この法律は、合理的な住居表示の制度 及びその実施について必要な措置を定め、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
住居表示に関する法律
市街地にある住所 若しくは居所 又は事務所、事業所 その他これらに類する施設の所在する場所(以下「住居」という。)を表示するには、都道府県、郡、市(特別区を含む。以下同じ。)、区(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の二十の区 及び同法第二百五十二条の二十の二の総合区をいう。)及び町村の名称を冠するほか、次の各号のいずれかの方法によるものとする。
街区方式 市町村内の町 又は字の名称 並びに当該町 又は字の区域を道路、鉄道 若しくは軌道の線路 その他の恒久的な施設 又は河川、水路等によつて区画した場合におけるその区画された地域(以下「街区」という。)につけられる符号(以下「街区符号」という。)及び当該街区内にある建物 その他の工作物につけられる住居表示のための番号(以下「住居番号」という。)を用いて表示する方法をいう。
道路方式 市町村内の道路の名称 及び当該道路に接し、又は当該道路に通ずる通路を有する建物 その他の工作物につけられる住居番号を用いて表示する方法をいう。
市町村は、前条に規定する方法による住居表示の実施のため、議会の議決を経て、市街地につき、区域を定め、当該区域における住居表示の方法を定めなければならない。
市町村は、前項の規定により区域 及びその区域における住居表示の方法を定めたときは、当該区域について、街区符号 及び住居番号 又は道路の名称 及び住居番号をつけなければならない。
市町村は、前項の規定により街区符号 及び住居番号 又は道路の名称 及び住居番号をつけたときは、住居表示を実施すべき区域 及び期日 並びに当該区域における住居表示の方法、街区符号 又は道路の名称 及び住居番号を告示するとともに、これらの事項を関係人 及び関係行政機関の長に通知し、かつ、都道府県知事に報告しなければならない。
市町村は、第一項 及び第二項に規定する措置を行なうに当たつては、住民にその趣旨の周知徹底を図り、その理解と協力を得て行なうように努めなければならない。
前条第三項の告示に係る区域について当該告示に掲げる日以後街区符号、道路の名称 又は住居番号をつけ、変更し、又は廃止する場合における手続 その他必要な事項は、市町村の条例で定める。
街区方式によつて住居を表示しようとする場合において、街区方式によることが不合理な町 又は字の区域があるときは、できるだけ その区域を合理的なものにするように努めなければならない。
前項の規定により新たな町 又は字の区域を定めた場合には、当該町 又は字の名称は、できるだけ従来の名称に準拠して定めなければならない。
これにより難いときは、できるだけ読みやすく、かつ、簡明なものにしなければならない。
市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)は、第二条に規定する方法による住居表示の実施のため、地方自治法第二百六十条第一項の規定により町 若しくは字の区域の新設 若しくは廃止 又は町 若しくは字の区域 若しくはその名称の変更(以下「町 又は字の区域の新設等」という。)について議会の議決を経ようとするときは、あらかじめ、その案を公示しなければならない。
前項の規定により公示された案に係る町 又は字の区域内に住所を有する者で市町村の議会の議員 及び長の選挙権を有するものは、その案に異議があるときは、政令の定めるところにより、市町村長に対し、前項の公示の日から三十日を経過する日までに、その五十人以上の連署をもつて、理由を附して、その案に対する変更の請求をすることができる。
市町村長は、前項の期間が経過するまでの間は、住居表示の実施のための町 又は字の区域の新設等の処分に関する議案を議会に提出することができない。
第二項の変更の請求があつたときは、市町村長は、直ちに当該変更の請求の要旨を公表しなければならない。
市町村長は、第二項の変更の請求があつた場合において、当該変更の請求に係る町 又は字の区域の新設等の処分に関する議案を議会に提出するときは、当該変更の請求書を添えてしなければならない。
市町村の議会は、第二項の変更の請求に係る町 又は字の区域の新設等の処分に関する議案については、あらかじめ、公聴会を開き、当該処分に係る町 又は字の区域内に住所を有する者から意見をきいた後でなければ、当該議案の議決をすることができない。
市町村の議会は、第二項の変更の請求に係る町 又は字の区域の新設等の処分に関する議案について、修正してこれを議決することを妨げない。
第二項の市町村の議会の議員 及び長の選挙権を有する者とは、第一項の公示の日において選挙人名簿に登録されている者をいう。
何人も、住居の表示については、第三条第三項の告示に掲げる日以後は、当該告示に係る区域について、同条第二項の規定によりつけられた街区符号 及び住居番号 又は道路の名称 及び住居番号を用いるように努めなければならない。
国 及び地方公共団体の機関は、住民基本台帳、選挙人名簿、法人登記簿 その他の公簿に住居を表示するときは、第三条第三項の告示に掲げる日以後は、当該告示に係る区域について、他の法令に特別の定めがある場合を除くほか、同条第二項の規定によりつけられた街区符号 及び住居番号 又は道路の名称 及び住居番号を用いなければならない。
第三条第一項 及び第二項の規定による住居表示の実施 並びに第四条の規定による街区符号、道路の名称 又は住居番号の設定、変更 又は廃止に伴う公簿 又は公証書類の記載事項で住居の表示に係るものの変更の申請については、法令の規定により当該申請をする者の負担とされている手数料 その他の徴収金は、当該法令の規定にかかわらず、徴収しない。
市町村は、第三条第三項の告示に係る区域の見やすい場所に、当該区域内の町 若しくは字の名称 及び街区符号 又は道路の名称を記載した表示板を設けなければならない。
前項の区域にある建物 その他の工作物の所有者、管理者 又は占有者は、市町村の条例で定めるところにより、見やすい場所に、住居番号を表示しなければならない。
市町村は、第三条第三項の告示に係る区域について、当該区域の住居表示台帳を備えなければならない。
市町村は、関係人から請求があつたときは、前項の住居表示台帳 又はその写しを閲覧させなければならない。
市町村は、由緒ある町 又は字の名称で住居表示の実施に伴い変更されたものについて、その継承を図るため、標識の設置、資料の収集 その他必要な措置を講ずるように努めなければならない。
国 又は都道府県は、この法律の円滑な実施のため、市町村に対し、この法律の規定により市町村が処理する事務について、必要な指導を行うものとする。
総務大臣 又は都道府県知事は、この法律の円滑な実施のため必要があると認めるときは、市町村に対し、第三条第一項 及び第二項に規定する措置をとるべきことを勧告することができる。
総務大臣 又は都道府県知事は、この法律の円滑な実施のため必要があると認めるときは、市町村に対し、第三条、第五条、第五条の二 及び第八条から前条までの規定により市町村が処理する事務について、報告を求め、又は技術的な援助 若しくは助言をすることができる。
総務大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、都道府県に対し、報告を求め、又は援助 若しくは助言をすることができる。
国 及び都道府県の機関 並びに公共的団体は、住居表示の実施が円滑に行なわれるよう市町村に協力しなければならない。
この法律の規定による住居表示の実施について必要な技術的基準は、総務大臣が定める。
この法律の施行に関し必要な事項は、政令で定める。