでいずれかに該当する内容の発言をするとき。

暗号の使用 その他の理由によって、少年院の職員が理解できないもの
犯罪 又は非行を助長し、又は誘発するもの
少年院の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれのあるもの
在院者の矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれのあるもの
特定の用務の処理のため必要であることを理由として許された面会において、その用務の処理のため必要な範囲を明らかに逸脱するもの
2項

少年院の長は、前項の規定により面会が一時停止された場合において、面会を継続させることが相当でないと認めるときは、その面会を終わらせることができる。

1項

少年院の長は、在院者の面会(付添人等 又は弁護人等との面会を除く)に関し、法務省令で定めるところにより、面会の相手方の人数、面会の場所、日 及び時間帯、面会の時間 及び回数 その他面会の態様について、少年院の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上必要な制限をすることができる。

2項

前項の規定により面会の回数について制限をするときは、その回数は、一月につき二回を下回ってはならない。

1項

在院者の付添人等 又は弁護人等との面会の日 及び時間帯は、日曜日 その他政令で定める日以外の日の少年院の執務時間内とする。

2項

前項の面会の相手方の人数は、三人以内とする。

3項

少年院の長は、付添人等 又は弁護人等から前二項の定めによらない面会の申出がある場合においても、少年院の管理運営上支障があるときを除き、これを許すものとする。

4項

少年院の長は、第一項の面会に関し、法務省令で定めるところにより、面会の場所について、少年院の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上必要な制限をすることができる。

1項

少年院の長は、在院者に対してその保護者 その他相当と認める者との面会を許す場合において、在院者 及びその保護者 その他相当と認める者の意向 その他の事情を踏まえ、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、在院者を少年院の特に区別した場所に収容し、同所にその保護者 その他相当と認める者を宿泊させる方法により面会させることができる。

第三節 信書の発受

1項

少年院の長は、在院者に対し、この節第百九条第三項 又は次章の規定により禁止される場合を除き、他の者との間で信書を発受することを許すものとする。

1項
少年院の長は、その指名する職員に、在院者が発受する信書について、検査を行わせるものとする。
2項

次に掲げる信書については、前項の検査は、これらの信書に該当することを確認するために必要な限度において行うものとする。


ただし第四号に掲げる信書について、少年院の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあると認めるべき特別の事情がある場合は、この限りでない。

一 号
在院者が付添人等 又は弁護人等から受ける信書
二 号
在院者が国 又は地方公共団体の機関から受ける信書
三 号
在院者が自己に対する少年院の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し調査を行う国 又は地方公共団体の機関に対して発する信書
四 号

在院者が自己に対する少年院の長の措置 その他自己が受けた処遇に関し弁護士法第三条第一項に規定する職務を遂行する弁護士(弁護士法人 及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。第百一条第二項において同じ。)との間で発受する信書

3項

少年院の長は、少年院の規律 及び秩序を害する結果を生じ、又は在院者の矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認める場合は、前二項の規定にかかわらず第一項の検査を行わせないことができる。

1項

少年院の長は、犯罪性のある者 その他在院者が信書を発受することにより、少年院の規律 及び秩序を害し、又は在院者の矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれがある者(在院者の保護者等を除く)については、在院者がその者との間で信書を発受することを禁止することができる。


ただし、婚姻関係の調整、訴訟の遂行、修学 又は就業の準備 その他の在院者の身分上、法律上、教育上又は職業上の重大な利害に係る用務の処理のため信書を発受する場合は、この限りでない。

1項

少年院の長は、第九十九条の規定による検査の結果、在院者が発受する信書について、その全部 又は一部が次の各号いずれかに該当する場合には、その発受を差し止め、又はその該当箇所を削除し、若しくは抹消することができる。


同条第二項各号に掲げる信書について、これらの信書に該当することを確認する過程においてその全部 又は一部が次の各号いずれかに該当することが判明した場合も、同様とする。

一 号
暗号の使用 その他の理由によって、少年院の職員が理解できない内容のものであるとき。
二 号
発受によって、刑罰法令に触れる行為をすることとなり、又は犯罪 若しくは非行を助長し、若しくは誘発するおそれがあるとき。
三 号
発受によって、少年院の規律 及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
四 号
威迫にわたる記述 又は明らかな虚偽の記述があるため、受信者を著しく不安にさせ、又は受信者に損害を被らせるおそれがあるとき。
五 号
受信者を著しく侮辱する記述があるとき。
六 号
発受によって、在院者の矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
2項

前項の規定にかかわらず、在院者が国 又は地方公共団体の機関との間で発受する信書であってその機関の権限に属する事項を含むもの及び在院者が弁護士との間で発受する信書であってその在院者に係る弁護士法第三条第一項に規定する弁護士の職務に属する事項を含むものについては、その発受の差止め又はその事項に係る部分の削除 若しくは抹消は、その部分の全部 又は一部が前項第一号から第三号までいずれかに該当する場合に限り、これを行うことができる。

1項

少年院の長は、法務省令で定めるところにより、在院者が発する信書の作成要領、その発信の申請の日 及び時間帯、在院者が発信を申請する信書(付添人等 又は弁護人等に対して発するものを除く)の通数 並びに在院者の信書の発受の方法について、少年院の管理運営上必要な制限をすることができる。

2項

前項の規定により在院者が発信を申請する信書の通数について制限をするときは、その通数は、一月につき四通を下回ってはならない。

1項

信書の発信に要する費用については、在院者が負担することができない場合において、少年院の長が発信の目的に照らし相当と認めるときは、その全部 又は一部を国庫の負担とする。

1項

少年院の長は、第百条第百一条 又は第百九条第三項の規定により信書の発受を禁止し、又は差し止めた場合にはその信書を、第百一条の規定により信書の一部を削除した場合にはその削除した部分を保管するものとする。

2項

少年院の長は、第百一条の規定により信書の記述の一部を抹消する場合には、その抹消する部分の複製を作成し、これを保管するものとする。

3項

少年院の長は、在院者の出院の際、前二項の規定により保管する信書の全部 若しくは一部 又は複製(以下「発受禁止信書等」という。)をその者 又はその親権を行う者等に引き渡すものとする。

4項
少年院の長は、在院者が死亡した場合には、法務省令で定めるところにより、その遺族等に対し、その申請に基づき、発受禁止信書等を引き渡すものとする。
5項

前二項の規定にかかわらず、発受禁止信書等の引渡しにより、少年院の規律 及び秩序の維持に支障を生じ、又は在院者の犯罪 若しくは非行を助長し、若しくは誘発するおそれがあるときは、これを引き渡さないものとする。


次に掲げる場合において、その引渡しにより少年院の規律 及び秩序の維持に支障を生じ、又は在院者の犯罪 若しくは非行を助長し、若しくは誘発するおそれがあるときも、同様とする。

一 号

出院した在院者 又はその親権を行う者等が、在院者の出院後に、発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。

二 号

在院者が第七十六条第一項各号いずれかに該当する場合において、その在院者 又はその親権を行う者等が、発受禁止信書等の引渡しを求めたとき。

6項

第七十五条第一項第七十六条第一項 並びに第七十七条第二項 及び第三項の規定は、在院者に係る発受禁止信書等(前項の規定により引き渡さないこととされたものを除く)について準用する。


この場合において、

同条第三項
第一項の申請」とあるのは、
「第百四条第四項の申請」と

読み替えるものとする。

7項

第五項の規定により引き渡さないこととした発受禁止信書等は、在院者の出院の日 若しくは死亡の日 又は在院者が第七十六条第一項各号いずれかに該当することとなった日から起算して三年を経過した日に、国庫に帰属する。

1項

少年院の長は、在院者が、その作成した文書図画(信書を除く)を他の者に交付することを申請した場合には、その交付につき、在院者が発する信書に準じて検査 その他の措置を執ることができる。

第四節 電話等による通信

1項

少年院の長は、在院者に対し、その改善更生 又は円滑な社会復帰に資すると認めるとき、その他相当と認めるときは、第九十二条第一項各号に掲げる者との間において、電話 その他政令で定める電気通信の方法による通信を行うことを許すことができる。

2項

第百三条の規定は、前項の通信について準用する。

1項

少年院の長は、その指名する職員に、前条第一項の通信の内容を確認するため、その通信を受けさせ、又はその内容を記録させるものとする。


ただし、その通信により、少年院の規律 及び秩序の維持を害する結果を生じ、又は在院者の矯正教育の適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認めるときは、この限りでない。

2項

第九十四条第一項第一号イ除く)の規定は、前条第一項の通信について準用する。

第五節 雑則

1項

少年院の長は、在院者が面会し、信書を発し、又は第百六条第一項の通信を行う場合において、その相手方との意思疎通を円滑に行い、良好な関係を築くことができるようにするため必要と認めるときは、在院者に対し、助言 又は援助を行うものとする。


ただし、在院者が、付添人等 若しくは弁護人等 その他法務省令で定める者と面会し、又はこれらの者に対して信書を発しようとする場合は、この限りでない。

1項

少年院の長は、在院者 又はその面会等(面会 又は第百六条第一項の通信をいう。以下この条において同じ。)の相手方が国語に通じない場合には、外国語による面会等を許すものとする。


この場合において、発言 又は通信の内容を確認するため通訳 又は翻訳が必要であるときは、法務省令で定めるところにより、その在院者にその費用を負担させることができる。

2項

少年院の長は、在院者 又はその信書の発受の相手方が国語に通じない場合 その他相当と認める場合には、外国語による信書の発受を許すものとする。


この場合において、信書の内容を確認するため翻訳が必要であるときは、法務省令で定めるところにより、その在院者にその費用を負担させることができる。

3項

在院者が前二項の規定により負担すべき費用を負担しないときは、その面会等 又は信書の発受を許さない。

1項

少年院の長は、在院者が、その近親者(配偶者 及び三親等以内の親族をいう。以下この項において同じ。)の葬式へ出席し、又は負傷 若しくは疾病により重態であるその在院者の近親者を訪問することを適当と認めるときは、これを許すことができる。

2項

前項の規定による出席 又は訪問をするために要する費用のうち、在院者に係る交通費は、在院者の負担とする。


ただし、少年院の長は、在院者が貧困のためこれを完納することができないとき、その他相当と認めるときは、その全部 又は一部を免除することができる。

1項

この章 及び次章に規定する面会 及び信書の発受に関する事項について条約に別段の定めがあるときは、その規定による。