滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律

# 昭和三十二年法律第九十四号 #
略称 : 滞調法 

第三章 強制執行等がされている財産に対する滞納処分

分類 法律
カテゴリ   国税
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月29日 13時40分


第一節 動産に対する滞納処分

1項
滞納処分による差押えは、強制執行による差押えがされている動産に対してもすることができる。
2項
強制執行による差押えがされている動産に対する滞納処分による差押えは、徴収職員等がその物を差し押さえる旨の書面を執行官に交付することによつてする。
3項

徴収職員等は、前項の規定による差押をしたときは、その旨を滞納者に通知しなければならない。

1項

強制執行による差押え後に滞納処分による差押えをした動産については、公売 その他滞納処分による売却のための手続は、強制執行による差押えが取り消された後でなければ、することができない。


ただし、滞納処分続行承認の決定があつたときは、この限りでない。

1項

前条の動産について強制執行による差押えを取り消すべきときは、執行官は、その動産を徴収職員等に引き渡さなければならない。

1項

第二十二条の動産に対する滞納処分による差押えの解除は、徴収職員等が差押えを解除する旨の書面を執行官に交付することによつてする。

1項

第二十二条の動産について強制執行が中止 又は停止されたときは、徴収職員等は、執行裁判所に滞納処分続行承認の決定を請求することができる。

1項

裁判所は、前条の請求があつた場合において、相当と認めるときは、滞納処分の続行を承認する旨の決定をしなければならない。

2項
滞納処分続行承認の決定は、執行官に告知することによつてその効力を生ずる。
3項

滞納処分続行承認の決定に対しては、不服を申し立てることができない。

1項
滞納処分続行承認の決定があつたときは、この法律の適用については、強制執行による差押は、滞納処分による差押後にされたものとみなす。
2項

第二十三条の規定は、滞納処分続行承認の決定があつた場合に準用する。

1項

第五条第一項本文、第六条第一項 及び第三項第七条 並びに第十一条第三項の規定は、仮差押えの執行後に滞納処分による差押えをした動産に関して準用する。

1項

第二十一条から第二十七条までの規定は、競売による差押えがされている動産に対する滞納処分について準用する。

第二節 不動産又は船舶等に対する滞納処分

1項
滞納処分による差押えは、強制競売の開始決定があつた不動産に対してもすることができる。
2項

徴収職員等は、強制競売の開始決定があつた不動産に対し滞納処分による差押えをしたときは、その旨を執行裁判所に通知しなければならない。

1項

強制競売の開始決定後に滞納処分による差押えをした不動産については、公売 その他滞納処分による売却のための手続は、強制競売の申立てが取り下げられた後 又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じた後でなければ、することができない。


ただし、滞納処分続行承認の決定があつたときは、この限りでない。

1項

前条の不動産について、強制競売の申立てが取り下げられたとき、又は強制競売の手続を取り消す決定が効力を生じたときは、裁判所書記官は、その旨を徴収職員等に通知しなければならない。

1項

登記官は、第三十条の不動産について強制競売による権利移転の登記をしたときは、滞納処分に関する差押 及び参加差押の登記をまつ消しなければならない。

1項

第二十五条第二十六条第一項 及び第三項 並びに第二十七条第一項の規定は、第三十条の不動産に関して準用する。

2項

民事執行法第八十七条第三項第九十一条第一項第六号 及び第九十二条の規定は、強制執行による差押えの登記後滞納処分による差押えの登記前に登記された同法第八十七条第一項第四号に規定する権利の存する不動産について前項において準用する第二十六条第一項の規定による滞納処分続行承認の決定があつた場合の滞納処分に関して準用する。


この場合において、

同法第九十一条第一項
裁判所書記官」とあり、
及び同法第九十二条
執行裁判所」とあるのは、
「徴収職員等」と

読み替えるものとする。

1項

第十八条第二項 及び第三項 並びに第三十一条の規定は、仮差押えの執行後に滞納処分による差押えをした不動産に関して準用する。

2項

民事執行法第八十七条第二項第九十一条第一項第六号 及び第九十二条の規定は、仮差押えの登記後滞納処分による差押えの登記前に登記された同法第八十七条第一項第四号に規定する権利の存する不動産に対する滞納処分に関して準用する。


この場合において、

同法第九十一条第一項
裁判所書記官」とあり、
及び同法第九十二条
執行裁判所」とあるのは、
「徴収職員等」と

読み替えるものとする。

1項

第二十九条から前条までの規定は、強制執行 又は仮差押の執行がされている船舶で登記されるものに対する滞納処分に関して準用する。

1項

第二十九条から第三十三条までの規定は、競売の開始決定があつた不動産 又は船舶に対する滞納処分に関して準用する。

1項
滞納処分による差押えは、強制執行 又は競売が開始されている航空機、自動車、建設機械 又は小型船舶に対してもすることができる。
2項

第二十条の二第二項の規定は、前項の場合 及び仮差押えの執行がされている航空機、自動車、建設機械 又は小型船舶に対して滞納処分による差押えがされた場合における滞納処分と強制執行、仮差押えの執行 又は競売との手続の調整について準用する。

第三節 債権又はその他の財産権に対する滞納処分

1項
滞納処分による差押えは、強制執行による差押えがされている債権に対してもすることができる。
2項

徴収職員等は、強制執行による差押えがされている債権に対して滞納処分による差押えをした場合において、その強制執行を知つたときは、滞納処分による差押えをした旨を執行裁判所(差押処分がされている場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)に通知しなければならない。


ただし第三十六条の六第三項の規定による通知があつたときは、この限りでない。

1項
債権の一部について強制執行による差押えがされている場合において、その残余の部分を超えて滞納処分による差押えがされたときは、強制執行による差押えの効力は、その債権の全部に及ぶ。
1項

強制執行による転付命令 又は譲渡命令(以下「転付命令等」という。)が第三債務者に送達される時までに転付命令等に係る債権について滞納処分による差押えがされたときは、転付命令等は、その効力を生じない。

1項

第三債務者は、強制執行による差押えをした債権者が提起した次条に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、その差押えがされている金銭債権について滞納処分による差押えがされたときは、その債権の全額(強制執行による差押えの前に他の滞納処分による差押えがされているときは、その滞納処分による差押えがされた部分を差し引いた残額)に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。

2項

第三債務者は、前項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所(差押処分がされている場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)に届け出なければならない。

3項

前項の規定による事情の届出があつたときは、執行裁判所の裁判所書記官 又は差押処分をした裁判所書記官は、その旨を徴収職員等に通知しなければならない。

4項

第一項の規定により供託された金銭については、徴収職員等は、強制執行による差押命令 若しくは差押処分の申立てが取り下げられた後 又は差押命令 若しくは差押処分を取り消す決定 若しくは差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分が効力を生じた後でなければ、払渡しを受けることができない。

1項

民事執行法第百五十七条同法第百六十七条の十四第一項において準用する場合を含む。以下 この条第三十六条の九 及び第三十六条の十第一項において同じ。)の規定は、強制執行による差押えがされている金銭債権について滞納処分による差押えがされた場合において、強制執行 又は滞納処分による差押えをした債権者が差押えをした債権に係る給付を求める訴えを提起したときについて準用する。


この場合において、

同法第百五十七条第一項
訴状」とあるのは
「強制執行による差押えをした債権者の訴状 又はその者の共同訴訟人としての参加の申出の書面」と、

同条第四項
前条第二項 又は第三項」とあるのは
滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律第三十六条の六第一項」と

読み替えるものとする。

1項

強制執行による差押えがされている動産の引渡しを目的とする債権に対し滞納処分による差押えがされたときは、徴収職員等は、強制執行による差押命令の申立てが取り下げられた後 又は差押命令を取り消す決定が効力を生じた後でなければ、その債権の取立てをすることができない

1項

第三十六条の六第一項の規定 又は第三十六条の七において準用する民事執行法第百五十七条第五項の規定による供託 及び滞納処分による差押えをした債権者が提起した第三十六条の七に規定する訴えにおいて強制執行による差押えをした債権者が提出した共同訴訟人としての参加の申出の書面は、配当等に関しては、それぞれ同法第百五十六条第二項同法第百六十七条の十四第一項において準用する場合を含む。)の規定による供託 及び同法第百五十七条第一項に規定する訴えの訴状とみなす。

1項

第三十六条の六第一項の規定 又は第三十六条の七において準用する民事執行法第百五十七条第五項の規定により供託された金銭について執行裁判所が配当等を実施し、又は裁判所書記官が弁済金の交付を実施する場合においては、配当期日 若しくは弁済金の交付の日までにされた第三十六条の三第二項本文の規定による通知 又は第三十六条の六第二項の規定による事情の届出に係る差押え国税等については、滞納処分による差押えの時に交付要求があつたものとみなす。

2項

徴収職員等は、前項の差押え国税等について滞納処分による差押えを解除したときは、その旨を執行裁判所(差押処分がされている場合にあつては、当該差押処分をした裁判所書記官)に通知しなければならない。

1項

第二十五条第二十六条第一項 及び第三項第二十七条第一項 並びに第三十一条の規定は強制執行による差押えの後に滞納処分による差押えがされた債権(以下この条において「差押え競合債権」という。)について、第二十三条第二十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定は差押え競合債権で動産の引渡しを目的とするものについて、第三十条の規定は差押え競合債権で条件付 若しくは期限付であるもの又は反対給付に係ること その他の事由によりその取立てが困難であるものについて、第三十二条の規定は差押え競合債権で民事執行法第百五十条に規定するものについて準用する。


この場合において、

第三十一条
強制競売の申立てが」とあるのは
第三十六条の三第二項本文の規定による通知 又は第三十六条の六第二項の規定による事情の届出があつた場合において、強制執行による差押命令 若しくは差押処分の申立てが」と、

強制競売の手続を取り消す決定」とあるのは
「差押命令 若しくは差押処分を取り消す決定 若しくは差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分」と、

裁判所書記官」とあるのは
「差押命令を発した執行裁判所の裁判所書記官 又は差押処分をした裁判所書記官」と、

第三十条
強制競売の申立てが」とあるのは
「強制執行による差押命令 若しくは差押処分の申立てが」と、

強制競売の手続を取り消す決定」とあるのは
「差押命令 若しくは差押処分を取り消す決定 若しくは差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分」と

読み替えるものとする。

2項

前項において準用する第二十六条第一項の規定による滞納処分続行承認の決定があつたときは、強制執行による差押命令 又は差押処分については、第二十条の三第二項本文の規定による通知があつたものとみなす。

1項

第十八条第二項第二十条の六第三十一条 及び第三十六条の四の規定は、仮差押えの執行後に滞納処分による差押えをした債権について準用する。


この場合において、

第十八条第二項
売却代金」とあるのは
「第三債務者からの取立金 若しくは第三十六条の十二第一項において準用する第二十条の六第一項の規定により供託された金銭の払渡金 又は売却代金」と、

第三十一条
強制競売の申立てが」とあるのは
「滞納処分による差押えの通知があつた場合において、仮差押えの執行の申立てが」と、

強制競売の手続」とあるのは
「仮差押えの執行」と

読み替えるものとする。

2項

第二十条の七第三項の規定は、前項において準用する第十八条第二項の規定により取立金 若しくは払渡金 又は売却代金の残余が交付された場合について準用する。

1項

第三十六条の三から第三十六条の十一までの規定は、担保権の実行 又は行使による差押えがされている債権に対する滞納処分について準用する。

1項

強制執行 若しくは担保権の実行による差押え 又は仮差押えの執行がされているその他の財産権に対する滞納処分については、特別の定めがあるもののほか、強制執行 若しくは担保権の実行による差押え 又は仮差押えの執行がされている債権に対する滞納処分の例による。

2項

第三十二条第三十六条において準用する場合を含む。)の規定は、その他の財産権で権利の移転について登記 又は登録を要するものについて準用する。