更生保護事業法(以下「法」という。)第四十六条第一項第二号の更生保護施設の規模 及び構造の基準、同項第三号の幹部職員の資格 又は経験 並びに第四十九条の二第四号の更生保護施設における処遇の基準は、この省令の定めるところによる。
更生保護施設における処遇の基準等に関する規則
制定に関する表明
更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第四十六条第一項第二号 及び第三号 並びに第四十九条の二第四号の規定に基づき、更生保護施設における処遇の基準等に関する規則を次のように定める。
第二章 処遇の基準
更生保護施設においては、その施設で行う処遇の方法を明らかにする規程(以下「処遇規程」という。)を定めなければならない。
保護観察所の長から法令の規定に基づく保護の委託を受けたときは、委託の趣旨に従い、かつ、法第四十九条の二 及び処遇規程の定めるところにより、速やかにその保護を行わなければならない。
被保護者から保護の申出を受けた場合において、当該被保護者が現に改善更生のための保護を必要としていると認めたときは、法第四十九条の二 及び処遇規程の定めるところにより、その改善更生のため最も適切と認められる保護を行うものとする。
被保護者に対しては、常に懇切で誠意ある態度で接するほか、次に掲げる事項に留意して個別的 又は集団的に処遇しなければならない。
法第四十九条の二第二号に規定する処遇の計画(以下「処遇計画」という。)に従って、被保護者に最もふさわしい方法を用いて生活指導 又は特定の犯罪的傾向を改善するための援助等を行うことにより、自律 及び協調の精神を会得させ、その他健全な社会生活に適応するために必要な態度、習慣 及び能力を養わせること。
更生保護施設においては、処遇の適正を図るため、保護を委託した保護観察所の長と常時密接な連携を保ち、その保護の内容が適当でないか 又は十分でないと認めるに至ったときは、速やかに当該保護観察所の長に連絡しなければならない。
被保護者に対しては、その改善更生のために、親族からの援助 又は公共の衛生福祉に関する機関 その他の機関からの保護を受けさせることが適当であると認める場合には、その援助 又は保護が受けられるように、あっせんをしなければならない。
処遇計画は、前項による更生計画のほか、被保護者の身上関係、犯罪 及び非行関係、家族関係等を総合的に判断して、保護の開始後速やかに定めるものとする。
前各項のほか、被保護者に対し、更生保護施設において守らなければならない事項を説示し、誓約 その他の方法によりこれを守らせるように努めるものとする。
被保護者に宿泊場所を供与するときは、健康で規律ある共同生活を維持するため、当該被保護者の性別、年齢、性格、心身の状況、前歴、行状 及び処遇の方針に留意して居室(専ら被保護者の宿泊の用に供する部屋をいう。以下同じ。)を指定しなければならない。
食事は、更生保護施設内で調理して給与するものとする。
ただし、被保護者が十分な理由に基づいて外食を希望し、又はやむを得ない事情のため施設内で調理し 若しくは給与することができない場合は、この限りでない。
更生保護施設内で宿泊場所の供与に併せて給与する食事は、一週間ごとにその献立の予定を立て、予定表を食堂 その他の適当な場所に掲示しなければならない。
被保護者に宿泊場所を供与するときは、身体 及び生活環境を清潔に保持するため、次に掲げる事項を実施しなければならない。
被保護者を、一週間に三回以上入浴させること。
前各号に掲げるもののほか、施設の内外にわたり必要な清掃 並びに塵芥 及び汚物の処理を励行し、施設の衛生の管理に努めること。
更生保護施設において職業訓練 その他の作業に従事させた被保護者に支払う賃金については、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の規定に従わなければならない。
被保護者からその所有する金品の保管の依頼を受ける場合には、当該被保護者に立ち会わせてその種類 及び数量を明らかにし、当該被保護者に保管証を交付しなければならない。
前二項の規定により保管した金品は、被保護者の申出があったときは、理由を確かめて当該被保護者に返還するものとする。
保護観察所の長の委託に基づかないで被保護者に金品を給与し、又は貸与するときは、その改善更生を保護する立場から、その使途 及び弁済の見込み 並びに処遇の公平 及び当該被保護者の自助の精神に対する影響を考慮しなければならない。
貸与した金品の返還を受けたときは、それを証する書面を交付しなければならない。
前項の規定は、第三条第三項の保護を行った場合において、被保護者からその費用の償還を受けることを妨げるものではない。
第三章 規模及び構造の基準
更生保護施設には、前条に規定するもののほか、居室、食堂、調理室 又は調理場、洗面所、洗濯室 又は洗濯場、浴室 及び便所を設けなければならない。
各居室の定員は四人以下とし、かつ、各居室の居住面積は一人当たり三・三平方メートル以上でなければならない。
各居室の定員の合計(以下「収容定員」という。)に相応する食器 及び寝具を整えておかなければならない。
洗面所 及び便所は、それぞれ、収容定員の五分の一に相当する者が同時に使用できるように設備されていなければならない。
収容定員が五十人を超える更生保護施設には、病気になり、又は負傷した被保護者を一時静養させるための専用の静養室を設けなければならない。
更生保護施設には、被保護者の処遇に関する地域住民との交流、関係団体との協議等を行うための地域交流室を設けなければならない。
ただし、前条に定める集会室を使用することをもって足りる場合は、この限りではない。
前項の規定は、被保護者に、一時その居室で軽易な作業を行わせることを妨げるものではない。
更生保護施設内において作業の用に供する機械、器具 その他の設備は、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)及びこれに基づく命令の規定に適合するものでなければならない。
第四章 幹部職員
更生保護施設には、実務に当たる幹部職員として、その実務の執行を総括する責任者(以下「施設長」という。)及び被保護者の生活指導を行いその相談に応ずる責任者(以下「補導主任」という。)を置かなければならない。
施設長は、第三十条の資格を有し、かつ、被保護者の処遇上支障がないと法務大臣が認めたときは、当該更生保護施設の補導主任を兼ねることができる。
施設長は、前条に掲げる要件を備えるほか、次の各号の一に該当する者でなければならない。
実務の執行を総括するために必要な能力を有する者であって、犯罪をした者 及び非行のある少年の更生保護に関する事業に二年以上従事したもの
前号に準ずる者であって、法務大臣が施設長として適当な者と認めたもの
補導主任は、第二十八条に掲げる要件を備えるほか、次の各号の一に該当する者でなければならない。
教育学、心理学 又は更生保護に関係のあるその他の学科について相当な教養を有する者であって、犯罪をした者 及び非行のある少年の更生保護の実務に二年以上従事したもの
前号に準ずる者であって、法務大臣が補導主任として適当な者と認めたもの