家事事件手続法

# 平成二十三年法律第五十二号 #

第一款 審判に対する不服申立て

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時48分

第一目 即時抗告

1項

審判に対しては、特別の定めがある場合に限り、即時抗告をすることができる。

2項

手続費用の負担の裁判に対しては、独立して即時抗告をすることができない

1項

審判に対する即時抗告は、特別の定めがある場合を除き二週間不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

2項

即時抗告の期間は、特別の定めがある場合を除き、即時抗告をする者が、審判の告知を受ける者である場合にあってはその者が審判の告知を受けた日から、審判の告知を受ける者でない場合にあっては申立人が審判の告知を受けた日(二以上あるときは、当該日のうち最も遅い日)から、それぞれ進行する。

1項

即時抗告は、抗告状を原裁判所に提出してしなければならない。

2項

抗告状には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号
当事者 及び法定代理人
二 号

原審判の表示 及びその審判に対して即時抗告をする旨

3項

即時抗告が不適法でその不備を補正することができないことが明らかであるときは、原裁判所は、これを却下しなければならない。

4項

前項の規定による審判に対しては、即時抗告をすることができる。

5項

前項の即時抗告は、一週間不変期間内にしなければならない。


ただし、その期間前に提起した即時抗告の効力を妨げない。

6項

第四十九条第四項 及び第五項の規定は、抗告状が第二項の規定に違反する場合 及び民事訴訟費用等に関する法律の規定に従い即時抗告の提起の手数料を納付しない場合について準用する。

1項

審判に対する即時抗告があった場合には、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者 及び利害関係参加人(抗告人を除く)に対し、抗告状の写しを送付しなければならない。


ただし、抗告審における手続の円滑な進行を妨げるおそれがあると認められる場合には、即時抗告があったことを通知することをもって、抗告状の写しの送付に代えることができる。

2項

裁判長は、前項の規定による抗告状の写しの送付 又はこれに代わる通知の費用の予納を相当の期間を定めて抗告人に命じた場合において、その予納がないときは、命令で、抗告状を却下しなければならない。

1項

抗告裁判所は、原審における当事者 及びその他の審判を受ける者(抗告人を除く)の陳述を聴かなければ、原審判を取り消すことができない

2項

別表第二に掲げる事項についての審判事件においては、抗告裁判所は、即時抗告が不適法であるとき 又は即時抗告に理由がないことが明らかなときを除き、原審における当事者(抗告人を除く)の陳述を聴かなければならない。

1項

原裁判所は、審判に対する即時抗告を理由があると認めるときは、その審判を更正しなければならない。


ただし別表第二に掲げる事項についての審判については、更正することができない

1項

抗告裁判所は、即時抗告について決定で裁判をする。

2項

抗告裁判所は、即時抗告を理由があると認める場合には、家事審判事件について自ら審判に代わる裁判をしなければならない。


ただし第九十三条第三項において準用する民事訴訟法第三百七条 又は第三百八条第一項の規定により事件を第一審裁判所に差し戻すときは、この限りでない。

1項

抗告裁判所は、家事審判事件(別表第二に掲げる事項についての審判事件を除く)の全部 又は一部が原裁判所の管轄に属しないと認める場合には、原審判を取り消さなければならない。


ただし、原審における審理の経過、事件の性質、抗告の理由等に照らして原審判を取り消さないことを相当とする特別の事情があると認めるときは、この限りでない。

2項

抗告裁判所は、家事審判事件が管轄違いであることを理由として原審判を取り消すときは、その事件を管轄権を有する家庭裁判所に移送しなければならない。

1項

審判に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続については、特別の定めがある場合を除き前節第一款から第八款までの規定(第四十条第四十一条第四項第四十二条第六項第四十三条第二項第四十四条第二項第四十七条第八項から第十項まで第四十八条第四十九条第六項第六十六条第六十七条第四項第七十四条第二項ただし書、第四項 及び第五項第七十六条第一項ただし書、第七十七条第三項から第五項まで第七十八条第四項第八十一条第三項 並びに第八十三条の規定を除く)、第四節の規定(第百五条第二項第百十条第百十一条 及び第百十三条の規定を除く)及び次章の規定(家庭裁判所の管轄 及び即時抗告に関する規定を除く)を準用する。


この場合において、

第七十八条第一項第二号
即時抗告をすることができる審判」とあるのは、
「家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができる審判に代わる裁判」と

読み替えるものとする。

2項

抗告裁判所は、第八十八条第一項の規定による抗告状の写しの送付 及びこれに代わる即時抗告があったことの通知をすることを要しないときは、前項において準用する第七十一条の規定による審理の終結の手続を経ることなく、即時抗告を却下し、又は棄却することができる。

3項

民事訴訟法第二百八十三条第二百八十四条第二百九十二条第二百九十八条第一項第二百九十九条第一項第三百二条第三百三条 及び第三百五条から第三百八条までの規定は、審判に対する即時抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

同法第二百九十二条第二項
第二百六十一条第三項、第二百六十二条第一項 及び第二百六十三条」とあるのは
家事事件手続法第八十二条第五項 及び第八十三条」と、

同法第三百三条第五項
第百八十九条」とあるのは
家事事件手続法第二百九十一条」と

読み替えるものとする。

第二目 特別抗告

1項

家庭裁判所の審判で不服を申し立てることができないもの 及び高等裁判所の家事審判事件についての決定に対しては、その裁判に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があることを理由とするときに、最高裁判所に特に抗告をすることができる。

2項

前項の抗告(以下「特別抗告」という。)が係属する抗告裁判所は、抗告状 又は抗告理由書に記載された特別抗告の理由についてのみ調査をする。

1項

特別抗告は、執行停止の効力を有しない。


ただし前条第二項の抗告裁判所 又は原裁判所は、申立てにより、担保を立てさせて、又は立てさせないで、特別抗告について裁判があるまで、原裁判の執行の停止 その他必要な処分を命ずることができる。

2項

前項ただし書の規定により担保を立てる場合において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する家庭裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならない。

3項

民事訴訟法第七十六条第七十七条第七十九条 及び第八十条の規定は、前項の担保について準用する。

1項

第八十六条第二項第八十七条から第八十九条まで第九十一条第一項 及び第九十三条の規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

第八十七条第六項
及び第五項」とあるのは、
「から第六項まで」と

読み替えるものとする。

2項

民事訴訟法第三百十四条第二項第三百十五条第三百十六条第一項第一号除く)、第三百二十一条第一項第三百二十二条第三百二十五条第一項前段、第二項第三項後段 及び第四項第三百二十六条 並びに第三百三十六条第二項の規定は、特別抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

同法第三百十四条第二項
前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項」とあるのは
家事事件手続法第九十六条第一項において読み替えて準用する同法第八十七条第六項」と、

同法第三百十六条第二項
対しては」とあるのは
「対しては、一週間の不変期間内に」と、

同法第三百二十二条
前二条」とあるのは
家事事件手続法第九十四条第二項の規定 及び同法第九十六条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、

同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項
第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
家事事件手続法第九十四条第一項」と、

同条第三項後段中
この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、

同条第四項
前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と

読み替えるものとする。

第三目 許可抗告

1項

高等裁判所の家事審判事件についての決定(次項の申立てについての決定を除く)に対しては、第九十四条第一項の規定による場合のほか、その高等裁判所が次項の規定により許可したときに限り、最高裁判所に特に抗告をすることができる。


ただし、その決定が家庭裁判所の審判であるとした場合に即時抗告をすることができるものであるときに限る

2項

前項の高等裁判所は、同項の決定について、最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院 又は上告裁判所 若しくは抗告裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある場合 その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むと認められる場合には、申立てにより、抗告を許可しなければならない。

3項

前項の申立てにおいては、第九十四条第一項に規定する事由を理由とすることはできない

4項

第二項の規定による許可があった場合には、第一項の抗告(以下 この条 及び次条第一項において「許可抗告」という。)があったものとみなす。

5項

許可抗告が係属する抗告裁判所は、第二項の規定による許可の申立書 又は同項の申立てに係る理由書に記載された許可抗告の理由についてのみ調査をする。

6項

許可抗告が係属する抗告裁判所は、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原決定を破棄することができる。

1項

第八十六条第二項第八十七条第四項 及び第五項除く)、第八十八条第八十九条第九十一条第一項第九十三条 及び第九十五条の規定は、許可抗告 及びその抗告審に関する手続について準用する。


この場合において、

第八十六条第二項第八十七条第一項第二項第二号 及び第三項第八十八条第一項 並びに第八十九条第二項
即時抗告」とあり、
第八十七条第六項
即時抗告の提起」とあり、
並びに第九十五条第一項本文中
特別抗告」とあるのは
第九十七条第二項の申立て」と、

第八十七条第一項第二項 及び第六項第八十八条 並びに第九十三条第二項
抗告状」とあるのは
第九十七条第二項の規定による許可の申立書」と、

第九十一条第一項並びに第九十三条第一項前段、第二項 及び第三項
即時抗告」とあり、
並びに第九十五条第一項ただし書中
特別抗告」とあるのは
「許可抗告」と

読み替えるものとする。

2項

民事訴訟法第三百十五条 及び第三百三十六条第二項の規定は前条第二項の申立てについて、同法第三百十八条第三項の規定は前条第二項の規定による許可をする場合について、同法第三百十八条第四項後段、第三百二十一条第一項第三百二十二条第三百二十五条第一項前段、第二項第三項後段 及び第四項 並びに第三百二十六条の規定は前条第二項の規定による許可があった場合について準用する。


この場合において、

同法第三百十八条第四項後段中
第三百二十条」とあるのは
家事事件手続法第九十七条第五項」と、

同法第三百二十二条
前二条」とあるのは
家事事件手続法第九十七条第五項の規定 及び同法第九十八条第二項において準用する第三百二十一条第一項」と、

同法第三百二十五条第一項前段 及び第二項
第三百十二条第一項 又は第二項」とあるのは
家事事件手続法第九十七条第二項」と、

同条第三項後段中
この場合」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所が裁判をする場合」と、

同条第四項
前項」とあるのは
「差戻し 又は移送を受けた裁判所」と

読み替えるものとする。