株式会社民間資金等活用事業推進機構は、国 及び地方公共団体の厳しい財政状況を踏まえつつ、我が国経済の成長の促進に寄与する観点から、公共施設等の整備等における民間の資金、経営能力 及び技術的能力の活用が一層重要となっていることに鑑み、特定選定事業(選定事業であって、利用料金を徴収する公共施設等の整備等を行い、利用料金を自らの収入として収受するものをいう。以下同じ。)又は特定選定事業を支援する事業(以下「特定選定事業等」と総称する。)を実施する者に対し、金融機関が行う金融 及び民間の投資を補完するための資金の供給を行うことにより、特定選定事業に係る資金を調達することができる資本市場の整備を促進するとともに、特定選定事業等の実施に必要な知識 及び情報の提供 その他特定選定事業等の普及に資する支援を行い、もって我が国において特定事業を推進することを目的とする株式会社とする。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律
第五章 株式会社民間資金等活用事業推進機構による特定選定事業等の支援等
第一節 総則
株式会社民間資金等活用事業推進機構(以下「機構」という。)は、一を限り、設立されるものとする。
政府は、常時、機構が発行している株式(株主総会において決議することができる事項の全部について議決権を行使することができないものと定められた種類の株式を除く。以下この条において同じ。)の総数の二分の一以上に当たる数の株式を保有していなければならない。
機構は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第百九十九条第一項に規定する募集株式(第九十三条第一号において「募集株式」という。)、同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)若しくは同法第六百七十六条に規定する募集社債(以下「募集社債」という。)を引き受ける者の募集をし、株式交換 若しくは株式交付に際して株式、社債 若しくは新株予約権を発行し、又は資金を借り入れようとするときは、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
機構は、新株予約権の行使により株式を発行したときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。
政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に出資することができる。
機構は、その商号中に株式会社民間資金等活用事業推進機構という文字を用いなければならない。
機構でない者は、その名称中に民間資金等活用事業推進機構という文字を用いてはならない。
第二節 設立
機構の定款には、会社法第二十七条各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。
機構の設立に際して発行する株式(以下「設立時発行株式」という。)の数(機構を種類株式発行会社として設立しようとする場合にあっては、その種類 及び種類ごとの数)
設立時発行株式の払込金額(設立時発行株式一株と引換えに払い込む金銭 又は給付する金銭以外の財産の額をいう。)
政府が割当てを受ける設立時発行株式の数(機構を種類株式発行会社として設立しようとする場合にあっては、その種類 及び種類ごとの数)
会社法第百七条第一項第一号に掲げる事項
取締役会 及び監査役を置く旨
第五十二条第一項各号に掲げる業務の完了により解散する旨
監査等委員会 又は会社法第二条第十二号に規定する指名委員会等を置く旨
会社法第百三十九条第一項ただし書に規定する別段の定め
機構の発起人は、定款を作成し、かつ、発起人が割当てを受ける設立時発行株式を引き受けた後、速やかに、定款 及び事業計画書を内閣総理大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
内閣総理大臣は、前条の規定による認可の申請があった場合においては、その申請が次に掲げる基準に適合するかどうかを審査しなければならない。
設立の手続 及び定款の内容が法令の規定に適合するものであること。
定款に虚偽の記載 若しくは記録 又は虚偽の署名 若しくは記名押印(会社法第二十六条第二項の規定による署名 又は記名押印に代わる措置を含む。)がないこと。
内閣総理大臣は、前項の規定により審査した結果、その申請が同項各号に掲げる基準に適合していると認めるときは、設立の認可をしなければならない。
会社法第三十八条第一項に規定する設立時取締役 及び同条第二項第二号に規定する設立時監査役の選任 及び解任は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
会社法第三十条第二項、第三十四条第一項、第五十九条第一項第一号 及び第九百六十三条第一項の規定の適用については、
同法第三十条第二項中
「前項の公証人の認証を受けた定款は、株式会社の成立前」とあるのは
「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成十一年法律第百十七号。以下「民間資金法」という。)第三十九条第二項の認可の後株式会社民間資金等活用事業推進機構の成立前は、定款」と、
同法第三十四条第一項中
「設立時発行株式の引受け」とあるのは
「民間資金法第三十九条第二項の認可の」と、
同号中
「定款の認証の年月日 及びその認証をした公証人の氏名」とあるのは
「民間資金法第三十九条第二項の認可の年月日」と、
同法第九百六十三条第一項中
「第三十四条第一項」とあるのは
「第三十四条第一項(民間資金法第四十一条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と
する。
会社法第三十条第一項 及び第三十三条の規定は、機構の設立については、適用しない。
第三節 管理
⤏ 第一款 取締役等
機構の取締役 及び監査役の選任 及び解任の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
機構の取締役、会計参与、監査役 若しくは職員 又はこれらの職にあった者は、その職務上知ることができた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
⤏ 第二款 民間資金等活用事業支援委員会
機構に、民間資金等活用事業支援委員会(以下「支援委員会」という。)を置く。
支援委員会は、次に掲げる決定を行う。
第五十四条第一項の規定による特定選定事業等支援の対象となる事業者 及び当該特定選定事業等支援の内容の決定
第五十六条第一項の株式等 又は債権の譲渡 その他の処分の決定
前二号に掲げるもののほか、会社法第三百六十二条第四項第一号 及び第二号に掲げる事項のうち取締役会の決議により委任を受けた事項の決定
支援委員会は、前項第一号 及び第二号に掲げる事項の決定について、取締役会から委任を受けたものとみなす。
支援委員会は、取締役である委員三人以上七人以内で組織する。
委員の中には、代表取締役 及び社外取締役が、それぞれ一人以上含まれなければならない。
委員は、取締役会の決議により定める。
委員の選定 及び解職の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
委員は、それぞれ独立してその職務を執行する。
委員長は、支援委員会の会務を総理する。
支援委員会は、あらかじめ、委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長の職務を代理する者を定めておかなければならない。
支援委員会は、委員長(委員長に事故があるときは、前条第八項に規定する委員長の職務を代理する者。以下この条において同じ。)が招集する。
支援委員会は、委員長が出席し、かつ、現に在任する委員の総数の三分の二以上の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
支援委員会の議事は、出席した委員の過半数をもって決する。可否同数のときは、委員長が決する。
前項の規定による決議について特別の利害関係を有する委員は、議決に加わることができない。
前項の規定により議決に加わることができない委員の数は、第二項に規定する現に在任する委員の数に算入しない。
監査役は、支援委員会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
支援委員会の委員であって支援委員会によって選定された者は、第三項の規定による決議後、遅滞なく、当該決議の内容を取締役会に報告しなければならない。
支援委員会の議事については、内閣府令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した委員 及び監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
前項の議事録が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。次条第二項第二号において同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、内閣府令で定める署名 又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
前各項 及び次条に定めるもののほか、議事の手続 その他支援委員会の運営に関し必要な事項は、支援委員会が定める。
機構は、支援委員会の日から十年間、前条第八項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧 又は謄写の請求
前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧 又は謄写の請求
債権者は、委員の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
会社法第八百六十八条第一項、第八百六十九条、第八百七十条第二項(第一号に係る部分に限る。)、第八百七十条の二、第八百七十一条本文、第八百七十二条(第五号に係る部分に限る。)、第八百七十二条の二、第八百七十三条本文、第八百七十五条 及び第八百七十六条の規定は、第二項 及び第三項の許可について準用する。
取締役は、第一項の議事録について第二項各号に掲げる請求をすることができる。
機構は、委員を選定したときは、二週間以内に、その本店の所在地において、委員の氏名を登記しなければならない。委員の氏名に変更を生じたときも、同様とする。
前項の規定による委員の選定の登記の申請書には、委員の選定 及びその選定された委員が就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
委員の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。
機構は、委員に選定された取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨を登記しなければならない。
⤏ 第三款 定款の変更
機構の定款の変更の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
第四節 業務
⤏ 第一款 業務の範囲
機構は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
対象事業者(第五十四条第一項の規定により支援の対象となった事業者(民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約によって成立する組合、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約によって成立する匿名組合、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第二条第二項に規定する投資事業有限責任組合 若しくは有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第二条に規定する有限責任事業組合 又は外国の法令に基づいて設立された団体であってこれらの組合に類似するものを含む。次条第一項 及び第五十四条第一項において同じ。)をいう。以下同じ。)に対する出資
対象事業者に対する基金(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第百三十一条に規定する基金をいう。)の拠出
対象事業者に対する資金の貸付け
対象事業者が発行する有価証券(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項に規定する有価証券 及び同条第二項の規定により有価証券とみなされるものをいう。第八号において同じ。)の取得
対象事業者に対する金銭債権 及び対象事業者が保有する金銭債権の取得
特定選定事業に係る実施方針を定め、若しくは定めようとする公共施設等の管理者等 又は特定選定事業等を実施し、若しくは実施しようとする民間事業者に対する専門家の派遣
特定選定事業に係る実施方針を定め、若しくは定めようとする公共施設等の管理者等 又は特定選定事業等を実施し、若しくは実施しようとする民間事業者に対する助言
保有する株式、新株予約権、持分 又は有価証券(第五十六条において「株式等」という。)の譲渡 その他の処分
債権の管理 及び譲渡 その他の処分
前各号に掲げる業務に関連して必要な交渉 及び調査
前各号に掲げる業務に附帯する業務
前各号に掲げるもののほか、機構の目的を達成するために必要な業務
機構は、前項第十三号に掲げる業務を営もうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
⤏ 第二款 支援基準
内閣総理大臣は、機構が特定選定事業等の支援(前条第一項第一号から第五号までに掲げる業務によりされるものに限る。以下「特定選定事業等支援」という。)の対象となる事業者 及び当該特定選定事業等支援の内容を決定するに当たって従うべき基準(以下この条 及び次条第一項において「支援基準」という。)を定めるものとする。
内閣総理大臣は、前項の規定により支援基準を定めようとするときは、あらかじめ、特定選定事業等支援の対象となる特定選定事業等に係る公共施設等を所管する大臣の意見を聴かなければならない。
内閣総理大臣は、第一項の規定により支援基準を定めたときは、これを公表するものとする。
⤏ 第三款 業務の実施
機構は、特定選定事業等支援を行おうとするときは、支援基準に従って、その対象となる事業者 及び当該特定選定事業等支援の内容を決定しなければならない。
機構は、特定選定事業等支援をするかどうかを決定しようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣にその旨を通知し、相当の期間を定めて、意見を述べる機会を与えなければならない。
内閣総理大臣は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、その内容を当該特定選定事業等支援の対象となる特定選定事業等に係る公共施設等を所管する大臣に通知するものとする。
前項の規定による通知を受けた大臣は、当該特定選定事業等の収益性 その他の当該公共施設等の運営の見込みを考慮して必要があると認めるときは、第二項の期間内に、機構に対して意見を述べることができる。
機構は、次に掲げる場合には、速やかに、前条第一項の規定による決定(次項において「支援決定」という。)を撤回しなければならない。
対象事業者が特定選定事業等を実施しないとき。
対象事業者が破産手続開始の決定、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定、特別清算開始の命令 又は外国倒産処理手続の承認の決定を受けたとき。
機構は、前項の規定により支援決定を撤回したときは、直ちに、対象事業者に対し、その旨を通知しなければならない。
機構は、その保有する対象事業者に係る株式等 又は債権の譲渡 その他の処分の決定を行おうとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣にその旨を通知し、相当の期間を定めて、意見を述べる機会を与えなければならない。
機構は、特定選定事業の実施状況、特定選定事業に係る資金の調達状況 その他の特定選定事業を取り巻く状況を考慮しつつ、令和十五年三月三十一日までに、保有する全ての株式等 及び債権の譲渡 その他の処分を行うよう努めなければならない。
第五節 情報の提供等
機構は、特定選定事業の円滑な実施が促進されるよう、内閣総理大臣に対し、特定選定事業の推進に資する情報の提供を行うものとする。
内閣総理大臣 及び特定選定事業等支援の対象となる特定選定事業等に係る公共施設等を所管する大臣は、前項の規定により提供された情報も踏まえつつ、機構の行う事業の円滑な実施が促進され、特定選定事業が推進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。
第六節 財務及び会計
機構は、毎事業年度の開始前に、当該事業年度の予算を内閣総理大臣に提出して、その認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
前項の予算には、当該事業年度の事業計画 及び資金計画に関する書類を添付しなければならない。
機構の剰余金の配当 その他の剰余金の処分の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
機構は、毎事業年度終了後三月以内に、当該事業年度の貸借対照表、損益計算書 及び事業報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、機構の第三十四条第一項の社債 又は借入れに係る債務について、保証契約をすることができる。
第七節 監督
機構は、内閣総理大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
内閣総理大臣は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、機構に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
内閣総理大臣は、第三十四条第一項(募集社債を引き受ける者の募集をし、株式交換 若しくは株式交付に際して社債を発行し、又は資金を借り入れようとするときに限る。)、第三十九条第二項、第五十一条、第五十二条第二項、第五十八条第一項、第五十九条 又は第六十七条の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
内閣総理大臣は、機構の事業年度ごとの業務の実績について、評価を行わなければならない。
内閣総理大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、機構に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。
第八節 解散等
機構は、第五十二条第一項各号に掲げる業務の完了により解散する。
機構の合併、分割、事業の譲渡 又は譲受け 及び解散の決議は、内閣総理大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。