漁港及び漁場の整備等に関する法律

# 昭和二十五年法律第百三十七号 #

第五章 漁港の維持管理

分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十四号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時49分


1項

次の各号に掲げる漁港の漁港管理者は、当該各号に定める地方公共団体とする。

一 号

第一種漁港であつてその所在地がの市町村に限られるもの

当該漁港の所在地の市町村

二 号

第一種漁港以外の漁港であつてその所在地がの都道府県に限られるもの

当該漁港の所在地の都道府県

三 号

前二号に掲げる漁港以外の漁港

農林水産大臣が、水産政策審議会の議を経て定める基準に従い、かつ、関係地方公共団体の意見を聴いて、当該漁港の所在地の地方公共団体のうちから告示で指定する一の地方公共団体

2項

前項の規定にかかわらず、漁港の所在地の地方公共団体は、水産政策審議会の議を経て農林水産省令で定める基準に従い、協議して、当該地方公共団体のうち一の地方公共団体を当該漁港の漁港管理者として選定し、農林水産省令で定めるところにより、その旨を農林水産大臣に届け出ることができる。


これを変更しようとするときも、同様である。

3項

農林水産大臣は、前項の規定による届出を受理したときは、同項の規定により選定された漁港管理者を告示する。

1項
漁港管理者は、漁港管理規程を定め、これに従い、適正に、漁港の維持、保全 及び運営 その他漁港の維持管理をする責めに任ずるほか、漁港の発展のために必要な調査研究 及び統計資料の作成を行うものとする。
1項
漁港管理者は、漁港に、漁港管理会を置くことができる。
2項
漁港管理会は、漁港管理者の諮問に応じ、漁港の維持管理に関する重要事項を調査審議する。
3項

第一項の規定により漁港管理会を設置した漁港の漁港管理者は、漁港管理規程の制定 その他漁港の維持管理に関する重要事項については、漁港管理会の意見を徴し、その意見を尊重しなければならない。

4項
漁港管理会の組織 及び運営に関し必要な事項は、漁港管理規程で定める。
1項
漁港管理規程においては、政令で定めるところにより、当該漁港管理者の管理する漁港施設の維持、保全 及び運営 その他当該漁港の維持管理に関し必要な事項を定めるものとする。
2項
漁港管理者は、漁港管理規程を制定し、又は変更したときは、遅滞なく、これを公示するとともに、農林水産大臣に届け出なければならない。
3項
農林水産大臣は、漁港の維持管理の適正を図るために必要があると認めるときは、漁港管理者に対し、漁港管理規程について必要な助言 又は勧告をすることができる。
4項
農林水産大臣は、水産政策審議会の議を経て、模範漁港管理規程例を定めることができる。
1項
漁港管理者は、漁港の維持管理に要する費用に充てるために、漁港管理規程の定めるところにより、漁港の利用者から、利用料、使用料、手数料、占用料等 その利用の対価を徴収することができる。
1項

第二十四条の規定は、漁港の維持管理のために必要がある場合に準用する。

2項

漁港管理者は、非常災害のために急迫の必要がある場合には、その現場にある者を復旧、危害防止 その他の業務に協力させ、又は前項の規定によらないで左に掲げる処分をすることができる。

一 号
必要な土地、水面、船舶 又は工作物を使用すること。
二 号

土石、竹木 その他の物件(前号に掲げる物を除く)を使用し、又は収用すること。

3項

第二十四条第三項の規定は、前項の処分をした場合に準用する。

1項

漁港管理者は、その管理する漁港について、漁港台帳を調製しなければならない。

2項
漁港台帳に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。
1項

漁港施設の所有者 又は占有者は、漁港管理者の許可を受けなければ、当該施設の形質 若しくは所在の場所の変更、譲渡、賃貸 又は収去 その他の処分をしてはならない。


ただし、特定漁港漁場整備事業計画 若しくは漁港管理規程によつてする場合、次条第四項の規定により貸付けをする場合 又は第四十四条第一項に規定する認定計画(第四十二条第二項第二号 及び第三号に掲げる事項(漁港施設の貸付けに係るものに限る)又は同条第四項第一号に掲げる事項が定められたものに限る)に従つてする場合は、この限りでない。

2項

漁港管理者は、漁港の保全上必要があると認める場合には、前項の規定に違反した者に対し、原状回復を命ずることができる。

3項

前項の規定による原状回復に要する費用は、当該違反者の負担とする。

1項

漁港(その取り扱う水産物の数量が農林水産省令で定める数量以上であるものに限る。以下この条において同じ。)における特定漁港施設(漁獲物の処理、保蔵、加工 及び販売の用に供する施設(その敷地を含む。)その他の農林水産省令で定める漁港施設をいう。以下この条において同じ。)を運営し、又は運営しようとする者は、当該漁港の漁港管理者に対し、農林水産省令で定めるところにより、特定漁港施設の運営の事業を実施するために必要な資力 及び信用を有すること その他の農林水産省令で定める基準に適合するものである旨の認定を申請することができる。

2項

漁港管理者は、前項の認定の申請があつた場合において、その申請を行つた者が同項の農林水産省令で定める基準に適合すると認めるときは、その認定をするものとする。

3項

漁港管理者は、前項の認定をするに当たつては、農林水産省令で定めるところにより、当該認定の申請内容の公告、縦覧 その他の次項の貸付けが公正な手続に従つて行われることを確保するために必要な措置を講じなければならない。

4項

国 又は地方公共団体(これらの者の委託を受けて特定漁港施設の管理を行う漁港管理者を含む。以下この条において同じ。)は、国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第十八条第一項 又は地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百三十八条の四第一項の規定にかかわらず、行政財産(国有財産法第三条第二項 又は地方自治法第二百三十八条第四項に規定する行政財産をいう。第四十四条第一項において同じ。)である特定漁港施設を第二項の認定を受けた者に貸し付けることができる。

5項

前項の規定による貸付けについては、民法明治二十九年法律第八十九号第六百四条 並びに借地借家法平成三年法律第九十号)第三条 及び第四条の規定は、適用しない

6項

国有財産法第二十一条 及び第二十三条から第二十五条まで 並びに地方自治法第二百三十八条の五第四項から第六項までの規定は、第四項の規定による貸付けについて準用する。

7項

漁港管理者は、第二項の認定を受けた者が第一項の農林水産省令で定める基準に適合しなくなつたと認めるときは、当該認定を受けた者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

8項

漁港管理者は、前項の規定による勧告を受けた者が当該勧告に従い必要な措置をとらなかつたときは、第二項の認定を取り消すことができる。

9項

前各項に定めるもののほか、特定漁港施設の貸付けに関し必要な事項は、農林水産省令で定める。

1項

国 及び漁港管理者以外の者が基本施設である漁港施設を他人に利用させ、又はこれらの施設の使用料を徴収しようとするときは、利用方法 及び料率を定めて、漁港管理者の認可を受けなければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

2項

前項の規定は、第四十四条第一項に規定する認定計画(第四十二条第三項に規定する事項が定められたものに限る)に従つてする行為については、適用しない

1項

漁港の区域内の水域 又は公共空地において、工作物の建設 若しくは改良(水面 又は土地の占用を伴うものを除く)、土砂の採取、土地の掘削 若しくは盛土、汚水の放流 若しくは汚物の放棄 又は水面 若しくは土地の一部の占用(公有水面の埋立てによる場合を除く)をしようとする者は、漁港管理者の許可を受けなければならない。


ただし、特定漁港漁場整備事業計画 若しくは漁港管理規程によつてする行為、第四十四条第一項に規定する認定計画(第四十二条第二項第二号 及び第三号に掲げる事項(水面 又は土地の占用に係るものに限る)、同条第四項第二号に掲げる事項 又は第五十条第一項各号に掲げる事項が定められたものに限る)に従つてする行為 又は農林水産省令で定める軽易な行為については、この限りでない。

2項

漁港管理者は、前項の許可の申請に係る行為が特定漁港漁場整備事業の施行 又は漁港の利用を著しく阻害し、その他漁港の保全に著しく支障を与えるものでない限り、同項許可をしなければならない。

3項

漁港管理者は、第一項の許可に漁港の保全上必要な条件を付することができる。

4項

国の機関 又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)に規定する港務局を含む。)が、第一項の規定により許可を要する行為をしようとする場合には、あらかじめ漁港管理者に協議することをもつて足りる。

5項

何人も、漁港の区域(第二号 及び第三号にあつては、漁港施設の利用、配置 その他の状況により、漁港の保全上特に必要があると認めて漁港管理者が指定した区域に限る)内において、みだりに次に掲げる行為をしてはならない。

一 号
基本施設である漁港施設を損傷し、又は汚損すること。
二 号
船舶、自動車 その他の物件で漁港管理者が指定したものを捨て、又は放置すること。
三 号
その他漁港の保全に著しい支障を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるものを行うこと。
6項

漁港管理者は、前項各号列記以外の部分の規定 又は同項第二号の規定による指定をするときは、農林水産省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。


これを廃止するときも、同様とする。

7項

前項の指定 又はその廃止は、同項の公示によつてその効力を生ずる。

8項

都道府県知事(地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市の区域内にあつては、当該指定都市の長。以下この項において同じ。)(港湾法第五十八条第二項の規定に基づき公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)の規定による都道府県知事の職権を行う港湾管理者を含む。)は、漁港の区域内における公有水面の埋立てについて、同法第二条第一項の規定による免許をしようとするときは、漁港管理者の同意を得なければならない。


ただし次の各号いずれかに該当するものについては、この限りでない。

一 号
特定漁港漁場整備事業計画によつてする埋立て
二 号

前号に掲げるもののほか、漁港施設の整備のためにする埋立て

三 号

前二号に掲げるもののほか、第一種漁港、第二種漁港 又は第四種漁港の区域内の埋立てであつて当該漁港の利用を著しく阻害しないもの

1項

漁港管理者は、次の各号いずれかに該当する者に対して、その許可を取り消し、その効力を停止し、若しくはその条件を変更し、又はその行為の中止、工作物 若しくは船舶、自動車 その他の物件(以下「工作物等」という。)の改築、移転 若しくは除却 若しくは原状回復を命ずることができる。

一 号

前条第一項 又は第五項の規定に違反した者

二 号

前条第一項の規定による許可に付した条件に違反した者

三 号

偽りその他不正な手段により前条第一項の規定による許可を受けた者

2項

漁港管理者は、漁港の区域内の土地、竹木 又は工作物等の所有者 又は占有者に対し、土地の欠壊、土砂 又は汚水の流出 その他土地、竹木 又は工作物等が漁港に及ぼすおそれのある危害を防止するために必要な施設の設置 その他の措置をとることを命ずることができる。

3項

第一項の規定による改築、移転、除却 若しくは原状回復 又は前項の規定による措置に要する費用は、当該命令を受けた者の負担とする。

4項

第一項 又は第二項の規定により必要な措置をとることを命じようとする場合において、過失がなくて当該措置を命ずべき者を確知することができないときは、漁港管理者は、当該措置を自ら行い、又はその命じた者 若しくは委任した者にこれを行わせることができる。


この場合においては、相当の期限を定めて、当該措置を行うべき旨 及びその期限までに当該措置を行わないときは、漁港管理者 又はその命じた者 若しくは委任した者が当該措置を行う旨を、あらかじめ公告しなければならない。

5項

漁港管理者は、前項の規定により工作物等を除却し、又は除却させたときは、当該工作物等を保管しなければならない。

6項

漁港管理者は、前項の規定により工作物等を保管したときは、当該工作物等の所有者、占有者 その他当該工作物等について権原を有する者(以下この条において「所有者等」という。)に対し当該工作物等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。

7項

漁港管理者は、第五項の規定により保管した工作物等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又は前項の規定による公示の日から起算して三月を経過してもなお当該工作物等を返還することができない場合において、政令で定めるところにより評価した当該工作物等の価額に比し、その保管に不相当な費用 若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該工作物等を売却し、その売却した代金を保管することができる。

8項

漁港管理者は、前項の規定による工作物等の売却につき買受人がない場合において、同項に規定する価額が著しく低いときは、当該工作物等を廃棄することができる。

9項

第七項の規定により売却した代金は、売却に要した費用に充てることができる。

10項

第四項から第七項までに規定する工作物等の除却、保管、売却、公示 その他の措置に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき所有者等 その他第四項に規定する当該措置を命ずべき者の負担とする。

11項

第六項の規定による公示の日から起算して六月を経過してもなお第五項の規定により保管した工作物等(第七項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物等の所有権は、当該工作物等を保管する漁港管理者に帰属する。

1項

前条第十項の規定による負担金の額の通知 及び納入手続 その他負担金に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

第六条第一項から第四項までの規定による漁港の指定の際 現に権原に基づき、第三十九条第一項の規定により許可を要する行為を行つている者は、従前と同様の条件により、当該行為について同項の規定により許可を受けたものとみなす。


第六条第五項 又は第六項の規定による漁港の区域の変更の際 現に権原に基づき、その変更に伴い新たに第三十九条第一項の規定により許可を要することとなる行為を行つている者についても、同様とする。

1項

漁港管理者は、農林水産省令で定める基準に従い、漁港の区域内の水域(漁港管理者以外の者がその権原に基づき管理する土地に係る水域を除く)及び公共空地について、第三十九条第一項の規定による採取 若しくは占用の許可を受けた者 又は第四十三条第四項に規定する認定計画実施者(第四十四条第一項に規定する認定計画において第四十二条第二項第二号 及び第三号に掲げる事項(水面 又は土地の占用に係るものに限る)又は第五十条第一項各号に掲げる事項を定めた者に限る)から土砂採取料 又は占用料を徴収することができる。


ただし第三十九条第四項に規定する者については、この限りでない。

2項

漁港管理者は、偽り その他不正の行為により前項の土砂採取料 又は占用料の徴収を免れた者から、その徴収を免れた金額の五倍に相当する金額以下の過怠金を徴収することができる。

3項

第一項の土砂採取料 及び占用料 並びに前項の過怠金は、当該漁港管理者の収入とする。