鉱山保安法
第二章 保安
機械、器具(衛生用保護具を除く。以下同じ。)及び工作物の使用 並びに火薬類 その他の材料、動力 及び火気の取扱い
前項に定めるもののほか、鉱業権者は、経済産業省令の定めるところにより、衛生に関する通気の確保 及び災害時における救護のため必要な措置を講じなければならない。
鉱業権者は、保安を確保するため、鉱業上使用する建設物、工作物 その他の施設を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならない。
鉱業権者は、鉱業上使用する建設物、工作物 その他の施設であつて保安の確保上重要なものとして経済産業省令で定めるもの(以下「特定施設」という。)の設置 又は変更の工事であつて経済産業省令で定めるものをしようとするときは、経済産業省令の定めるところにより、その工事の計画を産業保安監督部長に届け出なければならない。
その工事の計画の変更(経済産業省令で定める軽微なものを除く。)をしようとするとき(第四項の規定による命令があつたときを含む。)も、同様とする。
前項の規定による届出をした者は、その届出が受理された日から三十日を経過した後でなければ、その届出に係る工事を開始してはならない。
産業保安監督部長は、第一項の規定による届出のあつた工事の計画が前条の経済産業省令で定める技術基準に適合していると認めるときは、前項に規定する期間を短縮することができる。
この場合において、産業保安監督部長は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければならない。
産業保安監督部長は、第一項の規定による届出のあつた工事の計画が前条の経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出を受理した日から三十日(次項の規定により第二項に規定する期間が延長された場合にあつては、当該延長後の期間)以内に限り、その工事の計画を変更し、又は廃止すべきことを命ずることができる。
産業保安監督部長は、第一項の規定による届出のあつた工事の計画が前条の経済産業省令で定める技術基準に適合するかどうかについて審査するため相当の期間を要し、当該審査が第二項に規定する期間内に終了しないと認める相当の理由があるときは、当該期間を相当と認める期間に延長することができる。
この場合において、産業保安監督部長は、当該届出をした者に対し、遅滞なく、当該延長後の期間 及び当該延長の理由を通知しなければならない。
鉱業権者は、前条第一項の規定による届出に係る特定施設の設置 又は変更の工事を完成したときは、経済産業省令の定めるところにより、その使用の開始前に、検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
前項の検査においては、その特定施設が次の各号のいずれにも適合していることを確認しなければならない。
その工事が前条第一項の規定による届出をした工事の計画(同項後段の経済産業省令で定める軽微な変更をしたものを含む。)に従つて行われたものであること。
第十二条の経済産業省令で定める技術基準に適合するものであること。
鉱業権者は、第十三条第一項の規定による届出に係る特定施設の使用を開始したとき、又は特定施設を廃止したときは、遅滞なく、経済産業省令の定めるところにより、その旨を産業保安監督部長に届け出なければならない。
鉱業権者は、特定施設であつて保安の確保上特に重要なものとして経済産業省令で定めるものについては、経済産業省令の定めるところにより、定期に、検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
鉱業権者は、この法律 又はこの法律に基づく経済産業省令により措置を講じなければならないものとされる捨石 又は鉱さいの集積したもの、坑道 その他の経済産業省令で定める物件(以下「集積場等」という。)については、これを譲渡し又は放棄した後であつても、その措置を講じなければならない。
鉱業権の移転があつたときは、鉱業権者の承継人は、当該鉱業権者の集積場等に係る義務を承継する。
租鉱権の消滅があつたときは、採掘権者は、当該租鉱権者の集積場等に係る義務を承継する。
鉱業権者は、鉱業を開始しようとするとき その他経済産業省令で定めるときは、鉱山の現況について、経済産業省令で定める事項を調査し、経済産業省令の定めるところにより、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
鉱業権者は、鉱山における保安について第四十一条第一項の規定に基づく報告をしたときは、当該報告に係る災害の原因 その他の経済産業省令で定める事項を調査し、経済産業省令の定めるところにより、その結果を記録し、これを保存しなければならない。
前三項に定めるもののほか、鉱業権者は、鉱業の実施に際し、必要に応じ、鉱山における保安に関する事項を調査するよう努めなければならない。
鉱業権者は、保安規程を定め、又は変更するに当たつては、前条の規定による調査の結果を踏まえて行わなければならない。
鉱業権者が保安規程を定め、又は変更するには、第二十八条の規定による保安委員会の議に付さなければならない。
経済産業大臣は、第十八条の規定による調査の結果に照らして保安規程の内容が保安のため適当でないと認めるときその他保安のため必要があると認めるときは、鉱業権者に対し、保安規程の変更を命ずることができる。
鉱業権者は、鉱山において、保安に関する事項を統括管理させるため、保安統括者を選任しなければならない。
鉱業権者は、鉱山において、保安統括者を補佐して、保安に関する事項を管理させるため、当該鉱山に常駐し、かつ、経済産業省令で定める要件を備える者のうちから、保安管理者を選任しなければならない。
ただし、保安統括者が当該鉱山に常駐し、かつ、本文の要件を備える場合は、この限りでない。
前項の規定による命令に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
前条第四項の規定は、保安統括者 又は保安管理者を解任したときに準用する。
前項の代理者がその職務を行う場合は、この法律 及びこの法律に基づく経済産業省令の規定の適用については、これを保安統括者 又は保安管理者とみなす。
鉱業権者は、保安を確保するため、経済産業省令で定める作業の区分ごとに、経済産業省令で定める資格を有する者のうちからその作業を監督する者(以下「作業監督者」という。)を選任しなければならない。
第二十二条第四項 及び第二十三条の規定は、前項の規定により選任された作業監督者に準用する。
鉱山労働者は、その作業に従事している際に、人に対する危害が発生し、又は発生する急迫した危険があると認めるときは、その判断により、当該危害を避けるため必要な措置(その作業の中止を含む。)をとることができる。
この場合において、当該鉱山労働者は、当該危害 及び当該措置の内容について保安統括者 又は保安管理者に直ちに報告しなければならない。
鉱業権者は、鉱山労働者が第一項の規定による措置をとつたこと、又は前項の規定による申出をしたことを理由として、当該鉱山労働者に対して解雇 その他不利益な取扱いをしてはならない。
鉱業権者は、保安に関する重要事項を調査審議し、保安統括者 及び保安管理者の保安に関する職務の執行について協力し、及び勧告を行わせるため、鉱山に保安委員会を設けなければならない。
ただし、第三十一条第一項の規定による鉱山労働者代表の届出があつた場合は、この限りでない。
前項の委員の半数は、その鉱山の鉱山労働者の過半数の推薦により選任しなければならない。
ただし、その推薦がないときは、この限りでない。
保安委員会は、議長が招集し、その議事は、出席者の過半数をもつて決する。
可否同数の場合は、議長が決する。
鉱業権者は、この法律 若しくはこの法律に基づく経済産業省令の規定による経済産業大臣 又は産業保安監督部長の処分があつたときは、遅滞なく、その処分の内容を保安委員会に通知しなければならない。
鉱業権者は、第四十一条第一項 及び第四十七条第一項の規定に基づく報告をしたときは、遅滞なく、その内容を保安委員会に通知しなければならない。
鉱山労働者は、鉱業権者、保安統括者 及び保安管理者と保安に関する重要事項について協議し、並びに保安統括者 及び保安管理者の保安に関する職務の執行について協力し、及び勧告を行うため、経済産業省令の定めるところにより、一人 又は数人の代表者(以下「鉱山労働者代表」という。)を選任し、鉱業権者を経由して産業保安監督部長に届け出ることができる。
鉱山労働者代表が数人あるときは、共同してその権限を行使しなければならない。
鉱業権者、保安統括者 及び保安管理者は、鉱山労働者代表と誠実に協議し、並びに鉱山労働者代表の勧告を尊重しなければならない。
前条第一項の規定により鉱山労働者代表の届出があつた場合には、
第十九条第四項中
「第二十八条の規定による保安委員会の議に付さなければならない」とあるのは
「第三十一条第一項の規定による届出に係る鉱山労働者代表の意見を聴かなければならない」と、
第三十条中
「保安委員会」とあるのは
「鉱山労働者代表」と、
第四十七条第二項中
「保安委員会の委員」とあるのは
「鉱山労働者代表」として、
これらの規定(これらの規定に係る罰則の規定を含む。)を適用する。