産業技術力強化法

平成十二年法律第四十四号
分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 平成三十一年四月一日
@ 最終更新 : 平成三十年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2023年 01月18日 08時07分

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1項

この法律は、我が国の産業技術力の強化に関し、国、地方公共団体、 産業技術研究法人、 大学 及び事業者の責務を明らかにするとともに、産業技術力の強化に関する施策の基本となる事項を定め、併せて産業技術力の強化を支援するための措置を講ずることにより、我が国産業の持続的な発展を図り、もって国民生活の安定向上 及び国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

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1項

この法律において「産業技術力」とは、産業活動において利用される技術に関する研究 及び開発を行う能力 並びにその成果の企業化を行う能力をいう。

2項

この法律において「技術経営力」とは、技術に関する研究 及び開発の成果を経営において他の経営資源と組み合わせて有効に活用するとともに、将来の事業内容を展望して研究 及び開発を計画的に展開する能力をいう。

3項

この法律において「産業技術研究法人」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)であって、産業活動において利用される技術に関する研究 及び開発 並びにその成果の移転に関する業務を行うものをいう。

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1項

産業技術力の強化は、産業技術力が産業構造の変化、技術の進歩等の内外の経済的環境の変化に適確に対応して我が国産業の持続的な発展を図るための基盤であることにかんがみ、我が国産業の発展を支えてきた技術の改良に係る産業技術の水準の維持 及び向上を図りつつ、国、地方公共団体、産業技術研究法人、大学 及び事業者の相互の密接な連携の下に、創造性のある研究 及び開発を行うとともに、その成果の企業化を行う能力を強化することを基本として行われるものとする。

2項

技術経営力の強化は、それが前項に規定する産業技術力の強化に資するものであることにかんがみ、事業者が研究 及び開発を行うに当たり、自らの競争力の現状 及び技術革新の動向を適確に把握するとともに、その将来の事業活動の在り方を展望することが重要であること、並びに現在の事業分野にかかわらず広く知見を探究し、これにより得られた知識を融合して活用することが重要であることを踏まえて、行われるものとする。

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1項

国は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、産業技術力の強化に関する総合的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

2項

国の関係行政機関は、産業技術力の強化に関する施策の円滑な実施が促進されるよう、相互に連携を図りながら協力しなければならない。

3項

国は、第一項に規定する総合的な施策を策定し、及びこれを実施するに際しては、技術経営力の強化の促進の重要性を踏まえるものとする。

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1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、産業技術力の強化に関し、国の施策に準じた施策及び その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及びこれを実施する責務を有する。

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1項

産業技術研究法人は、基本理念にのっとり、創造性のある研究 及び開発の実施 並びに研究 及び開発における事業者との連携 並びに研究 及び開発の成果の事業者への移転に自主的かつ積極的に努めるものとする。

2項

産業技術研究法人は、前項の研究 及び開発の成果の事業者への移転に当たっては、成果の移転を受ける者の産業技術力を強化することの必要性 及び その資力、当該成果を企業化する能力 その他の事情を考慮しつつ、その成果の移転の対価について額の低廉化、金銭以外の財産での受領 その他の柔軟な方法によることの必要性についても勘案し、行うよう努めるものとする。

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1項

大学は、その活動が産業技術力の強化に資するものであることにかんがみ、人材の育成 並びに研究 及び その成果の普及に自主的かつ積極的に努めるものとする。

2項

国 及び地方公共団体は、産業技術力の強化に関する施策で大学に係るものを策定し、及びこれを実施するに当たっては、研究者の自主性の尊重 その他の大学における研究の特性に配慮しなければならない。

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1項

事業者は、基本理念にのっとり、研究 及び開発 並びにその成果の企業化並びに技術経営力の強化に積極的に努めるものとする。

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1項

国は、研究者 及び技術者の創造性が十分に発揮されることにより、産業技術力の強化が図られることにかんがみ、研究者 及び技術者の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国は、産業技術力の強化の円滑な実施を図るため、研究 及び開発を行うための施設 及び設備の整備、研究材料の供給並びに技術に関する情報の流通の円滑化に必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国は、産業技術力の強化の効果的な実施を図るため、国の資金により行われる研究 及び開発の適切な評価を行い、その結果を予算の配分へ反映させること等により、産業技術に関する研究 及び開発に係る資金の重点化及び効率化の促進に必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国は、国 及び地方公共団体の試験研究機関、産業技術研究法人、大学 並びに事業者が互いに補完することにより 産業技術力の強化の効果的な実施が図られることにかんがみ、これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国は、国 及び地方公共団体の試験研究機関、産業技術研究法人並びに大学における研究 及び開発の成果が事業活動において活用されることが産業技術力の強化に重要であることにかんがみ、当該成果の事業者への移転の促進に必要な施策を講ずるものとする。

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1項

国は、技術経営力の強化が産業技術力の強化に重要であることにかんがみ、事業者が広く技術革新の動向を把握する上で有用な将来の技術に関する見通しの提示、技術経営力の強化に寄与する人材の養成 及び資質の向上、事業者が研究 及び開発の成果を事業活動において効率的かつ円滑に活用することができる環境の整備その他 技術経営力の強化の促進のために必要な施策を講ずるものとする。

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1項

地方公共団体は、その設置する公立学校(学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第二条第二項に規定する公立学校をいう。)において当該地方公共団体以外の者から奨学を目的とする寄附金を受けて行う研究 若しくは委託を受けて行う研究 又は当該地方公共団体以外の者と共同して行う研究の円滑な実施に資するため、地方公共団体以外の者から提供されるこれらの研究に係る資金の受入れ 及び使用を円滑に行うための措置を講じなければならない。

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1項

国は、産業技術力の強化を図るため、国の試験研究機関の研究者がその研究成果を活用する事業を実施する営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社 その他の団体(次項において「研究成果利用会社等」という。)の役員、顧問 若しくは評議員の職を兼ねることが当該研究成果の事業者への移転の促進にとって重要な意義を有することに配慮しつつ、当該研究成果を活用する事業を実施する事業者に対する支援に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2項

地方公共団体は、産業技術力の強化を図るため、公立大学等(学校教育法第一条に規定する大学 及び高等専門学校であって地方公共団体が設置するものをいう。)及び地方公共団体の試験研究機関の研究者が研究成果利用会社等の役員、顧問 若しくは評議員の職を兼ねることが当該研究成果の事業者への移転の促進にとって重要な意義を有することに配慮しつつ、当該研究成果を活用する事業を実施する事業者に対する支援に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

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1項

国は、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律平成十年法律第五十二号第十一条第一項の認定を受けた者が同項の特定試験研究機関の施設を同項に規定する事業の用に供する場合であって、産業技術力の強化を図るため特に必要であると認めるときは、当該認定を受けた者に対し、当該特定試験研究機関の施設を無償で使用させることができる。

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1項

国は、政令で定めるところにより、国有の特許権 又は実用新案権のうち、これらに係る特許発明 又は登録実用新案が政令で定める期間以上継続して実施されていないものについて、その産業技術力の強化を支援することが特に必要な者として政令で定める者に対し通常実施権の許諾を行うときは、その許諾の対価を時価よりも 低く定めることができる。

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1項

国は、技術に関する研究開発活動を活性化し、及び その成果を事業活動において効率的に活用することを促進するため、国が委託した技術に関する研究 及び開発 又は国が請け負わせたソフトウェアの開発の成果(以下この条において「特定研究開発等成果」という。)に係る特許権 その他の政令で定める権利(以下この条において「特許権等」という。)について、次の各号いずれにも該当する場合には、その特許権等を受託者 又は請負者(以下この条において「受託者等」という。)から 譲り受けないことができる。

一 号

特定研究開発等 成果が得られた場合には、遅滞なく、国にその旨を報告することを受託者等が約すること。

二 号

国が公共の利益のために特に必要があるとしてその理由を明らかにして求める場合には、無償で当該特許権等を利用する権利を国に許諾することを受託者等が約すること。

三 号

当該特許権等を相当期間活用していないと認められ、かつ、当該特許権等を相当期間活用していないことについて正当な理由が認められない場合において、国が当該特許権等の活用を促進するために特に必要があるとしてその理由を明らかにして求めるときは、当該特許権等を利用する権利を第三者に許諾することを受託者等が約すること。

四 号

当該特許権等の移転 又は当該特許権等を利用する権利であって政令で定めるものの設定 若しくは移転の承諾をしようとするときは、合併 又は分割により移転する場合 及び当該特許権等の活用に支障を及ぼすおそれがない場合として政令で定める場合を除き、あらかじめ国の承認を受けることを受託者等が約すること。

2項

前項の規定は、国が資金を提供して他の法人に技術に関する研究 及び開発を行わせ、かつ、当該法人がその研究 及び開発の全部 又は一部を委託する場合における当該法人と当該研究 及び開発の受託者との関係 及び国が資金を提供して他の法人にソフトウェアの開発を行わせ、かつ、当該法人がその開発の全部 又は一部を他の者に請け負わせる場合における当該法人と当該開発の請負者との関係に準用する。

3項

前項の法人は、同項において準用する第一項第二号 又は第三号の許諾を求めようとするときは、国の要請に応じて行うものとする。

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