精神保健及び精神障害者福祉に関する法律

# 昭和二十五年法律第百二十三号 #
略称 : 精神保健福祉法 

第二節 指定医の診察及び措置入院

分類 法律
カテゴリ   厚生
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百四号による改正
最終編集日 : 2024年 05月02日 22時43分


1項

精神障害者 又はその疑いのある者を知つた者は、誰でも、その者について指定医の診察 及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる。

2項

前項の申請をするには、次の事項を記載した申請書を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に提出しなければならない。

一 号

申請者の住所、氏名 及び生年月日

二 号

本人の現在場所、居住地、氏名、性別 及び生年月日

三 号
症状の概要
四 号

現に本人の保護の任に当たつている者があるときはその者の住所 及び氏名

1項

警察官は、職務を執行するに当たり、異常な挙動 その他周囲の事情から判断して、精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を発見したときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

1項

検察官は、精神障害者 又はその疑いのある被疑者 又は被告人について、不起訴処分をしたとき、又は裁判(懲役 若しくは禁錮の刑を言い渡し、その刑の全部の執行猶予の言渡しをせず、又は拘留の刑を言い渡す裁判を除く)が確定したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。


ただし、当該不起訴処分をされ、又は裁判を受けた者について、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律平成十五年法律第百十号第三十三条第一項の申立てをしたときは、この限りでない。

2項

検察官は、前項本文に規定する場合のほか、精神障害者 若しくはその疑いのある被疑者 若しくは被告人 又は心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律の対象者(同法第二条第二項に規定する対象者をいう。第二十六条の三 及び第四十四条第一項において同じ。)について、特に必要があると認めたときは、速やかに、都道府県知事に通報しなければならない。

1項

保護観察所の長は、保護観察に付されている者が精神障害者 又はその疑いのある者であることを知つたときは、速やかに、その旨を都道府県知事に通報しなければならない。

1項

矯正施設(拘置所、刑務所、少年刑務所、少年院 及び少年鑑別所をいう。以下同じ。)の長は、精神障害者 又はその疑いのある収容者を釈放、退院 又は退所させようとするときは、あらかじめ、次の事項を本人の帰住地(帰住地がない場合は当該矯正施設の所在地)の都道府県知事に通報しなければならない。

一 号

本人の帰住地、氏名、性別 及び生年月日

二 号
症状の概要
三 号

釈放、退院 又は退所の年月日

四 号

引取人の住所 及び氏名

1項

精神科病院の管理者は、入院中の精神障害者であつて、第二十九条第一項の要件に該当すると認められるものから退院の申出があつたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

1項

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第二条第五項に規定する指定通院医療機関の管理者 及び保護観察所の長は、同法の対象者であつて同条第四項に規定する指定入院医療機関に入院していないものがその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、直ちに、その旨を、最寄りの保健所長を経て都道府県知事に通報しなければならない。

1項

都道府県知事は、第二十二条から前条までの規定による申請、通報 又は届出のあつた者について調査の上必要があると認めるときは、その指定する指定医をして診察をさせなければならない。

2項

都道府県知事は、入院させなければ精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあることが明らかである者については、第二十二条から前条までの規定による申請、通報 又は届出がない場合においても、その指定する指定医をして診察をさせることができる。

3項

都道府県知事は、前二項の規定により診察をさせる場合には、当該職員を立ち会わせなければならない。

4項

指定医 及び前項の当該職員は、前三項の職務を行うに当たつて必要な限度においてその者の居住する場所へ立ち入ることができる。

5項

第十九条の六の十六第二項 及び第三項の規定は、前項の規定による立入りについて準用する。


この場合において、

同条第二項
前項」とあるのは
第二十七条第四項」と、

当該職員」とあるのは
「指定医 及び当該職員」と、

同条第三項
第一項」とあるのは
第二十七条第四項」と

読み替えるものとする。

1項

都道府県知事は、前条第一項の規定により診察をさせるに当つて現に本人の保護の任に当つている者がある場合には、あらかじめ、診察の日時 及び場所をその者に通知しなければならない。

2項

後見人 又は保佐人、親権を行う者、配偶者 その他現に本人の保護の任に当たつている者は、前条第一項の診察に立ち会うことができる。

1項

第二十七条第一項 又は第二項の規定により診察をした指定医は、厚生労働大臣の定める基準に従い、当該診察をした者が精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあるかどうかの判定を行わなければならない。

1項

都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院 又は指定病院に入院させることができる。

2項

前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療 及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による入院措置を採る場合においては、当該精神障害者 及びその家族等であつて第二十八条第一項の規定による通知を受けたもの又は同条第二項の規定による立会いを行つたものに対し、当該入院措置を採る旨 及びその理由、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関すること その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

4項

国等の設置した精神科病院 及び指定病院の管理者は、病床(病院の一部について第十九条の八の指定を受けている指定病院にあつてはその指定に係る病床)に既に第一項 又は次条第一項の規定により入院をさせた者がいるため余裕がない場合のほかは、第一項の精神障害者を入院させなければならない。

1項

都道府県知事は、前条第一項の要件に該当すると認められる精神障害者 又はその疑いのある者について、急速を要し、第二十七条第二十八条 及び前条の規定による手続を採ることができない場合において、その指定する指定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を前条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院に入院させることができる。

2項
都道府県知事は、前項の規定による入院措置を採つたときは、速やかに、その者につき、前条第一項の規定による入院措置を採るかどうかを決定しなければならない。
3項

第一項の規定による入院の期間は、七十二時間超えることができない

4項

第二十七条第四項 及び第五項 並びに第二十八条の二の規定は第一項の規定による診察について、前条第三項の規定は第一項の規定による入院措置を採る場合について、同条第四項の規定は第一項の規定により入院する者の入院について準用する。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項 又は前条第一項の規定による入院措置を採ろうとする精神障害者を、当該入院措置に係る病院に移送しなければならない。

2項

都道府県知事は、前項の規定により移送を行う場合においては、当該精神障害者に対し、当該移送を行う旨 その他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項の規定による移送を行うに当たつては、当該精神障害者を診察した指定医が必要と認めたときは、その者の医療 又は保護に欠くことのできない限度において、厚生労働大臣があらかじめ社会保障審議会の意見を聴いて定める行動の制限を行うことができる。

1項

第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、第二十九条の二第一項の規定により入院した者について、都道府県知事から、第二十九条第一項の規定による入院措置を採らない旨の通知を受けたとき、又は第二十九条の二第三項の期間内に第二十九条第一項の規定による入院措置を採る旨の通知がないときは、直ちに、その者を退院させなければならない。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項の規定により入院した者(以下「措置入院者」という。)が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その者を退院させなければならない。


この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている同項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者の意見を聞くものとする。

2項

前項の場合において都道府県知事がその者を退院させるには、その者が入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められることについて、その指定する指定医による診察の結果 又は次条の規定による診察の結果に基づく場合でなければならない。

1項

措置入院者を入院させている第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、指定医による診察の結果、措置入院者が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ 又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その旨、その者の症状 その他厚生労働省令で定める事項を最寄りの保健所長を経て都道府県知事に届け出なければならない。

1項

措置入院者を入院させている第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、精神保健福祉士 その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、退院後生活環境相談員を選任し、その者に措置入院者の退院後の生活環境に関し、措置入院者 及びその家族等からの相談に応じさせ、及びこれらの者に対する必要な情報の提供、助言 その他の援助を行わせなければならない。

1項

措置入院者を入院させている第二十九条第一項に規定する精神科病院 又は指定病院の管理者は、措置入院者 又はその家族等から求めがあつた場合 その他措置入院者の退院による地域における生活への移行を促進するために必要があると認められる場合には、これらの者に対して、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる者(第三十三条の五において「地域援助事業者」という。)を紹介しなければならない。

一 号

一般相談支援事業 又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第十九項に規定する特定相談支援事業(第四十九条第一項において「特定相談支援事業」という。)を行う者

二 号

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第七十七条第一項第三号 又は第三項各号に掲げる事業を行う者

三 号

介護保険法平成九年法律第百二十三号)第八条第二十四項に規定する居宅介護支援事業を行う者

四 号

前三号に掲げる者のほか、地域の精神障害者の保健 又は福祉に関する各般の問題につき精神障害者 又はその家族等からの相談に応じ必要な情報の提供、助言 その他の援助を行う事業を行うことができると認められる者として厚生労働省令で定めるもの

1項

第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により入院する者について国等の設置した精神科病院 又は指定病院が行う医療に関する診療方針 及びその医療に要する費用の額の算定方法は、健康保険の診療方針 及び療養に要する費用の額の算定方法の例による。

2項

前項に規定する診療方針 及び療養に要する費用の額の算定方法の例によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針 及び医療に要する費用の額の算定方法は、厚生労働大臣の定めるところによる。

1項

都道府県は、第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により入院する者について国等の設置した精神科病院 又は指定病院が行つた医療が前条に規定する診療方針に適合するかどうかについての審査 及びその医療に要する費用の額の算定 並びに国等 又は指定病院の設置者に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。

1項

第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により都道府県知事が入院させた精神障害者の入院に要する費用は、都道府県が負担する。

2項

国は、都道府県が前項の規定により負担する費用を支弁したときは、政令の定めるところにより、その四分の三を負担する。

1項

前条第一項の規定により費用の負担を受ける精神障害者が、健康保険法(大正十一年法律第七十号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号。他の法律において準用し、又は例による場合を含む。)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)又は介護保険法の規定により医療に関する給付を受けることができる者であるときは、都道府県は、その限度において、同項の規定による負担をすることを要しない。

1項

都道府県知事は、第二十九条第一項 及び第二十九条の二第一項の規定により入院させた精神障害者 又はその扶養義務者が入院に要する費用を負担することができると認めたときは、その費用の全部 又は一部を徴収することができる。

2項

都道府県知事は、前項の規定による費用の徴収に関し必要があると認めるときは、当該精神障害者 又はその扶養義務者の収入の状況につき、当該精神障害者 若しくはその扶養義務者に対し報告を求め、又は官公署に対し必要な書類の閲覧 若しくは資料の提供を求めることができる。