公害紛争処理法

# 昭和四十五年法律第百八号 #

第二節 あつせん、調停及び仲裁

分類 法律
カテゴリ   環境保全
@ 施行日 : 令和四年十一月一日 ( 2022年 11月1日 )
@ 最終更新 : 令和二年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2024年 05月01日 12時29分


第一款 通則

1項

中央委員会は、次の各号に掲げる紛争に関するあつせん、調停 及び仲裁について管轄する。

一 号

現に人の健康 又は生活環境(環境基本法第二条第三項に規定する生活環境をいう。)に公害に係る著しい被害が生じ、かつ、当該被害が相当多数の者に及び、又は及ぶおそれのある場合における当該公害に係る紛争であつて政令で定めるもの

二 号

前号に掲げるもののほか二以上の都道府県にわたる広域的な見地から解決する必要がある公害に係る紛争であつて政令で定めるもの

三 号

前二号に掲げるもののほか、事業活動 その他の人の活動の行われた場所 及び当該活動に伴う公害に係る被害の生じた場所が異なる都道府県の区域内にある場合 又はこれらの場所の一方 若しくは双方が二以上の都道府県の区域内にある場合における当該公害に係る紛争

2項

審査会(審査会を置かない都道府県にあつては、都道府県知事とし、以下「審査会等」という。)は、前項各号に掲げる紛争以外の紛争に関するあつせん、調停 及び仲裁について管轄する。

3項

前二項の規定にかかわらず、仲裁については、当事者は、双方の合意によつてその管轄を定めることができる。

1項

中央委員会 又は審査会等は、次条第一項の申請に係る事件が、その管轄に属しないときは、事件を管轄審査会等 又は中央委員会に移送するものとする。

1項

公害に係る被害について、損害賠償に関する紛争 その他の民事上の紛争が生じた場合においては、当事者の一方 又は双方は、公害等調整委員会規則で定めるところにより中央委員会に対し、政令で定めるところにより審査会等に対し、書面をもつて、あつせん、調停 又は仲裁の申請をすることができる。


この場合において、審査会に対する申請は、都道府県知事を経由してしなければならない。

2項
当事者の一方からする仲裁の申請は、この法律の規定による仲裁に付する旨の合意に基づくものでなければならない。
1項

第二十四条第一項第三号に掲げる紛争に関するあつせん 及び調停の申請は、関係都道府県のいずれか一の知事に対してしなければならない。

2項

審査会等は、前条第一項のあつせん 又は調停の申請に係る紛争が第二十四条第一項第三号に掲げる紛争に該当するときは、その旨を都道府県知事に通知しなければならない。

3項

第一項の申請があつたとき、又は前項の規定による通知があつたときは、当該都道府県知事は、当該申請 又は通知に係る紛争を処理するため連合審査会を置くことについて、関係都道府県知事と協議しなければならない。

4項

第一項の申請 又は第二項の規定による通知に係る紛争を処理するため連合審査会が置かれたときは、当該連合審査会は、当該紛争に関するあつせん 又は調停について管轄するものとする。


この場合においては、中央委員会は、当該紛争については管轄しない。

5項

第三項の規定による協議がととのわないときは、都道府県知事は、遅滞なく、当該事件の関係書類を、中央委員会に送付するものとする。

1項
被害の程度が著しく、その範囲が広い公害に係る民事上の紛争が生じ、当事者間の交渉が円滑に進行していない場合において、当該紛争を放置するときは多数の被害者の生活の困窮等社会的に重大な影響があると認められるときは、中央委員会 又は審査会は、当該紛争について、実情を調査し、当事者の意見を聴いた上、その議決に基づき、あつせんを行うことができる。
2項

前項の規定による審査会のあつせんは、当該都道府県知事の要請により行うものとする。

3項

第一項の場合において、中央委員会 又は審査会は、当事者の住所、紛争の実情 その他の事情を考慮して相当と認める理由がある場合に限り、第二十四条第一項 又は第二項の規定にかかわらず、それぞれ、審査会等 又は中央委員会と協議してその管轄を定めることができる。

1項

中央委員会 又は審査会は、前条第一項の規定によるあつせんに係る紛争について、あつせんによつては当該紛争を解決することが困難であり、かつ、相当と認めるときは、あつせん委員の申出により、当事者の意見を聴いた上、その議決に基づき、当該紛争に関する調停を行うことができる。

2項

前項の調停の管轄は、当該紛争に関するあつせんの管轄が前条第三項の規定により定められたものであるときは、その定められたところによる。

第二款 あつせん

1項

中央委員会 又は審査会等によるあつせんは、三人以内のあつせん委員が行う。

2項

前項のあつせん委員は、中央委員会の委員長 及び委員 又は審査会の委員(審査会を置かない都道府県にあつては、候補者名簿に記載されている者とし、以下「審査会の委員等」という。)のうちから、事件ごとに、それぞれ、中央委員会の委員長 又は審査会の会長(審査会を置かない都道府県にあつては、都道府県知事とし、以下「審査会の会長等」という。)が指名する。

3項
連合審査会によるあつせんは、連合審査会の委員の全員があつせん委員となつて行う。
4項

第十六条第六項 及び第十七条の規定は、候補者名簿に記載されている者のうちからの指名に係るあつせん委員について準用する。


この場合において、

第十六条第六項
議会の同意を得て、これを」とあるのは
「これを」と

読み替えるものとする。

1項
あつせん委員は、当事者間をあつせんし、双方の主張の要点を確かめ、事件が公正に解決されるように努めなければならない。
1項
あつせん委員は、あつせんに係る紛争について、あつせんによつては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あつせんを打ち切ることができる。
2項

あつせんに係る紛争について第二十七条の三第一項の議決があつたときは、当該あつせんは、打ち切られたものとみなす。

第三款 調停

1項

中央委員会 又は審査会等による調停は、三人の調停委員からなる調停委員会を設けて行なう。

2項

前項の調停委員は、中央委員会の委員長 及び委員 又は審査会の委員等のうちから、事件ごとに、それぞれ、中央委員会の委員長 又は審査会の会長等が指名する。

3項
連合審査会による調停は、連合審査会の委員の全員を調停委員とする調停委員会を設けて行なう。
4項

第十六条第六項 及び第十七条の規定は、候補者名簿に記載されている者のうちからの指名に係る調停委員について準用する。


この場合において、

第十六条第六項
議会の同意を得て、これを」とあるのは
「これを」と

読み替えるものとする。

1項
調停委員会は、調停のため必要があると認めるときは、当事者の出頭を求め、その意見をきくことができる。
1項

調停委員会は、第二十四条第一項第一号に掲げる紛争に関する調停を行う場合において、必要があると認めるときは、当事者から当該調停に係る事件に関係のある文書 又は物件の提出を求めることができる。

2項

調停委員会は、第二十四条第一項第一号に掲げる紛争に関する調停を行う場合において、紛争の原因たる事実関係を明確にするため、必要があると認めるときは、当事者の占有する工場、事業場 その他事件に関係のある場所に立ち入つて、事件に関係のある文書 又は物件を検査することができる。

3項

調停委員会は、前項の規定による立入検査について、専門委員をして補助させることができる。

1項
調停委員会は、調停前に、当事者に対し、調停の内容たる事項の実現を不能にし、又は著しく困難にする行為の制限 その他調停のために必要と認める措置を採ることを勧告することができる。
1項

調停委員会は、当事者間に合意が成立することが困難であると認める場合において、相当であると認めるときは、一切の事情を考慮して調停案を作成し、当事者に対し、三十日以上の期間を定めて、その受諾を勧告することができる。

2項

前項の調停案は、調停委員の過半数の意見で作成しなければならない。

3項

第一項の規定による勧告がされた場合において、当事者が調停委員会に対し指定された期間内に受諾しない旨の申出をしなかつたときは、当該当事者間に調停案と同一の内容の合意が成立したものとみなす。

1項

調停委員会は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、相当と認めるときは、第三十七条の規定にかかわらず、理由を付して、当該調停案を公表することができる。

1項
調停委員会は、申請に係る紛争がその性質上調停をするのに適当でないと認めるとき、又は当事者が不当な目的でみだりに調停の申請をしたと認めるときは、調停をしないものとすることができる。
1項
調停委員会は、調停に係る紛争について当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。
2項

第三十四条第一項の規定による勧告がされた場合において、指定された期間内に当事者から受諾しない旨の申出があつたときは、当該当事者間の調停は、打ち切られたものとみなす。

1項

前条第一項の規定により調停が打ち切られ、又は同条第二項の規定により調停が打ち切られたものとみなされた場合において、当該調停の申請をした者がその旨の通知を受けた日から三十日以内に調停の目的となつた請求について第四十二条の十二第一項に規定する責任裁定を申請し、又は訴えを提起したときは、時効の完成猶予 及び出訴期間の遵守に関しては、調停の申請の時に、責任裁定の申請 又は訴えの提起があつたものとみなす。

1項

調停委員会の行なう調停の手続は、公開しない

1項
審査会等 又は連合審査会は、その調停に係る事件について、相当と認める理由があるときは、当事者の同意を得、かつ、中央委員会と協議した上、これを中央委員会に引き継ぐことができる。
2項

中央委員会は、前項の規定により引き継いだ事件については、第二十四条第一項の規定にかかわらず、調停を行うことができる。

3項

前二項の規定は、中央委員会の調停に係る事件について準用する。


この場合において、

第一項
審査会等 又は連合審査会」とあるのは
「中央委員会」と、

前二項
中央委員会」とあるのは
「関係都道府県の審査会等」と、

前項
第二十四条第一項」とあるのは
第二十四条第二項」と

読み替えるものとする。

第四款 仲裁

1項

中央委員会 又は審査会等による仲裁は、三人の仲裁委員からなる仲裁委員会を設けて行なう。

2項

前項の仲裁委員は、中央委員会の委員長 及び委員 又は審査会の委員等のうちから、当事者が合意によつて選定した者につき、事件ごとに、それぞれ、中央委員会の委員長 又は審査会の会長等が指名する。


ただし、当事者の合意による選定がなされなかつたときは、中央委員会の委員長 及び委員 又は審査会の委員等のうちから、事件ごとに、それぞれ、中央委員会の委員長 又は審査会の会長等が指名する。

3項

第一項の仲裁委員のうち少なくとも一人は、弁護士法昭和二十四年法律第二百五号第二章の規定により、弁護士となる資格を有する者でなければならない。

4項

第十六条第六項 及び第十七条の規定は、候補者名簿に記載されている者のうちからの指名に係る仲裁委員について準用する。


この場合において、

第十六条第六項
議会の同意を得て、これを」とあるのは
「これを」と

読み替えるものとする。

1項
仲裁委員会は、仲裁を行なう場合において、必要があると認めるときは、当事者から当該仲裁に係る事件に関係のある文書 又は物件の提出を求めることができる。
2項
仲裁委員会は、仲裁を行なう場合において、紛争の原因たる事実関係を明確にするため、必要があると認めるときは、当事者の占有する工場、事業場 その他事件に関係のある場所に立ち入つて、事件に関係のある文書 又は物件を検査することができる。
3項

中央委員会に設けられる仲裁委員会は、前項の規定による立入検査について、専門委員をして補助させることができる。

1項

仲裁委員会の行う仲裁については、この法律に別段の定めがある場合を除き、仲裁委員を仲裁人とみなして、仲裁法平成十五年法律第百三十八号)の規定を準用する。

1項

第三十三条の二 及び第三十七条の規定は、仲裁委員会の行う仲裁について準用する。