危険物保安技術協会は、第十一条の三 又は第十四条の三第三項の規定による市町村長等の委託に基づく屋外タンク貯蔵所に係る審査を行い、あわせて危険物 又は指定可燃物(以下この章において「危険物等」という。)の貯蔵、取扱い又は運搬(航空機、船舶、鉄道 又は軌道によるものを除く。以下この章において同じ。)の安全に関する試験、調査 及び技術援助等を行い、もつて危険物等の貯蔵、取扱い又は運搬に関する保安の確保を図ることを目的とする。
消防法
第三章の二 危険物保安技術協会
第一節 総則
危険物保安技術協会(以下この章において「協会」という。)は、法人とする。
協会は、その名称中に危険物保安技術協会という文字を用いなければならない。
協会でない者は、その名称中に危険物保安技術協会という文字を用いてはならない。
協会は、政令で定めるところにより、登記しなければならない。
前項の規定により登記しなければならない事項は、登記の後でなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第四条 及び第七十八条の規定は、協会について準用する。
第二節 設立
協会を設立するには、都道府県知事の全国的連合組織の推薦する都道府県知事、市長の全国的連合組織の推薦する市長、町村長の全国的連合組織の推薦する町村長 及び危険物等の貯蔵、取扱い又は運搬に関する保安について学識経験を有する者十五人以上が発起人となることを必要とする。
発起人は、定款 及び事業計画書を総務大臣に提出して、設立の認可を申請しなければならない。
協会の設立当初の役員は、定款で定めなければならない。
第一項の事業計画書に記載すべき事項は、総務省令で定める。
総務大臣は、設立の認可をしようとするときは、前条第一項の規定による認可の申請が次の各号に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない。
設立の手続 並びに定款 及び事業計画書の内容が法令の規定に適合するものであること。
職員、業務の方法 その他の事項についての業務の実施に関する計画が適正なものであり、かつ、その計画を確実に遂行するに足りる経理的 及び技術的な基礎を有すると認められること。
前号に定めるもののほか、事業の運営が健全に行われ、危険物等の貯蔵、取扱い 又は運搬に関する保安の確保に資することが確実であると認められること。
第十六条の十八の規定による設立の認可があつたときは、発起人は、遅滞なく、その事務を理事長となるべき者に引き継がなければならない。
理事長となるべき者は、前条の規定による事務の引継ぎを受けたときは、遅滞なく、政令で定めるところにより、設立の登記をしなければならない。
第三節 管理
協会の定款には、次の事項を記載しなければならない。
役員の定数、任期、選任の方法 その他の役員に関する事項
協会の定款の変更は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
協会に、役員として、理事長、理事 及び監事を置く。
理事は、定款で定めるところにより、理事長を補佐して協会の業務を掌理し、理事長に事故があるときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。
監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長 又は総務大臣に意見を提出することができる。
役員の選任 及び解任は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
次の各号の一に該当する者は、役員となることができない。
政府 又は地方公共団体の職員(非常勤の者を除く。)
製造所、貯蔵所 若しくは取扱所の所有者、管理者 若しくは占有者 若しくは製造所、貯蔵所 若しくは取扱所の工事の請負を業とする者又はこれらの者が法人であるときはその役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権 又は支配力を有する者を含む。)
前号に掲げる事業者の団体の役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権 又は支配力を有する者を含む。)
協会は、役員が前条各号の一に該当するに至つたときは、その役員を解任しなければならない。
総務大臣は、役員が、この法律(この法律に基づく命令 又は処分を含む。)、定款、業務方法書 若しくは第十六条の三十七第一項に規定する審査事務規程に違反する行為をしたとき、又は協会の業務に関し著しく不適当な行為をしたときは、協会に対し、期間を指定して、その役員を解任すべきことを命ずることができる。
総務大臣は、役員が第十六条の二十六各号の一に該当するに至つた場合において協会がその役員を解任しないとき、又は協会が前項の規定による命令に従わなかつたときは、当該役員を解任することができる。
役員は、営利を目的とする団体の役員となり、又は自ら営利事業に従事してはならない。
ただし、総務大臣の承認を受けたときは、この限りでない。
協会と理事長との利益が相反する事項については、理事長は、代表権を有しない。
この場合には、監事が協会を代表する。
協会に、その運営に関する重要事項を審議する機関として、評議員会を置く。
評議員会は、評議員十人以内で組織する。
評議員は、都道府県知事の全国的連合組織の推薦する者、市長の全国的連合組織の推薦する者、町村長の全国的連合組織の推薦する者 及び危険物等の貯蔵、取扱い又は運搬に関する保安について学識経験を有する者のうちから、総務大臣の認可を受けて、理事長が任命する。
協会の役員 若しくは職員 又はこれらの職にあつた者は、その職務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
協会の役員 及び職員は、刑法 その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。
第四節 業務
協会は、第十六条の十の目的を達成するため、次の業務を行う。
第十一条の三 又は第十四条の三第三項の規定による市町村長等の委託に基づく屋外タンク貯蔵所に係る審査を行うこと。
危険物等の貯蔵、取扱い 又は運搬の安全に関する試験、調査、技術援助 並びに情報の収集 及び提供を行うこと。
危険物等の貯蔵、取扱い 又は運搬の安全に関する教育を行うこと。
前三号に掲げる業務に附帯する業務を行うこと。
前各号に掲げるもののほか、第十六条の十の目的を達成するために必要な業務を行うこと。
協会は、前項第五号に掲げる業務を行おうとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
協会は、第一項の業務を行うほか、当該業務の円滑な遂行に支障のない範囲において、総務大臣の認可を受けて、危険物等の貯蔵、取扱い 又は運搬の安全に関する業務を行うために有する機械設備 又は技術を活用して行う審査、試験等の業務 その他協会が行うことが適切であると認められる業務を行うことができる。
協会は、業務の開始前に、業務方法書を作成し、総務大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
前項の業務方法書に記載すべき事項は、総務省令で定める。
協会は、市町村長等から第十一条の三 又は第十四条の三第三項の規定による屋外タンク貯蔵所に係る審査の委託に係る契約の申込みがあつたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。
協会は、前項の契約が成立したときは、遅滞なく、当該契約に係る同項の審査を行わなければならない。
協会は、第十六条の三十四第一項第一号に掲げる業務(以下「審査事務」という。)の開始前に、審査事務の実施に関する規程(以下「審査事務規程」という。)を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
総務大臣は、前項の認可をした審査事務規程が、審査事務の適正かつ確実な実施上不適当となつたと認めるときは、協会に対し、その審査事務規程を変更すべきことを命ずることができる。
審査事務規程で定めるべき事項は、総務省令で定める。
協会は、審査事務を行うときは、政令で定める資格を有する者に実施させなければならない。
審査事務を実施する者(以下「検査員」という。)は、誠実にその職務を行わなければならない。
総務大臣は、検査員がこの法律 若しくはこの法律に基づく命令 若しくは審査事務規程に違反したとき、又はその者にその職務を行わせることが審査事務の適正な実施に支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、協会に対し、検査員の解任を命ずることができる。
国 及び地方公共団体は、協会の業務の円滑な運営が図られるように、適当と認める人的 及び技術的援助について必要な配慮を加えるものとする。
第五節 財務及び会計
協会の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。
協会は、毎事業年度、予算 及び事業計画を作成し、当該事業年度の開始前に、総務大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
協会は、毎事業年度、財産目録、貸借対照表 及び損益計算書(次項において「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に総務大臣に提出しなければならない。
協会は、前項の規定により財務諸表を総務大臣に提出するときは、これに当該事業年度の事業報告書 及び予算の区分に従い作成した決算報告書 並びに財務諸表 及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
この法律に規定するもののほか、協会の財務 及び会計に関し必要な事項は、総務省令で定める。
第六節 監督
総務大臣は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、協会に対し、その業務に関し監督上必要な命令をすることができる。
総務大臣は、この章の規定を施行するため必要があると認めるときは、協会に対し その業務に関し報告をさせ、又はその職員に協会の事務所 その他の事業所に立ち入り、業務の状況 若しくは帳簿、書類 その他の必要な物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係のある者に提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。