事業主体は、常に公営住宅 及び共同施設の状況に留意し、その管理を適正かつ合理的に行うように努めなければならない。
公営住宅法
第三章 公営住宅の管理
公営住宅の毎月の家賃は、毎年度、入居者からの収入の申告に基づき、当該入居者の収入 及び当該公営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数 その他の事項に応じ、かつ、近傍同種の住宅の家賃(次項の規定により定められたものをいう。以下同じ。)以下で、政令で定めるところにより、事業主体が定める。
ただし、入居者からの収入の申告がない場合において、第三十四条の規定による報告の請求を行つたにもかかわらず、公営住宅の入居者がその請求に応じないときは、当該公営住宅の家賃は、近傍同種の住宅の家賃とする。
前項の近傍同種の住宅の家賃は、近傍同種の住宅(その敷地を含む。)の時価、修繕費、管理事務費等を勘案して政令で定めるところにより、毎年度、事業主体が定める。
第一項に規定する入居者からの収入の申告の方法については、国土交通省令で定める。
事業主体は、公営住宅の入居者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第五条の二第一項に規定する認知症である者、知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)にいう知的障害者 その他の国土交通省令で定める者に該当する者に限る。第二十八条第四項において同じ。)が第一項に規定する収入の申告をすること 及び第三十四条の規定による報告の請求に応じることが困難な事情にあると認めるときは、同項の規定にかかわらず、当該入居者の公営住宅の毎月の家賃を、毎年度、政令で定めるところにより、同条の規定による書類の閲覧の請求 その他の国土交通省令で定める方法により把握した当該入居者の収入 及び当該公営住宅の立地条件、規模、建設時からの経過年数 その他の事項に応じ、かつ、近傍同種の住宅の家賃以下で定めることができる。
事業主体は、第一項 又は前項の規定にかかわらず、病気にかかつていること その他特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、家賃を減免することができる。
前各項に規定する家賃に関する事項は、条例で定めなければならない。
国は、第七条第一項 若しくは第八条第三項の規定による国の補助を受けて建設 若しくは買取りをした公営住宅 又は都道府県計画に基づいて借上げをした公営住宅について、事業主体が前条第一項本文の規定に基づき家賃を定める場合においては、政令で定めるところにより、当該公営住宅の管理の開始の日から起算して五年以上二十年以内で政令で定める期間、毎年度、予算の範囲内において、当該公営住宅の近傍同種の住宅の家賃の額から入居者負担基準額を控除した額に二分の一を乗じて得た額を補助するものとする。
国は、第八条第一項の規定による国の補助に係る公営住宅 又は同項各号の一に該当する場合において事業主体が災害により滅失した住宅に居住していた低額所得者に転貸するため借上げをした公営住宅について、事業主体が前条第一項本文の規定に基づき家賃を定める場合においては、政令で定めるところにより、当該公営住宅の管理の開始の日から起算して五年以上二十年以内で政令で定める期間、毎年度、予算の範囲内において、当該公営住宅の近傍同種の住宅の家賃の額から入居者負担基準額を控除した額に三分の二を乗じて得た額を補助するものとする。
ただし、第八条第一項各号の一に該当する場合において事業主体が災害により滅失した住宅に居住していた低額所得者に転貸するため借上げをした公営住宅(第十条第一項の規定による国の補助に係るものを除く。)にあつては、当該公営住宅の戸数が当該災害により滅失した住宅の戸数の三割に相当する戸数(第八条第一項 又は第十条第一項の規定による国の補助に係る公営住宅がある場合にあつては、これらの戸数を控除した戸数)を超える分については、この限りでない。
激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和三十七年法律第百五十号)第二十二条第一項の規定の適用を受け、若しくは特定帰還者に賃貸するため帰還・移住等環境整備交付金を充て、若しくは居住制限者に賃貸するため生活拠点形成交付金を充てて建設 若しくは買取りをした公営住宅 又は同項に規定する政令で定める地域にあつた住宅であつて激甚災害により滅失したものにその災害の当時居住していた低額所得者に転貸するため借上げをした公営住宅について、事業主体が前条第一項本文の規定に基づき家賃を定める場合においては、前項の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、当該公営住宅の管理の開始の日から起算して五年以上二十年以内で政令で定める期間、毎年度、予算の範囲内において、当該公営住宅の近傍同種の住宅の家賃の額から入居者負担基準額を控除した額に三分の二(最初の五年間は、四分の三)を乗じて得た額を補助するものとする。
ただし、同法第二十二条第一項に規定する政令で定める地域にあつた住宅であつて激甚災害により滅失したものにその災害の当時居住していた低額所得者に転貸するため借上げをした公営住宅にあつては、当該公営住宅の戸数が当該災害により滅失した住宅の戸数の五割に相当する戸数(同項の規定の適用を受けて建設 又は買取りをする公営住宅がある場合にあつては、その戸数を控除した戸数)を超える分については、この限りでない。
地方公共団体が、東日本大震災(平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震 及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害をいう。)により滅失した住宅に同日において居住していた低額所得者又は特定帰還者 若しくは居住制限者である低額所得者に転貸するため借上げをした公営住宅について、前条第一項本文の規定に基づき家賃を定める場合において、当該公営住宅の近傍同種の住宅の家賃の額から入居者負担基準額を控除した額の全部 又は一部に相当する額の帰還・移住等環境整備交付金 又は生活拠点形成交付金が交付されたときは、当該帰還・移住等環境整備交付金 又は生活拠点形成交付金を第二項の規定による国の補助とみなして、この法律の規定を適用する。
前各項に規定する入居者負担基準額は、入居者の収入、公営住宅の立地条件 その他の事項を勘案して国土交通大臣が定める方法により、毎年度、事業主体が定める。
事業主体は、公営住宅の入居者から三月分の家賃に相当する金額の範囲内において敷金を徴収することができる。
事業主体は、病気にかかつていること その他特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、敷金を減免することができる。
事業主体は、第一項の規定により徴収した敷金の運用に係る利益金がある場合においては、当該利益金を共同施設の整備に要する費用に充てる等 公営住宅の入居者の共同の利便のために使用するように努めなければならない。
事業主体は、病気にかかつていること その他特別の事情がある場合において必要があると認めるときは、条例で定めるところにより、家賃 又は敷金の徴収を猶予することができる。
事業主体は、公営住宅の使用に関し、その入居者から家賃 及び敷金を除くほか、権利金 その他の金品を徴収し、又はその入居者に不当な義務を課することができない。
事業主体は、公営住宅の家屋の壁、基礎、土台、柱、床、はり、屋根 及び階段 並びに給水施設、排水施設、電気施設 その他の国土交通省令で定める附帯施設について修繕する必要が生じたときは、遅滞なく修繕しなければならない。
ただし、入居者の責めに帰すべき事由によつて修繕する必要が生じたときは、この限りでない。
事業主体は、災害、不良住宅の撤去、公営住宅の借上げに係る契約の終了、公営住宅建替事業による公営住宅の除却 その他政令で定める特別の事由がある場合において特定の者を公営住宅に入居させる場合を除くほか、公営住宅の入居者を公募しなければならない。
前項の規定による入居者の公募は、新聞、掲示等区域内の住民が周知できるような方法で行わなければならない。
公営住宅の入居者は、少なくとも次に掲げる条件を具備する者でなければならない。
その者の収入がイ 又はロに掲げる場合に応じ、それぞれイ 又はロに定める金額を超えないこと。
入居者の心身の状況 又は世帯構成、区域内の住宅事情 その他の事情を勘案し、特に居住の安定を図る必要がある場合として条例で定める場合
入居の際の収入の上限として政令で定める金額以下で事業主体が条例で定める金額
イに掲げる場合以外の場合
低額所得者の居住の安定を図るため必要なものとして政令で定める金額を参酌して、イの政令で定める金額以下で事業主体が条例で定める金額
現に住宅に困窮していることが明らかであること。
公営住宅の借上げに係る契約の終了 又は第四十四条第三項の規定による公営住宅の用途の廃止により当該公営住宅の明渡しをしようとする入居者が、当該明渡しに伴い他の公営住宅に入居の申込みをした場合においては、その者は、前条各号に掲げる条件を具備する者とみなす。
第八条第一項 若しくは第三項 若しくは激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第二十二条第一項の規定による国の補助に係る公営住宅 又は第八条第一項各号のいずれかに該当する場合において事業主体が災害により滅失した住宅に居住していた低額所得者に転貸するため借り上げる公営住宅の入居者は、前条各号に掲げる条件を具備するほか、当該災害発生の日から三年間は、当該災害により住宅を失つた者でなければならない。
事業主体の長は、入居の申込みをした者の数が入居させるべき公営住宅の戸数を超える場合においては、住宅に困窮する実情を調査して、政令で定める選考基準に従い、条例で定めるところにより、公正な方法で選考して、当該公営住宅の入居者を決定しなければならない。
事業主体の長は、借上げに係る公営住宅の入居者を決定したときは、当該入居者に対し、当該公営住宅の借上げの期間の満了時に当該公営住宅を明け渡さなければならない旨を通知しなければならない。
公営住宅の入居者は、当該公営住宅 又は共同施設について必要な注意を払い、これらを正常な状態において維持しなければならない。
公営住宅の入居者は、当該公営住宅を他の者に貸し、又はその入居の権利を他の者に譲渡してはならない。
公営住宅の入居者は、当該公営住宅の用途を変更してはならない。
ただし、事業主体の承認を得たときは、他の用途に併用することができる。
公営住宅の入居者は、当該公営住宅を模様替し、又は増築してはならない。
ただし、事業主体の承認を得たときは、この限りでない。
公営住宅の入居者は、当該公営住宅の入居の際に同居した親族(婚姻の届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者 その他婚姻の予約者を含む。)以外の者を同居させようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、事業主体の承認を得なければならない。
公営住宅の入居者が死亡し、又は退去した場合において、その死亡時 又は退去時に当該入居者と同居していた者は、国土交通省令で定めるところにより、事業主体の承認を受けて、引き続き、当該公営住宅に居住することができる。
公営住宅の入居者は、当該公営住宅に引き続き三年以上入居している場合において政令で定める基準を超える収入のあるときは、当該公営住宅を明け渡すように努めなければならない。
公営住宅の入居者が前項の規定に該当する場合において当該公営住宅に引き続き入居しているときは、当該公営住宅の毎月の家賃は、第十六条第一項の規定にかかわらず、毎年度、入居者からの収入の申告に基づき、当該入居者の収入を勘案し、かつ、近傍同種の住宅の家賃以下で、政令で定めるところにより、事業主体が定める。
第十六条第三項、第五項 及び第六項 並びに第十九条の規定は、前項に規定する公営住宅の家賃について準用する。
事業主体は、公営住宅の入居者が第二項の規定に該当する場合において同項に規定する収入の申告をすること 及び第三十四条の規定による報告の請求に応じることが困難な事情にあると認めるときは、第十六条第四項の規定 及び第二項の規定にかかわらず、当該入居者の公営住宅の毎月の家賃を、毎年度、政令で定めるところにより、同条第四項の国土交通省令で定める方法により把握した当該入居者の収入を勘案し、かつ、近傍同種の住宅の家賃以下で定めることができる。
第十六条第五項 及び第六項 並びに第十九条の規定は、前項に規定する公営住宅の家賃について準用する。
事業主体は、公営住宅の入居者が当該公営住宅に引き続き五年以上入居している場合において最近二年間引き続き政令で定める基準を超える高額の収入のあるときは、その者に対し、期限を定めて、当該公営住宅の明渡しを請求することができる。
事業主体は、区域内の住宅事情 その他の事情を勘案し、低額所得者の居住の安定を図るため特に必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、政令で定める基準に従い、条例で、公営住宅の明渡しの請求に係る収入の基準を別に定めることができる。
第一項の政令で定める基準 及び前項の条例で定める基準は、前条第一項の政令で定める基準を相当程度超えるものでなければならない。
第一項の期限は、同項の規定による請求をする日の翌日から起算して六月を経過した日以後の日でなければならない。
第一項の規定による請求を受けた者は、同項の期限が到来したときは、速やかに、当該公営住宅を明け渡さなければならない。
公営住宅の入居者が第一項の規定に該当する場合において当該公営住宅に引き続き入居しているときは、当該公営住宅の毎月の家賃は、第十六条第一項 及び第四項 並びに前条第二項 及び第四項の規定にかかわらず、近傍同種の住宅の家賃とする。
事業主体は、第一項の規定による請求を受けた者が同項の期限が到来しても公営住宅を明け渡さない場合には、同項の期限が到来した日の翌日から当該公営住宅の明渡しを行う日までの期間について、毎月、近傍同種の住宅の家賃の額の二倍に相当する額以下の金銭を徴収することができる。
事業主体は、第一項の規定による請求を受けた者が病気にかかつていること その他条例で定める特別の事情がある場合において、その者から申出があつたときは、同項の期限を延長することができる。
第十六条第五項 及び第六項 並びに第十九条の規定は、第六項に規定する家賃 又は第七項に規定する金銭について準用する。
事業主体は、公営住宅の入居者が当該公営住宅に引き続き三年以上入居しており、かつ、第二十八条第一項の政令で定める基準を超える収入のある場合において、必要があると認めるときは、その者が他の適当な住宅に入居することができるようにあつせんする等 その者の入居している公営住宅の明渡しを容易にするように努めなければならない。
この場合において、当該公営住宅の入居者が公営住宅以外の公的資金による住宅への入居を希望したときは、その入居を容易にするように特別の配慮をしなければならない。
前項の場合において、公共賃貸住宅(地方公共団体、独立行政法人都市再生機構 又は地方住宅供給公社が整備する賃貸住宅をいう。第三十六条において同じ。)の管理者は、事業主体が行う措置に協力しなければならない。
事業主体が第二十四条第一項の規定による申込みをした者を他の公営住宅に入居させた場合における前三条の規定の適用については、その者が公営住宅の借上げに係る契約の終了 又は第四十四条第三項の規定による公営住宅の用途の廃止により明渡しをすべき公営住宅に入居していた期間は、その者が明渡し後に入居した当該他の公営住宅に入居している期間に通算する。
事業主体が、第四十条第一項の規定により同項の規定による申出をした者を公営住宅建替事業により新たに整備された公営住宅に入居させた場合における前三条の規定の適用については、その者が当該公営住宅建替事業により除却すべき公営住宅に入居していた期間は、その者が当該新たに整備された公営住宅に入居している期間に通算する。
事業主体は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、入居者に対して、公営住宅の明渡しを請求することができる。
入居者が不正の行為によつて入居したとき。
入居者が家賃を三月以上滞納したとき。
入居者が公営住宅 又は共同施設を故意に毀損したとき。
入居者が第二十七条第一項から第五項までの規定に違反したとき。
入居者が第四十八条の規定に基づく条例に違反したとき。
公営住宅の借上げの期間が満了するとき。
公営住宅の入居者は、前項の請求を受けたときは、速やかに当該公営住宅を明け渡さなければならない。
事業主体は、第一項第一号の規定に該当することにより同項の請求を行つたときは、当該請求を受けた者に対して、入居した日から請求の日までの期間については、近傍同種の住宅の家賃の額とそれまでに支払を受けた家賃の額との差額に法定利率による支払期後の利息を付した額の金銭を、請求の日の翌日から当該公営住宅の明渡しを行う日までの期間については、毎月、近傍同種の住宅の家賃の額の二倍に相当する額以下の金銭を徴収することができる。
前項の規定は、第一項第二号から第五号までの規定に該当することにより事業主体が当該入居者に損害賠償の請求をすることを妨げるものではない。
事業主体が第一項第六号の規定に該当することにより同項の請求を行う場合には、当該請求を行う日の六月前までに、当該入居者にその旨の通知をしなければならない。
事業主体は、公営住宅の借上げに係る契約が終了する場合には、当該公営住宅の賃貸人に代わつて、入居者に借地借家法(平成三年法律第九十号)第三十四条第一項の通知をすることができる。
事業主体は、公営住宅 及び共同施設の管理に関する事務をつかさどり、公営住宅 及びその環境を良好な状態に維持するよう 入居者に必要な指導を与えるために公営住宅監理員を置くことができる。
公営住宅監理員は、事業主体の長がその職員のうちから命ずる。
事業主体の長は、第十六条第一項 若しくは第四項 若しくは第二十八条第二項 若しくは第四項の規定による家賃の決定、第十六条第五項(第二十八条第三項 若しくは第五項 又は第二十九条第九項において準用する場合を含む。)の規定による家賃 若しくは金銭の減免、第十八条第二項の規定による敷金の減免、第十九条(第二十八条第三項 若しくは第五項 又は第二十九条第九項において準用する場合を含む。)の規定による家賃、敷金 若しくは金銭の徴収の猶予、第二十九条第一項の規定による明渡しの請求、第三十条第一項の規定によるあつせん等 又は第四十条の規定による公営住宅への入居の措置に関し必要があると認めるときは、公営住宅の入居者の収入の状況について、当該入居者 若しくはその雇主、その取引先 その他の関係人に報告を求め、又は官公署に必要な書類を閲覧させ、若しくはその内容を記録させることを求めることができる。