特許法

# 昭和三十四年法律第百二十一号 #

第二節 権利侵害

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2023年 01月09日 10時49分


1項

特許権者 又は専用実施権者は、自己の特許権 又は専用実施権を侵害する者 又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止 又は予防を請求することができる。

2項

特許権者 又は専用実施権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物(物を生産する方法の特許発明にあつては、侵害の行為により生じた物を含む。第百二条第一項において同じ。)の廃棄、 侵害の行為に供した設備の除却 その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。

1項

次に掲げる行為は、当該特許権 又は専用実施権を侵害するものとみなす。

一 号

特許が物の発明についてされている場合において、業として、その物の生産にのみ用いる物の生産、 譲渡等 若しくは輸入 又は譲渡等の申出をする行為

二 号

特許が物の発明についてされている場合において、その物の生産に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること 及び その物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等 若しくは輸入 又は譲渡等の申出をする行為

三 号

特許が物の発明についてされている場合において、その物を業としての譲渡等 又は輸出のために所持する行為

四 号

特許が方法の発明についてされている場合において、業として、その方法の使用にのみ用いる物の生産、譲渡等 若しくは輸入 又は譲渡等の申出をする行為

五 号

特許が方法の発明についてされている場合において、その方法の使用に用いる物(日本国内において広く一般に流通しているものを除く)であつてその発明による課題の解決に不可欠なものにつき、その発明が特許発明であること 及びその物がその発明の実施に用いられることを知りながら、業として、その生産、譲渡等 若しくは輸入 又は譲渡等の申出をする行為

六 号

特許が物を生産する方法の発明についてされている場合において、その方法により生産した物を業としての譲渡等 又は輸出のために所持する行為

1項

特許権者 又は専用実施権者が故意 又は過失により自己の特許権 又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為を組成した物を譲渡したときは、次の各号に掲げる額の合計額を、特許権者 又は専用実施権者が受けた損害の額とすることができる。

一 号

特許権者 又は専用実施権者がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額に、自己の特許権 又は専用実施権を侵害した者が譲渡した物の数量(次号において「譲渡数量」という。)のうち当該特許権者 又は専用実施権者の実施の能力に応じた数量(同号において「実施相応数量」という。)を超えない部分(その全部 又は一部に相当する数量を当該特許権者 又は専用実施権者が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)を乗じて得た額

二 号

譲渡数量のうち実施相応数量を超える数量 又は特定数量がある場合(特許権者 又は専用実施権者が、当該特許権者の特許権についての専用実施権の設定 若しくは通常実施権の許諾 又は当該専用実施権者の専用実施権についての通常実施権の許諾をし得たと認められない場合を除く)におけるこれらの数量に応じた当該特許権 又は専用実施権に係る特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額

2項

特許権者 又は専用実施権者が故意 又は過失により自己の特許権 又は専用実施権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、特許権者 又は専用実施権者が受けた損害の額と推定する。

3項

特許権者 又は専用実施権者は、故意 又は過失により自己の特許権 又は専用実施権を侵害した者に対し、その特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の金銭を、自己が受けた損害の額としてその賠償を請求することができる。

4項

裁判所は、第一項第二号 及び前項に規定する特許発明の実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、特許権者 又は専用実施権者が、自己の特許権 又は専用実施権に係る特許発明の実施の対価について、当該特許権 又は専用実施権の侵害があつたことを前提として当該特許権 又は専用実施権を侵害した者との間で合意をするとしたならば、当該特許権者 又は専用実施権者が得ることとなるその対価を考慮することができる。

5項

第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。


この場合において、特許権 又は専用実施権を侵害した者に故意 又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

1項

他人の特許権 又は専用実施権を侵害した者は、その侵害の行為について過失があつたものと推定する。

1項

物を生産する方法の発明について特許がされている場合において、その物が特許出願前に日本国内において公然知られた物でないときは、その物と同一の物は、その方法により生産したものと推定する。

1項

特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、特許権者 又は専用実施権者が侵害の行為を組成したものとして主張する物 又は方法の具体的態様を否認するときは、相手方は、自己の行為の具体的態様を明らかにしなければならない。


ただし、相手方において明らかにすることができない相当の理由があるときは、この限りでない。

1項

特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により又は当該特許権の存続期間の延長登録が延長登録無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者 又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない

2項

前項の規定による攻撃 又は防御の方法については、これが審理を不当に遅延させることを目的として提出されたものと認められるときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。

3項

第百二十三条第二項の規定は、当該特許に係る発明について特許無効審判を請求することができる者以外の者が第一項の規定による攻撃 又は防御の方法を提出することを妨げない。

1項

特許権 若しくは専用実施権の侵害 又は第六十五条第一項 若しくは第百八十四条の十第一項に規定する補償金の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる決定 又は審決が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え 並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償 及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)において、当該決定 又は審決が確定したことを主張することができない

一 号

当該特許を取り消すべき旨の決定 又は無効にすべき旨の審決

二 号

当該特許権の存続期間の延長登録を無効にすべき旨の審決

三 号

当該特許の願書に添付した明細書、特許請求の範囲 又は図面の訂正をすべき旨の決定 又は審決であつて政令で定めるもの

1項

裁判所は、特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため、又は当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な書類の提出を命ずることができる。


ただし、その書類の所持者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。

2項

裁判所は、前項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか 又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者にその提示をさせることができる。


この場合においては、何人も、その提示された書類の開示を求めることができない

3項

裁判所は、前項の場合において、第一項本文の申立てに係る書類が同項本文の書類に該当するかどうか 又は同項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあつては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人 及び補佐人を除く)、使用人 その他の従業者をいう。以下同じ。)、訴訟代理人 又は補佐人に対し、当該書類を開示することができる。

4項

裁判所は、第二項の場合において、同項後段の書類を開示して専門的な知見に基づく説明を聴くことが必要であると認めるときは、当事者の同意を得て、専門委員(民事訴訟法第一編第五章第二節第一款に規定する専門委員をいう。第百五条の二の六第四項において同じ。)に対し、当該書類を開示することができる。

5項

前各項の規定は、特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。

1項

裁判所は、特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟においては、当事者の申立てにより、立証されるべき事実の有無を判断するため、相手方が所持し、又は管理する書類 又は装置 その他の物(以下「書類等」という。)について、確認、作動、計測、実験 その他の措置をとることによる証拠の収集が必要であると認められる場合において、特許権 又は専用実施権を相手方が侵害したことを疑うに足りる相当な理由があると認められ、かつ、申立人が自ら 又は 他の手段によつては、当該証拠の収集を行うことができないと見込まれるときは、相手方の意見を聴いて、査証人に対し、査証を命ずることができる。


ただし、当該証拠の収集に要すべき時間 又は査証を受けるべき当事者の負担が不相当なものとなること その他の事情により、相当でないと認めるときは、この限りでない。

2項

査証の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。

一 号

特許権 又は専用実施権を相手方が侵害したことを疑うに足りる相当な理由があると認められるべき事由

二 号

査証の対象とすべき書類等を特定するに足りる事項 及び書類等の所在地

三 号

立証されるべき事実 及びこれと査証により得られる証拠との関係

四 号

申立人が自ら 又は 他の手段によつては、前号に規定する証拠の収集を行うことができない理由

五 号

第百五条の二の四第二項の裁判所の許可を受けようとする場合にあつては、当該許可に係る措置 及び その必要性

3項

裁判所は、第一項の規定による命令をした後において、同項ただし書に規定する事情により査証をすることが相当でないと認められるに至つたときは、その命令を取り消すことができる。

4項

査証の命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

査証は、査証人がする。

2項

査証人は、裁判所が指定する。

3項

裁判所は、円滑に査証をするために必要と認められるときは、当事者の申立てにより、執行官に対し、査証人が査証をするに際して必要な援助をすることを命ずることができる。

1項

査証人について誠実に査証をすることを妨げるべき事情があるときは、当事者は、その査証人が査証をする前に、これを忌避することができる。


査証人が査証をした場合であつても、その後に、忌避の原因が生じ、又は当事者がその原因があることを知つたときは、同様とする。

2項

民事訴訟法第二百十四条第二項から 第四項までの規定は、前項の忌避の申立て及びこれに対する決定について準用する。


この場合において、

同条第二項
受訴裁判所、受命裁判官 又は受託裁判官」とあるのは、
「裁判所」と

読み替えるものとする。

1項

査証人は、第百五条の二第一項の規定による命令が発せられたときは、査証をし、その結果についての報告書(以下「査証報告書」という。)を作成し、これを裁判所に提出しなければならない。

2項

査証人は、査証をするに際し、査証の対象とすべき書類等が所在する査証を受ける当事者の工場、事務所 その他の場所(次項 及び次条において「工場等」という。)に立ち入り、又は査証を受ける当事者に対し、質問をし、若しくは書類等の提示を求めることができるほか、装置の作動、計測、実験 その他査証のために必要な措置として裁判所の許可を受けた措置をとることができる。

3項

執行官は、第百五条の二の二第三項の必要な援助をするに際し、査証の対象とすべき書類等が所在する査証を受ける当事者の工場等に立ち入り、又は査証を受ける当事者に対し、査証人を補助するため、質問をし、若しくは書類等の提示を求めることができる。

4項

前二項の場合において、査証を受ける当事者は、査証人 及び執行官に対し、査証に必要な協力をしなければならない。

1項

査証を受ける当事者が前条第二項の規定による査証人の工場等への立入りの要求 若しくは質問 若しくは書類等の提示の要求 又は装置の作動、計測、実験 その他査証のために必要な措置として裁判所の許可を受けた措置の要求に対し、正当な理由なくこれらに応じないときは、裁判所は、立証されるべき事実に関する申立人の主張を真実と認めることができる。

1項

裁判所は、査証報告書が提出されたときは、その写しを、査証を受けた当事者に送達しなければならない。

2項

査証を受けた当事者は、査証報告書の写しの送達を受けた日から二週間以内に、査証報告書の全部 又は一部を申立人に開示しないことを申し立てることができる。

3項

裁判所は、前項の規定による申立てがあつた場合において、正当な理由があると認めるときは、決定で、査証報告書の全部 又は一部を申立人に開示しないこととすることができる。

4項

裁判所は、前項に規定する正当な理由があるかどうかについて査証報告書の全部 又は一部を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人、補佐人 又は専門委員に対し、査証報告書の全部 又は一部を開示することができる。


ただし、当事者等、補佐人 又は専門委員に対し、査証報告書の全部 又は一部を開示するときは、あらかじめ査証を受けた当事者の同意を得なければならない。

5項

第二項の規定による申立てを却下する決定 及び第三項の査証報告書の全部 又は一部を開示しないこととする決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

申立人 及び査証を受けた当事者は、前条第二項に規定する期間内に査証を受けた当事者の申立てがなかつたとき、又は同項の規定による申立てについての裁判が確定したときは、裁判所書記官に対し、同条第三項の規定により全部を開示しないこととされた場合を除き、 査証報告書(同項の規定により一部を開示しないこととされた場合にあつては、当該一部の記載を除く)の閲覧 若しくは謄写 又は その正本、謄本 若しくは抄本の交付を請求することができる。

2項

前項に規定する場合のほか、何人も、 その提出された査証報告書の閲覧 若しくは謄写、その正本、謄本 若しくは抄本の交付 又は その複製を求めることができない

3項

民事訴訟法第九十一条第四項 及び第五項の規定は、第一項に規定する査証報告書について準用する。


この場合において、

同条第四項
前項」とあるのは
特許法第百五条の二の七第一項」と、

当事者 又は利害関係を疎明した第三者」とあるのは
申立人 又は査証を受けた当事者」と

読み替えるものとする。

1項

査証人 又は査証人であつた者が査証に関して知得した秘密に関する事項について証人として尋問を受ける場合には、その証言を拒むことができる。

2項

民事訴訟法第百九十七条第二項の規定は、前項の場合に準用する。

1項

査証人に関する旅費、日当 及び宿泊料 並びに査証料 及び査証に必要な費用については、その性質に反しない限り、民事訴訟費用等に関する法律昭和四十六年法律第四十号)中 これらに関する規定の例による。

1項

この法律に定めるもののほか第百五条の二から 前条までの規定の実施に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

1項

民事訴訟法第六条第一項各号に定める裁判所は、特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟の第一審において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用 その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。

2項

民事訴訟法第六条第一項各号に定める裁判所が第一審としてした特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟についての終局判決に対する控訴が提起された東京高等裁判所は、当該控訴に係る訴訟において、当事者の申立てにより、必要があると認めるときは、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関するこの法律の適用 その他の必要な事項について、相当の期間を定めて、意見を記載した書面の提出を求めることができる。

3項

当事者は、裁判所書記官に対し、前二項の規定により提出された書面の閲覧 若しくは謄写 又は その正本、謄本 若しくは抄本の交付を請求することができる。

4項

民事訴訟法第九十一条第五項の規定は、第一項 及び第二項の規定により提出された書面の閲覧 及び謄写について準用する。

1項

特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が当該侵害の行為による損害の計算をするため必要な事項について鑑定を命じたときは、当事者は、鑑定人に対し、当該鑑定をするため必要な事項について説明しなければならない。

1項

特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、損害が生じたことが認められる場合において、損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨 及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。

1項

裁判所は、特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法平成五年法律第四十七号第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下同じ。)について、次に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があつた場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人 又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。


ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人 又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読 又は同号に規定する証拠の取調べ 若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。

一 号

既に提出され 若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ 若しくは取り調べられるべき証拠(第百五条第三項の規定により開示された書類、第百五条の二の六第四項の規定により開示された査証報告書の全部 若しくは一部 又は第百五条の七第四項の規定により開示された書面を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。

二 号

前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用 又は開示を制限する必要があること。

2項

前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。

一 号
秘密保持命令を受けるべき者
二 号

秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実

三 号

前項各号に掲げる事由に該当する事実

3項

秘密保持命令が発せられた場合には、その決定書を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。

4項

秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。

5項

秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

秘密保持命令の申立てをした者 又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあつては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと 又は これを欠くに至つたことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。

2項

秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があつた場合には、その決定書をその申立てをした者 及び相手方に送達しなければならない。

3項

秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

4項

秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。

5項

裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者 又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。

1項

秘密保持命令が発せられた訴訟(すべての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第九十二条第一項の決定があつた場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行つた者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く第三項において同じ。)に対し、その請求後 直ちに、その請求があつた旨を通知しなければならない。

2項

前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があつた日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行つた者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあつては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、 その請求の手続を行つた者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。

3項

前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者のすべての同意があるときは、適用しない

1項

特許権 又は専用実施権の侵害に係る訴訟における当事者等が、その侵害の有無についての判断の基礎となる事項であつて当事者の保有する営業秘密に該当するものについて、当事者本人 若しくは 法定代理人 又は証人として尋問を受ける場合においては、裁判所は、裁判官の全員一致により、その当事者等が公開の法廷で当該事項について陳述をすることにより当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に著しい支障を生ずることが明らかであることから当該事項について十分な陳述をすることができず、かつ、当該陳述を欠くことにより他の証拠のみによつては当該事項を判断の基礎とすべき特許権 又は専用実施権の侵害の有無についての適正な裁判をすることができないと認めるときは、決定で、当該事項の尋問を公開しないで行うことができる。

2項

裁判所は、前項の決定をするに当たつては、あらかじめ、当事者等の意見を聴かなければならない。

3項

裁判所は、前項の場合において、必要があると認めるときは、当事者等にその陳述すべき事項の要領を記載した書面の提示をさせることができる。


この場合においては、何人も、その提示された書面の開示を求めることができない

4項

裁判所は、前項後段の書面を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等、訴訟代理人 又は補佐人に対し、当該書面を開示することができる。

5項

裁判所は、第一項の規定により当該事項の尋問を公開しないで行うときは、公衆を退廷させる前に、その旨を理由とともに言い渡さなければならない。


当該事項の尋問が終了したときは、再び公衆を入廷させなければならない。

1項

故意 又は過失により特許権 又は専用実施権を侵害したことにより特許権者 又は専用実施権者の業務上の信用を害した者に対しては、裁判所は、特許権者 又は専用実施権者の請求により、損害の賠償に代え、又は損害の賠償とともに、特許権者 又は専用実施権者の業務上の信用を回復するのに必要な措置を命ずることができる。