会計検査院は、日本国憲法第九十条の規定により国の収入支出の決算の検査を行う外、法律に定める会計の検査を行う。
会計検査院法
第二章 権限
第一節 総則
第二節 検査の範囲
国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計
国以外のものが国のために取り扱う現金、物品 又は有価証券の受払
国 若しくは前条第五号に規定する法人(以下 この号において「国等」という。)の工事 その他の役務の請負人 若しくは事務 若しくは業務の受託者 又は国等に対する物品の納入者のその契約に関する会計
会計検査院が前項の規定により検査をするときは、これを関係者に通知するものとする。
第三節 検査の方法
会計検査院の検査を受けるものは、会計検査院の定める計算証明の規程により、常時に、計算書(当該計算書に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして会計検査院規則で定めるものをいう。次項において同じ。)を含む。以下同じ。)及び証拠書類(当該証拠書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。以下同じ。)を、会計検査院に提出しなければならない。
国が所有し 又は保管する現金、物品 及び有価証券の受払いについては、前項の計算書 及び証拠書類に代えて、会計検査院の指定する他の書類(当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)を会計検査院に提出することができる。
会計検査院は、常時 又は臨時に職員を派遣して、実地の検査をすることができる。
この場合において、実地の検査を受けるものは、これに応じなければならない。
会計検査院は、検査上の必要により検査を受けるものに帳簿、書類 その他の資料 若しくは報告の提出を求め、又は関係者に質問し 若しくは出頭を求めることができる。
この場合において、帳簿、書類 その他の資料 若しくは報告の提出の求めを受け、又は質問され 若しくは出頭の求めを受けたものは、これに応じなければならない。
会計検査院の検査を受ける会計経理に関し左の事実があるときは、本属長官 又は監督官庁 その他これに準ずる責任のある者は、直ちに、その旨を会計検査院に報告しなければならない。
第四節 検査報告
日本国憲法第九十条により作成する検査報告には、左の事項を掲記しなければならない。
第三十一条 及び政府契約の支払遅延防止等に関する法律第十三条第二項 並びに予算執行職員等の責任に関する法律第六条第一項(同法第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定により懲戒の処分を要求した事項 及びその結果
第三十二条(予算執行職員等の責任に関する法律第十条第三項 及び同法第十一条第二項において準用する場合を含む。)並びに予算執行職員等の責任に関する法律第四条第一項 及び同法第五条(同法第八条第三項 及び同法第九条第二項において準用する場合を含む。)の規定による検定 及び再検定
第三十四条の規定により意見を表示し 又は処置を要求した事項 及びその結果
第三十六条の規定により意見を表示し 又は処置を要求した事項 及びその結果
会計検査院は、前条の検査報告に関し、国会に出席して説明することを必要と認めるときは、検査官をして出席せしめ 又は書面でこれを説明することができる。
会計検査院は、第三十四条 又は第三十六条の規定により意見を表示し 又は処置を要求した事項 その他特に必要と認める事項については、随時、国会 及び内閣に報告することができる。
会計検査院は、各議院 又は各議院の委員会 若しくは参議院の調査会から国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百五条(同法第五十四条の四第一項において準用する場合を含む。)の規定による要請があつたときは、当該要請に係る特定の事項について検査を実施してその検査の結果を報告することができる。
第五節 会計事務職員の責任
前項の規定は、国の会計事務を処理する職員が計算書 及び証拠書類の提出を怠る等計算証明の規程を守らない場合 又は第二十六条の規定による要求を受けこれに応じない場合に、これを準用する。
会計検査院は、物品管理職員が物品管理法(昭和三十一年法律第百十三号)の規定に違反して物品の管理行為をしたこと 又は同法の規定に従つた物品の管理行為をしなかつたことにより物品を亡失し、又は損傷し、その他国に損害を与えたときは、故意 又は重大な過失により国に損害を与えた事実があるかどうかを審理し、その弁償責任の有無を検定する。
会計検査院が弁償責任があると検定したときは、本属長官 その他出納職員 又は物品管理職員を監督する責任のある者は、前二項の検定に従つて弁償を命じなければならない。
第一項 又は第二項の弁償責任は、国会の議決に基かなければ減免されない。
会計検査院は、第一項 又は第二項の規定により出納職員 又は物品管理職員の弁償責任がないと検定した場合においても、計算書 及び証拠書類の誤謬脱漏等によりその検定が不当であることを発見したときは五年間を限り再検定をすることができる。
前二項の規定はこの場合に、これを準用する。
会計検査院は、検査の結果国の会計事務を処理する職員に職務上の犯罪があると認めたときは、その事件を検察庁に通告しなければならない。
第六節 雑則
会計検査院は、国の会計事務を処理する職員の会計経理の取扱に関し、利害関係人から審査の要求があつたときは、これを審査し、その結果是正を要するものがあると認めるときは、その判定を主務官庁 その他の責任者に通知しなければならない。
主務官庁 又は責任者は、前項の通知を受けたときは、その通知された判定に基いて適当な措置を採らなければならない。
国の会計事務を処理する職員がその職務の執行に関し疑義のある事項につき会計検査院の意見を求めたときは、会計検査院は、これに対し意見を表示しなければならない。