森林法
第四章 土地の使用
市町村の長は、前項の許可の申請があつたときは、土地の占有者 及び立木竹の所有者にその旨を通知し、意見書を提出する機会を与えなければならない。
第一項の許可を受けた者は、他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採する場合には、あらかじめその土地の占有者 又は立木竹の所有者に通知しなければならない。
ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。
第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採しようとする者は、同項の許可を受けたことを証する書面を携帯し、その土地の占有者 又は立木竹の所有者にこれを呈示しなければならない。
第一項の規定により他人の土地に立ち入り、又は立木竹を伐採した者は、これによつて生じた損失を補償しなければならない。
森林所有者等は、森林に重大な損害を与えるおそれのある害虫、獣類、菌類 又はウイルスが森林に発生し、又は発生するおそれがある場合において、その駆除 又は予防のため必要があるときは、市町村の長の許可を受けて他人の土地に立ち入ることができる。
この場合には、第二項から前項までの規定を準用する。
森林から木材、竹材 若しくは薪炭を搬出し、又は林道、木材集積場 その他森林施業に必要な設備をする者は、その搬出 又は設備のため他人の土地を使用することが必要且つ適当であつて他の土地をもつて代えることが著しく困難であるときは、その土地を管轄する都道府県知事の認可を受けて、その土地の所有者(所有者以外に権原に基きその土地を使用する者がある場合には、その者 及び所有者)に対し、これを使用する権利(以下「使用権」という。)の設定に関する協議を求めることができる。
都道府県知事は、前項の規定による認可の申請があつたときは、その土地の所有者 及びその土地に関し所有権以外の権利を有する者(以下「関係人」という。)の出頭を求めて、農林水産省令で定めるところにより、公開による意見の聴取を行わなければならない。
都道府県知事は、前項の意見の聴取をしようとするときは、その期日の一週間前までに事案の要旨 並びに意見の聴取の期日 及び場所を当事者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
第二項の意見の聴取に際しては、当事者に対して、当該事案について、証拠を提示し、意見を述べる機会を与えなければならない。
都道府県知事は、第一項の認可をしたときは、その旨について、その土地の所有者 及び関係人に通知するとともに、その土地の所在する市町村の事務所に掲示し、かつ、農林水産省令で定めるところにより、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信により公衆の閲覧に供しなければならない。
第一項の認可を受けた者は、同項の搬出 又は設備に関する測量 又は実地調査のため必要があるときは、他人の土地に立ち入り、又は測量 若しくは実地調査の支障となる立木竹を伐採することができる。
この場合には、前条第三項から第五項までの規定を準用する。
前条第一項の規定による協議がととのわず、又は協議をすることができないときは、同項の認可を受けた者は、農林水産省令で定める手続に従い、その使用権の設定に関し都道府県知事の裁定を申請することができる。
但し、同項の認可があつた日から六箇月を経過したときは、この限りでない。
都道府県知事は、前条の申請があつたときは、農林水産省令で定める手続に従い、その旨を公示するとともにその申請に係る土地の所有者 及び関係人に通知し、二十日を下らない期間を指定して意見書を提出する機会を与えなければならない。
都道府県知事は、前項の期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。
都道府県知事は、前項第一号 及び第二号に掲げる事項については、申請の範囲内で、且つ、第五十条第一項の搬出 又は設備のため必要な限度で、前項第四号に掲げる事項については、あらかじめ収用委員会の意見を聞き、これに基いて裁定をしなければならない。
都道府県知事は、第一項の裁定をしたときは、遅滞なく、農林水産省令で定める手続に従い、その旨をその裁定の申請者 及び前条第一項の通知を受けた者に通知するとともにこれを公示しなければならない。
前条第一項の裁定があつたときは、その裁定において定められた使用の時期に、裁定を申請した者は、その土地の使用権を取得し、その土地に関するその他の権利は、その使用権の内容と抵触する限度においてその行使を制限される。
使用権が設定された場合において、その土地の使用が三年以上にわたるとき、又はその使用権の行使によつて土地の形質が変更されるときは、土地の所有者は、その土地につき使用権を有する者に対し、その土地の収用に関する協議を求めることができる。
この場合において、土地の一部が収用されることによつて残地を従来用いていた目的に供することが著しく困難となるときは、その土地の所有者は、その全部の収用に関する協議を求めることができる。
前項の場合には、第五十一条本文 及び第五十二条の規定を準用する。
この場合において、
第五十一条中
「同項の認可を受けた者」とあるのは、
「第五十五条第一項の協議を求めた者」と
読み替えるものとする。
前項において準用する第五十一条の裁定においては、その収用の可否を定め、収用すべき旨の裁定においては更に左に掲げる事項を定めなければならない。
前項の裁定については、第五十三条第二項 及び第三項の規定を準用する。
前条第三項の収用すべき旨の裁定があつたときは、その裁定において定められた収用の時期に、収用する者は、その土地の所有権を取得し、その他の権利は、消滅する。
第五十条第一項 又は第五十五条第一項の規定による協議がととのつた場合において、その当事者が、農林水産省令で定めるところにより、それぞれ その協議において定められた第五十三条第一項各号の事項 又は第五十五条第三項各号の事項を都道府県知事に届け出たときは、その届け出たところに従い、使用権を設定すべき旨の裁定 又は収用すべき旨の裁定があつたものとみなす。
但し、第五十条第一項の規定による協議については、同項の認可があつた日から六箇月以内に届け出た場合に限る。
土地の使用 又は収用によつてその土地の所有者 及び関係人が受ける損失は、土地を使用し、又は収用する者が補償しなければならない。
土地の一部を使用し、又は収用することによつて、残地の価格が減じ、その他残地に関して損失が生ずるときは、その損失を補償しなければならない。
土地の一部を使用し、又は収用することによつて、残地に通路、みぞ、かき その他の工作物の新築、改築、増築 若しくは修繕 又は盛土 若しくは切土をする必要が生ずるときは、これに要する費用を補償しなければならない。
前二項に規定する補償の外、土地を使用し、又は収用することによつてその土地の所有者 又は関係人が通常受ける損失は、補償しなければならない。
土地の所有者 又は関係人が、第五十条第五項の規定による都道府県知事の通知があつた後に土地の形質を変更し、工作物の新築、改築、増築 若しくは大修繕をし、又は物件を付加し若しくは増置したときは、これについての損失は、補償しなくてもよい。
ただし、あらかじめ都道府県知事の承認を受けてこれらの行為をしたときは、この限りでない。
第五十条第五項の規定による都道府県知事の通知があつた後にその土地を同条第一項の目的のため使用することを廃止した者は、これによつてその土地の所有者 又は関係人が損失を受けたときは、これを補償しなければならない。
土地の所有者 又は関係人は、前項の規定による損失の補償について土地の使用を廃止した者と協議がととのわず、又は協議することができないときは、都道府県知事に裁定の申請をすることができる。
この場合には、第五十二条 並びに第五十三条第一項第四号、第二項 及び第三項の規定を準用する。
前項において準用する第五十三条第三項の公示があつたときは、裁定の定めるところにより当事者間に協議がととのつたものとみなす。
この章の規定による都道府県知事の裁定において定められた損失の補償に関する事項について不服がある者は、裁定の通知を受けた日から六十日以内に、訴を提起することができる。
この場合には、第五十条第一項の認可を受けた者、土地の所有者 又は関係人を被告としなければならない。
土地を使用し、又は収用する者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、補償金を供託することができる。
土地を使用し、又は収用する者が補償金を受けるべき者を確知することができないとき(土地を使用し、又は収用する者に過失があるときを除く。)。
土地を使用し、又は収用する者が補償金の支払の時期までにその支払(供託を含む。)をしないときは、その協議 又は裁定は、その時以後 その効力を失う。
但し、土地の所有者 及び関係人が損害賠償の請求をすることを妨げない。
使用者は、土地の使用を終つたとき、又は前条の規定により協議 若しくは裁定が失効したときは、土地を原状に回復し、又は原状に回復しないことによつて生ずる損失を補償して、これを返還しなければならない。
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第百三条(危険負担)、第百四条(担保物権と補償金等 又は替地)、第百六条第一項、第三項 及び第四項(買受権)並びに第百七条(買受権の消滅)の規定は、この章の規定による使用 又は収用に係る土地に準用する。
この場合において、
同法第百六条第一項中
「第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示の日から二十年以内」とあるのは
「収用の時期から十五年以内」と、
「事業の認定の告示の日から十年」とあるのは
「収用の時期から五年」と、
「権利取得裁決において定められた権利取得の時期」とあるのは
「収用の時期」と、
「事業の認定の告示の日から二十年の」とあるのは
「収用の時期から十五年の」と、
「第七十六条第一項」とあるのは
「森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第五十五条第一項後段」と、
同条第三項中
「権利取得裁決において定められた権利取得の時期」とあるのは
「収用の時期」と
読み替えるものとする。
この章の土地の使用 及び収用に関する規定は、水の使用に関する権利の上に使用権を設定する場合に準用する。
森林から水流によつて木材 若しくは竹材を搬出し、又は搬出する設備をする者は、その搬出 又は搬出設備のため水流における他人の工作物を使用し、移動し、改造し、又は除却することが必要且つ適当であつて他の方法をもつて代えることが著しく困難であるときは、その工作物の所在地を管轄する都道府県知事の認可を受けて、その工作物の所有者(所有者以外に権原に基きその工作物を使用する者があるときは、その者 及び所有者)に対し、その工作物の使用、移動、改造 又は除却に関する協議を求めることができる。
この場合には、土地の使用 及び収用に関するこの章の規定を準用する。
森林から水流によつて木材 又は竹材を搬出する者は、水流に木材 又は竹材を流すため必要があるときは、沿岸の土地に立ち入ることができる。
この場合には、これによつて生じた損失を補償しなければならない。