成年に達しない子は、父母の親権に服する。
民法
第四章 親権
第一節 総則
子が養子であるときは、養親の親権に服する。
親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。
ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。
ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
第一項、第三項 又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父 又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
第二節 親権の効力
親権を行う者は、子の利益のために子の監護 及び教育をする権利を有し、義務を負う。
親権を行う者は、前条の規定による監護 及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢 及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰 その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。
ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし 又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
親権を行う父 又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。
子が成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なく その管理の計算をしなければならない。
ただし、その子の養育 及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす。
前条ただし書の規定は、無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については、これを適用しない。
無償で子に財産を与える第三者が、親権を行う父 又は母にこれを管理させない意思を表示したときは、その財産は、父 又は母の管理に属しないものとする。
前項の財産につき父母が共に管理権を有しない場合において、第三者が管理者を指定しなかったときは、家庭裁判所は、子、その親族 又は検察官の請求によって、その管理者を選任する。
第三者が管理者を指定したときであっても、その管理者の権限が消滅し、又はこれを改任する必要がある場合において、第三者が更に管理者を指定しないときも、前項と同様とする。
第二十七条から第二十九条までの規定は、前二項の場合について準用する。
第六百五十四条 及び第六百五十五条の規定は、親権を行う者が子の財産を管理する場合 及び前条の場合について準用する。
親権を行った者とその子との間に財産の管理について生じた債権は、その管理権が消滅した時から五年間これを行使しないときは、時効によって消滅する。
子がまだ成年に達しない間に管理権が消滅した場合において子に法定代理人がないときは、前項の期間は、その子が成年に達し、又は後任の法定代理人が就職した時から起算する。
親権を行う者は、その親権に服する子に代わって親権を行う。
第三節 親権の喪失
父 又は母による虐待 又は悪意の遺棄があるとき その他父 又は母による親権の行使が著しく困難 又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人 又は検察官の請求により、その父 又は母について、親権喪失の審判をすることができる。
ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。
父 又は母による親権の行使が困難 又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人 又は検察官の請求により、その父 又は母について、親権停止の審判をすることができる。
家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態 及び生活の状況 その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。
父 又は母による管理権の行使が困難 又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人 又は検察官の請求により、その父 又は母について、管理権喪失の審判をすることができる。
第八百三十四条本文、第八百三十四条の二第一項 又は前条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人 又はその親族の請求によって、それぞれ親権喪失、親権停止 又は管理権喪失の審判を取り消すことができる。
親権を行う父 又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権 又は管理権を辞することができる。
前項の事由が消滅したときは、父 又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権 又は管理権を回復することができる。