本令ハ終戦後ノ事態ニ対処シ物価ノ安定ヲ確保シ以テ社会経済秩序ヲ維持シ国民生活ノ安定ヲ図ルヲ目的トス
物価統制令
制定に関する表明
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く経済安定本部関係諸命令の措置に関する法律(昭和二十七年法律第八十八号)第四条の規定により 法律としての効力を有するとされる。
本令ニ於テ価格等トハ価格、運送賃、保管料、保険料、賃貸料、加工賃、修繕料 其ノ他給付ノ対価タル財産的給付ヲ謂フ
価格等ニ付第四条及第七条ニ規定スル統制額アルトキハ価格等ハ其ノ統制額ヲ超エテ之ヲ契約シ、支払ヒ又ハ受領スルコトヲ得ズ
但シ第七条第一項ニ規定スル統制額ニ係ル場合ヲ除クノ外 政令ノ定ムル所ニ依リ価格等ノ支払者 又ハ受領者ニ於テ主務大臣ノ許可ヲ受ケタル場合ニ於テハ此ノ限ニ在ラズ
価格等ニ対スル給付ノ為サルル地区ニ於ケル統制額ト他ノ地区ニ於ケル当該価格等ノ統制額トガ異ル場合ニ於テハ当該給付ニ付テハ主務大臣別段ノ定ヲ為シタル場合ヲ除クノ外当該給付ノ為サルル地区ニ於ケル統制額ヲ以テ前項ノ場合ニ於ケル統制額トス
主務大臣物価ガ著シク昂騰シ 又ハ昂騰スル虞アル場合ニ於テ他ノ措置ニ依リテハ価格等ノ安定ヲ確保スルコト困難ト認ムルトキハ第七条ニ規定スル場合ヲ除クノ外政令ノ定ムル所ニ依リ当該価格等ニ付其ノ統制額ヲ指定スルコトヲ得
価格等ニ付他ノ法令ニ定ムル額 又ハ他ノ法令ニ基ク行政機関及都道府県知事ノ決定、命令、許可、認可其ノ他ノ処分アリタル額アルトキハ之ヲ当該価格等ノ統制額トス
前項ニ規定スル額ガ特定ノ者ノ為ス給付ニ対スル価格等ニ限リ適用アルモノナル場合ニ於テハ同項ニ規定スル額ハ主務大臣ニ於テ別段ノ定ヲ為ス場合ヲ除クノ外当 該特定ノ者以外ノ者ノ為ス同種ノ給付ニ対スル価格等ニ付テモ亦其ノ統制額トス
第一項ノ他ノ法令ハ政令ヲ以テ之ヲ定ム
第四条ノ指定及前条第一項ノ処分ハ此等処分実施ノ際現ニ存スル契約ニシテ其ノ際左ノ各号ノ一ニ該当スルモノニ対シテハ影響ヲ及ボスコトナシ
其ノ他ノ価格ニ付買主 其ノ他ノ支払者ガ目的物ノ引渡ヲ受ケタルモノ
運送賃、加工賃、修繕料 其ノ他ノ財産的給付(価格、保管料、保険料及賃貸料ヲ除ク以下同ジ)ニ対スル給付ヲ為ス者ガ目的物ノ引渡ヲ受ケタルモノ
運送賃、加工賃、修繕料其ノ他ノ財産的給付ニ対スル給付ヲ為ス者ガ当該財産的給付ニ対スル給付ニ著手シタルモノ
保管料、保険料 又ハ賃貸料ニ付支払者ガ履行遅滞ニ在ルモノ
第三条第一項但書ノ許可、第四条ノ指定 又ハ第七条第一項ノ処分実施ノ際現ニ存スル契約ニシテ前条各号ノ一ニ該当スルモノ(以下履行中ノ契約ト称ス)ニ付テハ履行中ノ契約締結当時第三条第一項但書ノ許可ニ伴ヒ主務大臣ノ定メタル額 又ハ第四条 若ハ第七条ニ規定スル統制額アリタルトキハ此等ノ額ヲ超ユル価格等ヲ支払ヒ 又ハ受領スルコトヲ目的トシテ履行中ノ契約ヲ変更 若ハ消滅セシメル契約ヲ為シ 又ハ此等ノ額ヲ超ユル価格等ヲ支払ヒ 若ハ受領スルコトヲ得ズ
但シ主務大臣ニ於テ別段ノ定ヲ為シタルトキ 又ハ其ノ許可ヲ受ケタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
何等ノ名義ヲ以テスルヲ問ハズ第三条ノ規定ニ依ル禁止ヲ免ルル行為ヲ為スコトヲ得ズ
価格等ハ不当ニ高価ナル額ヲ以テ之ヲ契約シ、 支払ヒ 又ハ受領スルコトヲ得ズ
何人ト雖モ暴利ト為ルベキ価格等ヲ得ベキ契約ヲ為シ 又ハ暴利ト為ルベキ価格等ヲ受領スルコトヲ得ズ
第三条 及前二条ノ規定ハ契約ノ当事者ニシテ営利ヲ目的トシテ当該契約ヲ為スニ非ザルモノニハ之ヲ適用セズ
但シ当該契約ヲ為スコトガ自己ノ業務ニ属スル者ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
何人ト雖モ正当ノ事由アル場合ヲ除クノ外業務上価格等ヲ得ベキ契約ヲ為スニ当リ他ノ物ヲ併セ買受クベキ旨 又ハ対価ノ外金銭以外ノ物ヲ提供スベキ旨ノ負担其ノ他ノ負担ヲ附スルコトヲ得ズ
何人ト雖モ正当ノ事由アル場合ヲ除クノ外業務上価格等ニ対スル給付ニ関シ対価トシテ金銭以外ノモノヲ受クルノ契約ヲ為シ 又ハ之ヲ受領スルコトヲ得ズ
物品ハ第三条、第九条ノ二、第十条、第十二条又ハ前条ニ違反シテ之ヲ取引スル目的ヲ以テ所持スルコトヲ得ズ
第十一条ノ規定ハ前項ノ場合ニ之ヲ準用ス
何人ト雖モ業務上不当ノ利益ヲ得ルノ目的ヲ以テ 物ノ買占又ハ売惜ヲ為スコトヲ得ズ
主務大臣ハ価格等ニ対スル給付ヲ為スヲ業トスル者ニ対シ価格等ノ額ノ表示ニ関シ必要ナル事項ヲ命ズルコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ価格等ニ対スル給付ヲ為スヲ業トスル者ニ対シ価格等ノ額ヲ届出ヅベキコトヲ命ズルコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ物品ノ規格、品質、販売方法、販売場所等ニ関シ制限 又ハ禁止ヲ為スコトヲ得
主務大臣必要アリト認ムルトキハ政令ノ定ムル所ニ依リ価格等ノ原価ニ関シ 計算ヲ為サシムルコトヲ得
主務大臣ハ価格等ニ対スル給付ヲ為スヲ業トスル者ニ対シ政令ノ定ムル所ニ依リ其ノ者ノ為ス給付ニ対スル価格等ニ付特別ノ割増額ヲ附スベキコトヲ命ズルコトヲ得
財務大臣ハ前項ノ者ヨリ其ノ割増額ニ相当スル金額ノ全部 又ハ一部ヲ政令ノ定ムル所ニ依リ国庫ニ納付セシムルコトヲ得
財務大臣ハ前条ニ規定スル者ニ対シ同条ノ割増額ニ相当スル収入ノ経理ニ関シ必要ナル命令ヲ為スコトヲ得
第二十条ノ規定ニ依リ納付スル金額ハ所得税法ニ依ル所得、法人税法ニ依ル所得、特別法人税法ニ依ル剰余金、臨時利得税法ニ依ル利益 及地方税法(昭和二十三年法律第百十号)ニ依リ事業税ヲ課スル場合ニ於ケル所得ノ計算ニ付之ヲ当該割増額ニ相当スル収入ノ生ジタル年 又ハ事業年度ノ必要経費 又ハ損金ニ算入ス
第二十条ノ規定ニ依ル納付金ニ付テハ国税徴収ノ例ニ依リ徴収ス
但シ先取特権ノ順位ハ国税 及地方税ニ次グモノトス
物価秩序ノ保持ニ当ル者ニシテ 政令ヲ以テ定ムルモノハ其ノ職務執行上必要ナル事項ニ関シ 質問ヲ為シ又ハ報告ヲ徴スルコトヲ得
第二十六条ニ掲グル者ハ之ヲ法令ニ依リ 公務ニ従事スル職員ト看做ス
主務大臣 若ハ地方行政機関ノ長 又ハ都道府県知事必要アリト認ムルトキハ物価ニ関シ報告ヲ徴シ、帳簿ノ作成ヲ命ジ 又ハ政令ノ定ムル所ニ依リ当該職員ヲシテ必要ナル場所ニ臨検シ業務ノ状況 若ハ帳簿書類 其ノ他ノ物件ヲ検査セシムルコトヲ得
前項ノ規定ニ依リ都道府県ガ処理スルコトトサレテイル事務ハ地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号ニ規定スル第一号法定受託事務トス
本令ニ規定スル 主務大臣ノ職権ニ属スル事務ノ一部ハ政令ノ定ムル所ニ依リ都道府県知事之ヲ行フコトトスルコトヲ得
主務大臣ハ政令ノ定ムル所ニ依リ 本令ニ規定スル主務大臣ノ職権ノ一部ヲ地方行政機関ノ長ヲシテ行ハシムルコトヲ得
本令ノ施行ニ関スル主務大臣ハ価格等ニ対スル給付ニ関スル行政ノ所管大臣トス
左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ十年以下ノ懲役 又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
但シ第一号 又ハ第三号ニ該当スル者ニ付テハ違反ニ係ル価格等ノ金額ト統制額ニ依ル価格等ノ金額トノ差額 又ハ之ニ相当スル金額ノ三倍ガ五百万円ヲ超ユルトキ、第二号ニ該当スル者ニ付テハ違反ニ係ル価格等ノ金額ト履行中ノ契約締結当時ノ第三条第一項但書ノ許可ニ伴ヒ主務大臣ノ定メタル額 若ハ第四条 若ハ第七条ニ規定スル統制額トノ差額 又ハ之ニ相当スル金額ノ三倍ガ五百万円ヲ超ユルトキハ罰金ハ当該差額 又ハ金額ノ三倍以下トス
第三条ノ規定ニ違反シタル者
第八条ノ二ノ規定ニ違反シタル者
第九条ノ規定ニ違反シタル者
第九条ノ二 又ハ第十条ノ規定ニ違反シタル者ハ十年以下ノ懲役 又ハ五百万円以下ノ罰金ニ処ス
第十二条、第十三条、第十三条ノ二第一項又ハ第十四条ノ規定ニ違反シタル者ハ五年以下ノ懲役 又ハ三百万円以下ノ罰金ニ処ス
前三条ノ罪ヲ犯シタル者ニハ 情状ニ因リ懲役 及 罰金ヲ併科スルコトヲ得
左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ一年以下ノ懲役 又ハ二十万円以下ノ罰金ニ処ス
第十五条 又ハ第十六条ノ規定ニ依ル 命令ニ違反シタル者
第十七条ノ規定ニ依ル制限 又ハ禁止ニ違反シタル者
第三十条ノ規定ニ違反シ報告ヲ為サズ若ハ虚偽ノ報告ヲ為シ 又ハ帳簿ノ作成ヲ為サズ 若ハ帳簿ニ虚偽ノ記載ヲ為シタル者
第三十条ノ規定ニ依ル検査ヲ拒ミ、 妨ゲ 又ハ忌避シタル者
第二十一条ノ規定ニ依ル命令ニ違反シテ割増額ノ全部 又ハ一部ノ納付ヲ免レ 又ハ免レントシタル者ハ一年以下ノ懲役 又ハソノ免レ 又ハ免レントシタル割増額ノ三倍以下ニ相当スル罰金ニ処ス
当該職員、第二十六条ニ掲グル者 又ハ此等ノ職ニ在リタル者本令ニ依ル職務執行ニ関シ知得シタル秘密ヲ漏泄シ 又ハ窃用シタルトキハ二年以下ノ懲役 又ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス
第二十六条ノ規定ニ違反シ同条ニ掲グル者ノ質問ニ対シ答弁ヲ為サズ 若ハ虚偽ノ陳述ヲ為シ 又ハ報告ヲ為サズ 若ハ虚偽ノ報告ヲ為シタル者ハ十万円以下ノ罰金ニ処ス
法人ノ代表者 又ハ法人 若ハ人ノ代理人、使用人 其ノ他ノ従業者ガ其ノ法人 又ハ人ノ業務ニ関シ第三十三条乃至第三十五条、第三十七条第一号乃至第三号、第三十七条ノ二 又ハ前条ノ違反行為ヲ為シタルトキハ行為者ヲ罰スルノ外其ノ法人 又ハ人ニ対シ各本条ノ罰金刑ヲ科ス